舌癌の症状について
舌癌の代表的、一般的な症状について
舌癌の症状にはどのようなものがあるでしょうか。代表的な症状をあげていきます。是非ご自分の舌を見て、早期発見の手助けにしてください!
1.赤くなったり白くなっている
舌の表面が他の部分よりも白くなったり(白斑)赤くなったり(紅斑)します。見て明らかに他の色と違うのがわかります。
2.ただれたり、口内炎のようになっている
表面がただれたり(びらん)、口内炎のような潰瘍ができます。
3.違和感がある
歯や食べ物が当たると違和感を感じることがあります。
4.しこりがある
癌の周囲には硬くなったしこりを触れるようになります。
5.舌の縁にできることが多い
舌癌は歯の当たりやすい縁や舌の裏側に主に発生します。先端や真ん中にできることは稀です。
6.刺激すると痛む
食べ物が当たると痛みを感じたり、酸っぱいもの、塩辛いものの刺激が加わるとしみたりします。
7.出血する
ただれたり、潰瘍になったところから出血してきます。
8.味がわかりづらくなってくる
味覚の受容体である味蕾細胞がガン細胞によって破壊されると味が薄く感じられたり、甘み、塩味などの特定の味を感じにくくなってきます。
9.舌を動かしにくくなる
舌のしこりがだんだんと硬くなり思うように動かしにくくなってきます。
10.発音しにくくなる
舌が動かしにくくなることで、発音しにくく言葉が出づらくなってきます。
11.ものが飲み込みにくくなる
舌が動かしにくくなるので、ものを飲み込みづらくなってきます。
12.強い口臭が出る
癌によって細胞が壊死することで悪臭を放つようになってきます。
13.しびれや麻痺がある
ガン細胞によって神経が損傷され、しびれや麻痺がでてきます。
口内炎と舌癌は似てる?どう見分ければいい?
口内炎と舌癌は見た目がよく似ていて区別がつきにくいことがあります。癌なのに、口内炎だと思っていて放置された結果進行してしまう、ということは決して少なくありません。一般的に舌癌は口内炎と違って次のような特徴があります。
形が円形でなくいびつな形をしている
口内炎は境界がはっきりとした円形または楕円形をしています。それに対し、舌癌の場合はいびつな形で境界も不明瞭なことがほとんどです。
いつまでたっても治らない
口内炎は長くても2週間以内で治ります。2週間以上たっても治る気配が全く見られない場合は、口内炎の可能性は低いです。
血豆と舌癌は似てる?どう見分ければいい?
血豆が口の中にできるのは決して珍しくありません。誤って噛むとよくできるものです。舌に血豆のようなものができるとびっくりするかもしれませんが、舌も例外ではありません。舌に見慣れないものができると「癌ではないか?」とついつい思ってしまいがちですが、舌癌である場合には周囲が硬くなる特徴があります。そして表面はつるっとしておらずざらざらしていることが多いです。対して血豆の場合は周囲が硬いということもなく、つるっとした表面をしています。
しかし血豆(医学用語では血腫といいます)には悪性のもの(悪性血腫)の場合があります。血豆がずっと同じところにできて消えない、などということがあれば、医師の診察を受けた方が良いでしょう。
舌癌の中期以降の症状について、特徴や治療法を教えて下さい。
癌の進行につれて症状も強くなってくる
舌癌は初期の頃にはあまり症状を出さないものです。症状が進むにつれて周囲の硬い潰瘍が大きくなり、痛み、出血、悪臭、舌が動かしにくいというような症状が出てきます。また、リンパ節転移に関しては他の口の中の癌に比べて発生しやすく、初診時にすでにリンパ節転移を起していることも多いのが特徴です。
治療法について
舌癌の治療法は手術治療と放射線治療が主に行われています。化学療法(抗がん剤を使った治療法)もこれらの治療と組み合わせて行われることがあります。
手術治療は癌の進行程度によって切る範囲が変わってきます。また術後の後遺症もその程度によって大きく変わってきます。進行程度によって、部分切除、半切除(舌の半分)、全摘出などがあり、切る範囲が小さければ特に味覚や発音、食事などにその後影響はほとんど出ませんが、全摘出にもなると、味覚は残るものの、食べることが困難となるので流動食でなければ食べられなくなることもあります。また、リンパ節転移を起越すことが多いため、転移が明らかでなくても、頸部リンパ節郭清術が行われる場合もあります。
舌癌と似たような症状を有する違う病気もありますか?見分け方は?
舌癌と似た症状を示す病気はいくつかあります。代表的なものをご紹介します。
1.白板症
白板症では粘膜が白くなります。基本的には表面は平らで滑らかなのが特徴です。しかし盛り上がったり潰瘍になっている場合には舌癌との鑑別が難しくなります。白板症はのちに癌化することもあり、前癌病変(ぜんがんびょうへん)とも言われています。
2.扁平苔癬
赤くただれた部分に線状や網目状に白い部分がみられ、痛みを伴います。しかし、舌癌の場合はこのように平らな状態であっても線状や網目状にはならず、痛みも感じません。扁平苔癬も前癌病変でいずれ癌化することがあります。
3.乳頭腫
イボ状やカリフラワー状に隆起した表面の白い良性腫瘍です。色や形、粘膜の状態が画一しており、舌癌の不均一な状態とは区別がつきやすいのが特徴です。しかし、乳頭腫もまれに癌化することもあります。
4.正中菱系舌炎
舌の後ろのほうの真ん中にできる赤い膨らみで、舌乳頭がなくなって平坦な状態になっています。舌癌と違って痛みなどの症状はなく、大きさも変化することはありません。
5.紅板症
粘膜が周囲の粘膜に比べ明らかに赤くなっている状態で、粘膜の血管が拡張して赤くなります。白い部分が入り混じることもあります。膨らみや潰瘍がみられることもあります。境界がはっきりしており、初期の段階で刺激痛を感じやすいところが舌癌と違います。紅板症の50%がいずれ癌化する前癌病変です。
その他舌癌の症状で知っておくべき情報があれば教えて下さい
口腔癌の発生率と、認知度について
お口の中の癌の発生頻度は癌全体の1〜3%ほどで、多いものではありません。お口の中はよく自分でも見えるので、癌のような異変が起こればすぐに見つけられる、と考えられがちです。しかし、お口の中の癌というのは認知度が低く、また、口の中は噛んだり、やけどをしたりなどの刺激を受けやすく、口内炎などができることも珍しくないことから、異変が起こってもなかなか気付かれずに放置されてしまうことが多いのが現状です。
好発年齢と、男女比について
舌癌はお口の中の癌の中ではもっとも発生率が高く、好発年齢は50歳代後半です。近年、舌癌は年々増加傾向にあり、日本では2002年における舌癌の死亡者数は30年前の2.7倍にまで増加しています。男女比では2:1で男性に多く、他のお口の癌に比べて若年層での発症が多いことでも知られており、20代から発症することもあります。
リンパ節の転移に要注意
舌癌は初期に痛みなどの自覚症状が出にくく、舌の裏側にできることも少なくないことから見えにくかったりして、やはり発見が遅れがちなことが多いようです。これに加えて舌癌は特にリンパ節転移が早いことから、発見が遅れることはその後の予後に関わる非常に大きな問題であると言えるでしょう。
早期発見と、生存率・後遺症について
舌癌を含む口の中の癌は初期症状の段階で発見できれば、5年生存率は90%を超えるという報告もあります。また、この段階で治療することにより、90%以上は味覚や発音、などの機能障害を残さずに治療をすることが可能です。
反対に、発見が遅れれば遅れるほど、舌の機能を失うことになってしまいます。舌は味を感じる他に、噛む、飲み込む、発音するのに欠かせない器官です。これらの機能が失われてしまうと、治療後に社会復帰が困難になることもあります。
日常生活の中で舌のことを意識する、ということはなかなかないかもしれませんが、舌の異常を知るためには「自分の舌の健康的な状態」というものを知っておく必要があります。そのためには普段から意識して、歯磨きの時にでも自分の舌の状態を見る癖をつけておくことをおすすめします。
舌癌の症状チェック まとめ
最後に舌癌の症状について重要な点をおさらいしておきましょう。
<代表的な舌癌の症状>
- 赤くなったり、白くなったりしている
- ただれたり、口内炎のようになっている
- 違和感がある
- しこりがある
- 舌の縁にできることが多い
- 刺激すると痛む
- 出血する
- 味が分かりづらくなってくる
- 舌を動かしにくくなる
- 発音しにくくなる
- ものが飲み込みにくくなる
- 強い口臭が出る
- 痺れや麻痺がある
舌癌は初期段階で発見できれば、5年生存率は90%を越え、その大多数が味覚や発音などの機能障害を残さずに治療をすることが可能!
いかがでしたか。我々が運営しております”どくらぼ”には、他にも皆様の大切な歯に関する情報が盛りだくさんです!是非他の記事にも目を通していただき、正しい知識を身に付けてくだされば幸いです。今後とも”どくらぼ”を宜しくお願い申し上げます。最後までご覧頂きましてありがとうございました。
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