口の中にイボが出来てしまった時に考えられる原因や症状
1.フィステル
歯茎の部分にニキビやおできのようなできものがある場合、根の先端に膿が溜まっていることによってできたフィステル(膿の出口)である場合があります。膨らんだり引っ込んだりすることもあります。強い痛みを出すことはあまりありません。
2.粘液嚢胞
唾液腺の管が噛んだり刺激を受けることで詰まってしまい、口の中に唾液の入った透明な水ぶくれができることがあります。下唇の裏側によく見られ、つぶれたりまた膨らんだりします。口の中には小唾液腺があちこちにあるため、いたるところにできる可能性があります。
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3.血豆(血腫)
口の中を噛んでしまったり、歯ブラシでつついてしまったりなどの刺激で内出血を起こし、血豆ができることがあります。黒く丸いほくろのように見えます。できても数日で治ってしまいます。
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4.骨隆起
歯茎にコブのような硬い膨らみができる場合があります。歯ぎしりやくいしばりが強くかかるとできると言われています。痛みはなく、徐々に大きくなっていきますが病的なものではありません。下の歯茎の内側や上あごの天井の部分、上下の外側の歯茎の部分によく見られます。
5.エプーリス(歯肉腫)
歯茎にできる良性の腫瘤で、慢性的な刺激や、妊娠中のホルモンの変化によってできると言われています。大きくなると周囲の骨を吸収したり、歯を動かしてしまうことがあります。
6.イボが口に感染
体のイボが口の中にうつってしまうことがあります。たとえば指にできたイボを口にくわえることで口にイボがうつったり、性器にできているイボが性行為で口の中にうつってしまうこともあります。
7.ケラトアカントーマ(角化性棘細胞腫)
太陽の光にさらされる部分にできる良性の腫瘍で、唇や顔、手などにでき、1〜2ヶ月で直径2.5cm以上の大きさに成長することもありますが数ヶ月後にはだんだん小さくなり自然になくなります。
8.乳頭腫
口の粘膜の上皮が増殖して盛り上がった良性の腫瘍で比較的よく見られます。イボ状、カリフラワー状などの形をしており、表面がザラザラと白くなることが特徴です。
9.唾液腺腫瘍
唾液腺の腫瘍で口の中にふくらみができることがあります。良性のものは徐々に大きくなりますが痛みや神経の麻痺などは見られません。それに対し、悪性のものは進行とともに痛みや神経の麻痺を起こします。
10.口腔ガン
口の中のどこにでもできる可能性があります。イボのように膨らんでいたり、口内炎のように凹んでいたりします。初期には痛みを感じることはあまりありません。
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口の中のイボそれぞれ対処法や治療法を教えます
口の中にイボのようなものができた場合、歯科(できれば口腔外科のあるところ)を受診しましょう。
それぞれの対処法、治療法をあげていきます。
1.フィステル
歯の根の中に感染が起きているため、根の治療を行います。
2.粘液嚢胞
2ミリ以下くらいの小さなもので、とくに支障のない場合は経過をみることもありますが、小さくても下唇の裏にあってしょっちゅう噛んでしまう場合や、大きくなってしまったものは外科的に周囲の唾液腺と一緒に切除します。簡単な手術で時間も数分で終わります。
3.血豆(血腫)
放っておいても数日中に自然になくなるので経過観察します。
4.骨隆起
悪いものではないので放っておいても問題はありませんが、入れ歯を入れるときに邪魔になってしまったり、大きくなりすぎて発音しにくくなってきたりなどの支障が出る場合には手術で骨を削って取り除きます。保険で行うことができます。
5.エプーリス(歯肉腫)
妊娠中のホルモンによるものの場合は、出産すると自然になくなります。機械的、物理的刺激でできてしまっているものは外科的に切除します。基本的に良性の腫瘍ですが、ときに悪性のものと区別のつきにくいものもあるので、念のために口腔外科で検査を受けるのが良いでしょう。
6.イボが口に感染
いくつかの方法で取り除くことができますが、生殖器イボは再発する傾向があります。
7.ケラトアカントーマ(角化性棘細胞腫)
自然になくなることが多いので様子をみます。
8.乳頭腫
良性の腫瘍ですが、ガン化することもあるので外科的に切除します。
9.唾液腺腫瘍
早めに手術で摘出します。悪性の場合は放射線治療や化学療法を併用することもあります。
10.口腔ガン
手術で摘出、放射線治療、化学療法を単独または組み合わせて行います。
こんな症状が出ている口の中のイボは危険!
次のようなイボ、またはイボと一緒に次のような症状が見られたら要注意です。
- 首のリンパ節やあごのリンパ節がずっと腫れていたり無痛性のグリグリがある
- イボが触ると硬い(骨隆起を除く)
- イボにはじめは特に症状がなかったが、冷たいもの辛いもの、酸っぱいものなどがしみるようになってきた
- 言葉がしゃべりにくくなってきた
- 飲み込んだりがしづらく、食事が取りにくくなってきた
- イボに潰瘍ができて出血、痛みが出てきた
- しびれがある
口腔癌だった場合、他にどんな症状が出る?
口腔ガンの場合、上の項目で示した特徴の他に、アフタ性口内炎のようにえぐれたタイプのものもあります。アフタ性口内炎は強い痛みを出し、10日ほどで自然に治りますが、口腔ガンの場合はそれほど痛みがなく、放っておいても治りません。また、口の粘膜の色と明らかに違う色(白、赤、黒など)の着色がある場合には前ガン状態(放っておくとガンになる可能性のあるもの)である場合もあり、要注意です。
口の中のイボ 総まとめ
■口の中にイボができた場合に考えられる原因とその対処・治療法
1.フィステル
・根の治療
2.粘液嚢胞
・2ミリ以下ほどの小さなものは様子を見ることも
・噛んだり大きい場合は周囲の唾液腺とともに切除
3.血豆(血腫)
・経過観察
4.骨隆起
・邪魔な場合は切除
5.エプーリス(歯肉腫)
・妊娠性のものは自然治癒
・それ以外は切除
6.イボが口に感染
・切除
7.ケラトアカントーマ(角化性棘細胞腫)
・自然に治る
8.乳頭腫
・切除
9.唾液腺腫瘍
・早めに手術で摘出
・悪性の場合は放射線治療、化学療法なども併用
10.口腔ガン
・手術で摘出、放射線治療、化学療法
■こんな症状が一緒に出ている、こんなイボは要注意
- 首のリンパ節やあごのリンパ節の腫れ、無痛性のグリグリがある
- イボが触ると硬い(骨隆起を除く)
- イボがだんだんと冷たいもの辛いもの、酸っぱいものなどにしみるようになってきた
- 言葉がしゃべりにくくなってきた
- 飲み込んだりがしづらく、食事が取りにくくなってきた
- イボに潰瘍ができて出血、痛みが出てきた
- しびれがある
■口腔ガンに見られる他の症状
- アフタ性口内炎のように見えるが痛みがなく治らない
- 口の粘膜と明らかに違う白、赤、黒などの着色がある場合
良性のものでも悪性と区別が付きづらく、検査をしてみてはじめて悪性とわかる場合もあります。自己診断をせず、怪しいものを見つけたら早めに口腔外科を受診しましょう。