そもそも口臭外来って何?
「口臭外来」という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれません。気になる口臭治療を専門とする外来です。国立大学法人東京医科歯科大学には「息さわやか外来」という名称で「口臭」というマイナスなイメージを持つ言葉をあえて使わず、「息さわやか」というプラスなイメージに置き換えたネーミングになっています。
<口臭外来では何をしてもらえるの?>
この外来では、
- 口臭の診断
- 治療
- 予防
を行います。一般の歯科医院のように、虫歯を治すための器具や診療台だけではなく、口臭を測定するための機械がいくつかあります。また、口臭の度合いやその原因の元を診断する上で重要となってくる「問診」や「調査票」を記入する場所が設けられている点も普通の歯科医院の診療場所と違う点になります。また、病院によっては個室を設けて口臭の診療を行ってくれる場所もあります。
口臭外来を受診する判断基準は?
通常の歯科医院でも「口臭」についての相談をすれば、その「口臭」の原因に対処してもらえることもあります。
それでも口臭が改善されない場合や、下記の原因に全く当てはまらないのにもかかわらず口臭を強く感じる時は専門の外来を受診することをお勧めします。口臭外来では、専用の機械を使用して口臭の原因物質を特定して何が原因なのか(全身疾患による病理的口臭、生理的口臭、心理的口臭等)を特定してくれます。
- お口の中が不衛生
- 古くなった詰め物から匂いがする
- 虫歯や歯周病
- 上顎洞炎(歯の根の先端に膿がたまることが原因で上顎洞内に膿が流れ入ってしまう症状で、膿っぽい匂いがする)といった原因
口臭外来はどこに行けば良い?
「口臭専門」をうりにしている歯科医院以外は口臭を測定する機械を置いていないところが多いです。(なぜなら専用の機械は機械自体もとても高額なうえ、口臭を強く気にされている方以外あまり口臭測定をしたがらない為)よって、一般の歯科医院で口臭治療での受診を希望される方は専用の機械を設置してあるかどうか前もって調べることをお勧めします。
もしくは大学病院や総合病院に開設されている「口臭外来」を受診するのが良いかと思います。ただし、大きな病院の専門外来は予約が取れずらい場合もあるので注意が必要です。
どんな治療法が行われるの?
問診
口臭のなかには「生理的口臭」という生活のリズムや習慣において発生する口臭があります。(例えば、朝起きたての口臭が一番強い)そういった生理的口臭を感じる場合は、主に飲食の取り方や水分の取り方の指導、どういった食事をとることにより口臭を感じなくすることができるかの指導を行います。
<生活調査票>
日常生活を送っている中でどのようなタイミングで口臭を感じる事があるのか、どの時間帯に食事を摂っているか、どのような内容の食事を摂っているのかを調査します。
<口臭調査票>
口臭があると感じるとき、「起床直後」「朝食前」「昼食前」「夕食前」「就寝前」のそれぞれにどの程度口臭があると感じるのかを測定するため、最大を”強く口臭を感じる”最小を”全く口臭を感じない”の中で線上に印をつけます。
検査
口臭の中の「病理的口臭」は虫歯や歯周病の細菌が原因の元であることが多いです。どういったことが口臭の原因であるかを診断するために検査を行っていきます。また、上記「生理的口臭」や「病理的口臭」のどちらにも当てはまらないが、患者さんのなかには自分の口臭を強く感じてしまうことがあります。それが「心理的口臭」です。きちんと検査を行い、何も原因が見つからなかった場合、心理的なものが原因として検査結果ときちんと向き合う必要があります。
<レントゲン検査、口腔内検査>
口臭の原因が清掃不良、虫歯、歯周病等の原因ではないかを判断するために検査していきます。
<ガスクロマトグラフィー>
機械に息を吹き入れて、口臭の主成分である「硫化水素」「メチルメルカプタン」「硫化ジメチル」の濃度を測定し、それぞれどの濃度が高いかによって口臭の原因は何なのかを判定します。
<ブレストロン>
機械に息を吹き入れて、お口の中の揮発性硫黄化合物の濃度を半導体ガスセンサーにより測定します。口臭の強さを数値化して、実際に口臭が強いのかどうかを判断します。
<口臭官能検査>
壁にさしてある筒の中に息を吹き込みます。患者さんのいる壁の反対側に検査者が立ち、反対側の筒から口臭を嗅ぎます。こちらも実際に口臭があるのかを鼻で確認します。
<位相差顕微鏡>
歯に付着したプラークを採取してその中に含まれる細菌を観察します。標本を染色せずに観察できるため、動いている細菌を実際に見ることができます。その中に匂いを発生させる細菌がどれだけ存在するのか、どういった種類の細菌がいるのかを知ることができます。(スピロヘータ、カンジタ、運動性桿菌 等)
ただ、この顕微鏡を使用して検査する方法はあまりお勧めではありません。お口の中の清掃状態が悪い患者さんに対してセルフケアの意識向上のために顕微鏡を使用することはありますが、口臭を気にしている方に対してこの方法を使用すると口臭恐怖症になってしまう可能性があります。
口臭外来の値段は?
口臭外来での治療や検査は保険が利かない為、全て自費での治療となります。よって歯科医院により治療費にはばらつきはありますが、
- だいたい1回目の口臭検査時に約3万5千円~4万位。
- 2回目の再診査の時に約1万5千円~2万円ほどかかります。
また、口臭外来での多くは専用の口臭撃退用具を用いての治療や予防になることが多い為、専用の用具を購入することが多いです。(舌ブラシ等)そういったものも含めてになると約5~6万程度は必要となるかと思います。
口臭外来について まとめ
口臭の気になる方はまずは一般の歯科医院で匂いの原因となるような病巣や被せ物等はないかを確認・治療を行いましょう。それでも口臭が改善されないような場合は、専門の口臭外来にかかって口臭の原因追求することをおすすめします。ただ、口臭外来は自費での治療になりますので注意してください。
口臭にはきちんとした原因がある場合とそうでない場合があります。本当に口臭はあるのか、どの程度あるのかをきちんと確認し、場合によっては心理的口臭、口臭恐怖症になっていることもありますので、口臭が気になって仕方がない方は一度受診して口臭は本当にあるかどうか確認してみてください。
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