インプラントの治療期間は一般的には3ヶ月から12ヶ月を要します。なぜそれだけ開きがあるかと言うと、第一にインプラントの症例によって手術方法が異なるからです。そして、手術方法が異なると様々な手順が異なってくるため時間にバラつきが出てきてしまいます。ではまず、大まかにインプラントの治療期間の流れをお伝えいたします。
インプラントの治療期間と治療の流れ
インプラントの治療期間には、以下の様な流れで治療を行われます。
- カウンセリングと精密検査(2日~14日)
- 1次手術(1日)
- 定着期間(3~6ヶ月)
- 2次手術(1日)
- 人工歯の装着(1~3ヶ月)
- メンテナンス(半年に1度)
では、1つずつ見ていきましょう。
カウンセリングと精密検査は2日~14日かかる。
カウンセリング、検査に必要な通院は2~3回。期間は2日~2週間が目安です。レントゲンでの検査、C検査でさらに詳しい情報を取り、詳細な治療計画を立てます。レントゲン検査で2次元画像を、CT検査で3次元画像を構築します。治療前に歯の状態、骨の大きさや硬さ、噛み合わせを把握しておく必要があります。ここで口の状態によっては骨造成や歯周病の治療を提案される場合があります。
術前治療として歯周病や虫歯がある場合には、治療を済ませてから手術を行うことになります。そして、本数や挿入する部位を一緒に相談し、治療計画を進めていきます。おおまかな治療期間や料金を相談し、治療がスタートします。
インプラント1次手術は通院1回もしくは2回。手術は1日で終わる
手術は通常2回に分けて行われます。1次手術はインプラント(人工歯根)、いわゆるネジにあたる部分を埋め入れる手術です。
まず、局所麻酔を行い、歯肉を切開して顎の骨に穴を開けます。
蓋をつけた状態で土台となるインプラントを埋め込みます。歯肉を戻 し、調整して縫い合わせます。手術にかかる時間はおよそ1時間から3時間ほど、入院の必要はなく、その日のうちに帰宅することができます。
1回法の場合はこの後すぐに人工歯の型取りを行います。どうしても音が聞こえたり、動きが見えるのが恐いという人は、手術の不安を軽減させるために、局所麻酔ではなく、 静脈内鎮静法という麻酔法もあります。
手術後に歯茎や骨が減るため造成手術により事前に骨や歯茎を増やすこともあります。親知らずから骨を移植する自家骨移植、幹細胞や 血漿からつくった培養骨を使用するTE-BONE、歯肉を増やす結合組織移植術を併用します。
インプラントの定着期間は3~6ヶ月ほど。その間も通院が必要
インプラントに使用されるチタンは、骨と結合する性質があるため定着期間をおきます。手術後、3ヶ月から6ヶ月ほどの定着期間が必要になります。この結合はオッセオインテグレーショ ンと言われます。
定着期間は骨の硬さや大きさによって変わってきますが、骨の密度にほぼ比例すると言われています。骨移植などの補助手術を行った場合はさらに長くなる場合があります。下顎と上顎で期間が異なり、
- 下顎は2~3ヶ月
- 顎は2~6ヶ月
が定着期間の目安となります。
インプラント2次手術で、アバットメントを埋め込む。手術は30分ほど。
2次手術では、歯肉を切開し、インプラントの頭を出します。インプラントに仮のアバットメントをネジでとめて装着します。アバットメントは仮歯や最終的な人工歯とインプラントを繋げる役目をします。
切開した歯肉を縫い合わせ、手術は完了です。もちろん、1次手術同様に局所麻酔を行い、不安な場合は様々な麻酔法も用意されています。2次手術はおよそ30分ほどで終わります。
1回法手術 の場合は、2次手術はありません
人工歯の装着は1~3ヶ月程時間がかかる。通院は3~5回
手術から約1週間から6週間後、歯茎の傷口が治ったのを確認して人工歯の型取りを行います。この際に装着感や噛み合わせをチェックします。インプラントには、天然歯のような歯根膜という緩衝材がないため、噛み合わせ調整をしなければいけません。
そして、それぞれに合わせた色や形で製作してインプラントに取り付けます。
スクリューで固定をしますが、セメントにより人工の歯を固定する場合もあります。調整が終わり、人口歯が完成したら装着して治療は終了です。
インプラント治療後のメンテナンスは半年に一度が目安
インプラント治療後のメンテナンスの期間は各医院によって異なりますが、3ヶ月後にメンテナンスをする場合が多く、1年に2~3回通う必要があります。清掃状態や噛み合わせの確認を行います。インプラントを長持ちさせるためには、こ のメンテナンスと日々の手入れがとても重要になってきます。インプラントではない歯も衛生的に保たなければいけません。
インプラントの治療期間まとめ
インプラントは以上のような、流れで行われます。最後にもう一度流れとそれぞれの治療期間を確認しましょう。
- カウンセリングと精密検査(2日~14日)
- 1次手術(1日)
- 定着期間(3~6ヶ月)
- 2次手術(1日)
- 人工歯の装着(1~3ヶ月)
- メンテナンス(半年に1度)
全ての通院回数はおよそ7回から10回ほどで期間は3~12ヶ月程が目安です。治療期間にムラがあるのが、治療部位、手術方法などで内容や手順が異なるためです。
例えば、上顎は下顎に比べると骨の密度が少ないため時間がかかります。また、奥歯に比べると前歯のインプラントは難易度が圧倒的に高く、その分時間もかかってしまうのです。
そうした、部位の違いによって時間がかかってしまうのに加え、骨が薄い、厚みが足りないなどの場合はそれぞれ補助手術が必要になり、その分さらに時間がかかることになります。インプラントは非常に便利な治療方法ですが、それと引き換えに長い治療時間がどうしてもかかってしまう治療方法なのです。
最近では働いている人のために短期間で治療を行ってくれる治療法もありますが、それも人によって異なりますので、最初のカウンセリングで相談してみるようにしましょう。