そもそもナイトガードって一体何?
ナイトガードとは、
夜眠っている間に、歯ぎしりから歯を保護するマウスピース
のことをいいます。透明のプラスチックやゴムのような素材でできており、上の歯全体を覆う形になっているのが最も一般的です。これを装着することにより、歯ぎしりによる歯やあごの関節にかかる過剰な力を軽減することで、ダメージによって起こりうるさまざまなトラブルから歯やあごを守ってくれます。もちろん、歯ぎしりの不快な音も解消してくれます。
どんな時にナイトガードが必要になる?
次のような場合はナイトガードをつけてみた方がいいかもしれません。
1.家族から歯ぎしりを指摘される
身近な人から歯ぎしりを指摘されたら、歯ぎしりをしているのは確実です。ナイトガードで歯を守れて、周囲の人の安眠も妨げることがなくなります。
2.朝起きるとあごがだるい、こわばる
このような場合は、夜間に力を入れて歯ぎしりをしている可能性が高いです。顎関節を守り、あごの筋肉の緊張を取るためにもナイトガードが効果的です。
3.あごが痛い
あごの関節が痛い、あご周囲の筋肉が痛い、という場合は顎関節症を起こしている可能性大です。ナイトガードで、顎関節への負担を減らし、筋肉の緊張を和らげることで改善することができます。
4.噛むと歯に違和感や痛みがある
歯ぎしりによって体重ほどの力が長時間かかり続けると言われています。それにより歯の周囲の歯根膜を傷め、違和感や痛みの症状が出ます。ナイトガードを入れることで、歯に力がかかりすぎることがなくなり、症状が取れてきます。
5.歯がしみる
歯ぎしりが続くと、歯が咬耗したり、歯の根元が欠けてしまうことで歯がしみてくることがあります。ナイトガードで悪化を防ぐことができます。
6.歯が異常にすり減っている
強い力でギリギリ歯ぎしりをすることで、歯の噛む面が咬耗してきます。咬耗が進むと歯がしみたり、歯の高さが低くなり、顔つきまで変わってきます。ナイトガードの大きな目的の一つとして、この「すり減りを防ぐ」というのがあります。
7.歯にヒビが入っている、割れる
強い歯ぎしりを続けていると、歯に細かいヒビが入ったり、ひどいと割れてしまうこともあります。このように歯をダメにしてしまうトラブルを、ナイトガードをつけることで回避することができます。
8.詰め物や差し歯がよく脱離する
このような場合、夜間の歯ぎしりが原因になっていることが多く、ナイトガードで歯を守ることで起こりにくくなります。
ナイトガードのメリット・デメリットを教えて!
ナイトガードのメリット
<歯を守る>
歯ぎしりによる歯の過剰な咬耗、亀裂、破折などの歯の破壊を防ぎます。
<歯周組織を守る>
歯ぎしりによって起こる歯根膜、歯槽骨の破壊を防ぎます。歯ぎしりは過大な力が加わるようになると、歯の周囲組織を破壊し始めます。特に、歯周病にかかっていると、歯を支えている歯槽骨が加速度的に破壊されることがわかっています。
<顎関節を守る>
歯ぎしりによって起こる顎関節症を予防、または症状を改善します。
ナイトガードのデメリット
<違和感>
上の歯全体を覆いますので、つけたばかりの頃は違和感がとても気になるものですが、だんだんと慣れてくることがほとんどです。また嘔吐反射が強い人には使いづらいことがあります。
<歯ぎしり自体は治らない>
ナイトガードは歯ぎしりを治すものではありません。あくまで歯ぎしりの力から歯を保護するためのものです。最初の数週間は歯ぎしりが減る、という報告もありますが、一時的なものが多いようです。そのため、歯を保護するためにずっとつけていなければならないということも少なくありません。
<穴が開くことがある>
歯ぎしりが酷い場合には、ナイトガードに穴が開くことがあります。そのため、状況に応じて作り直しが必要になります。
<逆に歯ぎしりがひどくなることもある>
合わないナイトガードをつけていたり、薄すぎるナイトガードなどにおいては逆に歯ぎしりがひどくなる場合もあります。そのため顎関節症がひどくなる場合もあります。
ナイトガードにも種類がある?どんな人にはどんなものがオススメ?
ナイトガードにもいくつか種類がありますが、よく使われているものとしてはハードタイプとソフトタイプの2タイプがあります。
ハードタイプ
レジンと呼ばれるプラスチックで作られています。硬いため、穴が開きにくいのが特徴です。また、レジンを盛り足したり削ったりすることで厚みの調整をすることができます。硬いため、装着した時に締め付けられるような違和感が出ることがあります。
<こんな人にオススメ>
- 顎関節症を起こしている人
- 歯ぎしりのひどい人
ソフトタイプ
ビニール樹脂で作られています。ゴムのようにグニャグニャとやわらかく、装着時の違和感が少ないのが特徴です。ハードタイプと違って、厚みを足したり削って減らしたりすることができません。こちらのタイプの方が違和感が少ないことからハードタイプよりも患者さんに受け入れられることが多く、現在はこちらの方が主流となっています。ただ、やわらかいため、歯ぎしりの強い場合は穴が開きやすいのが弱点です。
<こんな人にオススメ>
- 装着感にこだわる人
- 歯ぎしりがそれほどひどくない人
- 単に歯を守るクッション的な装置を望む人
ナイトガードの適切な保管方法は?
洗浄方法
朝ナイトガードを外したら、流水下(熱湯は変形する恐れがあるので不可)でやわらかいブラシでやさしく洗いましょう。歯ブラシには研磨剤が入っていますので傷がつくのを避けるために、使わない方が良いです。傷がつくと、その部分に細菌が繁殖する原因となるからです。匂いが気になる場合、また、より清潔を保つために、こまめにマウスピースの専用洗浄剤につけたり、マウスガード除菌・洗浄スプレーを使うのもオススメです。
保管方法
<ハードタイプ>
乾燥により変形する危険性があるため、ブラスチック製の容器などに入れ、水に浸けておきます。持ち運びの際には濡れたティッシュなどで包み、乾燥を防止します。
<ソフトタイプ>
長時間水に浸すと材質が劣化してしまうので、洗浄後は乾燥させて通気性の良い容器で保管します。
ナイトガードを作成する具体的な手順、使う器具、薬品を教えて!
どちらの場合も出来上がったら試着し、合わないところがあれば調整をします。
ハードタイプ(スタビライゼーション型スプリント)の場合
- 印象材で歯の型取りをし、歯科用ワックス(ろう)などで噛み合わせの記録を取り、石膏模型を作る
- 模型の上にワックス(ろう)でナイトガードの形を想定し、形成する
- 2を金属の容器の中に入れて、石膏を流し入れ、埋没させる
- 熱湯を流し入れ、ワックス(ろう)の部分を溶かして流す
- ワックスが流れてできた空洞に硬化していないレジン(プラスチック)を入れ込む
- レジンが固まったら取り出し、形態修正、噛み合わせの調整、研磨をする
ソフトタイプの場合
- 印象材で歯の型取りをし、石膏模型を作る
- 石膏模型に分離剤を塗る
- マウスピースのシートを機械で熱し、柔らかくなったら模型に圧接する
- マウスピースのシートを適切な形にカットする
ナイトガードがキツくて合わないという時はどんな調整をすればいい?
ナイトガードがキツイ場合は、強く当たる内面の部分を削って調整してもらうことができます。ただ、フィットしているナイトガードはある程度キツイ感じがあるのが普通で、最初は違和感があるかもしれませんが次第に慣れてきます。もし、痛みがある、歯茎から血が出るというような場合は無理してつけるのは良くありませんので、キツイ場所を歯科医師に告げて調整をしてもらいましょう。また自分で削ったり切ったりするのはやめておきましょう。
ナイトガードの相場や費用感について
ナイトガードは保険で作ってもらうことができます。
3割負担で5000円程度です。
1〜2年で作り直す必要がある。
また、ナイトガードは永久に使えるものではなく、人によって作り直しのタイミングは変わってきますが、通常1~2年くらいで作り直しが必要となることが多いようです。ただ、この時に気をつけたいのが、歯ぎしりが強くて穴があいてしまったり、間違って捨ててしまった場合に「半年経っていないと新しいものが保険で作れない」ということです。これは保険制度の決まりであり、もしどうしても新しいのを半年以内に作りたい場合は全て自己負担になりますので注意が必要です。
ハードタイプの場合は修復が可能。
ハードタイプの場合は、穴があいてもレジンを盛り足して修理をすることが可能です。ソフトタイプは歯ぎしりの強い人では穴があきやすく、短期間で穴があくことも珍しくありませんので、ひどい人はハードタイプにするのがオススメです。
ナイトガードについて まとめ
ナイトガードに対する考え方は歯科医師によっても異なります。それによって扱っているナイトガードも医院によって変わってきますので、自分に合ったナイトガードを作るためには、いろんな歯科医師の話を聞いて、自分に納得の行くもの、使いやすいものを選択していくのがよいでしょう。最後に、ナイトガードについて重要な点をまとめておきましょう。
<ナイトガードをするべき人の特徴>
- 歯ぎしりを指摘される
- 朝起きると顎がだるい、こわばる
- 顎が痛い
- 噛むと歯に違和感や痛みがある
- 歯がしみる
- 歯が異様に磨り減っている
- 歯にヒビが入っている、または割れる
- 詰め物や差し歯がよく離脱する
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