舌には正しい位置があると聞いたのですがどういうこと?
実は舌には置くべき正しい位置があるのです。「別にどこにあったっていいじゃん?」と思うかもしれませんが、意外にとても大事なことなのです。
安静にしている時の
舌の正しいポジションは、舌の先端が上の歯の裏側のすぐ下の歯茎にくっついている
ことです。このポジションをスポットポジションといいます。このポジションに舌があれば、唾液やものを飲み込む時に舌が口蓋(口の天井部分)に密着します。
この位置に舌の先端がない場合は、舌癖があったり低位舌であることが考えられます。
<舌癖とは>
舌を前に出したり、舌で歯を押したりする癖のことです。このような癖があると歯並びや骨格を変形させたりする原因となります。
<低位舌とは>
舌があるべき位置よりも低い位置にある状態をいいます。 低位舌の原因としては、舌の筋力不足や舌癖、舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)、鼻炎などによる口呼吸などがあります。舌小帯短縮症とは、舌と下あごをつないでいるひも状のヒダである舌小帯が太くて短い状態を呼び、舌の動きが大きく制限されてしまいます。
舌が正しくない位置にあると歯並びが悪くなるって本当ですか?なぜ?
舌が正しくない位置にある場合、例えば舌癖があって舌で歯を絶えず押している場合、力が加わることにより、歯はだんだんと出っ歯になってきます。
成長期の時期に低位舌であると、上あごの成長がうまく行われずに下あごばかり押されることで、上あごは成長不全によって歯の生え切るスペースが足りずにガタガタの歯並びに、もしくは前に出てきて出っ歯になったり、また、下あごの方が前に出てしまう反対咬合になることがあります。
他にも舌の位置が悪いことで起こる不都合はある?
舌の位置が悪いと、健康面や美容面などに影響を及ぼします。その例を挙げていきます。
1.顔がゆがむ、たるむ
舌の筋力不足により二重あごになったり、歯並びが悪くなることで顔のゆがみが起こることがあります。
2.滑舌が悪くなる
舌の筋力が弱かったり、舌の動きが制限されるために、舌ったらずな発音になりがちです。
3.口臭がきつくなる
低位舌の場合、口呼吸をしている人が多く、それが原因で口の中が乾きがちになります。そうすると口の中に細菌が洗い流されずに口臭がきつくなります。また、舌が口蓋(口の天井部分)についていないため、舌苔が溜まり、それが臭いの元となります。
4.睡眠時無呼吸症候群になりやすくなる
舌が下がると気管の方に空気を取り込みにくく、睡眠時無呼吸症になりやすくなります。
5.いびきをかきやすくなる
舌が下がると喉の部分が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
6.歯周病、虫歯になりやすくなる
3と同様、口の中が乾くことで細菌が洗い流されず、歯周病や虫歯になりやすくなります。
7.味がわかりづらくなる
唾液が減ると味がわかりづらくなります。舌苔が溜まることでも味覚が落ちます。
8.集中力がなくなる
舌が喉の方に落ち込むため、酸素不足になりがちで頭がボーッとして集中力がなくなります。
9.誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こしやすくなる
飲み込む時に舌を上あごに押し付けられないと、肺の方に食べ物がいってしまう誤嚥(ごえん)が起こりやすくなります。
舌が正しい位置にあると、どんないいことがある?
今度は舌が正しい位置にあることで、どんないいことがあるかご説明いたします。
1.あごのラインがスッキリする
舌の筋力があることで、顔のたるみや二重あごがスッキリしてきます。
2.鼻呼吸になる
舌がスポットポジションにあることで鼻呼吸になります。そうすることで口呼吸で起こる、口臭や虫歯・歯周病、味覚異常などが起こりにくくなってきます。
3.発音がきれいになる
舌の筋力があることで滑舌がよくなります。
4.歯並びがきれいになる
小さい頃から舌が正しい位置にあることで、上下のあごの成長が順調に促されてきれいな歯並びになります。
舌の位置を直すトレーニングはある?歯科医院などで治療する必要はある?
MFT(口腔筋機能療法)によって舌の位置を正しい位置に導くことができます。このMFTには50種類以上ものトレーニングがあります。矯正歯科のある歯科などでこのトレーニングを扱っていることが多いので、興味のある人は相談してみると良いでしょう。
このトレーニングは歯並びを悪くしないために子供に行われることが多いですが、大人の場合でも矯正治療の後戻りを起こさないように行われる場合もあります。
自宅でできるトレーニング
自宅で簡単に舌の位置を直すエクササイズとしては、「ホッピング」や「あいうべ体操」などがあります。加えてエクササイズをやっていない時も、常にスポットポジションに舌をおくように意識しましょう。
ホッピング
舌をスポットポジションにおいて、5秒間押し付けた後、ポンッ!と音を鳴らすだけです。これを一日に何度もやってみましょう。
あいうべ体操
「あ、い、う」をそれぞれ大げさなくらい口を動かして発音し、「べ」は舌を思いっきり突き出す、という体操です。「あいうべ」を1セットとし、1セットを5秒、1日30回セットが目安です。
他にも舌の位置について知っておくべき情報があれば教えて下さい
自分が低位舌であるかどうかを簡単に見分ける方法として、「舌の形を見る」というのがあります。多くの場合、低位舌の人の舌には歯型がついてガタガタした形になっています。また、上あごについていないため、舌苔がたまりがちで舌の色が白くなっています。もしも、
舌のふちがデコボコして白っぽくなっている場合低位舌の可能性があります。
その場合、ぜひスポットポジションに舌先をおくことを意識して、舌のエクササイズをやってみてください。もしかしたら体の不調、見た目が少しずつ良い方向に変わってくるかもしれませんよ。
舌の正しい位置について まとめ
最後に舌の正しい位置に関して重要な点をおさらいしておきましょう。
正しい舌の位置
舌の先端が上歯の裏すぐ下の歯茎にくっついていること
舌が正しい位置にないと・・・
- 歯並びが悪化する
- 顔がゆがむ
- 滑舌が悪くなる
- 口臭がきつくなる
- 睡眠時無呼吸症候群になりやすくなる
- いびきをかきやすくなる
- 歯周病、虫歯になりやすくなる
- 味が分かりづらくなる
- 集中力がなくなる
自宅でできるトレーニング
- ホッピング
- あいうべ体操
いかがでしたか。我々が運営しております”どくらぼ”には、他にも皆様の大切な歯に関する情報が盛りだくさんです!是非他の記事にも目を通していただき、正しい知識を身に付けてくだされば幸いです。今後とも”どくらぼ”を宜しくお願い申し上げます。最後までご覧頂きましてありがとうございました。
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