そもそも根尖性歯周炎とは何ですか?
根尖性歯周炎とは歯根の尖端の周囲にできる病気の総称で、歯根膜炎や根尖病巣とも呼ばれています。歯根肉芽腫や歯根嚢胞などがこれに当てはまります。根尖性歯周炎は症状、病態によって、慢性根尖性歯周炎と急性根尖性歯周炎に分けられます。
根尖性歯周炎の症状について
慢性根尖性歯周炎
この状態の時は、ほとんど自覚症状を感じません。あるとしても強い痛みは感じず、根の尖端部分の歯茎に膿の袋ができていることで異常に気づいたり、歯科医院でたまたま口の中のレントゲンを撮った際に写り込んでわかることが多いです。
急性根尖性歯周炎
この場合は非常に強い痛みを伴うことがあります。時に、非常に痛いことで知られている歯の神経の炎症(歯髄炎)よりも強く痛む場合もあり、歯の痛みの中では最強の痛みと言ってもよいほどです。痛みの出方としては、まず噛むと違和感を感じたり、噛むと痛かったり、歯が浮いたような感じがします。歯の尖端部分の歯茎を押すと痛んだりもします。その後放置していると少し舌が触れるだけで痛くなったり、何もしなくてもズキズキ痛み出します。歯茎や顔が腫れることもよくあります。
根尖性歯周炎の診断方法について
根尖性歯周炎を起こしているかどうかは、「歯をコンコンと叩くと痛い」「噛むと痛い」などの症状、また、通常レントゲンを見れば診断がつきます。レントゲン上では根尖性歯周炎を起こしている部分は黒く抜けて見えます。これはその部分の骨が溶けてなくなってしまっていることを表しています。ただし、歯周病でも同じような症状、しかもレントゲン上でも区別がつきにくいことがあり、原因をはっきりさせていく必要があります。通常、歯の神経は処置されてすでにないか、あっても死んでしまっているため、通常「温度でしみる」という症状はありません。
根尖性歯周炎の原因について
原因はおもに二つあります。
- 虫歯が進行して歯髄炎を発症し、その感染が根の中を進んで歯根周囲に達してしまった
- 神経を治療済みの歯で、治療をした部分にばい菌が残っていて歯根周囲に広がってしまった
とくに2の場合、治療をしてから何年も経ってから起こることがよくあります。患者さんにしてみれば「なんで神経とったのに痛いの?」と不思議に思うパターンです。
根尖性歯周炎の治療法について
根尖性歯周炎は自然には治りませんので、根の治療(感染根管治療)が必要になります。急性症状を出している場合は、まずは膿を出したり、投薬などでその鎮静化を図り、その後原因となっている根の中の消毒を行います。しかしそれだけで治らないケースもあり、その場合は外科的に病巣部分を取り除いたり、最悪の場合は抜歯になるケースもあります。
一般的な治療手順
- 詰め物などを外す
- 根の中に詰まっている薬があれば取り除き、器具で機械的に清掃、薬品などで消毒
- 症状が消えるまで消毒を繰り返す
- 根の中に緊密に固形の薬を詰め、土台を入れたのちに被せ物をする
※もしもこの治療法で病巣がなくならない場合には外科的に病巣を切除、または抜歯
治療期間は、平均的な場合、数ヶ月に及びます。根の状態が良くならなければかぶせたりすることができないため、根気のいる治療となります。痛みは急性症状が取れれば、かなり和らぎますが、治療中で仮蓋をしている段階で、膿が押してきて強く痛む場合も中にはあります。
根尖性歯周炎を放置するとどうなりますか?
根尖性歯周炎を放置すると、下あごの場合、感染・炎症が骨や周囲の組織に広がって蜂窩織炎となって生命を脅かす状態になったり、上あごの場合は歯性上顎洞炎といって、副鼻空のうちのひとつである上顎洞に炎症が波及して、歯だけの問題ではなくなる場合もあります。また、歯根の尖端に膿の袋があると、そこに存在する細菌が血液によって全身に回り、心臓弁膜症、リウマチ熱、急性腎炎などの病気を起こすことがあるのも分かっています。
その他、根尖性歯周炎について知っておくべき情報があれば教えて下さい
根尖性歯周炎で見られる骨吸収像(レントゲンで黒く影になっている部分)は治療を行ったからといって、すぐになくなるわけではありません。通常は治療をした後、骨ができた像が見られるようになるには数年かかることもあります。それゆえ、治療を行った後には定期的に骨の状態を経過観察していく必要があります。
歯科医院を転院した場合
同じ歯科医院でずっと見てもらう場合だと、経年的な変化を担当医に確認してもらうことができますが、もしも歯科医院を転院する場合などがあって、レントゲン上で根の治療をした場所の黒い影を指摘されるようなことがあったら、「いつ頃根の治療をしたばかりで経過観察中である」ということをきちんと説明できるようにしておいたほうが良いでしょう。そうでなければ、根の治療をした後に骨が回復中であったとしても「感染がある」とみなされ、無駄な治療をされてしまうことにもなりかねません。自分の歯を守れるのは自分です。もし思い出せないような場合は、前にかかった歯医者に電話をして確認を取ってみるのも良いでしょう。
根尖性歯周炎について まとめ
最後に根尖性歯周炎について重要な点をおさらいしておきましょう。
そもそも根尖性歯周炎とは
- 歯根の尖端の周囲にできる炎症の総称
根尖性歯周炎の症状
- 慢性根尖性歯周炎→ほとんど自覚症状はなし。
- 急性根尖性歯周炎→非常に強い痛み。歯茎や顔の腫れ。
根尖性歯周炎の原因
- 虫歯が進行し、歯髄炎を発症し、それが根の中を進んで歯根周囲に達した。
- 神経を治療済みの歯にばい菌が残っていて、それが歯根周囲に達した。
一般的な根尖性歯周炎の治療手順
- 詰め物などを外す。
- 根の中に詰まっている薬があれば取り除き、清掃・消毒を行う。
- 症状が消えるまで消毒を繰り返す。
- 根の中に緊密に緊密に固形の薬を詰め、土台を入れたのちに被せ物をする。
根尖性歯周炎を放置するとどうなる?
- 歯だけの問題ではなくなり、最悪の場合命に関わることもある。
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