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なぜ日本人は世界最長寿国でありながら、歯抜け・寝たきり大国になったのか。予防歯科を知らない哀れ日本人

2015年09月04日 11時30分
スウェーデンが35年間続け、日本が未だに着手できずにいること。それは予防歯科です。寝たきりから脳疾患まで、予防歯科に取り掛かれていない日本は世界でも有数の不健康国になっています。長生きしたければ、スウェーデンを見習う必要があります。

なぜ日本人は世界最長寿国でありながら、歯抜け・寝たきり大国になったのか。予防歯科を知らない哀れ日本人

現在、日本人の平均寿命は女性が86歳、男性が80歳で、ともに過去最高を更新しています。女性の平均寿命に至っては3年連続NO.1で男性も3位となっており、世界でも有数の長寿国だということは私達の誇りです。 

しかし、こうした嬉しいニュースの裏側にはとても悲しい事実が隠されていることをご存知でしょうか。世界でも有数の長寿国である日本人は、同時に世界でも有数の「歯がない」歯抜け大国という烙印を押されていたのです。

厚生労働省が行なっている調査によると、80歳の日本人の平均残存歯数(残っている歯の数)はたったの6.8本。これは、アメリカの85歳15.8本、スウェーデンの75歳19.5本(いずれもサンスター調べ)と比較しても非常に少ない数字となっています。

予防歯科

予防歯科を知らない日本人だけが苦しい余生を送っている

私達日本人にとって、歳をとることと歯がなくなっていくことは当然のように比例していると考えています。テレビCMでは入れ歯安定剤の宣伝が当然のごとく流れ、入れ歯は老人の代名詞となり、そのことを誰も疑問にすら感じません。歳をとるということと歯がなくなることは切っても切り離せないことだと考えています。歯がなくなって入れ歯の不具合に苦しむ日が来ることを私達は本能的に悟っています。

老人には歯がないことが常識となっている日本は世界から見ると異常な国

 

しかし、歯がないことで引き起こされる弊害は入れ歯が合う合わないという表面上の問題だけではなく、人生の最後をいかに幸福に終えるかという「生き方(クオリティ オブ ライフ)」の問題に直結します。日本歯科医師会主催の口腔保険シンポジウムで行われた講演によると、歯がある人、ない人で人生の終末に大きな差が出ると述べています。

具体的には

  • 歯がなくなることで全身疾患(脳梗塞・心筋梗塞等)のリスクが上がり、短命になる
  • 歯がなくなることで消化器系の癌の発症率が上がる
  • 歯がなくなることと認知症は繋がっている。
  • 歯がなくなることで誤嚥性肺炎(90歳以上の場合は癌よりも死亡率が高いというデータも)のリスクがあがる。

つまり、歯がないことで健康に生きていられる可能性が低くなり、死のリスクが高まるということが近年明らかにされてきているのです。また、歯がないことは死のリスクを高めるだけではなく、日本が抱える大きな問題、“寝たきり”と密接に関わっているのです。

 

歯無し大国である日本は寝たきり大国でもある

厚労省が2007年に発表しているデータによれば日本人が寝たきりになる原因の1位は脳血管疾患であり、2位は認知症です。200万人いると言われている寝たきり老人の半分がこのいずれかを原因とし、寝たきりをスタートさせているのです。つまり、歯がないことで引き起こされる疾患と寝たきりの原因となる疾患は同じなのです。脳血管疾患や認知症を患い、死に至るその日まで、そのまま寝たきりになってしまうという典型的な日本人の終末期のスタートラインに「歯を失う」という原因があるのです。

しかし、死のリスクや寝たきりになるリスクといった事実がわかっているにも関わらず、日本人は歯について無関心を貫いています。その根底には日本人と歯医者さんとの距離間の問題が根付いています。

 

歯医者さんに“通う”という発想がない取り残された日本人

各国で、定期的に歯科検診・クリーニングを受けている人の割合を長崎大学が調べた結果、スウェーデンの受診率90%以上、アメリカ80%に比べ、日本は2%と極端に遅れていることが判明しました。日本人にとって歯医者さんは救急病院とおなじ場所、つまり痛くなってから行く所と考えられているため、このような結果になっています。しかし、世界では痛みを事前に防ぐ「予防歯科」の考えが常識となっているのです。

世界でもワーストクラスに歯医者さんに通う習慣がない日本人(北久米どい歯科)

 

痛くなってから歯医者に行き治療、数年後再治療、数年後抜歯で入れ歯に。

痛くなってから歯科医院に通うということは、ある程度虫歯が進行しており、そこまで進んだ虫歯治療は削る・かぶせるの治療になることが多いです。一度削った歯はもろくなり、細菌が入りやすくなってしまうため、抜歯への悪循環がはじまります。一本でも抜歯してしまうと、そこから一気に総入れ歯への下り坂を駆け下りることになります。痛くなってから歯医者にいくという文化が根づいた結果、日本における80歳以上の総入れ歯装着率は6割以上という残念な結果となっています。

早い人で30代で総入れ歯になる人も。(ながせデンタルクリニック )

では、歯を失ってしまう日本とそれ以外の国ではどのような差があるのでしょうか?答えは簡単です。「予防歯科」に力を入れているか否かの違いのみです。

 

国をあげて予防歯科に取り組んでいるスウェーデン

スウェーデンはもともと「社会科学の実験国家」とも言われるように、無駄なく効率的な社会システムを作ることに尽力している国家であるため、医療システムも例外ではないです。高福祉を実現するための財源を捻出するためには医療費の削減が必要とみた政府は、罹患率の高い歯科疾患の徹底的な予防に目を付けました。そのため1960年代から大規模な調査と研究が行われ、1970年代に国家プロジェクトとしての「予防歯科」を大々的に発動。今や歯科疾患がもっとも少ない世界の中でもトップクラスの歯科先進国となったのです。

予防歯科

インプラント治療を発明した歯科の権威、ブローネマルクもスウェーデン出身

 

スウェーデン人にとって歯医者さんは好きな人・憧れの人

国家として予防歯科に取り組んできたスウェーデンでは、人々の歯科に対する考え方が日本とは全く違います。日本では歯医者というと「痛い、怖い」というイメージを持つ人が多いのですが、スウェーデンではそんなことを言うと怪訝な顔をされてしまうとのこと。彼らは小さい時から定期的に歯医者に通い、歯医者は気持ちがよくなる、楽しい事を教えてくれる場所という意識を持っているのです。

痛くなる前に予防をするから、歯医者さんは怖い所・嫌いな所ではない。(高田歯科クリニック)

 

 

では、実際にスウェーデンではどのような予防歯科が行われているのでしょうか具体的に見て行きましょう。

 

スウェーデンでは歯科治療が無料

1960年代から70年代にかけての研究の結果、歯科疾患の予防におけるプラークコントロールの重要性が認識されはじめました。「すべての国民に平等に予防と治療機会を」という目的で設立された公立の医療サービス機関で、国民全員が定期的にプラークコントロールや治療を受けられるシステム。しかも20歳未満の国民は、チェックも治療も無料となっています。

矯正治療も無料

 

また、子どもの歯磨きについては、出産前から歯科医師による両親への指導が行われ、生まれてからは歯が生え始める頃の乳児からチェックアップが義務付けられています。このように、子どもの時から歯の健診は当然のこと。歯の健康づくりが生活習慣の一部としてしっかりと定着しているのです。

予防歯科

生え始めの歯からケアするため、歯科医院と国民との距離が近い。

 

 

なぜ日本の歯科治療費は無料じゃない?そもそも治療費が不明確すぎ!とお考えのアナタに。

関連記事:日本の歯科、治療費の裏側

 

一人ひとりの歯の状況に応じて予防歯科プログラムが構築される。

国が行なう医療サービスというと、ワンパターンのお役所仕事というイメージがありますが、スウェーデンの予防歯科は全くそうではありません。ひとりひとりの状態によって指導の内容やケアの頻度、歯間ブラシやフロス等の指定される道具も違い、疾患のある人に対しては専用のプログラムが組まれるという徹底ぶり。 各方面の徹底的な予防システムの甲斐あって、1979年には80%もあった3歳児の虫歯保有率が、6年後には4%に減少するというめざましい成果がみられました。

スウェーデンは税率が高いというデメリットもありますが、歯科治療を始めとした充実した社会保障が個人消費を支え「強い経済・強い財政・強い社会保障」の3つを実現しています。

歯がない 予防歯科

スウェーデンは2013年のOECD発表の幸福度が高い国でも世界一になっている。

 

スウェーデンと日本で寝たきり老人の数は8倍の差が。

少し古いデータになってしまいますが、厚生省の発表によると65歳以上の長期ケア入所者のうちスウェーデンは4.2%が寝たきりであるのに対し、日本では33.8%が寝たきりであり、その差は8倍も開いています。終末期への治療の違いなどもありますが、日本人はスウェーデン人と比較し、歯が少なく寝たきり老人の数が多いということははっきりしています。

歯がない 予防歯科

日本人と比べ寝たきり老人が少なく、残存歯数が圧倒的に多いスウェーデン人

 

スウェーデンのように、予防歯科に力を入れる取り組みは日本では不可能なのでしょうか?今度は日本の予防歯科事情を見て行きましょう

 

予防歯科は後回しにされている日本歯科業界

日本は国民皆保険制度という、実際の医療費の1~3割負担で済むという素晴らしい制度があります。しかし、歯科治療においてこの保険制度は「治療」に主軸を置かれています。つまり、「痛みが出てから治療を行う分には保険対応」という形式になっているのです。

こうしたルールの元、私達日本人は「歯科医院は痛くなった時に治療してもらう場所」という考えが根付いたのです。歯科医としては歯を多く削れば削るほど治療費が入ってきたので、「いかに治療するか」が大切にされ「いかに予防するか」は後回しにされてきたのです。

 

痛くなってからの治療では、すでに結果は見えている

予防をないがしろにしてしまった日本人の歯の結末は冒頭話したとおりです。高齢者に入れ歯は日本の文化として定着し、歯医者は痛い治療を行う怖い場所というイメージが万人に刷り込まれました。世界でも有数の長寿大国にも関わらず、歯がなく寝たきり老人の数が非常に多いのが現代日本の特徴です。

しかし、こうした日本の状況に対し、歯科業界は今、大きな変革の時期を迎えています。2012年に厚生労働省から「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」が報告されるなど、「予防歯科」を推奨する機運が高まっています。治療を中心に添えていた歯科医院は予防中心へと舵を切り、「痛みが出てからの治療」ではなく「痛みを出さないための予防」という考え方を持つ歯科医院が少しずつ増加しています。

予防歯科

予防を中心に行う歯科医院が少しずつ増えている。(丹野歯科医院)

 

歯科医院の頑張りだけでは無意味。日本人の意識改革が求められている

日本の置かれた状況を変化させるべく、歯科医院は少しずつ変化してきています。しかし、歯科医院側の頑張りだけでは限界があります。私達一人ひとりが歯医者さんに持っている偏見をなくしていく努力も大切です。スウェーデンに生まれなかった私たちでも、自分の意識から変えていくことで、自分の歯と将来を守ることは可能なはずです。歯医者を怖がるのはやめて、トラブルが起こる前に定期的に訪れる習慣をつけるのはいかがでしょうか。80歳の自分が健康で、美味しく食べ、最後まで楽しく笑っていられるための、ちょっとした投資です。定期健診の習慣を持つだけでその後の人生が大きく変わります。

歯医者さんに「検診をお願いしたい」と予約すれば歯科医院側も喜んで応じてくれます。

痛みがあるときだけの人と定期健診の習慣を持っている人で残存歯に大きな差が。(さかの歯科 )

 

 

歯医者さんに行く前に、しっかりと良い歯医者さんの選び方も知っておきたい方のために。

関連記事:2015年の良い歯医者さんの選び方

 

 

予防歯科と一人ひとりの意識改革で日本人の歯は変わる

国家レベルでの予防歯科がまだまだスウェーデンのように推進されていない現状では、自分で自分の予防をしっかり行うことが大切です。必要なのは、正しい知識と、歯科医院でのプロケア+自宅でのセルフケアの両輪でしっかりケアすることです。

じつは、1日の歯磨きの回数を比べると、なんとスウェーデンよりも日本の方が多いという調査結果が出ています。ここからわかるのは、自分のケアを時々プロの目で診てもらい、それをフィードバックして改善することではじめて効果が上がるということです。元来、日本人は清潔好きな民族です。だからこそ、テレビでは電動歯ブラシの特集が組まれ、デンタルグッズ市場は数千億円に達しています。そんな真面目で前向きな力を成就させるために、歯科医院と協力し、正しい知識を身に付けいつまでも健康で丈夫な歯を手に入れるべきです。勤勉で真面目な日本人はスウェーデンに匹敵する、いや、スウェーデン以上に丈夫で健康な歯を手に入れられるはずです。日本人全員の歯がいつまでも丈夫で、最後の時まで健康でいられることを目指して、まずは私達の意識から少しずつ変えてみてはいかがでしょうか。

 

情報を得ることは難しいことではない

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歯科・医療業界ほど、皆様の努力が世の中に届いていない業界はないのではないかと私は個人的に考えています。私は元々歯科について無知の人間でし た。しか し、いつのまにかこの世界に浸っており、日々勉強させていただいております。この業界について素人だったからこそ世の中と皆様の架け橋になれると思い、情 報を発信しております。

今後とも、何卒よろしくお願い致します。

今回は最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

 

 

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