ダルビッシュ投手寝違えの原因を歯科の観点から解明
4年に一度の冬の祭典ソチオリンピックも終わり、日本では桜も咲き始めるシーズンとなりました。春うららかなこの時期は、日米ともにプロ野球の開幕シーズンともなります。
そんな矢先に、2014年3月25日のニュースで大リーグ・レンジャーズのダルビッシュ投手が、首を寝違えたためオープン戦の登板を回避する事態となってしまいました。日本人投手としては4人目の開幕投手と期待されていただけに、ファンのみならずがっかりした人も多かったのではないでしょうか。検査の結果は『体の構造上の損傷はなく、特別な治療も必要ない』ということで、復帰までには2週間かかるとの見通しが発表されました。
しかし、昨年の開幕前にも寝違えて首を痛めていることから、やはりなにかしらの原因があるのではないか?とファンを始め、多くのメディアが推測しています。そこで、今回は歯科の観点からこの寝違えについて考えてみたいと思います。
ダルビッシュ投手が寝違えてしまった。では、そもそも寝違えるとはどういうこと??
まず、寝違えて首を痛めてしまう原因とは何でしょうか。寝ている間に不自然な格好で寝てしまった、枕の高さが合っていないなどの他に、日常生活での姿勢や過度な運動による筋肉の疲労などがあげられます。また、寝ている間に腋下神経が圧迫される事により血行不良となり発症するとも考えられています。頭部から首にかけてはたくさんの筋肉があり、腋下神経も首の筋肉につながっています。特に首回りの上部僧帽筋、肩甲骨筋、胸鎖乳突筋あたりが傷むことによって起こるのではないかとされています。今回のダルビッシュ投手の寝違えは、開幕前の練習、トレーニング、疲労などにより、これらの筋肉が緊張し傷んで発症した可能性があります。
しかし、先にも述べましたように、頭部から首にかけてはたくさんの筋肉があり、その中の咀嚼筋がなんらかの原因で緊張し血行不良となり、首の筋肉も緊張させて寝違えなどを引き起こしてしまうとも考えられます。では、咀嚼筋の緊張はどうして起こるのでしょうか。
寝違えて首を傷める原因は、咀嚼筋の緊張にあり!?
咀嚼筋は簡単に言えば、顎を動かす筋肉の事なのですが、この筋肉が緊張する原因としては、顎にかかる過度の負担です。くいしばりや歯ぎしりなどにより、咀嚼筋に負担がかかり緊張、疲労してしまいます。顎や顔の筋肉が疲れたような感覚を覚えた事はないですか?歯ぎしりは家族などに指摘される事がありわかっても、くいしばりは普段の生活では気づきにくいものです。知らず知らずのうちにくいしばってしまっている事がほとんどです。これらにより、咀嚼筋から首にかけての筋肉が疲労し、顎関節症や首のコリ、寝違えなどを引き起こすと考えられます。
くいしばりや歯ぎしりは筋肉の緊張を招くだけでなく、噛み合わせが悪くなるという原因にもなります。噛み合わせが悪くなると顔の筋肉(咀嚼筋も含む)がゆがみ、頸椎がズレるなどの全身のゆがみにもつながります。他にも頬づえやうつぶせ寝、合わない被せ物なども噛み合わせが悪くなる原因です。
ダルビッシュ投手はうつ伏せで寝ているかもしれない??
歯は弱い力を持続的にかける事によって動きます。これが矯正のメカニズムです。くいしばりや頬づえなどは日常生活で気づきにくい癖ですが、これらの行為は気づかぬうちに、ご自身の歯を矯正してしまっているようなものなのです。特にうつぶせ寝は、寝ている間に頭の重さ4〜5キロを顎に乗せて寝ているようなものですから、歯は簡単に動き噛み合わせも悪くなってしまいます。
これらの癖は、ご自身で自覚して直す事ができます。テレビを観ている時、料理をしている時、パソコンをしている時、ふと気づくとくいしばりや頬づえをついているかもしれません。噛み合わせのズレを悪化させないためにも、気づいたらすぐ止める事を心がけていけばいいのです。
ダルビッシュ投手にこれらの癖があるかどうかはわかりません。また、不良な被せ物もなく、歯並びも(過去に矯正したかのように)東北高校時代からきれいにそろっています。(日刊スポーツより)
ですが、厳しいトレーニングや試合ではかなりくいしばり、顎に負担がかかっているのではないかと推測できます。それらを回避するためか、ダルビッシュ投手が日ハム時代に通っていた札幌駅前歯科クリニックのコラムによるとスポーツマウスガードを使用しているとのことです。夜用も作ったと日ハム時代のダルビッシュ投手のブログにも書いてあります。今現在も使用しているかは不明ですが、もし調整をせず使い続けているとしたら、すり減り顎への負担がかかってきているのかもしれません。
また、ダルビッシュ投手は体作りのために、厳しいトレーニングとサプリメントの摂取をしています。食事の回数も多いときでは6回のようです。ここで気になる事があります。
ダルビッシュ投手の徹底した栄養管理も気をつけないと歯を溶かす原因に??
ダルビッシュ投手をサポートしているDNS社のホームページにダルビッシュ投手のサプリメント摂取のサンプルが書いてあります。また、ダルビッシュ投手のブログやtwitterにはファンから度々質問されるサプリメント摂取のタイミングに関して丁寧に回答しています。ここで気になる点は錠剤のサプリメントは特に問題はないのですが、水に溶かして飲むプロテインを一日に数回も摂取している点です。
このプロテインの中には甘味料としてスクラロースが入っていますが、これは虫歯にならない甘味料とされています。しかし、エネルギードリンクには果糖が含まれています。わずかな量ではありますが、虫歯になる可能性があります。プロテイン摂取や食事の度に歯磨きをしっかり行なっていれば問題はないのですが、ちょこちょこと飲食物を口にしてそのままでいては口の中が酸性になってしまい、虫歯になったり歯が溶けたりする原因となってしまいます。
口の中は中性に保たれていれば特に問題は起きませんが、飲食により酸性に傾いてしまいます。約ph5.5を下回ると酸性となり歯が溶け出してしまいます。食後30分程すると、唾液によって中性に戻ってくるのですが、唾液中に含まれるカルシウムやリンが歯にくっつく再石灰化が始まります。これにより、酸性で歯の表面から溶け出したミネラル分が戻り、虫歯を防ぐ事ができるのですが、再石灰化する暇もなく飲食をしていると、当然歯は溶けていってしまいます。
サプリメントの摂取により歯の表面が柔らかくなっている状態で食いしばってしまうと・・・
歯が溶けてしまう事を酸蝕症(さんしょくしょう)と言いますが、強い酸性の飲食物(酢のドリンク、ワイン、柑橘類など)や逆流生食道炎、つわりなどで起こります。口の中が常に酸性で歯の表面が軟らかくなってしまっている状態でくいしばったりすると、歯の噛み合わせ部分がすり減っていってしまいます。それにより、噛み合わせがズレることも考えられるのです。スポーツマウスガードを使用していれば歯の摩耗は防げるのですが、使用しているかはわかりません。
一般のスポーツドリンクのphが3.5ぐらいだと考えると、ダルビッシュ投手が一日に数回口にしているプロテインやエネルギードリンクも同等で、口の中が常に酸性状態なのではないかと推測されます。
ちなみに、ダルビッシュ投手のように一日に何度も飲食をされる方は、飲食後は必ず歯を磨くようにしてください。しかし、現実的にそれが無理そうであれば、寝る前にはしっかりと歯磨きをするという条件で、飲食後にお茶やマウスウォッシュなどでうがいをするようにした方がいいです。
サプリメントが悪いのではなく、サプリメント摂取の後にはしっかりと口腔ケアを行なわなければ行けないということです。サプリメントはカラダも作る根幹となりますので、アスリートには非常に大切な要素ですここまで歯科の観点から、ダルビッシュ投手の寝違えについて考えてきました。
実際に口の中を拝見したわけではないので、歯がどのようになっているかは推測の域を出ません。しかし、厳しい練習やトレーニングにより歯が摩耗して噛み合わせがズレていたり、そのせいで咀嚼筋などの筋肉が疲労した事により寝違えが起きている可能性も否定はできないと思います。
厳しい環境で野球を続けているダルビッシュ投手ならではの出来事だったのかもしれませんが、適度な休息とストレス解消をしながら、来年こそはぜひ開幕投手としてオープン戦に登板してもらえたらと思います。その前に、今年も大リーグでの活躍を期待しています。
以上になります。最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!
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