虫歯って何が原因でできるの?
虫歯ができる誘発因子として「宿主と歯」「食餌基質」「口腔内細菌叢」「時間」があり、これらの因子が重なりあった時に虫歯が発生します。といっても、聞き慣れない言葉でなんだかよくわからない…と思ったそこのアナタ!安心して下さい、ひとつずつ丁寧に解説いたします。
1.【宿主と歯】
《唾液の質・量の減少》
唾液には虫歯を予防するために「洗浄作用」「抗菌作用」「緩衝作用」「歯の再石灰化促進作用」等があります。唾液の量が薬や体調の変化で減少していたり、唾液の質がネバネバした状態だと虫歯になりやすい状態になります。
《歯質が未成熟な場合》
生えたての時は「幼若永久歯」といい歯の石灰化が不十分な状態です。生えてから約2、3年かけて強い成熟した歯に変化します。この成熟するまでの間は虫歯になりやすくなります。
《歯の形態と位置が悪い》
歯並びが悪い場合や歯の溝の深さによっては虫歯になりやすくなります。歯並びが悪いとそれだけセルフケアが難しくなるため、きちんとプラークを落としきれずにその部分が虫歯になってしまいます。
2.【食餌基質】
《糖類の摂取回数・摂取様式》
虫歯を最も誘発するものとして糖類、特に二糖類のスクロース(ショ糖)になります。このショ糖をどれだけ摂取しているか、またどのように摂取しているかで虫歯のなりやすさは変化します。1日に何度もこまめに糖類を摂取しているとそれだけ虫歯になりやすくなります。
3.【口腔内細菌叢】
《ミュータンスレンサ球菌》
赤ちゃんの時、虫歯菌はお口の中に存在しません。しかし、乳歯が放出する時期である生後19〜31ヶ月の間虫歯菌を持っている大人から唾液を介して虫歯菌に感染してしまいます。この虫歯菌をミュータンスレンサ球菌といい、この虫歯菌がどれだけ活動しているかで虫歯になる率が変化します。
《プラークとバイオフィルム》
掃除をしていない排水溝の中にツルッとした膜のようなものができると思います。それがバイオフィルムで、お口の中にも細菌がコロニー状に凝縮して膜をはっています。プラークが成熟していくと虫歯病原性の高いバイオフィルムとなり、虫歯に対する抵抗性のある唾液や抗生物質も効果がなくなっていきます。要は、お口の中が汚れた状態を何時間も継続すると虫歯になる可能性が高くなるということです。
4.【時間】
《食事や間食の摂取時間》
何も食べていない時、口の中は中性に近い弱アルカリ性に保たれています。それが食事や間食によって酸性になり、やがて歯からミネラルが溶け出す「脱灰」という現象が生じます。その後、しばらく時間が経つと、唾液の働きによって、口の中は再び中性に戻る(「再石灰化」という)、というのが一連の流れです。つまり、ダラダラ食べをしていると、「再石灰化」をする時間がなくなり、虫歯になる危険性が高くなってしまうのです。
虫歯の原因菌はどんなもの?
主な虫歯の原因菌はミュータンスレンサ球菌で、この原因菌は水に溶けにくく、粘着性の強いグルカンを合成し、歯面に付着してデンタルプラークを形成します。歯のバイオフィルムであるデンタルプラークにはミュータンスレンサ球菌以外の歯に付着能の低い多数の口腔内細菌も一緒にコロニーを形成していきます。
一般に「歯くそ」等と呼ばれる食物残渣とは違う匂いのある黄色や白っぽい汚れはこのデンタルプラークのことで、細菌の塊になります。
この原因菌が糖類を基質として歯を溶かす酸を産生し、歯の表面を脱灰し溶解させていきます。
虫歯の原因となる食事はどんなもの?
虫歯を最も誘発させるものは、二糖類のスクロース(ショ糖)になります。これは他の単糖類のグルコースやフルクトース、他の二糖類であるラクトースやマルクトース、多糖類より虫歯誘発性が高いです。このショ糖を多く含む食品は、砂糖、さとうきび、テンサイ等でこれらを使用して作られた食事は虫歯を誘発させやすいです。
虫歯の原因に砂糖が大きく関係している?
虫歯の原因菌は砂糖を基質に酸を産生するため、砂糖と虫歯は大きく関係しています。砂糖を含む食事をどれだけの量摂るか、時間や1日に摂る回数、歯面に停滞しやすい形状のものかどうかによって砂糖と虫歯の関係性は変化します。1日の間に何度も砂糖を多く含む食事をとり、歯磨きをしないまま歯面にそのまま付着し続けると虫歯になってしまいます。しかし、砂糖の消費量が増加しても様々な虫歯予防対策を行うと虫歯になる率との間に相関がみられなくなります。砂糖を含む食事をしてもそのあとキチンと歯磨きを行い、歯面に停滞させなければ虫歯にはならないということです。
ストレスが虫歯の原因になるってホント?
人前で発表をする等緊張している時喉が渇いた経験はありませんか。ストレスが多くかかると唾液の分泌量が減少してしまいます。唾液にはとても優れた様々な機能が備わっており、唾液の分泌量が減少するとその機能が十分に生かされず、虫歯になる率が増加していきます。
虫歯が原因で命を落とすこともあるの?
虫歯を長期間放置して虫歯が末期の状態になると歯を支えている骨まで虫歯菌が到達し骨髄炎を起こします。このころになると、血液を介して虫歯菌が全身に回っていきます。健康な人であれば、多少虫歯菌が全身をめぐっても身体の防御反応で重症化することはありませんが、糖尿病の方や免疫機能の低下している方、疲れや体調不良のある方は細菌感染に勝てず、感染性心内膜炎や脳腫瘍等のケースになり命を落とす方もいます。
虫歯の原因について まとめ
最後に、虫歯の誘発要因をおさらいしましょう。
- 「宿主と歯」
- 「食餌基質」
- 「口腔内細菌叢」
- 「時間」
いかがでしたか?これらは、ほんのちょっと意識を変えることで改善できるものばかりです。この記事が、皆様にとって今一度ご自分の歯について考えるきっかけであったなら、非常に嬉しく思います。どくらぼでは、今後とも役立つ記事を提供してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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