口の中に水ぶくれを作る原因と治療法
口の中に水ぶくれを作るものとしては以下が考えられます。
1.粘液嚢胞
粘液嚢胞とは唾液腺から出ている管が詰まってしまうことにより、口の中に唾液が溜まってできる嚢胞(袋)です。子供によく見られ、下くちびるや頬粘膜を噛んでしまうことにより唾液の開口部が閉ざされることによってできます。通常は潰れてもまた繰り返しできてきます。
<治療法>
潰れて治ったように見えても繰り返し再発するため、手術で水ぶくれを含む周囲の唾液腺も一緒に摘出します。傷口を縫った後は一週間で糸をとります。手術は10分程度で麻酔をして行うため、痛みはほとんどありません。
2.ウイルス性口内炎
ウイルスが原因で口の中に水ぶくれを作るものとしてよく知られているものでは、ヘルペス性口内炎、手足口病などがあります。
ヘルペス性口内炎
ヘルペスウイルスが原因で口の中に小さな水ぶくれが複数でき、のちにそれが潰れて口内炎になります。生後6ヶ月から3歳までの乳幼児に多く見られますが、大人でも見られることがあります。小さな子供の場合は一般的に症状が強く、発熱、リンパ節の腫れ、食欲低下なども見られます。
<治療法>
抗ウイルス剤、熱や痛みがあれば解熱鎮痛剤の投与が行われます。
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手足口病
こちらにおいても口の中に多数の水ぶくれができ、その後は破れて口内炎のようになります。手や足にも水ぶくれができます。
<治療法>
特効薬はなく、症状に応じた対症療法となります。
3.損傷や刺激
頬を噛んだり、尖った歯が粘膜を傷つけると水ぶくれができることがありますが、一般的にはすぐに潰れて口内炎になります。
<治療法>
経過観察、または口内炎の治療と同様となります。
4.尋常性天疱瘡
まれな重度の自己免疫疾患です。中年や高齢者に多く見られます。様々な大きさの水ぶくれが口の中、皮膚、性器などに大量に発生します。水ぶくれはのちに潰れ、潰れたところから感染の危険性があり、重度のやけどと同じような重症度となります。治療を行わなければ、命にかかわることもあります。
<治療法>
主な治療はステロイド剤の高用量投与、破裂した水疱に感染が見られる場合には抗生剤投与が行われます。
5.水疱性類天疱瘡
こちらも自己免疫疾患の一つであり、高齢者によく見られます。皮膚に主に水ぶくれを作りますが口の中にできることは少ないと言われています。4の天疱瘡より重症度は低く、死に至ることはまれです。
<治療法>
軽度の場合は経過観察。症状に応じてステロイド剤の高用量投与。
6スティーブンス・ジョンソン症候群
皮膚や粘膜の過敏症で、薬剤の副作用、ウイルス感染、細菌感染などが原因でおこります。初期症状は熱や喉の痛み、咳など、風邪に似ていますが、進行すると皮膚や口の中などの粘膜に水ぶくれやびらんなどを広範囲に生じます。目に症状が現れると失明することもあります。多くの薬を使う高齢者に多いと言われています。死に至ることもあります。
<治療法>
入院し、症状を起こしている薬の中止をし、感染症を防ぐためのケアを受けます。
水ぶくれって潰しても大丈夫?
ほとんどの水疱はかってに破れることが多いようですが、自分で潰すのは感染の危険性もありますのでやめておいたほうが良いでしょう。
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口の中の水ぶくれ まとめ
口の中の水ぶくれの原因と治療法
1.粘液嚢胞
手術で水ぶくれと周囲の唾液腺摘出
2.ウイルス性口内炎
ヘルペス性口内炎⇒抗ウイルス剤
手足口病⇒対症療法
3.損傷や刺激
経過観察、対症療法
4. 尋常性天疱瘡
ステロイド剤の高用量投与、感染がある場合には抗生剤投与
5.水疱性類天疱瘡
経過観察またはステロイド剤の高用量投与
6.スティーブンス・ジョンソン症候群
入院し感染に対する治療
※水ぶくれは勝手に潰さないほうが良い