歯茎のできもので考えられるものとその治療法
1.膿の袋
主な原因は歯の根の先端に溜まった膿が歯茎の表面に出口を形成したものです。ニキビのように見えます。たまると膨らみ、破れては凹みを繰り返します。膿が順調に排出されているうちはとくに痛みを感じません。
<治療法>
基本的には根の治療を行い、うまく消毒されれば膿の袋も消えていきます。もしも根の治療で治る気配が見られなかったり、膿の袋が大きすぎたりする場合には外科的に膿の袋を根の先端ごと切り取ったり(歯根端切除術)、一度抜いて汚染部分を除去してまた植え直したり(歯牙再植術)、複数根ある場合には悪い歯根だけ取り除いたり(ヘミセクション、トライセクション)などを行います。
なかには歯根が割れている場合もあり、保存できない場合には抜歯となります。
2.アフタ性口内炎
口の中の粘膜のいたるところにできる潰瘍です。免疫力が落ちたり体調が悪いと出やすく、痛みを伴います。通常1週間〜2週間で自然治癒します。
<治療法>
自然治癒を待つか、症状が辛い場合にはステロイドの軟膏、パッチタイプの貼り薬、レーザーでの治療などが効果的です。
3.エプーリス
歯茎のみにできる良性のできものです。色は歯茎と同じピンク色でぷくっとしたやわらかい物から硬い物までさまざまです。原因は歯石や歯肉炎、合わない詰め物やかぶせ物の刺激などの慢性的な刺激で起こるものと、妊娠時のホルモンの変化で妊娠時期のみに見られる妊娠性エプーリスというものがあります。
<治療法>
妊娠性エプーリスは様子を見て大丈夫な場合も多いですが、そうでないケースでは、大きくなると歯を動かしたり、骨を溶かしたり、また、その周囲のブラッシングがきちんとできなくなるため、外科的に取り除く必要があります。まずはその前に悪性腫瘍との鑑別をする必要があります。
4.歯肉癌
歯茎にできる悪性腫瘍で潰瘍の形と膨らんだできものの形を取る場合があります。悪性腫瘍は良性のものと違い、病気の進行が速く、できものの大きくなる速度が速い、境界がはっきりしない、などの特徴があります。
<治療法>
化学療法、放射線療法、手術療法を単独または併用して行います。
5.骨隆起
口の中の骨が部分的に異常に発達してしまっている場合です。歯ぎしりやくいしばりなど、歯に強い力がかかっている人によく見られます。ボコボコ硬い隆起として触れます。とくに健康に害はありません。
<治療法>
支障がなければそのまま経過観察です。しかし、入れ歯を入れる時やインプラントの時に邪魔になる場合には切除した方が良い場合があります。
6.薬剤による歯肉増殖症
血圧を下げる薬などの副作用として、歯茎が全体的に増殖したように腫れることがあります。歯茎の慢性的な炎症がそのきっかけとなります。
<治療法>
適切なブラッシングによる歯垢の除去、歯科医院での徹底的なクリーニングや歯石とりで歯茎の増殖がかなり軽快する場合もありますが、薬の種類を変更した方が良い場合もあります。
歯茎にできものが出来ている際 まとめ
歯茎のできものの種類と治療法
1.膿の袋
・根の治療
・外科治療(歯根端切除術、歯牙再植術、ヘミセクション・トライセクション)
・抜歯
2.アフタ性口内炎
・経過観察
・ステロイドの軟膏、パッチタイプ貼り薬
・レーザー照射
3.エプーリス
・妊娠性の場合は経過観察
・その他は切除が望ましい
4.歯肉癌
・化学療法、放射線療法、手術療法
5.骨隆起
・邪魔になる場合には切除
6.薬剤による歯肉増殖症
・適切なブラッシング
・歯科医院での歯石とりやクリーニング
・薬剤の変更