そもそもアデノイドって何??
アデノイドとは、鼻の穴の奥の突き当たりの部分、鼻から喉に移行する部分(上咽頭)にあるリンパ組織のかたまりを咽頭扁桃(いんとうへんとう)のことです。
外部から侵入してきた細菌を、さらに奥に入れないように捕獲する働きがあるとされています。アデノイドが大きい状態を「アデノイド増殖症」「アデノイド肥大」「咽頭扁桃肥大」などと呼んでいますが、それらを省略して、単に「アデノイド」と呼ぶ場合もあります。
アデノイド顔貌って何?
アデノイドが大きいことが原因で鼻から空気が通りにくく、口を常に開けているのを「アデノイド顔貌(がんぼう)」とよんでいます。いつも口を開けているため、唇や上あごの形が変わったり、歯並びが悪くなったりして、全体としてしまりのないボーッとした顔つきになります。鼻呼吸ができないために口呼吸となり、口で呼吸をしやすいように体が骨格まで変えて適応するようになっていくのです。近年、日本ではアデノイド顔貌の子供が増えていると言われています。
アデノイドが肥大するとは?
アデノイドは2、3歳くらいから大きくなり始め、5、6歳頃に最も大きくなり、通常その後は成長するにつれだんだんと小さくなってきて、思春期になるとほぼ消失するとされています。また、アデノイドが病的に肥大してしまうことがあり、これは子供においてのみ見られます。なぜ病的に大きくなってしまうのかまだはっきりとわかっていない部分もあります。また、アデノイドはリンパ系の組織であるため、風邪をひいたりした際にアデノイド肥大の症状が現れることもよくあります。まだアデノイド肥大は扁桃腺肥大とともに遺伝することもあるとされています。
アデノイド顔貌って何??
アデノイド顔貌の特徴は次のようなものです。
- いつもポカンと口を開けている
- 顔が面長である
- 上の前歯、あごが出っ張っている
- 前歯の歯並びはデコボコになっている
- 上下の前歯のかみ合わせが浅いか、かみ合わない
- 下あごが引っ込んでいてあごがないように見える
- 唇を閉めようとするとあごに梅干しのようなシワできる
- 唇が乾燥しており、めくれあがって厚くなって突出している
- 鼻の下が長い
- 鼻が小さく鼻の穴は狭く、鼻翼が平らである
原因は?
アデノイド顔貌を引き起こしてしまう原因は、アデノイドが肥大することによって鼻の通りが悪くなり、口呼吸が日常化してしまうことです。また、アデノイドが肥大していなくても口呼吸が癖になってしまっている場合、アデノイド顔貌になってしまうことがあります。
治すことはできるの?
成長期に口呼吸をしていることによって骨格の形成などに影響を及ぼし、アデノイド顔貌になっていく危険性が高くなります。したがって、子供の時に口呼吸に気がついて適切な対処をすることでアデノイド顔貌を予防、または改善できる見込みがあります。
子供のうちに手術を受ける
睡眠時無呼吸症候群を引き起こすような程度のひどいアデノイド肥大があるお子さんでも、アデノイドの治療(手術)を受けると、しまりのなかった顔つきが元に戻ると言われていますし、口呼吸が鼻呼吸に変わることで、出っ張り気味な歯を正しい位置に誘導し、正常なあごの発達を促すことができます。
成長が止まってからでは治らない?
しかし成長が止まってからアデノイド顔貌に気がついた場合、歯並びや骨格はもう出来上がってしまっていますので、自然に正常な形に戻そうと思ってもそれは不可能です。上あごや前歯は前に出てしまっていますし、唇もめくれて厚ぼったくなっているため、口は閉じにくい状態になっている状態は変わりません。
<口周りの筋肉を鍛え、顔つきを変える>
ただし、成人になってからでも、鼻呼吸を意識して口を閉じようと努力していれば、口周りの筋肉が鍛えられ、骨格は変わらなくとも、顔のたるみが減ってくることで顔つきが変わってくる可能性は大いにあります。
もしも、歯並びや骨格を根本的に治したい、という場合には歯列矯正治療や、場合によっては外科的な手術が必要になってきます。
手術するとしたら、どうなる?
骨格の変形の程度が強い場合には「顎変形症」という診断名が適用となり、顎の手術と歯列矯正治療を組み合わせて行う場合に限り、健康保険で受けることが可能です。しかし、この場合どこの医療機関でもいいというわけではなく、「自立支援医療機関(育成医療・更生医療)」または「顎口腔機能診断施設」の指定を受けている医療機関でなければなりません。
歯列矯正で治る?
骨格的な異常が少ない場合には、歯列矯正治療だけでも治すことができます。ただし、これは矯正歯科できちんと検査、診断を受けなければわかりませんので、気になる人は一度相談をしてみることをおすすめします。
手術や歯列矯正以外に他に治し方はある?
歯列矯正も外科手術も、そう簡単に決意できるものではありません。アデノイド顔貌の人は口呼吸をしていることがほとんどですので、まずは口を閉じ、鼻呼吸ができるかどうかを確かめてみましょう。もしも、鼻が詰まっていて鼻呼吸が全くできない場合には、まず鼻づまりを何とかしなければならないので、耳鼻科での治療が必要になります。
<鼻で呼吸し、口周りの筋肉を鍛えよう>
もし、鼻からでも呼吸できるけれども、癖で口呼吸になっている場合や、口の周囲の筋肉の筋力不足で口が閉められずに口呼吸になっている場合には、鼻から息することを常に意識して、それを継続していくことで、だんだんと鼻呼吸に変えていくことが可能です。また、口の周囲の筋肉を鍛える体操(MFT)やあいうべ体操なども行うとさらに効果的です。これらのことを実践して口呼吸から鼻呼吸に変えるだけでも、顔が随分引き締まった印象になることでしょう。
アデノイド肥大って何??
子供では骨格や筋肉が発達しておらず、体格が小さいために喉に対するアデノイドの占める割合はもともと大きいのですが、特に何かの問題が原因でなくても大きく肥大することがあります。また、咽頭炎を起こすような細菌やウイルスの感染によっても腫れて肥大することがあります。
普通は感染症が治るとアデノイドの大きさも元に戻りますが、感染症が頻繁に起きたり、慢性化したり、アレルギーなどがあると肥大したままになることもあります。また、稀に癌が原因でアデノイドが肥大することもあります。アデノイド肥大が起こっても、特に症状が現れないことが多いものですが、「アデノイド増殖症」といって、体の様々な部分に悪影響を及ぼす場合もあります。
アデノイドは小児でも大人でも肥大する?
アデノイドは2、3歳くらいから大きくなり始め、5~6歳頃に最も大きくなった後、その後はだんだんと縮小していきます。だいたい思春期頃には消失するのが通常ですが、稀に大人でもアデノイドがなんらかの原因によって小さくなりきらず、肥大したまま残ってしまう場合があります。
アデノイドが肥大する原因は?
アデノイドが肥大する原因としては先天的なもの、後天的なものがあると考えられており、細菌感染やウイルス感染が繰り返し起こることが原因になっている場合もあれば、原因が不明の場合もあります。
アデノイド肥大の治し方は?
1.薬による治療
アデノイドがそれほど極端に大きくなく、睡眠時無呼吸などもなく、日常生活にそれほど支障がない場合は、思春期以降にアデノイドが小さくなることを期待して様子を見ることが多いです。また、アデノイドは免疫に関する器官でもあるため、簡単に切除手術は行いません。もしも、アデノイドの肥大が細菌感染からきていて、中耳炎や副鼻腔炎などの合併症を起こしているような場合には抗炎症剤や抗生剤を投与し、経過をみます。ただし、これがあまりに頻繁に起こる場合には手術が勧められる場合もあります。
2.手術による治療
抗生剤が効かない場合や、アデノイド肥大によって著しく不都合を生じる場合には切除手術を行った方がいい場合があります。また早い年齢でアデノイド肥大による悪影響が出ている場合には、アデノイドが自然に消失して症状がなくなるまでに長い年月を要するため、積極的に切除手術を行った方がよい、とされています。積極的に手術を行った方がいいのは次のようなケースです。
<著しい不快感がある>
呼吸や会話の時に著しく不快感を伴う場合です。
<中耳炎や副鼻腔炎を頻繁に再発する場合>
中耳炎や副鼻腔炎などの感染症を頻繁に合併してしまう場合には切除手術をした方がいい場合があります。例えば1年間に7回以上、もしくは2年間にわたり5回/年以上、もしくは3年間にわたり3回/ 年以上のいずれかの頻度に当てはまる場合には切除をした方がいい、という見解があります。
<睡眠時無呼吸がある>
睡眠時に短時間呼吸が止まってしまうことによって低酸素症を起こしてしまい、発育や健康に害を生じる場合には切除が勧められます。
<鼻呼吸ができない場合>
アデノイドが極端に肥大していて鼻呼吸ができず、それによって健康上の問題や、健全な顔面の発育などに影響が出てしまう場合には手術を行った方が良いとされています。
アデノイド切除術って何??
アデノイド切除術とは、アデノイドが極端に肥大していることで健康上に問題をきたしたり、身体や精神の発育に悪影響を及ぼすような場合に、問題となっているアデノイドを切除してしまう手術のことです。耳鼻咽喉科領域において、子供に行われる手術の中では口蓋扁桃の手術とともに最もよく行われている手術で、手術は耳鼻咽喉科専門医によって行われます。
<アデノイドと扁桃>
手術は普通、アデノイドが最も大きく肥大する3歳~6歳くらいに行われることが多いです。これらの手術は単独で行われることもありますが、睡眠時無呼吸症の治療が目的で行われる場合には、アデノイド肥大と口蓋扁桃肥大の両方が関わっていることが多いため、2つの手術が同時に行われることも珍しくありません。
<手術するかどうかの判断は?>
口蓋扁桃は目で見ることができますが、アデノイドは咽頭と鼻腔がつながる中間地点にあるため、目で直接確認することはできません。そのため、アデノイド肥大の診断は、症状に基づいて推測する、または診断の確定のためにはレントゲンを撮影し、アデノイドの肥大の程度と鼻腔の狭窄の度合いを見ます。鼻腔からのファイバースコープ検査でアデノイドの状態を直接確認することも可能ではありますが、小さな子供の場合は恐怖感が強く、あまり行われることはありません。
<子供の手術の場合>
アデノイドの手術は子供の場合、多くが小児専門の病院で行われます。一般的には全身麻酔で行われ、数日間の入院を必要とします。
アデノイド切除術の方法は?
アデノイド切除術はかつては局所麻酔で行われていたこともありますが、現在は全身麻酔で行うのが一般的です。手術の際は、開口器と呼ばれる口を開けたまま固定する器具を口に装着し、口の中から反射鏡を用いてアデノイドを確認しながら、アデノイドを切除するための切除刀を使ってアデノイドをそぎ落としていきます。口の中から行うため、首や顔などに傷が残るということはありません。手術時間は10分~20分ほどです。
アデノイド切除術には複数の術式がある?
アデノイド切除術においては、前項で挙げた「従来法」が最もよく行われていますが、この他にも次のような方法で行われる場合があります。
マイクロデブリッダーを使用する方法
1990年代に開発された方法で、内視鏡とマイクロデブリッダーという機器を使って手術を行うものです。マイクロデブリッダーを使うと、病的な部分を吸引しながらつまみ上げて切除、そして切除した組織や出血、分泌物なども吸引して除去するといった操作を一度に行うことができます。内視鏡とマイクロデブリッダーを使うことによって、アデノイドをよく見ながら手術を行うことができるので、誤って組織を取り残したり、または取り過ぎてしまったり、近くの組織まで傷つけてしまうリスクを大幅に減らすことができます。従来法では、手探りに近い方法で行うため、アデノイドを取り過ぎてしまったり、近くの組織まで傷つけてしまう危険性がどうしてもありますので、マイクロデブリッダーを使った方法は大変画期的だと言えるでしょう。とくに小さな子供の手術においてはとても有用であるとされています。
吸引焼灼法
熱を発する金属製の器具を使い、アデノイドを焼き切ります。この器具は柔軟性があり、口や鼻、のどの形に合わせて曲げることができるため、アデノイドにアクセスするのが簡単で、よく見える状態で手術が行えるため、安全に手術を行うことができます。ただし、手術中に除去すべきアデノイドがすべて取り除けたか、ということを判断しにくく、その点では精度がいいとは言えません。
アデノイド切除術にかかる費用は?
アデノイド切除は健康保険適用です。アデノイド切除術のみにかかる費用は3割負担で4800円です。ただし、アデノイド切除を行う場合は全身麻酔を行ったり、入院が必要となりますので、トータルでは5万円~8万円くらいが多いようです。ただ、お子さんの場合は健康保険に加入していれば、乳幼児医療費制度によって、医療保険の対象となる医療費や薬剤費は自治体が負担してくれます。ただし、入院の食事代や差額ベッド代は対象になりませんので、手術を受ける前に、その辺の金額のことも確認しておきましょう。また、乳幼児医療費制度の対象年齢、また助成範囲は自治体によっても異なりますので、役所の窓口や、自治体のホームページで確認をしておきましょう。
アデノイド切除術の合併症は?
アデノイド切除術を行った後の合併症発生率は低いと言われており、起こったとしても軽度で済むと言われています。起こりうる合併症としては次のようなものが挙げられます。
1.術後出血
ほとんど見られることはありませんが、手術を行った直後、また術後一週間たっても再出血することがあります。
2.口臭
術後に手術した部位が軽く感染を起こすことがあるため、それに伴う口臭が一週間ほど出る場合があります。重度に感染することは稀です。
3.のどの痛み
数日間はのどが少し痛んだり、飲み込む時に痛みを感じることがありますが、日が経つにつれて治っていきます。
4.味覚障害
一時的に味覚障害が起こることもありますが、徐々に正常に戻っていきます。
5.声が変化する
声が少し高くなったり、など若干声が変わってしまう場合があります。
アデノイド切除術や手術で死亡することも?デメリットやリスクは?
アデノイド切除術は術後良好な結果が得られることが多い手術です。しかし場合によってはデメリットを起こすこともあるようです。またこの手術は危険の少ない手術として知られていますが、どんな手術にも「絶対」ということはありませんのでリスクのことも考えておく必要はあります。
1.アデノイドが再増殖することがある
1~3歳くらいの早期の段階でアデノイドを切除すると、その後4~5歳でアデノイドが再増殖してしまうことがあります。
2.周りの扁桃組織が肥大することがある
1と同じく早期の段階でアデノイドを切除すると、代償性肥大といって、周囲の扁桃組織が肥大してしまうことがあります。
3.すぐ後ろに神経や脳がある
アデノイドのすぐ後ろには大事な神経や脳があるため、完全に切除することが困難です。
4.大出血が起こることがある
まれに傷口のかさぶたが取れて大出血が起こる場合があります。
5.かさぶたで窒息の危険性がある
喉が狭いと、かさぶたが気道に張り付いてしまって窒息の危険が出る場合もあります。
6.全身麻酔のリスクがある
2歳未満の子供、また心臓や呼吸器疾患、神経疾患などの合併症がある子供の場合、全身麻酔の事故のリスクが高まります。
7.手術の際に使用する薬剤へのアレルギー
手術の際に使用する全身麻酔の薬剤や筋弛緩剤などに対するアレルギーがまれに起こる場合があります。
アデノイド増殖症って何??
アデノイド増殖症とは、鼻の穴の一番奥にある上咽頭と呼ばれる部分にあるリンパ組織、アデノイドが様々な原因で大きく肥大してしまい、耳や鼻、喉など体のいろいろな部分に不調やトラブルを起こしてしまう病気です。
アデノイド増殖症の症状は?
アデノイド増殖症は様々な症状を引き起こし、中には命に関わる場合もあります。
1.喉の症状
のどがイガイガしたり、飲み込む際に痛いなどの症状を起こします。声が枯れてしまうこともあります。
2.鼻の症状
アデノイドが肥大することで鼻の通り道が狭くなって、鼻づまりや慢性副鼻腔炎を起こします。
3.耳の症状
アデノイドが肥大して耳管の開口部をふさいでしまうと、急性中耳炎を繰り返したり、滲出性中耳炎を引き起こし、中にたまった水が音を伝えるのを妨げることにより、難聴になってしまうことがあります。
4.睡眠時無呼吸症候群
アデノイドの肥大があると、いびきの原因となったり、睡眠時に短時間呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸」が起こる場合があります。
5.口呼吸
鼻が詰まってしまうことで口呼吸になり、口臭がきつくなったり、虫歯・歯周病などにかかりやすくなったり、のどや呼吸器の感染や炎症を起こしやすくなってしまいます。
6.アデノイド顔貌
成長期に口呼吸を続けていると、アデノイド顔貌という特有の顔つきになってしまうことがあります(歯並びがガタガタになる、出っ歯になる、唇が厚くめくれあがる、顎の発達に異常が生じる、など)。
7.全身症状
<発育障害>
アデノイド肥大によるのどの痛みで十分に食事が摂れなかったり、呼吸をするのに努力を要したりすることでエネルギーを消費し、体重が増えないなどの発育障害が現れる場合があります。また、睡眠時無呼吸によって十分に睡眠が取れないことも発育に影響が出ると考えられます。
<おねしょ・夜驚症>
睡眠時の無呼吸が起こることで睡眠が浅くなり、おねしょや夜驚症(夜中に突然泣き叫んだりする睡眠障害)が起こる場合があります。
<漏斗胸・鳩胸>
口呼吸を続けることで、漏斗胸や鳩胸など胸郭の変形を引き起こすことがあります。
<注意力散漫・集中力欠如>
睡眠時無呼吸により、夜中に頻繁に目が覚めてしまうことで睡眠不足となります。また、血中の酸素濃度も低下するため、日中も眠くてボーッとしてしまい、物事に集中できなかったりすることで学業や仕事などに影響が出ることがあります。
<頭痛>
睡眠不足から頭痛になることがあります。
<心不全・肺高血圧症>
重度の呼吸障害が長く続くと、心臓や肺に負担がかかってしまい、心不全や肺高血圧症を引き起こすことがあり、命に関わる場合もあります。
アデノイド増殖症の手術・治療は?
アデノイドが感染によって一時的に腫れてしまって体の他の部位に症状を起こしている場合には、炎症をしずめたり、抗生剤による治療で治る見込みがありますが、アデノイドが常に肥大した状態で慢性的な症状を引き起こしている場合には、アデノイドを切除する手術を勧められる場合も少なくありません。アデノイド切除手術については④アデノイド切除術についてをごらんください。
アデノイド手術後のケアは?
アデノイド手術が終わった後、順調な回復のために気をつけなければならないことがあります。手術が終わった後にはどのようなケアが必要でどんなことに注意が必要なのでしょうか。
術後の注意点
<出血に気をつける>
アデノイド切除術の後、当日や数日たってから手術した部分から出血することがあります。傷口が喉の方に開放していますのでさまざまな刺激を受けやすく、なるべく安静にしていなければならないのですが、特に子供の場合、家ではなかなか安静にしていることができず、再出血の危険性が高まります。また、出血しても飲み込んでしまっていて周囲が気づかず、大量出血してしまっている場合もあります。そのため、万が一大出血などがあった時にとっさに対処できるように、という理由から数日~1週間ほどの入院をしなければならない場合が多いようです。
<感染予防に注意を払う>
アデノイド切除後は傷口からの感染予防をすることが重要になります。そのため手術が終わった後は抗生剤の点滴を1~2日行い、その後は飲み薬の抗生剤を飲むことになります。しかし、清潔を保つことが難しいため、感染が起こって、1日~2日熱が出ることがあります。
<痛みのコントロール>
手術後は痛みが出てきますので、痛み止めを使っての痛みのコントロールが必要になります。
<食事に注意する>
食事に関しては、手術後はまず水やお茶などの水分から始め、プリンなどやわらかいものへ、その後はだんだんと固形のものへと変えていき、手術後2、3日くらいには普段通りの食事が食べられるようになります。
退院後の注意事項
<安静>
再出血防止のため、退院してから1週間くらいは安静を保つようにします。保育園や幼稚園や小学校へは1週間の安静の後に行かせるようにしましょう。
<入浴>
体が温まりすぎるとよくないため、退院後すぐは湯船に長く浸かるようなことはせず、シャワー程度で済ますようにしましょう。
<食事>
退院後は硬いものや大きな塊は避け、やわらかいものを食べるようにします。辛いもの、塩気の強いもの、酸っぱいものなどは傷にしみることがあるため、味付けは薄めのものを食べるのがよいでしょう。
アデノイド増殖症の予防はできる?
アデノイドの肥大は特に原因もなく起こることがあるため、アデノイド増殖症を100%予防することは不可能です。しかし、アデノイドは感染症によって炎症を繰り返すことで増殖する場合があるので、風邪を引いたら鼻をこまめにかんだり、鼻を洗浄するなどして、鼻の炎症を長引かせないようにすることが大事です。
<症状をきちんと知っておくこと>
また、アデノイド増殖症の症状をよく知ることで、早めに異常に気づき、症状が悪化する前に早めの対処を行うことが大切です。「鼻が常につまっている」「耳が聞こえづらい」「よく中耳炎になる」「いびきがひどい」というようなことを放置していると、お子さんの健全な発育を阻害することになったり、骨格が変形したり歯並びが悪くなることで顔つきが変わってしまったり、全身疾患を招く原因にもなりかねません。もしも疑わしい症状があるようであれば、耳鼻咽喉科で相談してみましょう。