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金歯、プラチナ歯(白金)ってどういうもの!?
よく、被せ物は「金歯、銀歯」と言われていますが、今回はその中の金歯(金合金、白金合金)について説明していきます。
金歯ってそもそもどういうもの??
歯科で使われている、いわゆる「金歯」の金は精密に言うと金単体(24K)で使用されているのではなく、金の合金です。(20K、18K)。 金そのものだと柔らかすぎて強度が出ないので固さを出すために白金(プラチナ)や微量の他の金属を入れて使用しています。白金の「固く、色が黄色っぽくない」という特性を生かすため、白金の割合が高いものもあります。それは白金合金と言われます。 ここから先の説明は金合金、白金合金と合わせて金合金としてご説明させて頂きますね。
金歯は実は最良の治療方法!?通が使いたい素材NO1
実は、金合金を用いた治療は非常に通好みの治療です。現在でも、詰め物なら「これが最良の治療!」という位置付けで考えている歯医者さんが多いです。
なぜ「最良!」なのか、これからその理由をご説明していきましょう。
出来上がった詰め物、被せ物の精度が高く、ぴったりと合う。
被せ物を作る時は材料である金属を溶かして作るのですが、どの金属でも固まる時に若干縮みます。しかし、金は歯に使われる金属の中で、縮み具合が小さいので、隙間ができることなくぴったりと出来ます。なので、歯の形に合った精度の高い被せ物、詰め物が出来上がるのです。
歯に付けた後も良く伸び、ふちがぴったりと合うので虫歯になりにくい
金は金沢の金箔職人さんの手にかかれば10000分の1ミリといったとても薄い金箔に伸ばせることからもわかるように、とてもよく伸びる金属です。その特徴を利用し、歯に取り付けた後、金属を伸ばし、ふちの部分とフィットする処理をします。 すると、歯の境界が金属で滑らかかつ緊密に覆われるので、金属の詰め物、被せ物を付けた後に起こりがちな、ふちからの虫歯菌の侵入や、金属と歯の間のわずかな段差にたまる、食べかすや菌の付着が非常に少なくなります。
程よく柔らかいため、咬めばかむほどフィットしてくる。
金合金は柔らかい金属ですので、咬めば咬むほどと咬み合わせの歯に合った形にフィットしていきます。今まで保険の被せ物で咬んだ時の違和感に困っていた患者様が金歯に変えた時「噛んだ時の感じが違うね~。」と言った嬉しいお声を頂くことがあります。
歯を削る量が少なくて済む
実はセラミックの場合は、強度面や歯の地の色が出ないようにするために被せる前に若干多めに歯を削っています。金歯の場合は金属ですのでそれらの事を考慮する必要がなく必要最低限の歯の削る量で済みます。
貴金属なので劣化、溶け出しが少ない。
金歯は貴金属が使用されております。貴金属はイオン化しにくいので口の中に溶け出したり、溶け出すことにより生じる劣化(腐食)が少ないです。金属アレルギーは金属の溶け出しによっておこりますので、それを考えるとかなり安全な金属だと言えます。
外した金合金は買取してもらえる。
これは歯科的なメリットではありませんが…。 悲しいことに、何らかの事情でその詰め物、被せ物を外さないといけなくなった場合、その金合金は歯医者さんに言ったら大抵の場合は持ち帰れます。形は歯ですが金ですので、買取をしてくれるお店に行けばしかるべきお値段で買い取ってくれるようです。
田中貴金属さんの7月1日公表の金1グラムあたりの価格は4614円です。 2003年の年間平均が1グラムあたり1399円だったのを考えると金の価格はかなり高騰していると言えますね。金は量が限られたものなので(世界中の金を集めても50メートルプール一杯程度)お金に比べると安定しやすいものだと言われています。経済が不安定になると金の価格がグッとあがります。
ただし、実際は詰め物にせよ、被せ物にせよ数グラム程度の金しかないので数千円程度にしかならない可能性は大です。
また、日本財団さんは難病の子供達や海外での学校建設などに金歯を集めて寄付を行う「TOOTH FAIRY」というプロジェクトを行っています。 こうした団体に金歯を寄付するというのもいいかもしれませんね。
金歯のデメリット??
こんなにいい所ばかりある金属なのに、実際の治療では第一選択になっていない所が多いです。パンフレットの隅に一応書かれている程度、という所も少なくありません。なぜあまりお勧めされないのでしょう?
実はあまりお勧めしない理由もあるんです。
やはり金歯は目立ちやすい。
大昔は、前歯につける金歯がオシャレ!という時代がありましたが、今のトレンドはやはり「より白く、自然に目立たなく」が主流です。金は奥歯に使用すると目立たない場合もあるのですが、白い詰め物よりはどうしても目立ってしまいます。自費で来られる方は審美面を第一優先にして来院される場合が大半ですので、患者様のニーズは満たせないのでご紹介はしても積極的にお勧めしない事が多いです。
実は原価割れする時もある。
金は相場があり、世界的に価格が変動します。ですので、金の価格が上がったらその値段で買わざるを得ないのです。一方歯科医院でご提示している金の被せ物の値段をそんなにコロコロと変える訳にはいきません。ですので、最近では技工料なども込みで考えると減価割れを起こしている事も多々あります。そうなると「良い」と思っても経営の事を考えると出れば出るほど赤字になってしまうものをお勧めするのには2の足を踏んでしまう…。という事態が起こります。
それを押してもおススメする歯医者さんは、実はかなり良心的なんです。
価格はおおよそ、詰め物だと3万円~、被せ物だと5万円~ です。
金歯とその他の歯のメリット・デメリット比較
金歯
◯歯とカラダに優しい。欠けない。何年も使っていられる。外しても売れる。密封性 と適応性に優れているので虫歯が再発しにくい
✖場所によっては目立つ。お金がかかる(金歯とセラミック価格は同じくらい)
セラミックなどの保険外の白い歯(大雑把ですが、ひとくくりにまとめます)
◯見た目は普通の歯と同じ、金属アレルギーの心配がない
✖欠けることがある。お金がかかる(金歯とセラミック価格は同じくらい)金歯に比 べると噛み合わせと密封性に欠ける
保険範囲内の銀歯
◯安い(数千円)それなりに丈夫
✖金属アレルギーがでる。金属が溶け出し歯茎に悪影響を与える。密封性、適応性に 乏しく再発の可能性が高い。審美性に問題あり、寿命が短い(2~5年)
というイメージでしょうか。
前歯などの目立つところは、セラミックにして奥歯の目立たないところならば、歯にかかる圧力を考えると金歯が理想かなと感じます。保険外診療の中で、奥歯に金歯を薦めて下さる歯医者さんはアナタのことをかなり考えてくれていると思っていいかもしれません。
金歯は審美性に適してはいないが、自分の未来を考えると最良の治療法
金合金は「キレイで自然な歯に」審美歯科という範疇からは外れてしまいますが、自分の今後の健康のために、保険の枠を超えて最良の治療をしたい、と思う方にはとてもいい治療である事は間違いありません。いい歯科治療が受けたい、と思った時、ぜひ選択肢の一つとして覚えておいていただきたい一品です。
以上になります。金歯とセラミックの両方の良い所を混ぜあわせたような素材がもしかしたら近い将来生み出されるかもしれないですね。その時はまた皆様にお伝え致します! では、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。 また是非お会い致しましょう!