ハイドロキシアパタイトとはそもそも何か
ハイドロキシアパタイトとは、ヒドロキシアパタイトとも呼ばれていて、歯や骨の主成分です。
化学式で表すとCa10(PO4)6(OH)2、リン酸カルシウムの一種です。
ハイドロキシアパタイトにはどんな特徴がある??
ハイドロキシアパタイトは生体親和性に優れていて、ヒトの体に馴染みやすく、人工的につくることができます。
ハイドロキシアパタイトは最先端の医療技術に用いられている
また、骨のないところにハイドロキシアパタイトを埋入するとそのまわりに新しい骨が覆い、もともとあった骨と結合しようとする力が優れています。
ですから、生体への移植を目的とした生体材料(バイオマテリアル)の研究がなされ、人工骨や人工関節などの実用化も進められているようです。
ハイドロキシアパタイトと歯の関係
インプラントが顎の骨と結合するのを補助する
口の中では生体材料(バイオマテリアル)として、インプラント体の表面に使われていて、埋入したインプラント体と顎の骨が結合するのを助けています。
歯磨き粉に含まれていることもある
ハイドロキシアパタイトは、歯磨き粉に、基材や研磨剤(清掃材)として含まれていることが多くあります。
基材とは書いて字の如く、歯磨き粉の基になる成分で、基材に発泡剤や結合材、薬効成分などを混ぜて歯磨き粉になります。
ハイドロキシアパタイトは生体親和性があること、生体にとって安全であることから、歯磨き粉の基になる成分、基材に適しています。
また、糖やタンパク質、脂質などを吸着する性質があります。糖やタンパク質、脂質はお口の中の汚れにたくさん混ざってますので、その汚れを吸着、除去することから、研磨剤(清掃材)として使用されています。
アパタイトは歯にカルシウムイオンを与えてくれる
イオン交換性をもっているのもハイドロキシアパタイトの一つの特徴です。
イオン交換性というのは、接触している電解質溶液に含まれるイオンを取り込んで、代わりに自分の持つイオンを放出し、プレゼントしたりすることをいいます。
アパタイトはカルシウムイオンが豊富にはいっています。歯のカルシウムイオンが不足した時、アパタイトからカルシウムイオンが供給されるなど、イオン交換ができるのも、ハイドロキシアパタイトの特性ですね。
ハイドロキシアパタイトが歯にとってどのような効果があるのか
それでは、ハイドロキシアパタイトはその特性を活かして、歯にとってはどのような効果があるのでしょう。
そもそも、虫歯の仕組みとは
歯の成分(ハイドロキシアパタイト)は、イオン交換性があるのでカルシウムイオンやリン酸イオンなどミネラル成分が歯から抜け出やすい性質を持っています。歯の成分からミネラル成分が抜け出ると、歯はスカスカになり、いわゆる、歯が溶けかけている状態になります。
- 脱灰(だっかい)
歯が溶ける、ということは、むし歯になりはじめるということで、歯科では「脱灰(だっかい)する」と言います。むし歯の始まりは脱灰で、それが進むと歯の一部がなくなる、「歯が欠損する」状態になります。歯が欠損している、ということは、歯に穴が空いている(むし歯になっている)、ことを指します。食事をしたり、むし歯菌がいたりすると歯は脱灰しはじめます。お口の中では、歯は常に脱灰の危険に晒されているのです。
- 再石灰化(さいせっかいか)
唾液はミネラル成分を歯に戻し、脱灰した状態から元に戻ろうとしてくれます。この、元に戻る状態を「再石灰化」といいます。歯は、お口の中では、常に脱灰と再石灰化を繰り返しています。脱灰のスピードが再石灰化よりも早いとむし歯に進んでしまうので、脱灰のスピードを緩め、再石灰化のスピードを早めていくことが、むし歯予防につながります。
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ハイドロキシアパタイトは歯の再石灰化を促進する
脱灰した時に、ハイドロキシアパタイトがそばにあると、抜け出たミネラル成分を供給してくれます。そのため、ハイドロキシアパタイト等、ミネラル成分を歯に供給してあげると、脱灰よりも再石灰化のスピードをあげてくれるのです。
その結果、歯は溶けにくくなり、むし歯になりにくくなります。
ハイドロキシアパタイトは歯を傷つけずに汚れを取り除く
従来の歯磨き粉は汚れを取り除くとき、歯磨き粉の研磨の力で汚れを取り除こうとすることが多いです。歯磨き粉の研磨剤の多くは固いツブツブで、そのツブツブを歯にこすり合わせて汚れを取り除きますが、その方法だと、研磨剤の研磨の力(ツブツブの固さや形)が強いものだったり、歯の質がもともと弱かったり、生えたての歯でまだまだ柔らかい歯だったりすると歯に傷をつけながら汚れをおとしていることになってしまいます。
むし歯菌はとても小さく、仮に目にみえないような小さい傷でも、そこをむし歯菌の住処にしてしまいやすいですので、できるだけ歯に傷をつけないようにして汚れをとるのが理想です。
ハイドロキシアパタイトは歯と同じ成分なので、歯と固さが似ており、歯に傷をつけにくいのです。また、ハイドロキシアパタイトはタンパク質などを吸着して取り除く性質があり、研磨の力ではなく、汚れを吸着しながら取り除くので、歯にとって、理想的な汚れの取り方ができます。
ハイドロキシアパタイトは薬効成分としても使用すされる
今では、ハイドロキシアパタイトをナノサイズにすることで、基材や研磨剤ではなく、薬効成分として使われている歯磨き粉があります。ハイドロキシアパタイトの粒子を細かくすることで、むし歯菌などの小さい細菌も取り除いてくれたり、歯の目には見えないようなミクロの傷に入り込み、歯の内部にもハイドロキシアパタイトを行き届かせて歯を強くし、歯の傷をうめてくれる効果を狙ったものです。
ハイドロキシアパタイトを小さくすることで、より歯に浸透しやすくなり、より汚れを取り除いてくれるのです。
歯の表面の傷が埋まると、歯がツルツルになって汚れもつきにくくなりますので歯磨きが楽になりますし、むし歯になりにくくなる効果があります。
フッ素とハイドロキシアパタイトの併用が歯に良いとはどういうことか?
まずは、フッ素とハイドロキシアパタイトの歯に対する効果の違いから考えてみましょう。
ハイドロキシアパタイト
ハイドロキシアパタイトは歯と同じ成分で、得意のイオン交換性の特徴から、歯にミネラル成分(カルシウムイオンやリン酸イオンなど)を補う性質があります。また、良い方法で汚れを取り除いてくれます。
ただし、ミネラル成分を補い、再石灰化の効果はありますが、ハイドロキシアパタイトの組成はかわったりはしません。
フッ素
フッ素はそれだけで汚れを取り除いたりはしません。また、フッ素そのものが歯に何かを供給するわけでなく、唾液中に溶け出たリン酸イオンやカルシウムイオンを利用して歯を強くします。
フッ素によってハイドロキシアパタイトは変化する
リン酸イオンやカルシウムイオンが歯に戻って再石灰化しようとするときにフッ素を一緒に取り込むと、ハイドロキシアパタイトはフルオロアパタイトと組成をかえます。フルオロアパタイトは結晶が安定しているので、ハイドロキシアパタイトよりも酸や水に溶けにくくなります。もちろん、むし歯菌がだす酸に対しても溶けにくくなります。フルオロアパタイトが形成されると、溶けにくいのでむし歯になりにくくなるんですね。
歯に傷をつけないよう、理想的な汚れの取り方をしつつ、カルシウムイオンやリン酸イオンを供給ししてくれるハイドロキシアパタイトと、ハイドロキシアパタイトが歯にミネラル成分を供給してくれる時、より強いミネラル成分にかえてくれるフッ素を一緒に使うことで、歯をより強くし、脱灰しにくくしてくれます。
フッ素がハイドロキシアパタイトの効果を向上させてくれる!
ハイドロキシアパタイト まとめ
- ハイドロキシアパタイトは歯や骨と同じ成分で、歯が溶けたところを修復してくれる
- フッ素を併用することで、さらに歯を強くすることができる
フッ素の種類もいろいろあるので、歯医者さんなどで、使い方などをしっかり聞いてみて、ためしてみてください!
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