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歯のおでき、フィステル(内歯瘻、瘻孔)の正体と治療法を歯科医師が解説します。

2015年09月08日 12時45分
歯にできたおできのことをフィステル、瘻孔(ろうこう)、内歯瘻(ないしろう)と呼びます。実はこのおでき体が発している緊急サイン!歯にフィステルが出来たら注意すべきことをお伝えします。

歯のおでき、フィステル(内歯瘻、瘻孔)の正体と治療法を歯科医師が解説します。

突然歯茎のところに「おでき」のようなものができた経験のある方はいるでしょうか。その「おでき」が身体が疲れていたり、体調不良になった時に現れたり、一時するとまたなくなっていたり…。何度も出ては引っ込んでの繰り返し…それが「フィステル」です。フィステルとは、歯の先端に溜まった膿が歯茎から出てくるための穴です。膿が先端に溜まるとフィステルができ、膿が出終わると穴が閉じてきます。なので、何度も何度も歯茎に「おでき」のようなものが繰り返し現れてくるのです。

フィステルの特徴

フィステル

フィステルは膿を排出する穴のため、何度も同じ部位に「おでき」のような赤い斑が現れます。体調不良等身体に疲れが出ている時に現れやすいです。また、フィステルの周りの歯茎を指等で押さえると、白っぽい膿が出ることがあります。また、患者さん自身も膿のようなくさい臭いを感じることがあります。

フィステルに似たもの

口内炎

歯茎 口内炎

(口内炎の治し方や、原因を知り、早く治す方法)

 

フィステルによく似たもので口内炎があります。フィステルは何度も同じ部位にできるのに対して、口内炎は粘膜のどの部位にも現れます。また、フィステル自体は「穴」のため、触れても痛みを感じることはないですが、口内炎は痛みを伴います。また、見た目もフィステルは赤い「おでき」の様なので判別しやすいかと思います。

骨隆起

骨隆起

(山田歯科医院Blog)

骨隆起は歯茎の部分が盛り上がった形状になるため、フィステルに似た部分がありますが、骨隆起は骨がコブのように出っ張ったもののため、触れても痛みは感じませんし、とても硬いです。歯ぎしりやくいしばりが強いと負荷のかかっている所の骨が変形し、骨隆起になります。骨隆起自体は治療の必要がありませんが、他の治療を行う際に邪魔になる場合もあります。

 

フィステルを放置するとどうなるか

フィステルができてしまうということは歯の先端に膿が溜まっている状態です。原因となる患歯を治療しなければ、フィステルはずっと繰り返します。また、膿は歯を支えている骨を溶かしてしまいますので、場合によっては歯を抜歯する必要がでてきます。

痛みはある?

フィステル自体に痛みをかんじることはありませんが、体調不良等で身体が疲れている時などは鈍痛をかんじることもあります。
ただ、フィステルができた原因が歯根の破折やヒビが入ったことによるものの場合は、噛んだり押さえたりすると痛みが生じます。

どこにできやすいか

フィステルができる部位は歯根の先端近く、上顎の場合は歯茎の上、下顎の場合は歯茎の下の部分にできます。

 

フィステルができる原因

歯根破折・ヒビが入っている

一度神経の処置を行うと、歯は脆くなります。神経の処置後何らかの力が加わったことで歯根が割れてしまい、フィステルができます。何度も神経の処置を行っている歯や神経の処置後土台に金属のコアを入れると(保険治療で被せ物を行うと金属の土台になります)、歯根破折しやすくなります。また、咬合力が強い方や歯ぎしり、くいしばりのある方も奥歯の歯根にヒビが入りやすくなります。

神経が死んでいる

深いムシ歯治療を行った際に、神経ギリギリのところで治療をすると神経がだんだん死んでしまうことがあります。ムシ歯治療を行ったにもかかわらず、ずっと治療をおこなった歯がしみる感じがある場合、神経が徐々に死んでいる可能性があります。完全に神経が死んでしまうと痛みも消えていきます。そして、症状がなくなった位でフィステルが現れます。
また、歯をぶつける等の外傷により神経が切断され神経が死んでしまうこともあります。

神経治療が不十分

歯の神経の治療は本来ならラバーダム(患歯の周りにマスクのようなものをかける)をして、マイクロエンドという歯科専用の顕微鏡を使い、使用する機材は全て滅菌されたもの、滅菌できないものは全て使い捨てで行う治療なのですが、きちんとそこまで行っている歯科はあまりありません。アメリカ等の海外では歯の神経の治療だけで約10万程度費用が必要に成る治療なのです。それが日本だと保険内の治療になりますので、きちんとした治療を行えている歯科が少なくなってしまいます。

そのため神経治療が不十分なまま治療が終わっていることもあります。また、神経の治療が難しい歯根の形状をしている、歯根を術者が見落としている場合、歯根の先端に膿が溜まり、フィステルができます。また、一度神経の治療を行ってもまたフィステルが再発する場合は神経の治療がうまくいかなかった可能性があります。

歯周病

歯周病が進んでくると膿が歯茎からでてきます。大抵は歯周ポケットの隙間から膿が出てくることが多いのですが、歯周ポケットが閉じている場合は、フィステルとなって膿が外に出てきます。

インプラント周囲炎

患者さんの中には、インプラントは作り物の歯なので治療やケアは必要無いと考えている方もいらっしゃいますが、インプラントがその後良好な状態をずっと保てるかどうかはケアの仕方にかかっています。インプラントも自分の歯と同じように歯周病にかかります。インプラントと歯茎の隙間から膿が出ることが多いですが、感染源が深いとフィステルが現れ、膿が出てきます。

 

フィステルの治療

治療方法は主に3つになります

①感染根管治療(神経治療)

膿がたまった歯に対して、歯の上からアプローチをする方法です。歯を削り、歯の神経の管をギザギザした針のようなもので掃除していきます。根管の掃除と洗浄を繰り返し、最後に薬を詰めて終わります。感染根管治療の治療回数は歯の状態にもよりますが約3〜4回程度必要になってきます。この治療期間中は1週間に1度来院が必要になってくるので、きちんと通院できる時に治療を開始することをお勧めします。途中で通院しなくなると歯根の中がまた感染する可能性があるため、治療がはじめからやり直しになってしまいます。

治療中の痛み

神経がもともと抜いてある場合や神経が死んでいる場合は痛みをかんじることはありません。ただ、少しだけ神経が残っている場合(前の神経治療がうまくいっていなかった場合や完全に神経が死んでいなかった場合)は刺されたようなズキっとした痛みが生じます。その場合は麻酔をかけて治療を行います。(ムシ歯治療に使用する麻酔と同じもの)

歯根端切除

歯の根の方からアプローチする方法です。感染根管治療がうまくいかなかった場合や歯根の形状が難しく神経治療に使用する器具が使えない場合等に行います。麻酔(ムシ歯治療に使用するものと同じもの)をかけて、歯茎を少し切開し(フィステルがある場合はフィステルの穴を少し広げるようにして行います)、膿を完全に取り除き、歯根の先端を切除します。治療回数は1回ですみます。そのあと、予後の確認や消毒で来院する必要があります。

治療中の痛み

治療中の痛みは麻酔が効いているのでありません。治療が終わってからは、痛み止めと抗生物質が処方されますのできちんと服用していただければ痛むこともありません。歯茎の穴もすぐに塞がってきます。

抜歯

歯根破折を起こしている場合や歯の根と根の間に膿がたまっており感染根管治療が不可能な場合、抜歯をします。歯根が2〜3本あるうちの1本が破折をしている場合は部分抜歯といい、悪くなっている歯根のみ部分的に抜歯を行うこともありますが、破折の仕方や大きさにより部分抜歯が適応かどうかが決まってきます。抜歯を行った後は、抜歯を行った歯の場所によりますが、部分義歯、インプラント、ブリッジの治療をおこない、欠けた部分を補います。「歯根が少し割れたりヒビが入っただけで抜歯しなくてはならないのか」と思われるかもしれませんが、割れたところを接着剤等でつけて戻すことはできません。早めに抜歯して痛みを取り除く方が一番良い最善の方法かと思います。

インプラント周囲炎の場合

インプラント周囲炎を起こしている場合、初期の場合はインプラント体の周りを洗浄して様子を見ますが、重度の場合はインプラントそのものを除去する必要が出てきます。インプラントが感染を起こすと、また元の状態に戻るのは自分の歯以上に難しいです。インプラント周囲炎を起こさないように、年に2〜3回はプロフェショナルケアを受けるようにしましょう。そして、少しでも違和感をかんじる場合は早めの受診がオススメです。

 

フィステルを防ぐ方法

フィステルを作らないようにする1番の方法は「早めの受診」です。歯根の先端に膿がたまるくらいムシ歯を放置したり、歯周病やインプラントを放置しないことがフィステル予防になります。
歯根破折やヒビ予防でできることは、咬合調整をしてもらうことです。過度に1箇所の歯にのみ負荷がかかっていると歯根破折の原因につながります。全体で噛めるように少し咬合調整を行うのもいいかもしれません。また、歯ぎしりやくいしばりの症状が出ている人は、ナイトガードを作成してもらったり、意識改善で食いしばらないようにすることが大切です。

 

フィステル 総まとめ

何度も繰り返す「おでき」のようなフィステルは生体が示してくれる歯の異常のサインです。「痛みを感じないから」「何度も繰り返すけど、ほっとくと消えているから」と長期間ほったらかし状態にするのではなく、少しでも異常を感じ取ったら早めに歯科受診するようにしてください。早い段階であれば、歯そのものを残すことが出来ても、手遅れになると抜歯しか手段がなくなっている場合もあります。また、自身では意識していなくとも、異常のある歯を自然と避けるようにして食事をとったりしているものです。右側の歯に異常が出ているのにほったらかしにしてると、必ず左側にその歪が症状となって現れてきます。他の異常のない歯に負荷がかかってしまう前に、早めの治療で症状をなくすようにしましょう。

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