歯医者さんの治療費って、正直わけがわからないですよね。何にいくらかかるのかわからないですし、金額が見えにくいと誰もが一度は思ったことがあるはずです。
しかし、実はそこには、国が抱える大きな問題や、日本の医療の秘密が隠されていました。今回は日本の歯科医療の中身にメスをいれて皆様にわかりやすくお伝えいたします。
今回、非常に頑張ったため全体でも文字数が13,000字近くになっています。(文庫本で言うと30ページ程度になります。)ですので、休み休み読むか、ブックマークやPOCKET、Google+をご活用されることをオススメします。
それでは、是非お読みください。わかりやすい内容になっております。
①歯医者さんの料金には保険・非保険(自由診療)がある??
①-1そもそも保険診療とは?
保険診療とは保険証を医療機関に提示することによって、治療費の自己負担を3割までにすることができる治療です。保険診療を受けるためには健康保険などの公的な医療保険に加入する必要があり、その加入する保険の種類によって費用負担の割合は変わってきます。
■メリットは?
保険診療のメリットは、なんといっても治療費が安く済むことです。また、厚生省によってあらかじめ治療ごとの金額が定められているため、同じ内容の治療であれば、どこの歯科医院で治療を受けても同じ治療費ですむという安心があり、ちょっとした不調でも気軽に歯科医院にかかることができます。
■どのようなものが保険になるのか
保険診療というのは、どんな人でも平等に同じ治療費で、悪くなってしまった歯の機能を取り戻すための治療です。すなわち、病気を治すための「必要最低限」の治療ということができます。基本的に、歯が悪くなってしまった場合、必要な治療はすべて保険で行うことができます。逆に言うと保険診療は病気に対して行われるものですので、病名がつけられなければ保険は適用できません。
■保険診療の限界とは?患者にとって保険診療だけでは不十分?
保険診療と保険外診療では、使用できる材料や治療法などに違いがあります。保険診療は機能の回復を目的としていますから、使用できる材料に限りがありますので選択肢が少なく、見た目の改善には不十分なことがあります。また、最新の材料、薬、技術、機械を用いた治療が受けられなかったり、治療法や回数に制限があったり、十分に手間をかけることができなかったりします。さらには、保険診療は「病気」に対して行われるものなので、予防歯科のように歯や歯茎の病気を予防する処置に対しては保険がききません。
ただ、簡単な治療や基本的な処置に関する治療では保険診療で十分、というより保険外診療と特に変わりないものもあります。「しかしより美しく」、「個人個人に合った」、「きめ細やかな治療を」・・などということになると保険外診療でなければできない場合がでてきます。それゆえに、それぞれの治療を行う前に、担当医にどのような内容の治療なのか、という点についてはっきりと聞いておく必要があります。
①-2上記のような背景から生まれた非保険診療(自由診療)とは
自由診療とは、保険がきかない診療のことです。治療費は歯科医院が独自に設定し、患者さんはその全額を払う必要があります。
■メリットは?
自由診療のメリットは、保険診療の場合のように様々な制約がないため、材料や治療方法、技術などの選択肢が広がり、より満足のいく治療を受けられるということです。また、何よりも、治療費用が高額であるため、十分に時間をかけた、より良い材料を使っての丁寧な治療を受けられる、ということも大きなメリットです。保険診療の場合は診療費があらかじめ決まっていますので、それほど手間ひまかけてやってもらえないのが現状です。
■どんなものが保険適用外になるの?
保険適用外、つまり自由診療となるのは次のようなものです。
・審美治療
セラミックを使った詰め物やかぶせ物、グラスファイバーの土台、ラミネートベニアなど、「見た目」をよりきれいにするための治療です。歯茎の黒ずみを取ったり、歯を白くするホワイトニングなども自由診療となります。
・特殊な材質を使ったもの
金属としての安定性がよく、金属アレルギーの起きにくいゴールドを使った詰め物やかぶせ物、入れ歯においてより薄くて違和感のない金属床、マグネット(磁石)を使った入れ歯、シリコーンを使った入れ歯などです。
・歯列矯正
歯並びを整えたり、噛み合わせを治す治療です。例外として、顎の変形により手術を必要とするケースにおいては保険が適用されます。
・インプラント
歯を失ったところに、人工の歯根を埋め込んでその上にかぶせ物をする治療です。
・最新の機器、材料を使った治療
マイクロスコープやレーザー機器を使った治療、また歯茎やその周囲の組織の再生医療に使われる材料なども保険が適用されません。
・予防歯科治療
虫歯や歯周病を予防するための予防歯科治療は基本的にほとんど保険がききません。具体的にはPMTCと呼ばれる歯の徹底的なクリーニングや、フッ素塗布、唾液検査などです。
■自由診療は本当にすべての点で保険治療より優れている?
自由診療ではできるだけ良い材料、最新の機器や薬などを使った治療が受けられることは確かです。しかし、歯科治療は担当する歯科医師の技術やセンスも非常に重要なウエイトを占めます。つまり、自由診療だからといってクオリティが高いとは限りません。保険診療でも技術の優れた歯科医師が行うと、治療上の制約があるとはいえ、質の高い治療を受けることが可能です。逆に自由診療でどんなに良い材料を使ったとしても、治療の内容がひどければすぐ悪くなってしまったり、見た目が良くならなかったりすることもあります。
■自由診療のみの歯科医院もある?
歯科医院の中には保険診療を全く扱わず、「自由診療のみ」というところがあります。このような自由診療のみの歯科医院は現在増えつつあります。このような歯科医院はほとんどが「1日5人まで完全予約」のような体制で、一人一人の患者さんに時間をかけた、最新機器を用いたきめ細やかな治療を行っています。
現在の保険診療の制約の中では、なかなか質の高い治療を行うことが難しく、一人一人の患者さんにじっくり向き合って、納得のいく治療を提供したいと考えている歯科医師が増えてきています。
①-3きっと誰もが耳にしたことのある、混合治療って一体なに?
同じ患者さんにおいて、保険診療と自由診療を混ぜこぜに行っているものを混合診療といいます。現在の日本の保険制度では、この混合診療は原則として行ってはならないことになっています。保険が使える治療は保険でやって、いい材料を使いたいときは自費診療にする・・というようなことができればいいのでしょうが、残念ながら現段階では認められておらず、混合診療を行ったことが明らかになった場合、それまで保険で行った一連の治療費もさかのぼって全て自費で支払わなければならなくなります。
混合治療が認められる場合もある?
ただし、例外があり、例えば根の治療を保険で行って、上のかぶせ物は土台からセラミックなどの自費のものを選択することができたり、金属床と呼ばれる義歯の場合や保険の前歯のかぶせ物(レジン前装冠)の金属の部分を本来保険では認められていない金合金にかえたい場合は、保険診療で認められている材料との差額を負担すればよいことになっています。
混合治療をすると、医療格差が起こる??
混合診療が禁止されている理由の一つとして、何でもかんでも混合診療が認められてしまうと、これまで保険でできていた治療が保険外の治療に変更されてしまったりすることが考えられ、そうすると、自由診療の割合が増えてきてしまい、お金に余裕のある人だけが良い治療を受けられ、そうでない人は質の低い医療しか受けられなくなる、ということが危惧されるためです。これでは国民皆保険制度の崩壊を招いてしまう恐れがあるのです。
一見、融通の利かない制度のようにも見えますが、国民全員が平等な医療を受ける機会を奪ってしまうことになりかねず、混合診療を行ったために保険医取り消しの処分を受ける歯科医院も実際にあるほど厳しく取り締まわれています。
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②歯の治療の項目別治療にかかる金額~虫歯~
虫歯の治療にかかる治療費は大まかに次のとおりです。保険治療の金額は3割負担の場合を記載しています。金額はあくまでも目安です。本数や部位により大きく金額は異なります。
②-1軽度の虫歯の場合
(虫歯のなりかけの状態に対し、進行を予防する処置)
■保険診療の場合
シーラント
シーラントとは虫歯にかかりやすい奥歯の溝を材料でコーティングし、虫歯を予防する治療法です。シーラントで保険を適用できるのは、虫歯リスクの高い6歳から12歳までとなります。また、「初期の虫歯」と診断されることが条件です。
金額:約400円/本
フッ素塗布
歯科医院で行うフッ素塗布は歯を強くしたり、初期虫歯を治す効果があります。
フッ素塗布は基本的には自費診療ですが、条件によっては保険でできる場合があります。
(実際にこの条件に当てはまることは稀です)
<フッ素を保険で受けられる条件>
- 13歳未満
- 歯科医院で定期的に継続的な指導を受けている
- 虫歯多発傾向がある
金額:240円/回
■自由診療の場合
シーラント
シーラントが保険で適用になる年齢以外で行う場合や健全な歯に対しては自費となります。
金額:500円〜2000円程度/本
フッ素塗布
「フッ素を保険で受けられる条件」を満たしていない場合、「予防のためのフッ素塗布」ということで保険がききません。
金額:500〜3000円/回
ヒールオゾン
虫歯予防や初期の虫歯に効果のある治療法で、オゾンの殺菌力を使って虫歯菌を殺菌し、歯の再石灰化を促進します。日本では医療機器としての認可がまだ下りておらず、使っている医院はまだ多くありません。
金額:約3000円/本
デュラファット
フッ素塗布に使われるフッ素の2倍という非常に高濃度のフッ素で、初期虫歯の進行を止める効果があります。
金額:800〜1000円/本
3DS
歯科医院でオーダーメードのマウストレーを作ってもらい、そこに殺菌剤やフッ素を入れるとこにより、虫歯菌や歯周病菌を殺菌したり、初期虫歯を改善することのできる治療法です。
虫歯や歯周病のリスクの高い人にオススメです。
金額:3万〜5万円
②-2中程度の虫歯の場合
詰め物、かぶせ物に関しての金額は治療に関わるすべての作業にかかる費用となります。(削る作業、型取り、できあがった物、接着剤)
■保険診療の場合
コンポジットレジン
前歯の虫歯や、奥歯の比較的狭い範囲の虫歯(隣接面を含まない)に対して行われる治療法です。虫歯を削ってコンポジットレジンと呼ばれる樹脂(プラスチック)を詰めるという簡単な治療で1日で終了します。
金額:700〜2000円/本
メタルインレー・クラウン
インレーは奥歯の隣接面を含む虫歯に対して行われる詰め物の治療、クラウンは全体的にかぶせる治療で、型を取って次の回に金属を装着します。
金額:2000〜4200円/本
レジン前装冠
保険の前歯の白いかぶせ物といったらほとんどはこれです。金属のフレームの上に白いプラスチックを貼り付けています。年数が経つと変色してきます。
金額:約8000円/本
硬質レジンジャケット冠
小臼歯(前から4、5番目の歯)に対し適用されるもので、白いプラスチックでできています。プラスチックであるため強度はそれほどなく、年数がたつと変色してきます。
金額:約4500円/本
CAD/CAM冠
平成26年4月より先進医療技術として保険診療に導入されました。小臼歯(前から4、5番目の歯)に対し適用され、硬質レジンにセラミックを混ぜ合わせた、ハイブリッドセラミックという材料を使います。硬質レジンジャケット冠よりも強度はありますが、噛み合わせの強い人、歯ぎしりなどがある人は割れることもあります。また、ベースがプラスチックなので年数が経つと変色します。
金額:約8500円/本
■自由診療の場合
セラミック(陶器)
自然な透明感があり変色しませんが、割れやすいという特質上、厚みを持たせるために多く削らなければならないデメリットもあります。
金額:インレー(詰め物)3〜5万円/本
クラウン(かぶせ物)8〜15万円/本
ゴールド(金合金)
金属であるため強度に優れ、しかし保険の金属に比べて硬すぎず、噛み合わせの歯を傷めにくい、適合が良いためその後境目から虫歯になりにくい、金属アレルギーの原因になりにくい、など様々な利点があります。
金額:インレー(詰め物)3〜5万円/本
クラウン(かぶせ物)4〜12万円/本
ドックスベストセメント
虫歯を銅の殺菌力で殺菌し、なるべく削らなくても済む、という治療法です。これまでの治療では神経を取らなければならなかったケースでも、この治療法であれば神経を残せる可能性が高くなります。日本ではまだ薬事法で認可されておらず、自由診療です。
金額:3000〜25000円/本
3mix
深い虫歯に対して、虫歯をすべて削らずに3種類の抗生剤を混ぜた物を虫歯に詰めることで虫歯を治すという治療法です。
金額:数千円〜10万円/本
レーザー治療
レーザーを照射することで虫歯が蒸発し、しかも歯の表面が硬くなることで虫歯になりにくい状態にすることができます。痛みをあまり感じずに虫歯を取ることができます。
金額:無料〜数千円/本
カリソルブ
カリソルブとはスウェーデンで開発された、虫歯を溶かすお薬です。日本でも2007年に厚生省から認可されています。削る器具を使う必要がないため、無麻酔で行うことができ、虫歯を削る恐怖心を感じずに済みます。
金額:5000〜10000円/本
②-3重度の虫歯の場合
土台に関しての金額は治療に関わる一連の作業すべてにかかる費用となります。(削る作業、型取り、できあがった物、接着剤)
■保険診療の場合
根管治療
虫歯が重度で神経に達してしまった場合、神経を取る治療が必要になります。神経を取って根の中を消毒し、中がきれいになって症状が取れたら最終的な固形の薬を根の中に詰めます。
金額:1500〜3000円程度/本(神経を取ってから最終的な薬が入るまで)
メタルコア(金属の土台)
歯の崩壊している部分が大きい場合は、土台を入れる必要があります。保険で最も用いられているのがこのメタルコアです。硬すぎるため、噛む力によって歯が割れてしまったり、金属アレルギーの原因になることもあります。
金額:600〜750円程度/本
レジンコア(プラスチックの土台)
プラスチックの土台です。金属ほど強くないので、力が強くかかったり、歯が大きく欠損している場合には適さないことがあります。
金額:450〜480円程度/本
■自由診療の場合
マイクロスコープを使った根管治療
自由診療で根管治療を行っている場合にはマイクロスコープ(拡大鏡)を使うことがほとんどです。それに加え、保険治療ではあまり使用されないラバーダム(唾液からの汚染を防ぐゴムの膜)を使用することが多く、より感染から歯を守った精密な治療となります。
金額:10万円〜20万円/本(神経を取ってから最終的な薬が入るまで)
ファイバーコア(グラスファイバーの土台)
グラスファイバーを用い、レジンコアの強度を改善したものです。適度な弾力性があるため、歯が割れにくく、また、金属を用いないため金属アレルギーの心配もなく、歯茎を黒くすることもありません。また白いため、オールセラミックなどをかぶせる際に審美的に治療することができます。
金額:1万〜3万円/本
ゴールドコア(金合金の土台)
金合金や白金加金で作られた土台です。保険のメタルコアに比べて硬すぎず、歯が割れる危険性が少ないことと、金属アレルギーも起こしにくいのが利点です。ただ、上にオールセラミックをかぶせる場合には透けて見えるので向いていません。
金額:1〜3万円/本
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②-4抜歯になってしまった場合
金額は麻酔から薬代まで、抜歯に関わるすべての金額です。
■保険診療の場合
抜歯は病的な理由があればすべて保険で行うことができます。
金額:650〜2000円程度/本
■自由診療の場合
歯列矯正の目的のための抜歯は保険診療で行うことができません。
金額;矯正治療目的の場合、一本1万円くらい
また、自由診療のみの歯科医院ではすべての抜歯が自費となり、歯の状態、抜歯の難易度によって、金額が変わってきます。
金額:3000〜50000円/本
②-5抜歯になった場合の選択肢
金額は治療に関わる一連の作業すべての金額です。
■保険診療の場合
ブリッジ
歯を失った時、もっともよく行われる保険の治療がブリッジです。歯のない部分の両隣を削って橋を渡すようにつなげます。
金額:9000〜50000円程度/装置
入れ歯
歯を削りたくない場合や、ブリッジができない場合には取り外し式の入れ歯を入れる方法があります。
金額:5000〜13000円程度/装置
■自由診療の場合
ブリッジ
セラミックなどを使ったブリッジ、小臼歯(前から4、5番目)を白くしたい場合は自費になります。
金額:15万円〜100万円/装置
入れ歯
金属床、金具のないノンクラスプデンチャー、マグネットデンチャー(磁石でカチッと止めるもの)、テレスコープ義歯(残っている歯に金属の冠をかぶせ、その上に義歯をはめる)などは自費となります。
金額:1万円〜150万円/装置
インプラント
歯を失ったところの骨に人工の歯根を埋め込み、歯をたてる方法です。インプラントの場合、その後の定期的なメインテナンスも保険が効かないため、さらに費用がかかります。
金額:15万円〜50万円(上部構造(冠)を含む)/本
メインテナンス:3000円〜10000円/回
③歯の治療の項目別治療にかかる金額~歯周病~
歯周病の治療にかかる治療費は大まかに次のとおりです。保険治療の金額は3割負担の場合を記載しています。金額はあくまでも目安です。本数や部位により大きく金額は異なります。
②-1軽度の歯周病の場合
■保険診療の場合
軽度の歯周病の場合の治療としては、ブラッシング指導、スケーリング(歯の表面の歯石とり)がおこなわれます。
金額:3000〜4000円程度/全体
■自由診療の場合
自費で歯周病治療を行う場合、歯磨き指導、スケーリングなどの内容は保険診療とほぼ同じですが、食事指導や生活指導などのコンサルティングを行っていたり、細菌検査、漢方を取り入れた治療など、じっくり時間をかけた内容の濃い治療を行っています。
金額:1万〜2万円程度/全体
②-2中等度の歯周病の場合
■保険診療の場合
ブラッシング指導、スケーリングのほか、SRP(歯周ポケット内の歯石とり)も行います。
金額:15000〜2万円程度/全体
■自由診療の場合
軽度の歯周病治療の内容に加え、歯周ポケット内の歯石とりも丹念に時間をかけておこなわれます。
金額:3万〜5万円/全体
②-3重度の歯周病の場合
■保険診療の場合
重度の歯周病の場合、中等度の治療にかかる治療費に加えて、フラップ手術などの歯周外科手術が必要になる場合があります。
金額:保険の中等度の歯周病の治療費(15000〜2万円)+約3000円/本
■自由診療の場合
自費の場合は、フラップ手術も自費となります。また、歯の周囲の組織を再生させる歯周組織再生療法も行うことができます。
金額:3万円〜100万円
<内訳>
3〜5万円/全体
・必要に応じて下記の処置も行います
フラップ手術:1〜10万円/本
歯周組織再生療法:5万〜15万円/本
なお、あまりに重度の歯周病の場合は、歯周外科を行えず抜歯となることがあります。その場合は抜歯の料金を参照してください。
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④歯を虫歯、歯周病から守るには大金がかかる?
④-1そもそも予防に、保険は効かない?
予防歯科は、歯の疾病(歯周病、虫歯)を予防することを目的としています。日本の現在の保険制度では、病気でないものに関しては保険を適用することができません。したがって、基本的に予防歯科は自由治療となります。
予防歯科で行っている内容は次のようなものです。(クリックでとびます)
PMTC(ピーエムティーシー)
歯科医師や歯科衛生士によるプロの歯のクリーニングです。普段どんなに磨いても取れない汚れを専用の器具や機械を使って丹念に取り除きます。歯の着色もきれいに落ち、歯がツルツルになる効果もあることで歯周病や虫歯になりにくくなります。
金額:3000〜5000円/全体
唾液テスト(サリバテスト)
唾液を採取して、唾液の質、量、中和力、また虫歯菌の数を測定し、虫歯のなりやすさをチェックするものです。
金額:3000〜20000円/回
カリオスタット検査
歯についている歯垢を綿棒で採取し、試験液で48時間培養した後4段階で虫歯のリスクが判定できます。
金額:無料〜500円/回
また、定期的に歯科医院で歯石とりのクリーニングや検診のメインテナンスを受けるのも予防歯科の範疇に入りますが、本来どこか悪いところがなければ、保険でカバーされません。そこで、多くの歯科医院では便宜的に「歯周病(の疑い)」「虫歯(の疑い)」という病名をつけ、保険で治療を行っているのが現状です。
⑤その他、歯の痛みに関しての治療や費用
⑤-1親知らずの抜歯はどのくらいの値段がかかる?保険・非保険で差はある?
親知らずの抜歯は保険(3割負担)では650円〜3800円程度、自由診療では3000円〜50000円くらいです。とくに骨の中に埋もれている親知らずの抜歯に関しては値段の差が大きくなります。
⑤-2知覚過敏はどのくらいの値段がかかる?保険・非保険で差はある?
知覚過敏に対する処置は保険(3割負担)だと一回につき120円〜150円、自由診療で一回につき1000円〜2000円ほどです。治療内容がほぼ同じなのと、大抵は一度でおさまらずに数回必要になるため、保険の方が断然お得でしょう。
⑤-3歯ぎしりはどのくらいの値段がかかる?保険・非保険で差はある?
保険(3割負担)の場合、歯ぎしりに対する治療といえばマウスピースが最も一般的ですが、これは歯ぎしりそのものを止めるというよりは、歯ぎしりから歯を守るためのものです。金額は5000円くらいです。一方、自費になる場合、治療方法は様々で、マウスピース、薬物治療や噛み合わせを整える治療、また歯列矯正を行うことを勧められる場合もあり、その場合費用は100万円程度にまでのぼることもあります。
⑤-4歯の移植はどのくらいの値段がかかる?保険・非保険で差はある?
歯の移植は歯牙移植と呼ばれています。通常はダメになった歯を抜いて、その部分に親知らずを移植することがほとんどです。その場合には保険が適用となり、3割負担で4000円程度(移植のみの費用)です。
親知らず以外の歯を移植する場合には一切保険を適用することができませんので自費となります。その場合2万円〜10万円ほどです。また、移植をした後は一般的に、その後落ち着いたらかぶせ物をします。その場合、保険で移植をした場合は保険のかぶせ物が適用になりますが、自費で行った場合にはかぶせ物も自費になります。そのことも考慮すると、
保険で移植した場合:トータルで1万円くらい(3割負担)
自費で移植した場合: トータルで4万円〜25万くらい
となります。
⑥保険診療、自由診療の実態って?
保険医は自由診療を積極的に勧めてはならない?
保険診療を行っている医療機関は、患者さんが保険証を窓口に提出した時点で、「保険で治療を受けたい」という意思表示があるとして、保険外の治療を積極的に勧めてはならないことになっています。保険医であるのにもかかわらず、「保険内の材料ではまともな物ができない。自費にしないと」などとは決して言えないのです。そこで、遠回しに控えめに、保険の材質の限界を説明しながら自費を勧めてきたりします。
自由診療の費用・相場を知るには?
また、自由診療の値段は歯科医院によって差があります。それは地域、歯科医師の考え方や技術によって違ってきます。保険治療のようにどの医院も一定、というわけではないので、保険外の治療を受けたい場合には、事前にホームページや電話などでいくつかの医院の値段や相場を確認しておいたほうが良いでしょう。ただ、そこで注意が必要なのが、「安いからいい」というわけではないことです。高い技術を持ちながら良心的に値段を低く設定している歯科医院もありますが、「安かろう悪かろう」の歯科医院もあるからです。これを自分で判断するのは非常に難しいので、ホームページで歯科医師の経歴や治療へのこだわり、また、周囲の人の口コミなどを総合的に判断するのが良いでしょう。
こんな歯科医院には注意!
しかし、中には保険医でもろくに保険診療のメリットの説明もせず、自費のものばかり勧めてくる歯科医師もいます。ひどい場合には、保険でできる治療に関しても、その選択肢を与えず、自費ばかり勧めてくる場合もあります。それは主に、採算のとれにくい治療に関して起こりがちなのですが、これは決してやってはならないことです。保険医であるからには、保険で行える治療の説明をしっかりし、患者さんに選択してもらわなければならないのです。どんな治療に関しても、メリット・デメリットをきちんと説明してくれる歯医者さんが信頼できる歯医者さんと言えるでしょう。
また、保険医を辞退して自費専門で行っている医院がありますが、多くの場合これらの医院は保険診療の限界を感じて、「より良い医療を患者さんに提供したい」という考え方のもと、クオリティの高い、こだわりの診療を行っています。「自由診療オンリーだから金儲け主義」と考えられがちですが、けっしてそうではないのです。しかし、ここで注意なのですが、自費専門の歯科医院でも、中には混合診療や不正請求を行ったために保険医の資格を取り消されて自費専門になっている場合がある、ということです。自費専門の歯科医院にかかる場合でも事前の調査はしっかりしておきましょう。
関連記事:悪い歯医者に騙されてはいけない。安いには必ず裏がある。
世間一般に考えられている歯科治療費の誤解!!
■歯科治療費ってなんでこんなに高いの?
「歯医者は高い」とはよく耳にする言葉です。確かに他科にくらべて、一連の治療が何回もかかったり、材料費などもかかるため、費用は高くつく印象があるかもしれません。しかし、日本の歯科での治療費は他の先進国の中でも断然安いほうなのです。ここまでありとあらゆる治療が保険でカバーされている国も珍しいのです。例えば歯の神経を取った場合日本だと高くても3000円程度ですが、アメリカだと10万円かかります。ですから、アメリカでは歯が悪くならないように予防にとても気を使っている人が多いのです。
■何回も通院させられる。回数を稼いで金儲けしてるんでしょう?
「歯石取りや根の治療で何度も何度も通わされる。再診料を稼いで金儲けしてるのでは?」というのもよくある誤解です。「歯石取りは一度に全部やってよ」と思われるかもしれませんが、保険治療のルール上、また、歯茎の治りの問題上、一度にすべてを行うわけにはいかないのです。もしもこれを無理やり一度にやってしまうと保険が適用されなくなります。
また、回数のかかる治療に根の治療があります。これもお薬の交換で何度も通うことになるのは珍しくないのですが、これを「金儲け」と捉えてしまう患者さんもいます。しかし、根の薬の交換は歯科点数では微々たるもので、むしろ赤字部門なのです。むしろこまめに予約をとってくれて薬の交換をしてくれる歯医者さんは良心的だと言えるでしょう。
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⑦歯医者さんでかかる治療費 総まとめ
①保険治療と自由診療
保険診療とは
公的な医療保険に加入し、その保険証を医療機関に提示することで治療の自己負担を0割〜3割にできる治療
■メリット
・治療費が安く済む
・どこの医療機関で治療を受けても費用が同じ
■保険対象になるもの
・病名がつけられるもの(健康な部分には適用されない)
■保険治療の限界
・材料や治療法に限りがある
→見た目の改善には不十分なことがある
→最新の治療は受けられないことがある
自由診療とは
保険のきかない治療。治療費は歯科医院側が独自に設定。
■メリット
材料や治療法に制約がないため、一人一人にあった自由な治療を行える
■自由診療になるもの
・審美治療
・特殊な材料を使ったもの
・歯列矯正
・インプラント
・最新機器、材料を使った治療
・予防歯科治療
■自由診療は保険治療よりすべての点で優れている?
良い材料や最新の治療を受けることはできるが、歯科医師の技術がより良いとは限らない
■自由診療のみの歯科医院もある?
保険診療の限界を感じ、保険診療に縛られない、一人一人の患者さんに合った、時間をかけた治療を行いたいという歯科医師が増えてきており、自由診療専門の歯科医院も増加してきている
混合診療とは
・保険診療と自由診療が混在していること
・現在の日本の保険制度では原則禁止されている
<その理由>
お金のある人だけ良い治療を受けられ、そうでない人が質の低い医療しか受けられない、という医療格差を招いてしまう恐れがあるため
【例外】
・保険で根の治療を行った後の土台から上のかぶせ物は自費を選択してもOK
・金属床義歯の場合、レジン前装冠の金属を金合金にする場合は差額負担
など
②歯の治療の項目別治療にかかる金額~虫歯~
保険の金額は3割負担の場合
1.軽度の虫歯
■保険診療の場合
・シーラント
約400円/本
・フッ素塗布
240円/ 回
■自由診療の場合
・シーラント
500〜2000円/本
・フッ素塗布
500〜3000円/回
・ヒールオゾン
約3000円/本
・デュラファット
800〜1000円/本
・3DS
3万〜5万円
2.中程度の虫歯
■保険診療の場合
・コンポジットレジン
700〜2000円/本
・メタルインレー、クラウン
2000〜4200円/本
・レジン前装冠
約8000円/本
・硬質レジンジャケット冠
約4500円/本
・CAD/CAM冠
約8500円/本
■自由診療の場合
・セラミック
インレー(詰め物):3〜5万円/本
クラウン(かぶせ物):8〜15万円/本
・ゴールド
インレー(詰め物):3〜5万円/本
クラウン(かぶせ物):4〜12万円/本
・ドックスベストセメント
3000〜2万5千円/本
・3mix
数千円〜10万円/本
・レーザー治療
無料〜数千円/本
・カリソルブ
5000円〜1万円
3.重度の虫歯
■保険診療の場合
・根管治療
1500円〜3000円程度/本
・メタルコア
600円〜750円程度/ 本
・レジンコア
450円〜480円程度/本
■自由診療の場合
・マイクロスコープを使った根管治療
10万円〜20万円/本
・ファイバーコア
1万〜3万円/本
・ゴールドコア
1〜3万円/本
4.抜歯になってしまった場合
■保険診療の場合
650円〜2000円程度/本
■自由診療の場合
<歯列矯正の目的のための抜歯>
1万円程度/本
<自費診療のみの歯科医院>
すべての抜歯が自費。
3000円〜5万円/本
5.抜歯になった場合の選択肢
■保険診療の場合
・ブリッジ
9000円〜5万円円程度/装置
・入れ歯
5000円〜1万3千円程度/装置
■自由診療の場合
・ブリッジ
15万円〜100万円/装置
・入れ歯
1万円〜150万円/装置
・インプラント
15万円〜50万円(上部構造(かぶせ物)を含む)
メインテナンス;3000円〜10000円/回
③歯の治療の項目別治療にかかる金額~歯周病~
保険の金額は3割負担の場合
1.軽度の歯周病
■保険診療の場合
3000円〜4000円程度
■自由診療の場合
1万円〜2万円
2.中等度の歯周病
■保険診療の場合
1万5千円〜2万円程度
■自由診療の場合
3万円〜5万円
3.重度の歯周病
■保険診療の場合
保険の中等度の歯周病の治療費+約3000円/本(歯周外科手術)
■自由診療の場合
3万円〜100万円
4.末期の歯周病
抜歯→抜歯の料金を参照
④予防歯科
予防治療にかかる金額
基本的に自費治療となる。
・シーラント
500円〜2000円/本
・フッ素
500〜3000円/回
・3DS
3万〜5万円
・デュラファット
800〜1000円/本
・PMTC
3000円〜5000円/回
・唾液テスト(サリバテスト)
3000円〜2万円/回
・カリオスタット検査
無料〜500円
⑤その他の治療や費用
親知らずの抜歯
■保険診療の場合
650円〜3800円程度
■自由診療の場合
3000円〜5万円
知覚過敏
■保険診療の場合
120円〜150円/回
■自由診療の場合
1000円〜2000円/回
歯ぎしり
■保険診療の場合
5000円程度
■自由診療の場合
〜100万円
歯の移植
■保険診療の場合
4000円程度(移植のみの費用)
かぶせ物まで入れるとトータルで1万円くらい
■自由診療の場合
2万円〜10万円
かぶせ物まで入れるとトータルで4万円〜25万くらい
⑥保険診療、自由診療の実態
保険医のジレンマ
・保険医は自由診療を積極的に勧めてはならない決まりがある
自由診療の費用や相場のつかみ方
・自由診療の費用や相場をつかむために事前にホームーページや電話などで確認しておく
・安いからといって安易に飛びつかず、事前に周囲の口コミやホームページで治療方針・考え方などの下調べを
歯科医院を選ぶ際の注意点
・保険医なのに自費ばかり積極的に勧めてくる歯科医師には注意
・保険診療、自由診療両方のメリット、デメリットをきちんと説明してくれる信頼できる歯科医師を選ぶ
・自由診療専門の歯科医師すべてがクオリティの高い治療を行っているとは限らず、不正を働いて保険医資格を剥奪された歯科医師もいるので注意する
世間一般に考えられている歯科治療費の誤解
■歯科治療費は高い
→日本の歯科治療費は先進国の中でも断然安い。
→日本のようにあらゆる治療が保険でカバーされている国は珍しい。
■通院回数を増やして金儲け?
→歯石取りを回数を分けてやるのは保険のルールがあるから
→根の治療の回数がかかるのは病気の特性上仕方がない。また、回数をかけても歯科医院側には不採算。こまめに予約を取ってくれるのはむしろ良心的。
いかがでしたか?歯科の治療は多岐に及びますので、保険が効く治療と効かない治療が非常にわかりづらくなっており、何も知らないと損をしてしまうこともあります。治療にあたって正しい選択をするためにも、歯科医師に丸投げするのではなく、自分である程度の知識を身につけておくことが大事です。