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歯科医師から学んだ虫歯のすべて。絶対理解できる「虫歯」の全貌、教えます。

2015年08月25日 10時30分
虫歯って何?実は説明できないという方がほとんどではないでしょうか。でも、いまさら虫歯のことを聞くのも何だかはずかしい・・・。そこで、ここでは虫歯の原因、治療法、治療費、応急処置、予防法など全ての情報をわかりやすく解説しています。

歯科医師から学んだ虫歯のすべて。絶対理解できる「虫歯」の全貌、教えます。

虫歯。私達はこの虫歯に対して幼い時から様々な情報を与えられてきました。歯を壊していく虫歯、歯をダメにする虫歯など虫歯の悪名をたくさん耳にしてきました。

しかし、今冷静に考えると、私達は「虫歯」について詳しいことを何一つ知らないのではないでしょうか。そこで、今回は私達にとって身近ではあるものの実情を何一つ知らないこの虫歯について詳しく解説していきます。

 

そもそも虫歯ってどういうこと??

虫歯は専門的には齲蝕歯(うしょくし)といいます。齲蝕とは細菌が出した酸性の物質によってできる実質欠損(=酸によって歯が溶かされ損傷してしまった状態)のことで英語ではカリエス(caries)といいます。

虫歯

虫歯は歯を溶かす病気。 (emaze)

 

歯冠と呼ばれる歯の頭の部分は一番外側からエナメル質-象牙質-歯髄という構造をしています。

虫歯

(矯正歯科ネット)

 

歯髄は神経や血管が通っている歯の中枢部であり、象牙質は歯髄から栄養を取り込んだり衝撃から守るクッションの役目をしています。またエナメル質は人の体の中で最も硬い組織で冷温刺激や風など外部から加わる刺激をシャットアウトする役目をしています。でも口の中には多くの細菌が住み着いていてその中のいくつかは歯にダメージを与えます。この細菌が糖分などを分解する際に出す酸性の物質が歯を徐々に溶かしてしまいその進行の程度によってC0~C4の5段階に分類されています。

 

歯科検診で耳にするC0~C4ってどういうこと??

C0

エナメル質が脱灰(表面がわずかに溶けた状態)して白く濁ったような色になります。歯は本来半透明な色をしているため濁っているのは正常な状態ではありません。ごくごく初期のうちは触っても異常を感じませんが進行するにつれてざらつくようになります。痛みやしみるといった症状はありません。

診断の際には視診(目で見る診察)や、触診(実際に触れて行う診察)で実質的に欠損(穴になっている部分)がないかを調べます。このとき器具などで引っかいたり傷をつけないよう慎重に行います。なぜなら再石灰化(脱灰した部分に硬い組織を作って修復している)を始めている部分を再び損傷する可能性があるからです。視診では奥歯の溝などが黒くなっていることがありますが着色が入り込んでいることもあります。また子供の永久歯ではC0~C1ギリギリのものはすぐには削らず数ヶ月ごとに経過を見ていく場合もあります。ダイアグノデント(レーザーで虫歯の程度を数値化する機器)で確認して数値が20以下ならC0で問題ないでしょう。

ダイアグノデント

レーザーによる痛みのない虫歯診断(ダイアグノデント)

 

C1

溶かされた部分がエナメル質の層に留まってはいるものの、黒や茶色に変色してはっきりとした実質欠損(くぼみや穴)がある状態です。ここまで進むと予防では対処できないので治療が必要です。ただしエナメル質は痛みを感じませんので麻酔は必要ありません。治療は1回で完了できる程度です。放置するとさらに奥へ虫歯の細菌が侵入していき虫歯の進行がスピードアップしますので可能な限りこのステージで虫歯を食い止めておくことが大切です。

この段階では視診や触診でわずかにひっかかるくらいの欠損がみられ歯と歯の間ではフロスを通すと毛羽立ったり切れたりします。ダイアグノデントでも20~30程度の数値がみられることが多いようです。

デンタルフロス

フロスの毛羽立ちには注意

 

C2

虫歯

エナメル質を通り越して象牙質まで虫歯が到達した状態です。体中のどの組織よりも硬いエナメル質を破壊した虫歯の細菌は、柔らかい象牙質に到達すると一気に広がります。象牙質は象牙細管という細い管の集合体でそのすべてが歯髄に向かっています。この管を通じて神経に刺激が伝わり「冷たいものがしみる」「甘いものを食べると痛い」といった痛みを感じるのです。治療では虫歯の細菌に侵された部分は最小限取り除き削った歯が噛む力に耐えうるだけの補強をすることが必要です。ただ虫歯の細菌が象牙細管を通じて既に神経に達している場合もありその判断は非常に難しいといえます。

C2になると視診と触診ではっきりとした欠損がみられます。特に隣接面(歯と歯の間)ではぼこっと穴が開いていたり、ぱっと見は穴はなくても黒く変色した部分が透けて見えます。また生きている歯ではエア(風)をかけるとしみるなどの症状がみられ、食渣(食べかす)がつまっていることもよく見受けられます。X線画像でははっきりとした透過像(抜けて写る部分)がみられますが歯髄までは達していません。

虫歯

C1の虫歯C2の虫歯の比較(歯科・岡村デンタル)

 

C3

虫歯

虫歯の細菌が象牙質を通り越して歯髄に到達した状態です。「ずきずきとした痛み(自発痛)」や「温かいものがしみる」といった症状がみられます。多くの場合にはすぐわかるくらいの穴が開いていますが、中には硬いエナメル質の層は残っていて見た目にはわからないけれどレントゲンで見ると中の象牙質部分はほとんど溶けているといったケースもあります。その状態になると神経が通っている歯髄は細菌の刺激で強い痛みを感じます。早めに治療しなければさらに進行して歯根(歯の根)の先から細菌が外へ出てしまい歯の周りや顎の骨にまで炎症が波及してしまいます。歯冠の大部分が感染しているため削る量も多く最終的には大部分を補修する必要があります。

C3のX線像で明らかに歯髄まで到達した透過像がみられます。また打診痛(軽く叩いた刺激による痛み)を感じることも少なくありません。ただし中には痛みはまったくないのに虫歯がじわじわ進行していき神経が死んでしまうこともあります。そういった場合にはX線画像や電気歯髄診断器(弱い電流を流して神経が反応するかを調べる機器)などが重要な診断材料になります。

虫歯

C1の虫歯C2の虫歯C3の虫歯の比較 (歯科・岡村デンタル)

 

C4

虫歯

外から見えている歯冠部分のほとんどが崩れてしまい、さらには歯茎の下に隠れている歯根部分にも虫歯が進行してしまった状態です。既に神経は死んでしまっているので外部刺激による痛みを感じることはありません。こうなるともう治療しても残すことは困難ですので抜歯することになります。この状態をさらに放置すると歯根の先や歯茎の境目から虫歯の細菌がどんどん奥へと侵入していき歯の周囲や顎の骨へ炎症を広げていきます。時には膿の袋ができて腫れたり痛み始めることがあります。それでも放置しておくと最終的には周りの骨がなくなりぽろぽろと腐った歯が抜け落ちる人もいますが、中には悪化して顎下リンパ節や上顎洞(鼻の横にある骨の穴)、顎関節などに炎症が拡がることもあります。

虫歯

最悪、ここまで腫れることも。(滋賀病院 )

 

C4では視診で明らかに歯が崩壊しているのがわかります。中には崩れた歯に開いた穴から歯茎が盛り上がって出てきていることもあります。X線画像で根の先に膿の袋が写っていることもあります。

虫歯

ここまでいくと虫歯も末期症状(ワイズデンタルクリニック)

 

このように、虫歯と一口に言ってもその種類は様々です。超初期の虫歯から末期症状の虫歯まで人によって症状は色々なものがあります。では次に虫歯の原因について学んでいきましょう。

 

なぜ、歯は虫歯になるのでしょうか?原因を解説します

虫歯の成り立ちを簡潔に言うと「細菌の出す酸で歯が溶けてしまう」という状態です。虫歯の細菌が口の中にある糖分を分解して酸を作り出すことで口の中が酸性になり、歯の表面が徐々に溶けていきそこから細菌も中へ侵入していきます。ただしそれには条件があります。つまり虫歯は大きく3つの要素が絡み合ってできる歯の病気なのです。その3つの要素がマッチングして時間経過と共に虫歯が作られるのです。

 

虫歯を作る3つの要素

①細菌

ミュータンス菌

虫歯の原因ミュータンス菌(クリニカ)

口の中にはたくさんの細菌が住み着いていますが、そのどれもが虫歯を引き起こすわけではありません。虫歯菌といえばミュータンス菌という名前を聞いたことがあるでしょう。実はミュータンス菌の本名はストレプトコッカスミュータンスといいます。ストレプトコッカスとは連鎖球菌の属名でその仲間にはストレプトコッカスミチスやオラリスなどいくつかの種類があります。その中でも虫歯に関係しているのがミュータンスとソブリナスといわれています。どれもすべての人の口の中に必ずいる常在菌ですが、特にミュータンス菌は糖分を餌にして不溶性グルカンという水に溶けないねばねばした糊のようなものを作り出します。これがいわゆる歯垢(プラーク)と呼ばれるもので歯にべっとりとくっつきます。歯垢は細菌の格好の住みかとなりそこでミュータンス菌が酸をどんどん作り出して歯を溶かしてしまうのです。ちなみに歯垢に唾液の中のカルシウムが結合すると歯石になります。

歯垢と歯石

歯垢が固まったものが歯石(五十嵐歯科医院)

 

実は口の中の細菌のバランスは個人差があります。虫歯菌の多い人もいれば歯周病菌の多い人、またどちらも多い人などさまざま。当然虫歯菌が多い人は虫歯になるリスクが高いといえますね。生まれたばかりの赤ちゃんにはミュータンス菌はいないことがわかっていて、多くの場合お母さんなど周りの人から細菌が移って(感染)しまうといわれています。口移しや同じスプーンの使用などがその原因です。三つ子の魂百までといいますが、乳幼児期に虫歯の細菌の増殖を抑えることができた子供は生涯その時の細菌のバランスは変わることがないため虫歯になりにくいといわれています。

虫歯

乳幼児期に虫歯予防を行うと、生涯虫歯になりにくい。

 

 

虫歯を作る3つの要素②糖分

虫歯

甘いものを食べると虫歯になるよ!というのは間違いではありません。ミュータンス菌などの虫歯の細菌は、口の中に入ってきた糖分が大好物で分解代謝して乳酸を作ります。それによって口の中が酸性になり歯が溶けていきます。歯の表面はダイヤモンドの次に硬いといわれるエナメル質で覆われていますが、いくら硬くても酸に触れるとそこからカルシウムやリン、ミネラルなどが溶けだしていくのです。これは脱灰という状態で虫歯の始まりです。

もちろん絶対食べてはいけないというわけではなく食べ方も大きく関係しています。例えば飴などは長時間口の中に残っていますね。ということはその間ずっとミュータンス菌は酸を出し続けるわけですから歯は長時間酸にさらされることになるわけです。喉にいいからとのど飴をよく口にしている人がいますが虫歯大丈夫ですか?ガムも糖分が入っているものは注意してくださいね。

虫歯

特に清涼飲料水には虫歯の原因となる砂糖が山ほど入っています。(秒刊サンデー )

 

虫歯を作る3つの要素③歯質

歯質

歯が丈夫な人とそうでない人は確かに存在します。もちろん歯の質には個人差がありますが、最も大きく関係しているのは歯が作られる時期の食生活だといわれています。乳歯はまだ胎児である妊娠6週頃、永久歯は最も早い歯で妊娠3~4ヵ月くらいから赤ちゃんの顎の骨の中でもうでき始めています。一番遅い永久歯でも1歳のお誕生を迎える前に歯の芽ができ始めているのです。虫歯になりにくい質の良い歯をつくるためには、お母さんが妊娠したときからたんぱく質やカルシウムやリン、ビタミンなどをバランスよく摂ることが大切だといえますね。

虫歯

妊娠中からお子さんの歯の将来を考えた生活が大切

 

大人になってからカルシウムを摂っても歯は強くならない。

ところで「歯が強くするためにカルシウムを摂ろう」という人がいますが実は大人になってからだと効果はありません。これは歯が作られている間のみに言えること。すっかり出来上がった歯はいくらカルシウムを摂っても吸収されないのです。またカルシウムが不足している時に溶け出すのは骨の中のカルシウムで歯から溶け出ることはないのです。

 

細菌、糖分、歯質この3つの要素が絡まり合って虫歯の原因を作っていくことがわかったと思います。生活習慣や普段口にするもの、親から受け継いだものなどがアナタの歯の将来を決めているのです。では、次にいざ虫歯になってしまった時の治療について解説していきます。

 

虫歯は出来る限り削らないことが最先端の考え方?

虫歯の治療法はその進行度つまりステージで異なります。そのベースにはできる限り削らない、歯のダメージを少なくするという考え方があります。C0~C4までそれぞれの治療について見て行きましょう。

 

C0の虫歯治療

削って治療するほどではありません。丁寧にブラッシングをしたりフッ素入り歯磨き剤やキシリトールガムなどを上手に使って予防をしっかりすれば徐々に表面に硬い組織ができてくる(再石灰化)可能性があります。いったん削ってしまうと再石灰化による自然治癒は不可能ですのでできる限り経過観察をしていきます。奥歯の溝ではフィッシャーシーラントという予防処置を行っている歯科医院もあります。これはまだ虫歯になっていない溝だけを樹脂で埋めてしまう方法で、虫歯になりやすい溝の窪みが解消されるので虫歯のリスクが下がるといわれています。ただし一部あるいは全部が取れてしまったり、既に虫歯が進行しているのに気付かないままシーラントで封鎖してしまい中で進行してしまったというケースがあるため使用には慎重な先生もいます。その他「ダイアデント」などの高濃度のフッ素を塗り込み再石灰化を促す方法もあります。

シーラント

シーラントで予防を行う歯科医院もあります。(あおき歯科クリニック)

 

ダイアデント

高濃度フッ素のダイアデントを使用する歯科医院も。(昭和薬品化工)

 

C1の虫歯治療

エナメル質の層に限局して虫歯が進行している状態です。既に浅い穴になっているため再石灰化は期待できず予防処置や自宅でのケアでも対処できません。その部分を削ってコンポジットレジン(歯科用の白いプラスチック材料)などを詰める処置が必要です。奥歯の場合噛む力に対する強度などを考えて小さくても型を取り銀歯にする先生もいらっしゃいますが、現在のレジンは強度も強く改良されているため1回の治療で終わり白い色で違和感のないレジンを採用する先生が多いようです。エナメル質は痛みを感じないため麻酔は必要ありませんし型を取らない治療ならばたいていは1回で完了できます。

コンポジットレジン

C1ならばコンポジットレジンで対応もできる (岡山医療ガイド )

C2の虫歯治療

虫歯がエナメル質の下の象牙質まで進行している状態です。象牙質は神経に繋がっている構造をしているため麻酔をして治療を行います。前歯の場合たいていはコンポジットレジンで歯の色と合わせて詰めます。

コンポジットレジン

コンポジットレジン治療前

 

コンポジットレジン

コンポジットレジン治療後。 (ひじや歯科医院 )

 

しかし、虫歯が深く歯質があまり残らない場合や噛む力に耐えられそうにない場合にはコンポジットレジンではなく、被せることもあります。奥歯の場合、噛み合わせの部分だけならレジンで埋めるケースもあります。隣の歯との間が虫歯になっている場合には、レジンで詰めるケースと型を取って銀歯にするケースがあります。これは噛む力のかかり具合や虫歯の大きさ(削る量の多さ)によって決められます。保険で被せる場合には、前歯は前装冠(中は金属で表側のみ白いプラスチック素材でコーティングしたもの)を被せますが、奥歯は銀歯が入ります。

レジン前装冠

保険の前歯、レジン前装冠 (すずき歯科 )

 

保険を使わなければメタルボンドやハイブリッド、ジルコニアなどいろいろな材料で白いものを被せることができます。金額に大きく差がありそれぞれにメリットデメリットがありますのでよく相談してくださいね。

セラミック

保険の銀歯、非保険のセラミック。種類は様々。

 

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C3の虫歯の治療

虫歯が象牙質を通り越して歯髄まで進行している状態です。痛みがあるため麻酔をして治療を行います。ただし既に神経を取った歯には麻酔は不要です。それぞれに治療法とその違いなどを説明します。

 

神経のある歯の場合

虫歯の細菌が歯髄に到達している場合は神経を取る処置をします。麻酔抜髄(通称:麻抜)という処置で、麻酔をして感覚を失くしてから虫歯の部分を削って歯髄(神経や血管)を露出させ、ファイルやリーマと呼ばれるとても細いドリルのような器具を根管の中に入れて取り除きます。

根管治療

こうした器具で神経を除去していく。(みなとデンタルクリニック )

 

この時大切なのはきちんと根の先端まですべて取り除くこと。取り残しがあると痛みが続いたり治療後に炎症が拡大して後から痛みや腫れが出る可能性があります。そこでEMR(電気的根管長測定器)という機器を使い確認しながら拡大(根管内の清掃)を行います。その後は根管の中に薬を入れて完全に無菌化してきれいになるまで複数回消毒処置を繰り返します。きれいになったことが確認できたら根管を封鎖するために根管充填(通称:根充)と呼ばれる処置を行います。最も一般的に行われているのが加圧根管充填でガッタパーチャポイント(GPP)という天然ゴムからできた細い樹脂を入れ込みます。ファイルやリーマと同様に太さで番号分けしたGPPの中から根管の太さに合わせたものを選んで挿入し隙間にアクセサリーポイントと呼ばれる細いタイプのGPPを入れて押し込み封鎖します。

根管治療

根管治療の手順。(山本歯科医院) 

 

神経のない歯の場合

既に神経を取ってある歯や神経が死んでいる歯は感覚がないためC3クラスの虫歯になっても痛みを感じませんので麻酔は不要です。神経のある歯と同様に虫歯を削り根管の入り口を露出します。既にGPPが入っている場合にはファイルやリーマで取り除き麻抜と同様に根管内を掃除します。どちらもEMR(電気的根管長測定器)は欠かせません。根管の中にあるGPPなどの異物を取り除き根の先まで器具を到達できたら完全にきれいになるまで拡大と消毒を複数回行いますが麻抜より回数や期間がかかることが多いようです。きれいになったことが確認できて症状を治まっていれば麻酔抜髄と同じ工程で根充を行います。

根管治療

根管治療の工程。長谷川歯科医院

 

根充をした歯は虫歯で大きく欠けてしまった歯を修復する必要があります。歯の欠損の大きさにもよりますが、その多くは被せることになります。その前に被せ物の土台となる部分に築造という補強治療を行います。築造では根管に金属の小さなネジを入れてレジンを盛り上げます。それをきれいに削り込み型を取って被せます。ただし欠損がそれほど大きくない場合にはコンポジットレジンや部分的な銀歯ですむこともあります。このような神経のない歯は失活歯といいますが、痛みを感じないために補修をしても再びその境目から虫歯ができているのをよく見かけます。清掃性も格段に落ちる上に歯の寿命そのものが短くなると言われているのです。

 

C4の虫歯の再治療

虫歯

C4の虫歯 (要町デンタルクリニック) 

 

残根とも呼ばれるこの状態になると治療法は抜歯のみです。抜歯せずに残しているとどんどん腐食が進み細菌は深く広く拡大していきます。また炎症がある状態のまま長期間放置していると残っている根が骨と癒着したり肥大して抜歯そのものが困難になることがあります。その場合歯を削って分割したり骨を削って抜歯することになりかねません。抜歯後は傷の治りを待ってブリッジや義歯、インプラントなどの処置を行います。

ブリッジ インプラント

ブリッジ、インプラント、入れ歯それぞれに利点がある。(古屋歯科)

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歯がないままで放置していると今度は隣の歯が傾いてきたり噛み合う歯が飛び出してくるなどの不具合が生じて噛み合わせがおかしくなるだけでなく顎関節に負担がくることもありますし、口臭や肩こり、頭痛などの体調不良も招きます。また、いざ治療を使用とする際に隣接する歯の神経を取ることになったり噛み合わせる歯を削らなければいけなくなる、など他の歯にダメージを与えることもありますし治療期間も長くなります。ですからC4になるまで放置するのは費用も見た目もそして歯の機能にとってもいいことはなにひとつないのです。歯医者は苦手という人はとても多いのですが今の麻酔は昔ほど痛くありませんから是非勇気を出して一歩踏み出してください。

 

ここまで、虫歯の段階、原因、治療法について解説していきました。しかし、いざ虫歯になってしまった時に一番気になるのは“お金”のことなのではないでしょうか。そこで、虫歯の治療費について解説していきます。

 

虫歯の治療費はどの程度だと考えておけばいいのか?

虫歯 治療費

歯の治療は高いと思っている人結構多いと思います。そこで治療にかかる費用について少し解説します。ここでは保険を使って3割負担で治療費を支払う場合の一般的な金額について説明します。

 

CR(コンポジットレジン修復)

1本あたり 1,000~1,200円程度

※単純窩洞と複雑窩洞で異なります。

単純窩洞・・・隣の歯との間(隣接面)を含まない穴

複雑窩洞・・・隣接面を含んでいる穴

 

MC(インレ-:部分的な銀歯)

1本あたり 1500~2000円程度

※単純窩洞と複雑窩洞、小臼歯と大臼歯で異なります。

 

FMC(フルクラウン:全部被せる銀歯)

小臼歯2500円程度、大臼歯3000円程度

 

前装MC(前歯を全部被せるタイプ)

5000円程度

 

ブリッジ

奥歯7000~ 前歯12000円~

※本数や形状で異なります。

 

義歯

本数でかなり異なります。上下総義歯で15000円くらいですが、部分義歯は金属の鉤(クラスプ=バネ)やバー(入れ歯を補強したり左右をつなぐ金属)がつくため金額の算定が形状で異なります。

インプラント

自費のみ 1本あたり30万円程度が相場

ここにあげた治療費は治療の最終段階の費用のみです。CRについては1回で治療を完了しますが、それ以外のMCやFMC、前装MC、ブリッジ、義歯などは歯を削って形態を修正した後に型を取る費用や、装着する際の装着料とセメント料などが別途かかります。特にブリッジや義歯の場合にはそういった付随する費用がやや高めになりますので前もって確認しておくことをおすすめします。

虫歯 治療費

 

それ以外の処置の金額は次のようになります。

  • 抜髄(神経を取る処置)…800~2000円程度
  • 感染根管処置(神経が死んだ歯の根の治療)…600~1500円程度
  • 根管貼薬(根管の消毒処置)…100~200円程度
  • 根管充填(根管を封鎖する処置)…150~350円程度
  • 築造(神経のない歯に対して被せる前に補強をする処置)…450円程度

※以前はメタルコアという金属の土台を入れることが多かったのですが、最近は金属のネジを入れてレジンで築造することが多くなりました。金属は硬くしなりがないため強い力がかかると歯が割れることがあるため、そのリスクを下げるためにレジンコアが増えてきたようです。まんいち再び根管治療が必要になった時に取り除くのが非常に大変なメタルコアに比べてレジンコアは比較的容易に取り除けるので削る量が少なくて済むというメリットもあります。

 

これらの処置には別途初診料や再診料、X線撮影料、金属などの除去費用、投薬料などがかかります。

金額にリンク

 

虫歯治療を行うおおまかな金額がわかったと思います。しかし、虫歯治療でお金をかけるよりも遥かにお金をかけずに治療できる方法があります。それは、虫歯になる前に防ぐ“予防”という考え方です。

 

虫歯予防の為に、自宅と歯科医院でできる事。

虫歯

虫歯予防に最も重要なのは適切なブラッシングを知ることです。口の中は個人差が大きく同じ磨き方でよいという例は極めて少ないといえます。そのため歯科衛生士などの専門家に自分に合った磨き方の指導をしっかり受けることが大切です。また年々変化する口の中の環境に合わせてブラッシング法も定期的に見直しをすることをおすすめします。そのためには6ヶ月ごとの定期検診を受けるように心がけましょう。最近は歯の再石灰化を促進してくれる「ナノシール」のような塗り薬もあり自費(5000円程度)で塗布してくれる歯科医院もあるようです。ちなみにナノシールは歯に塗ると耐酸性のナノ粒子層を作る薬で知覚過敏にも効果のある薬です。

ナノシール

知覚過敏などにも有効なナノシール

 

また自宅でできる予防法にガムを噛むことがあります。特保マークの付いたキシリトール100%のガム(市販ではキシリトールやリカルデントなど)を食後や飲食をした後に20~30分程度噛むようにします。最近の常識としては食べたらすぐ磨くのではなく食べたらまずガムを20~30分噛んでから歯磨きをすることを推奨しています。それは食後すぐの口の中は酸性に傾いているため歯の表面が荒れていてすぐに歯磨きをすると歯を傷めてしまうという考え方に基づいています。時間と共に唾液が口の中を中性に戻してくれますが、さらに100%キシリトールガムを噛むことで虫歯の細菌の繁殖を抑えてくれる効果が期待できるのです。また新鮮な唾液が分泌されるので口の中を洗い流してくれる効果が高まります。

ただしガムだけで虫歯予防はできませんから必ず歯磨きをしましょうね。

 

また歯磨き剤をフッ素が入ったものや殺菌作用のあるものに替えたり、寝る前にフッ素ジェルを塗るのもいいですね。虫歯予防効果のある洗口剤を使うのもいいでしょう。もちろん食物繊維の多い食事を心がけスナック菓子のような粘着性の強い食べ物を避けることも虫歯予防には効果的です。

余談ですがガムなどをよく噛むと「パロチン」という唾液中の成長ホルモンがたくさん分泌されるといわれています。これは主に耳下腺から出てくる唾液に含まれていて、歯や骨の再石灰化を促す効果があり若返りホルモンとも呼ばれているほどです。噛むことで虫歯の予防だけでなく若返りもできるなら一石二鳥ではありませんか?

 

ここまで、大変長くなりました。最後に虫歯の痛みに関してまとめて締めたいと思います。

 

虫歯の痛み。こんな症状が出たら要注意

虫歯

虫歯と痛みは切っても切れない関係にあります。その痛みは虫歯の段階によって変化していきます。痛みの変化を知っておくと虫歯の進行の度合いがある程度把握できます。ただ治療しなければ元も子もないことは忘れないでくださいね!

【C0】の虫歯の痛み

痛みはありません

 

【C1】の虫歯の痛み

こちらも痛みはほとんどありません。ただ汚れがべったりついている状態ではしみる症状を感じることがあります。

【C2】の虫歯の痛み

はじめのうちは冷たいものがしみる、甘いものがしみるという症状があります。また物が詰まるようになります。進行すると熱いものもしみるようになります。

【C3】の虫歯の痛み

明らかにずきずきとした痛みがあります。冷たいもの、熱いもの、甘いもの、風などで痛みを感じます。酷くなると噛んだ時にも痛みます。ただし、中にはC3でもまったく痛みを感じない人もいます。じわじわと神経にダメージを与えているために痛みを感じなかったり食べ物が蓋の役目をして刺激を遮断していることもあります。ただ放置すれば確実にずきずきと痛み始めます。進行すると咬合痛(噛んだ時に響いて痛む)が起こります。これは根の先から歯の周囲に細菌が侵入して炎症を起こした状態です。そのままにしていると膿が溜まり始め、今度は腫れに伴った痛みが出てきて夜も眠れないほどになることがあります。中にはまったく症状の出ない人もいますがX線でみると明らかに病巣が確認できます。

虫歯 レントゲン

レントゲンで撮影するとC3にもなると大きな穴が。(左京山歯科クリニック )

 

【C4】の虫歯の痛み

C4になると歯そのものの痛みではなく歯の周囲の炎症からくる強い痛みが起こります。腫れを伴い夜も眠れないほどの痛みが起こります。顎の下のリンパ節や顎関節まで炎症が波及することもあります。この段階になると歯科医院を受診する人がほとんどですが、中にはさらに放置して周囲の骨が溶けてなくなり炎症が治まって痛みがなくなる猛者もいます。いずれにしても抜歯する以外の治療法はありません。

 

虫歯の痛みを止めるための応急処置

虫歯 

家で痛みが出た場合一番効果的なのは痛み止めを飲むことです。病院で処方されている痛み止めがあればいいのですが、ない場合には市販でもよく効く薬が販売されています。特にロキソニンSは病院で処方されているロキソニンと同じくらいの効果があると言われています。

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また歯に穴が確認できる場合には、歯の痛みに対する市販薬として販売されている今治水や正露丸などを入れるという方法もあります。これらの薬にはその成分の中にフェノールカンフルやクレオソートという鎮静作用のある成分が入っていることが理由です。

虫歯 正露丸

正露丸は虫歯に効くという表記も。(NAVER まとめ) 

 

また虫歯に関して言えば痛いところを頬の外側から濡れタオルや冷えピタシートなどで軽く冷やすと一時的ですが痛みが和らぎます。ただし冷やし過ぎはやめましょう。痛い部分には血流が集まって充血している状態なので冷やすことで血管を収集させて血液の流れを遅くしてあげると楽になるのです。ただ歯周病などで傷む場合には逆効果になることもありますので判断ができない時は避けた方がいいでしょう。

虫歯 冷えピタ

冷えピタで虫歯痛がおさまることも。(M3Q) 

 

歯ブラシをしたら治まった、という人もいます。これは虫歯の穴に食べ物などが詰まりこんで刺激したことから出た痛みが、歯ブラシで汚れが取れて治まったと考えられます。そしてもうひとつ、ツボを押すという手もあります。一番よく知られているのが手の親指と人差し指の付け根当たりにある「合谷」というツボです。ここはあらゆる痛みに効くと言われていますが、虫歯の痛みが強い時は藁をもつかむ思いですから試してみてくださいね。

 

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虫歯治療 総まとめ

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。最後に今回の内容を総まとめし、終えたいと思います。

 

虫歯の進み具合はC0~C4までの5段階に分けて表されます。

C0は積極的な治療はせず経過観察や予防処置を行うことになりますが、C1になるといよいよ治療が必要になってきます。C0やC1の虫歯では歯のごく表面に留まっているため痛みを感じることはありません。しかしボーダーラインを超えてしまうと虫歯は加速して広がり痛みなどの症状が出始めます。そうなると積極的な治療は削ることが大前提となりますが、その進行の度合いや虫歯ができている場所によって治療の方針が異なります。小さな虫歯なら1回の処置で治療は完了しますが削る量が多い場合や噛む力に耐えられない場所に虫歯がある場合、あるいは神経に影響する程度の虫歯になると治療の回数は一気に増えてしまいます。また削る量が多くなれば銀歯などの人工物で補填する必要性が出てきます。そうすると見た目にも目立ちますし、長い目で見ると再び虫歯になるリスクが非常に高くなるのです。

C3やC4で抜歯をした場合、そこを補填する方法を考えなければいけません。その場合ブリッジ・義歯・インプラントの三者選択が一般的です。ブリッジは残された隣の歯を大きく削らなければいけない、義歯は違和感が強い、インプラントは費用が高い、などそれぞれデメリットもあります。ほとんどの人がこうなってから後悔されるのが残念です。

このようなことから、できることなら虫歯はせめてC1に留めておく努力が大切であることを痛感します。そのためには家でできる予防法を実践することや定期的に検診に訪れてチェックと同時に歯磨きの仕方の見直しをすることが大切なのです。

以上、虫歯に関してのあらゆる知識や情報を網羅的にまとめました。この知識をもって歯科医院に行ってみたり、予防に興味をもっていただければ幸いです。

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日本人だけが知らない
予防歯科の正しい考え方

歯科技術の進化がとまらない

歯科技術の進化が
とまらない

悪い歯医者に騙されてはいけない

悪い歯医者に
騙されてはいけない

緊急QA

  • 噛むと痛い
  • 歯が浮く
  • 歯がしみる
  • 親知らずが痛い
  • 歯が欠けた
  • 歯が抜けた
  • 口内炎を治したい
  • すぐに口臭を抑えたい
  • 歯がグラグラする
  • 詰め物、差し歯がとれた
  • 歯並びを治したい
  • 歯茎から血が出る
  • 歯を綺麗にする
  • 舌が痛い
  • 顎が痛い
  • 唇の様子がおかしい