舌苔。(ぜったい)舌についている。白いコケのようなものである。舌苔は細菌の固まりだと言われており、口臭の原因になると考えられている。そこで、今回は日本歯科大学新潟歯学部附属病院総合診療科研究チームの答えをわかりやすくまとめます。
2005年度の研究になります。データが古いこともあるのでその辺りも加味してご覧ください。
研究チームの結論:舌苔除去が確実に口臭予防につながる
朝起きた時に、口臭が気になることはないでしょうか。この生理的口臭の原因は主に舌苔から発生されています。口臭の大きな発生源であるこの舌苔とは一体どのようなものなのだろうか。
舌苔とは一体何??
舌苔とはこのような舌に付着した白い物質で
その正体は口の中の粘膜細胞、細菌、食べかすが集まったものです。これは歯を爪楊枝で削った際などにとれる歯垢(プラーク)と同じものであり、細菌が非常に数多く潜んでいます。舌苔は誤嚥性肺炎の原因を作ったり、味覚障害を引き起こす等様々なトラブルを引き起こします。
細菌の集まりであるこの舌苔を除去すれば口臭が改善されそうなことは何となく想像できます。しかし、ここで頭の中にボヤっと疑問がわきますよね。
- 舌苔を除去した場合どの程度口臭が改善するの?
- 舌苔はどの程度の間隔でつくの?
- 毎日舌掃除しないといけない??
- 舌掃除にどんな器具を使えばいい?
歯磨きやプラークコントロールなどとは異なり、舌の掃除についてはあまり知られていないのが現実ですよね。そうした疑問の答えを出した研究がありますので見ていきましょう
舌苔除去実験に参加した23名の患者さんから見えた舌清掃の効果
舌苔除去実験に参加したのは日本歯科大学新潟歯学部を受診した110人の患者さんのうち23名の舌苔が認められた患者さんです。それぞれの患者さんに対して舌苔除去のための清掃指導を行い1か月後の状態を測定しました。
主な測定内容は以下の2つ
- 舌苔の付着度合い
- 歯科衛生士による、直接の口臭測定
舌の清掃については専用の歯ブラシを使用し、舌の根っこの部分から前方へ一方向で動かすように指導。
ブラシの圧力や回数は指定せず舌を観察して舌苔が見えなくなるまでと指導
1ヶ月間舌苔の清掃を行なった大半の舌苔が少なくなり、口臭が改善した
1ヶ月の舌苔清掃の結果は以下の通り
- 20名は舌苔が少なくなり、3名は変わらない
- 16名の口臭が改善し、6名が変わらない、1名は悪化
- 舌苔除去から再付着までの期間は半日~7日と個人差あり
また、舌ブラシについてのアンケートは
- 舌苔がよくとれる (11名)
- 舌苔がとれない (2名)
- 舌の奥まで届く (7名)
- 舌の奥まで届かない(5名)
- 舌が痛くない (8名)
- 舌が痛い (2名)
- 口の中がさっぱりした(13名)
- 口臭が改善した (10名)
- 吐き気がする (10名)
という結果だった。
舌苔と口臭の関係結論:舌苔除去で口臭予防に効果あり
23名の舌苔付着者全員に実験前、軽度から中度の何かしたの口臭が確認されましたが、舌清掃後は2名を除き口臭の改善が認められました。
また、舌清掃指導前はかなりの量の舌苔付着が認められた患者さんも数人いたのですが、清掃習慣を身につけることで付着度の大きな改善がみられました。
日本歯科大学新潟歯学部附属病院総合診療科研究チームの実験から個人差はあるものの、舌を清掃することで口臭の改善につながることが証明されました。
以下はどくらぼのリサーチによる舌苔清掃法の注意点やポイントをまとめます。
舌を清掃する際のコツと注意点
舌苔を除去するうえで、気をつけなければならないことは
- ゴシゴシ磨かないこと
- 力強く磨かないこと
- 硬いブラシで磨かないこと
- 歯磨き粉を使用しないこと
ゴシゴシと力強くみがいたり、硬いブラシで舌苔を除去しようとすると舌が傷つきヒリヒリしてしまったり、血が出てしまいます。傷がつくとそこに微生物や汚れがつきやすくなり更なる口臭や炎症につながってしまいます。また、舌を傷つけることで味覚や発音に障害が起こる可能性があります。
同じような理由から研磨剤が入っている歯磨き粉を使用すると歯を傷つけやすくなります。舌は水洗いで1日1回で十分です。
痛みが出るほど磨くと逆効果
舌清掃のポイント
- 軽くこする程度の圧で舌をなでるように磨く
- やわらかい素材で行う(専用ブラシやスポンジなど)
- タイミングは朝、頻度は多くても1日1度
柔らかく、優しく撫でるようにがポイント。いくらやっても舌が白い場合は何か他の原因があるのかもしれません。詳細はこちら
「舌が白い」は実は大病!?見逃してはいけない舌のSOSサイン
舌苔をつきやすくする習慣
舌苔がつきやすくなる生活習慣というものがあります。例を挙げると
- 辛いものの過剰摂取
- 舌が乾燥しやすい
- ストレスなどで唾液量が減っている
- 不規則な生活リズム
- アルコール過剰摂取
- タバコの吸い過ぎ
辛いものの摂取で舌に刺激が多いと舌苔がつきやすくなります。また、口内の乾燥も舌苔の増加に繋がります。さらには、アルコール・タバコの過剰摂取は唾液の減少につながり、結果として口内を乾燥させてしまいます。
食生活を改めるとともに、乾燥しやすい季節は加湿器やマスクなどで口内の乾燥を防ぐようにしてください。
舌苔を防ぐ習慣
まずは、日常生活と食生活の見直しからです。また今からすぐにでもできる事は
- よく噛む
- ガムを噛む
- うがいを頻繁に行う
- 水分をよく取る
などの口内の乾燥を防ぎ、唾液の分泌を促すことです。
また、民間療法になりますが
- パイナップルの摂取
- 蜂蜜の摂取
も舌苔を減らす方法としてよく伝えられます。これはパイナップルと蜂蜜にはタンパク質を分解する酵素が含まれており、タンパク質が多い舌苔を分解できるからという理由です。
舌苔まとめ
- 舌の白いコケのようなものは舌苔と呼ばれるもの
- これは細菌の固まりで口臭の元になる
- 実験によると舌苔を除去することが口臭予防につながる
- 舌の清掃も大切だが、やりすぎは厳禁
となります。
舌に関する悩みは歯医者さんの「口腔外科」という科が担当しています。舌で気になることがある場合は口腔外科に相談してみてください。
以上になります。最後までお読みいただき誠にありがとうございました。歯科情報サイトどくらぼでは歯にまつわる情報や健康・ロハス・美容などのお役立ちコンテンツを情報を厳選し毎日お届けしています。