自分のカラダは自分で守る!「予防医学」の時代がやってきた
予防医学という言葉を耳にしたことはおありですか。日本ではまだあまりなじみのない概念かもしれませんが、いまじわじわと注目されています。その背景には、現代日本社会を悩ませてきた少子高齢化と、高騰する医療費の問題が。私たち個人個人にとっても、いま予防医学を理解し意識することが、じつは健康で豊かな将来に備えることにつながります。一体どういうことなのか、私たちとどんな関係があるのか、ご一緒に見てみましょう。
なぜ今、予防医学なのか?
ニュースなどでもよく取り上げられる、膨らみ続ける日本の医療費問題。その背景には、少子高齢化やストレス社会による、生活習慣病や心の病の増加が。このままでは国の財政を圧迫し、保険制度の維持も困難になるのではと、危ぶまれています。
現在の日本の医療は、治療中心の医療です。つまり、病気になってしまってから病院に行き、医者に治療してもらうということが当たり前になっています。もし治療に莫大なお金がかかるとすれば、病気にかからないよう真剣に努力する、つまり予防に力を入れるのではないでしょうか。ところがこれまで日本では行き届いた保険制度のため、予防を意識する必要性を感じず、病院任せ・医者任せというのが現実でした。
しかし、国の借金、医療費、進む少子高齢化について考えると、遅かれ早かれ今までのようなサポートは難しくなっていくことが予想されます。そうなったとき、私たちの医療はどうなってしまうのでしょうか。
ひとつのヒントとして、公的な医療保険がなく、医療費が自己負担10割(つまり全額自己負担)のアメリカがどうなっているか、ちょっとのぞいてみましょう。公的な医療保険がないため、自動車の任意保険のように自分で医療保険をかけておくしかないのですが、中低所得層の6人に1人は全く医療保険に入っていないとのこと。アメリカでは自己破産の主な理由は医療費といわれているのもうなずけます。
このような背景から、どのような社会階層に属している人も、自分の健康は自分で維持管理、予防で守るという意識が強いのです。日本でいう病院のような施設に通うのは、一部の富裕層のみだそうです。
日本の制度がこれからどのように改革されていくか、どの程度アメリカ的になるかは、現時点ではわかりません。とはいえ、ひとつのことは確かです。健康は個人責任と予防の時代へシフトしつつあるのです。
国民医療費は、超高齢化や医療の高度化が進む中、年2〜3%の割合で増え続け、2012年度は39兆2117億円。厚労省の試算でも、団塊世代が75歳を迎える2025年には52兆円を超える。http://www.bee-lab.jp/interview/atsumi/01.html
日本とアメリカの違いにも大きな差がある。(http://www.projectdesign.jp/201310/health-care/000834.php)
東洋医学と西洋医学、どこが違うの?
東洋医学:予防医学。病気にならない身体づくりをめざす
西洋医学:治療医学。対症療法が中心
東洋医学には「未病」という概念があります。「未だ病にならず」。これは、中国の黄帝内経に「聖人不治已病、治未病」(名医はすでに生じた病を治すのでなく、未病を治す)とあることからきているそうです。
「早期発見、早期治療」というのが西洋医学における公衆衛生のスローガンですが、その前に日々の生活習慣に注意することで、そもそも病気にならないようにするという、東洋医学的な考え方が重視され始めているのです。
自分のカラダは自分で守る
予防医学には、つぎにあげる3段階があります。
- 第一次予防:病気にならないようにする:運動や食習慣の改善、衛生環境の改善、予防接種など
- 第二次予防:早期発見・早期治療:健康診断など
- 第三次予防:悪化防止と社会復帰:後遺症の予防やリハビリテーションなど
前述のように、これまで日本の医療は、予防といえば第二次予防に力を注いできました。しかし、これからは第一次予防の時代へシフトする必要があります。つまり、まだ病気にかかっていない健康なうちに、準備をすること。病気を未然に防ぎ、健康を守ることが重要なのです。
とはいえ、すでに日本でもじわじわと予防型の考え方が浸透してきています。たとえば、サプリメント。これは病気を治すための薬とは違い、病気にならないように必要な栄養素を補給するためのものです。サプリメントの使用は、アメリカなどでは以前から常識でしたが、日本でも使用が広まり、今では市場規模7000億円に達しています。
また、ミネラルウォーターを飲む人の増加も予防型の考えのひとつ。水道水でも事足りるものを、わざわざお金を出して身体に良い水を飲むという考え方です。近年人々の口に上るようになった、脱メタボ、アンチエイジングといった言葉もそのような流れのひとつといえるでしょう。これらはいずれも、健康のために投資するという予防意識の表れなのです。
元気なうちは好きなように生活し、病気になったら病院へ、という時代は終わりです。「食事は腹八分目」、「糖分や塩分の過剰摂取に注意」、「適度な運動」「禁煙」など、健康を守るためにできることを自ら行ない、自分のカラダを自分で守ることが、これまでになく重要な時代に突入したのです。
一次予防、二次予防、三次予防の考えも大切な概念。(http://ameblo.jp/satopippi-final-love/entry-12010207438.html)
歯科における予防医学とは?
虫歯や歯周病といった問題の予防についてはどうでしょうか。歯科においても、予防の必要性はますます高まっています。痛くなってから歯医者に行く→削ったりかぶせたりする→トラブルを繰り返し抜歯→ほかの歯に負担がかかり弱る→最後は入れ歯に…という悪循環にほとんどの日本人が陥っていますが、これは一番初めの段階がそもそも間違っているのです。
上述の第一次予防・第二次予防という考え方に当てはめてみると、歯科の予防も基本的には同じです。
第一次予防:毎日の正しい歯みがきなど口腔ケア(プラークコントロール)。食生活や喫煙などのコントロール
第二次予防:定期的な歯科検診による早期発見・早期治療。
多くの歯科疾患は、
① 初めは自覚症状がないことが多い
② 放置して治ることはなく、発見が早ければ早いほど良い
という特性があるため、トラブルがないうちに積極的に健康維持する姿勢が、歯科においては特に重要といえます。
歯だけの問題ではないから…
歯科における予防は、歯や歯ぐきの健康だけでなく全身の健康やQOLにも大きくかかわっています。そのため、じつは国の医療費問題の全体においても、私たち個人の全身の健康や人生設計においても、隠されたカギを握っているといっても過言ではないでしょう。
◆歯と全身疾患
歯周病菌と、早産、脳血管疾患、心臓血管疾患、糖尿病、嚥下性肺炎などの、命にかかわりかねない疾患の間に関連が認められています。脳・心臓の血管や肺の中にたまった有害物質を、手や道具を突っ込んできれいに取り除くことは至難の業。おおもとの原因となり得る口腔内の歯周病菌を増やさないよう予防することのほうが、どれだけ簡単で優れているかわかりません。また、メタボや生活習慣病のほとんどが、元をたどれば口に原因があるという内科側からの意見もあります。
上流の医療で早めに全身疾患を押さえるべき。(http://ameblo.jp/satopippi-final-love/entry-12010207438.html)
◆歯とQOL、そして介護
自分の歯が十分に残っており、噛んで食事の取れる人は、歯がない人や入れ歯の人に比べて、栄養が十分に取れ、免疫が上がるため、全身の健康という面でも優れています。よく噛むことが骨への刺激となるため、骨粗しょう症の予防にも。
意識のはっきりしない寝たきりの高齢者に、入れ歯を作ってあげて噛んで食べられるようになると、思考もはっきりして元気になってくるというのは、良く知られた話です。噛むことは脳へのダイレクトな刺激になるため、自分の歯で噛める人は認知症のリスクも減らすことができます。また、きちんと手入れされた歯で、美味しいものを食べ、はっきりと発音して話し、堂々と歯を見せてよく笑う、そんな生活は社会的にも大きな意義があります。年を重ねても自立したQOL(生活の質)の高い生活を楽しめるのです。これはもちろん、国の介護問題に対する答えにもなります。
歯の本数と生活の質は密接に関係している(http://www.8817.info/cgi-bin/8817/siteup.cgi?category=3&page=0)
歯科についても、いま日本でもじわじわと予防意識が浸透してきています。若い世代では、2009年から2012年の3年間に、定期的に歯科健診を受ける人が28パーセントから44パーセントに増加しているという調査結果もあります。
何もトラブルがないのに歯科医院を受診する、ということについてちょっと抵抗がある人もいるかもしれませんが、心配はいりません。予約の時に、「検診をお願いしたいのですが」というだけでOK。歯科医師や歯科衛生士が、現在のお口の問題をチェックして対処(第二次予防ですね)してくれるだけでなく、隠れたリスクを指摘して、その回避方法を指導(第一次予防です)してくれることでしょう。あとは、歯科医師や歯科衛生士があなたの状況に合わせて次回の検診時期を指定してくれます(状況によりますが一般的に3~6カ月間隔のことが多いです)。
指定通りに検診に行きつづければ、虫歯にしろ歯周病にしろ問題が大きくなってしまうことは決してありません。私たちのほとんどは、歯医者に対して怖いイメージを持っているものですが、問題が大きくなってから行くから怖いのであって、毎回何も問題がない時に検診に行くことは全く怖くないことに気づかれるでしょう。慣れてくると、定期的にエステや美容院に行くような感じで、リフレッシュの機会にさえ感じられる人も少なくありません。
予防医学が、どのように私たち個人の健康で豊かな将来に結びつくのか、ご理解いただけたでしょうか。
- 日本の医療保険制度の崩壊に備え、自分の健康は自分で守るという予防意識を持つことが大切→東洋医学の未病、予防医学でいう第一次予防の時代へシフト。
- 歯科における予防はその特性上とくに重要であるうえ、全身の健康や将来のQOLにも大きくかかわっている。
情報集めや毎日の実行など、能動的な努力が必要な予防ですが、自分の決意次第で今日から始めることができるのがうれしいところ。無理や背伸びはしなくても大丈夫ですから、できるところから早速はじめてみるのはいかがですか。
まずは歯科に対する正しい知識を身に付けましょう。
今すぐに歯医者さんへ!というのも私の仕事柄言えますが、まずは歯科に対する知識や興味を持つことが何よりも大切だと考えます。歯はただものを噛む だけではなく、アナタの今のカラダ、未来のカラダ、未来の家族のカラダ全てに関係する器官です。歯を大切にしないことがいかにバカなことか。人体の組織の 中で唯一再生の効かないものは歯だけなのです。失った時はもう遅い。後悔は取り戻すことはできないのです。
ただ、今回この記事を読んで恐怖や意識が少しでも変わったアナタはとても幸運です。歯科は今大転換期に入っています。歯科医院は変貌を遂げ、歯科医師一人ひとりが患者さんに満足されるような歯科医院になるべく大きく変化しています。
正直な話、私は歯科が大嫌いな人間でしたが、仕事柄仕方なく歯科医院に行くようになり、いつの間にか通うのが習慣になってしまいました。今回の記事 を読んで頂き、歯医者さんに久々に行ってみようかなという方が少しでも増えたらとても嬉しいです。僕はフェイス・ブックを中心に歯科の話を1週間に1度は 投稿していますし、個人的な相談がある方にも可能な範囲でお答えしています。いつでもフォロー、友だち申請は受け付けております。内田雄介のフェイス・ブック
アナタの歯科のイメージが少しでも良くなることをこころから、願っています。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
以下に、この後読むべき記事をご紹介いたします。
自由診療、保険診療って何??と思った方に向け、自由診療と保険診療について詳しく解説しています。
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最後に私たちが運営しているサイト、どくらぼの宣伝をさせてください。
歯科サイトどくらぼが歯科関係者にお伝えしたい宣伝
私たちは、このどくらぼを通じて、一般の患者さんに歯科の知識を身に付けて頂きたいと考えています。それも、ただ頭でっかちなだけではなく、歯科の本質をついたデンタルIQの高い患者さんになっていただきたいと考えています。
知識を持った上で、保険治療にせよ、自費治療にせよ患者さんに選んでいただくことが一番理想的なカタチだと思っています。ホームページを使用して、 強引に自費治療に誘導するのはおかしいと考えていますし、保険治療が当然だと思われている患者さんに対し、身を削って歯科治療を行い続けることもおかしい と考えています。患者さんが、歯科に対する正しい知識を身に付け、歯科医院も患者さんに対し誠実に治療を行う。患者さんを本当の意味で第一に考える治療を 行う歯科医院であることが大切だと考えています。
私たちはそうした理念を持っている歯科の方々とお仕事を行なっております。
具体的には
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など、歯科医院様がお持ちのインターネットのお悩みを中心にお仕事をご一緒させていただいております。北海道から沖縄の歯科医院まで、インターネッ トや情報についてお困りの方はどんなことでもご相談下さい。私、内田や親友の石井や下川、その他優秀なスタッフ陣が対応いたします。
ご相談窓口はこちら、歯科専門相談サイト“歯科らぼ”
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