奥歯の抜歯後、そのまま放置するとどうなるか
奥歯を抜歯し、そのまま放置していると、次のような不具合が生じることがあります。
- 周囲の歯が倒れてきたり移動してくる
- かみ合わせの向かいの歯が飛び出してくる
- 歯と歯の間にものが挟まりやすくなる
- 抜けた反対側しかものが噛めなくなる
- 噛む力が落ちる
- 奥歯にかかるべき力が前歯に強くかかるようになる
- 骨が痩せてくる
奥歯の抜歯後、放置がカラダに与える悪影響
- 胃腸に負担がかかる
噛む効率が落ちますので、胃に負担がかかります。
- 顎関節症になりやすくなる
咬み方がアンバランスになるため、顎の関節や周囲の筋肉に負担がかかります。
- 虫歯になりやすくなる
歯が倒れたり動くことにより、ものが挟まりやすくなってそこから虫歯ができやすくなります。 また、あまり噛まなくなることで唾液が出なくなることも原因となります。
- 歯周病になりやすくなる
3の理由と同様の理由で歯周病になりやすくなります。
- 顔の輪郭が変わる
複数の奥歯がなくなると、その後骨が痩せ、また咬む筋肉を使わなくなるので輪郭も変わってきます。
- 老けて見える
咬まないことで筋力が低下し、ほうれい線などのシワができやすくなります。
- 前歯が出っ歯になる
両奥歯がなくなったまま放置した場合、前歯にかみ合わせの負担がかかり、下の歯が上の歯を強く突き上げて出っ歯になってきます。
- 反対側の歯がダメージを受けやすくなる
歯を抜いた反対側でばかり噛むことにより、そちら側にばかり負担がかかるため、歯がそれだけダメージを受けやすくなります。
- 脳への刺激が少なくなる
あまり咬まなくなるので、脳への刺激が少なくなります。認知症のリスクも高まります。
- 頭痛、肩こり、腰痛などがでてくる
かみ合わせのバランスが悪くなることで、咬む筋肉とつながっている体の他の部位へも悪影響がでてきます。
- 肥満になりやすくなる
あまり噛まずに飲んでしまうことで食べる量が増え、肥満へとつながります。
- 顔が歪む
片噛みが続くと、下顎がずれ、また、左右の筋肉の太さのアンバランスにより顔が歪んでくることがあります。
奥歯の抜歯後にはどんな治療法がある?
奥歯を抜歯後にそのまま放置してしまうと生じる不具合が分かったところで、次にどのような治療法があるのかご説明いたします。
1.ブリッジ
抜いた歯の両隣の歯を削って連結した人工歯をかぶせて、抜けた部分を補う方法です。
<長所>
- セラミックなど天然の歯の色の材料でやると、見た目が自然。
- 取り外しなどの面倒さがない
- 違和感が少ない
- よく噛める
- 保険のものは安価
<短所>
- 歯を削る量が多い
- 削る量が多いため神経を取らなければならないこともある
- 歯の抜けている本数が多いとできない場合がある
- つなぎの部分などの清掃が難しい
2.義歯
取り外し式のプラスチックの歯茎の部分がついた人工歯です。
<長所>
- 歯の本数に関係なくどんな場合でも対応できる
- 周囲の歯をほとんど削る必要がない
- 外して清掃できるので衛生的
- 壊れても修理ができる(保険のものの場合)
- 保険のものは安価
<短所>
- 金具などがかかると見た目がよくない
- 慣れないうちは違和感がある
- つけるのをサボっていたりすると入らなくなることがある
- 噛む効率が他のものに比べて劣る
3.インプラント
歯のないところの骨に人工の歯根を埋め込んで、人工の歯をかぶせる方法です。
<長所>
- 天然の歯に近い噛み心地
- 見た目が自然
- 隣の歯を削ったりなどする必要がない
<短所>
- 外科処置を必要とするため、全身疾患のある人はできない場合がある
- 手術を行ってから歯が入るまでに期間がかかる
- 骨の状態によってはできない場合がある
- しっかりメインテナンスを行わなければ抜け落ちてしまうことがある
- 噛み合う相手の歯を痛めてしまうことがある
奥歯を抜歯して長期間ほったらかしてしまったら・・・
抜いた後放置の期間が長く、周囲の歯が動いてしまったら、次のような方法で治します。
1.MTM(部分矯正)
MTMとはマイナー・トゥース・ムーブメントの頭文字をとったもので、全体的にではなく、部分的な歯列矯正を行うことです。抜いた歯を補う治療を行う前に、倒れてしまったり、動いてしまった歯をこの方法で修正します。
2.削って修正する
MTMを行わない場合、周囲の倒れたり移動した歯を多く削ってかぶせることになります。
歯の軸の向きなどは変えることができませんので、かぶせたとしても、歯に対して異常な方向に力が働くことになり、歯にとってはあまりよくありません。また、移動や傾斜が多い場合には神経を取らなければならないこともあります。
そもそも奥歯の抜歯を極力避ける治療方法
奥歯が抜歯となるケースの中で、虫歯で歯が壊れてしまって歯根だけになっているケースや、歯根が真っ二つに割れているケースが大きな原因として挙げられます。基本的には抜歯となる場合が多いですが、次のような方法で抜歯を極力避けることも可能です。
1.歯根しか残っていない場合
エクストルージョン
歯根が深い位置まで崩壊していると通常は残すことができません。ですが、この歯根を矯正の力で引っ張り上げて上の位置に持ってくることにより、保存が可能となります。
2.歯根が割れている場合
強力な接着剤でつける
部分的に亀裂がある場合には、内側から接着剤をつけます。完全に割れてしまっている場合には、一度抜いてから接着剤で固定し、元に戻してその上からかぶせ物の処置に入ります。
奥歯の抜歯 まとめ
最後に、奥歯の抜歯について箇条書きでまとめておきますので、是非参考になさってください!
奥歯を抜歯後放置することで起こってくること
- 周囲の歯の傾斜や移動
- かみ合わせの向かいの歯の挺出
- ものが挟まりやすくなる
- 片噛みになる
- 噛む力が落ちる
- 前歯に強い力がかかる
- 骨が痩せる
奥歯の抜歯後、放置がカラダに与える悪影響
- 胃腸への負担
- 顎関節症
- 虫歯
- 歯周病
- 顔の輪郭の変化
- 老けて見える
- 前歯が出っ歯になる
- 反対側の歯がダメージを受けやすくなる
- 脳への刺激の減少
- 頭痛、肩こり、腰痛
- 肥満
- 顔が歪む
奥歯の抜歯後の治療法とそれぞれの長所、短所
1.ブリッジ
<長所>
- 天然の歯の色の材料でやると、見た目が自然。
- 取り外しなどの面倒さがない
- 違和感が少ない
- よく噛める
- 保険のものは安価
<短所>
- 歯を削る量が多い
- 神経を取らなければならないこともある
- 症例によってはできない場合がある
- 清掃が難しい
2.義歯
<長所>
- どんな欠損本数でも対応
- 歯をほとんど削らない
- 外して清掃できるので衛生的
- 修理が可能(保険のものの場合)
- 保険のものは安価
<短所>
- 金具などがかかると見た目がよくない
- 慣れないうちは違和感がある
- 外しておくと入らなくなることがある
- 噛む効率が他に比べて劣る
インプラント
<長所>
- 天然の歯に近い噛み心地
- 見た目が自然
- 隣の歯を削る必要がない
<短所>
- 全身疾患のある人はできない場合がある
- 期間がかかる
- 骨の状態によってはできない場合がある
- 定期的なメインテナンスが不可欠
- 噛み合う相手の歯を痛めることがある
奥歯を抜歯して長期間放置した場合の対処法
- MTM(部分矯正)
- そのまま削って修正
抜歯を極力避ける治療法
- 歯根しか残っていない場合→エクストルージョン
- 歯根が割れている場合→強力な接着剤でつける
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