歯茎に水疱ができる場合の原因として考えられるものには、やけどや外傷による刺激によるもの、ウイルス性のもの、自己免疫疾患によるものなどあります。
歯茎の水疱、水ぶくれが透明で痛みがヒドイ時、考えられるもの
■ウイルス性のもの
水ぶくれが透明で痛みがひどい場合にはまずウイルス性のものが疑われます。
1.ヘルペス性口内炎
単純性ヘルペスウイルスによる初感染で起こり、ほとんどは子供に見られますが、大人でかかる場合もあります。口の中に多数の水疱ができて、それが破れて口内炎となり、強い痛みを出し、食事、会話すら困難になります。発熱、倦怠感、顎下リンパ節の腫れ、強い口臭なども見られます。
<治療法>
抗ウイルス薬の投与、痛みに対しては消炎鎮痛薬、二次感染の予防として抗生剤の投与、口の中を清潔に保つためにうがい薬、トローチの投与が行われます。また、食事が取れず、脱水症状も起こしている場合には入院をして全身管理のもと点滴やチューブで栄養補給などをしなければならない場合があります。
2.帯状疱疹
子供の時にかかった水疱瘡のウイルスが神経の付け根にのこっていて、抵抗力が落ちた時にそれが活性化して発症します。歯茎などの口の場合にできる場合もあり、かなりの痛みを伴いますが、唇などにも現れますので他のものと区別がつきやすいです。
<治療法>
抗ウイルス薬、消炎鎮痛剤、抗生剤の投与が行われます。また、うがい薬、トローチの投与も行われ、重症の場合は入院し、全身管理のもと点滴、栄養補給をする必要があります。
3.手足口病
コクサッキーA16 またはエンテロウイルス71などのウイルス感染で起こり、 名前の通り、手、足、口に多数の水疱を作ります。口の中の水疱は破れて口内炎になり、唾を飲み込むのでさえも苦痛になるほどです。子供に多い感染症ですが、大人でもかかることがあり、その場合は症状が重く出る傾向があります。
<治療法>
特効薬がないため、自然治癒を待ちます。全身症状が強い場合は、症状を和らげる対症療法を行います。(痛み止め、かゆみ止めなど)
■尋常性天疱瘡
自己免疫疾患で、中年以降に多く見られますが稀な病気です。様々な大きさの水疱が口の中を始め皮膚や性器に大量発生します。のちに水疱は潰れ口の中は口内炎と次々にできる水疱でかなりの痛みを伴います。
<治療法>
ステロイド薬の高用量投与、破裂した水疱の感染に対しては抗生剤投与が行われます。
歯茎の水疱、水ぶくれが透明で痛みがない時、考えられるもの
■粘液嚢胞
唾液腺の管が詰まってしまうことで、口の中に唾液の溜まった袋が水ぶくれのようにできるものです。噛んでしまったり、刺激を受けることで起こり、潰れてもまた繰り返しできてきます。小唾液腺は口の中のいたるところにあるため、歯茎でも起こる場合があります。
<治療法>
2mm以下ほどの小さなものは様子を見ても問題ありませんが、大きくなる場合は手術で周囲の唾液腺と一緒に取ったほうが良い場合があります。
■やけど、外傷など
やけど、外傷などで水ぶくれになる場合があります。ヒリヒリと痛むことがあります。
<治療法>
ほとんどの場合は自然治癒します。心配な場合は医療機関を受診しましょう。
水疱、水ぶくれに血が混ざっているような時考えられるもの
■血腫(血豆)
水ぶくれが赤や紫色で血が混ざっているように見えるものの場合、血豆である場合が多いです。噛んでしまったり、歯ブラシなどで傷つけたりなどの刺激で起こります。
<治療法>
数日でなくなるため自然治癒を待ちます。
水疱、水ぶくれが白い時、考えられるもの
■フィステル
水ぶくれが白くてニキビのような場合、歯根の先端に膿が溜まってその出口が歯ぐきに開いているフィステルである可能性が高いです。
<治療法>
放っておいても自然治癒はしませんので、根の治療が必要になります。
水疱、水ぶくれが数ヶ月治らない時、考えられるもの
■フィステル
白い水ぶくれが同じ場所で大きくなったり潰れたりする場合、歯根の先端に膿が溜まっていることによるフィステルが考えられます。
→上記の「歯茎の水疱、水ぶくれが白い時、考えられるもの」をご覧ください。
■粘液嚢胞
透明な水ぶくれが数ヶ月同じ場所にできたり潰れたりを繰り返している婆には粘液嚢胞の可能性が疑われます。
→上記の「歯茎の水疱、水ぶくれが透明で痛みがない時、考えられるもの」をご覧ください。
親知らずの近くの歯茎に水疱、水ぶくれができた時考えられるもの
■智歯周囲炎
親知らずの周囲に水ぶくれのような膨らみができている場合、歯茎の炎症によってプクッと腫れてしまっている状態が原因の一つとして考えられます。
<治療法>
消毒、炎症を抑える処置を行って、親知らずの状態により必要であれば抜歯をしたほうが良い場合があります。
■粘液嚢胞
親知らず周囲の小唾液腺がダメージを受け、唾液の管が塞がれてしまい、唾液の溜まった水疱ができた可能性があります。
→上記の「歯茎の水疱、水ぶくれが透明で痛みがない時、考えられるもの」をご覧ください。
水疱、水ぶくれができた時にやっていいこと、いけないこと
■自分で潰していい?
水ぶくれを見つけた場合、潰したり、手で触れたりすることもやめましょう。潰したところから感染を起こす可能性がありますし、ウイルス性のものの場合は周りの人にうつしてしまう可能性もあります。
■放置していい?放置すると最悪どうなる?
痛みがひどい、数が大量にある、同じところにできて治らない場合などは早めに診察を受けましょう。ウイルス性のものや尋常性天疱瘡などの場合は重症化する前に早めの対処が必要になります。特に、尋常性天疱瘡は命に関わることもある重度の病気です。歯根の周囲に膿が溜まったことによってできるフィステルも早めの治療が必要です。放っておくと、骨がどんどん吸収されてしまい、最悪抜歯になる可能性もあります。
■応急処置として何かある??
できた水疱のほとんどは自然に潰れてしまいます。その後の感染が起こりにくくなるように口の中をうがいなどで清潔にしておきましょう。また、やけどをして水ぶくれができてしまった場合、冷やすことが大事です。冷たい水か氷を口に含み、患部を冷やして悪化を防ぎましょう。
歯茎の水疱・水ぶくれ まとめ
■歯茎の水疱、水ぶくれが透明で痛みがヒドイ時、考えられるもの
ウイルス性のもの
1.ヘルペス性口内炎
<治療法>
・抗ウイルス薬、消炎鎮痛薬、抗生剤の投与、うがい薬、トローチの投与
・ひどい場合には入院し全身管理のもと、点滴、栄養補給
2.帯状疱疹
<治療法>
・抗ウイルス薬、消炎鎮痛薬、抗生剤の投与、うがい薬、トローチの投与
・ひどい場合には入院し全身管理のもと、点滴、栄養補給
3.手足口病
<治療法>
特効薬がないため、自然治癒を待つ
4.尋常性天疱瘡
<治療法>
ステロイド薬の高用量投与、抗生剤投与
■歯茎の水疱、水ぶくれが透明で痛みがない時、考えられるもの
粘液嚢胞
<治療法>
・小さなものは経過観察
・大きくなる場合には手術で取ったほうが良い場合も
やけど、外傷など
<治療法>
・ほとんどの場合は自然治癒
・心配な場合は医療機関を受診
■歯茎の水疱、水ぶくれに血が混ざっているような時考えられるもの
血腫(血豆)
<治療法>
自然治癒を待つ
■歯茎の水疱、水ぶくれが白い時、考えられるもの
フィステル
<治療法>
根の治療
■歯茎の水疱、水ぶくれが数ヶ月治らない時、考えられるもの
フィステル
<治療法>
根の治療
粘液嚢胞
<治療法>
・小さなものは経過観察
・大きくなる場合には手術で取ったほうが良い場合も
■親知らずの近くの歯茎に水疱、水ぶくれができた時考えられるもの
智歯周囲炎
<治療法>
・消毒、消炎処置
・必要に応じ抜歯
粘液嚢胞
<治療法>
・小さなものは経過観察
・大きくなる場合には手術で取ったほうが良い場合も
■歯茎に水疱、水ぶくれができた時は
・潰したり、手で触れたりしない
・痛みがひどい、数が大量にある、治らない場合などは早めに診察を受ける
・なるべく口の中を清潔に保つ
・やけどの場合はよく冷やす
水疱、水ぶくれの多くは自然に潰れてしまいます。もし診察を受ける場合、潰れてしまってからでは正確に診断ができませんので、潰れる前に早めに診てもらいましょう。