インプラント手術は歯ぐきを切って、骨を削り、インプラントを埋め込む、という外科手術です。このような外科手術では術後に思ってもみなかった症状が出ることがあります。インプラント治療の需要がますます高まってきている近年、手術に伴うトラブルが増えてきているのも事実です。「痛み」や「しびれ」というのはそのなかでも代表的なものですが、これらの症状は一体どのようなことが原因で起きてくるのでしょうか。
インプラント術後に起こりやすい痛みなどの症状
一般的にインプラント手術後には次のような症状がよく見られます。
1.痛み
外科手術の後は麻酔が切れれば痛みが出てくるのは普通です。しかし一般的には処方される痛み止めを飲めば治る程度のものであり、長くても数日で治まってきます。もしも痛みが1週間以上続く、または我慢できないほどの痛みがあるような場合は担当歯科医師に連絡したほうがよいでしょう。
2.腫れ
歯ぐきを切開、骨を削りますので腫れが出るのも当然です。処方された抗生剤をしっかり服用し、様子を見れば数日で落ち着いてきます。
3.出血
少し滲み出るほどの出血は全く問題ありませんが、明らかに出血が多い、黒い血の塊が出てくるなどがある場合は担当歯科医師に連絡しましょう。出血が気になったり、食べた後に気になってうがいをしすぎると、さらに出血してくることがありますので気をつけましょう。
4.出血斑
手術を行った周囲の皮膚に皮下出血班が出ることがあります。通常紫色→黄色っぽく色が変化していきます。これも日が経つにつれてだんだん吸収してなくなっていきますので心配ありません。
インプラント術後にしびれが出たら長期化する可能性があります。
ごくまれに、下あごの親知らず抜歯やインプラント手術などの外科手術後に唇やその周囲の皮膚がしびれたり、感覚が麻痺することがあります。唇や皮膚の上に「一層膜が張っているような感じ」とか「ラップを上に張られている感じ」というように表現されることもあります。女性の方は口紅を塗るときにはみ出しても気づかなくなります。
しびれや麻痺は神経が傷ついている可能性が
このようなしびれや感覚の麻痺は、下あごの内部に走っている太く大きな神経を、手術中に傷つけてしまった場合や、強く圧迫してしまった場合に起こります。神経の傷害の程度にもよりますが、軽い場合であればビタミン剤など神経を修復する作用のある薬を服用することでゆっくりゆっくり回復してくることも多いです。しかし、ひどい場合にはインプラントを除去して、半年以上、しびれを取る治療をペインクリニックなどの専門機関で受けなければならないこともあります。
痛みも長く続いたら要注意
インプラント手術を受けて、いつまでたっても痛みが引かない場合、インプラント周囲炎にかかっている可能性が高くなってきます。その場合は歯ぐきの腫れも出ていることが多いです。早めに感染の原因を消毒して取り除くことにより、落ち着いてくることもあります。放置すると病状が進行してインプラントが抜け落ちてしまうこともありますので、早めに担当歯科医師に連絡しましょう。
インプラント術後の痛み おわりに
インプラントを行っている歯科医院が増えてきて、インプラントの利点ばかりをうたっている広告などが目立ちますが、インプラント手術にはそれなりのリスクもあることを忘れてはいけません。また、安さなどに安易にとびつかず、医院選びは慎重に行いましょう。