新興国の台頭とは裏腹に日本経済は右肩下がりの下降飛行が続いている。経済大国と呼ばれた影も薄くなり、先進国から外れかねない一方で「歯科」に関してはとっくの昔に「後進国」という烙印を押されている。30代から始まり、40代、50代と歳を重ねる毎に歯を失い、ほとんどの日本人の歯が80代になると7~8本しか残っていない。永久歯28本のうち20本以上を失うと、噛めるものはうどんやおかゆ、バナナだけという現実が待っている。総入れ歯が合わず、口元はシワシワという日本の伝統的なお年寄りの姿がそうである。
しかし、そうした日本人を尻目に、スウェーデンやアメリカは高齢になってもステーキなどの硬いものを食べることが出来るお年寄りが多い。歯も20本以上保ったままの方が多いのである。この差は一体何なのであろうか。
歯を失うことへの関心が低い日本人
日本人の歯が少なくなっていく原因は「歯を失うことへの意識が低い」これに尽きる。
どくらぼの調査によると、20代~50代の4人に1人が歯を失ってもそのまま放置していると答えている。
歯を失っても放置し、歯科に定期健診に行く習慣もない日本人
日本人の歯科受診率が6%程度なのに対し、スウェーデンなどは100%近くになっている。
各国と比較しても、ダントツに低い歯科通院率。(堤田歯科)
日本人は「歯への関心が低く、歯医者は「歯が痛くなってから・歯がグラグラしてから行く所」という考えをもっているため、“予防”という考え方がない。だからこそ、歯を失うことへの危機感が薄い。歯が一本抜けることの重大さ、歯を失うことの恐怖心が欠けている。そこで本日は「歯が抜けたらどうなるか」ということにフォーカスし、歯が抜けた後に口の中でどのようなことが起こっているかを見ていきたい。
抜けた歯を放置すると、歯が伸びてくる!?
多くの方が歯は固定され、不動のものだと考えている。しかし、歯とは「常に動いている」ものなのである。そもそも歯は顎の骨にガッチリと埋め込まれているのではなく、歯と骨の間にはセンサー付きの線維がある。このセンサーがあるからこそ、柔らかいものはあまり強く噛まなくて済み、ご飯にジャリが混ざっていても瞬時に分かる。このセンサー付きの線維を「歯根膜(しこんまく)」と呼ぶ。歯にかかる力を制御しているのがこの歯根膜である。歯が抜けると、この歯根膜が変化に気がつく。つまり、「上の歯と下の歯」で今まで仲良く噛み合っていたのに、その一方がなくなることに気がつくのである。そうなると、歯根膜は噛み合わせるために歯を探し始める。上の歯は下へ、下の歯は上と伸びてくるのである。
このように失った歯の反対側の歯は相方を探し、伸びていくのである。(豊歯科)
歯が伸びると再治療が困難になる
歯が伸びることで、反対側の歯に入れ歯やブリッジを挿入することが困難になる。再治療を行おうとした時に反対側の歯を削るなどして無理やりスペースを作るなどの治療が必要になってしまう。
また、歯は常に前へと動いている。後ろには、ほとんどいくことがない。歳を重ねるにつれ、前歯が昔よりガタガタになっていることに気づいたことがある方もいるのではないだろうか。
抜けた歯を放置していて、歯がどんどん前に出てきてしまい、ガタガタになってしまった患者さん(歯列矯正日記)
上記の写真の通り、歯を失ったまま放置すると、すべての歯が前へ前へと移動する。そうなると、行き場のなくなった前歯たちが、回転したり重なったりして歯がガタガタになってしまう。歯を失ったまま放置すると、前進している歯は今まで寄りかかっていた支えがなくなってしまい、前方へと倒れてしまう。そうなると、抜けた歯の空いたスペースに倒れこんだ歯が邪魔になり、インプラント、ブリッジ、入れ歯などを行うことが困難になる。その場合は歯を矯正して元の位置に戻すなどの余計な治療が必要になる。
抜けた歯を放置することから始まる総入れ歯へのシナリオ
スポーツ選手などが、片足を怪我すると反対の足の調子も悪くなる。これは怪我した足をかばうことで、かばっている足に余計な負荷がかかり不調を起こしてしまうのである。
これとまったく同じ現象が口の中でも起こる。右側の歯が悪くなり、噛めなくなると人は無意識に左側をよく使う様になる。そのように左側ばかり酷使することで、次第にそこも悪くなる。それでもまだ放置していると、前歯ばかり使う様になる。そうなるとやがては前歯もダメになり総入れ歯族の仲間入りを果たす。
一つ歯を失うことで次から次へと歯を失うことにつながってしまう人が後を立たない(神戸精密入れば歯科室)
歯を失って、それを放置することで、顎が不調を起こす。
顎には正しい位置が存在する。そして、その顎の位置は、歯によって大部分が決められている。特に奥歯が無くなってしまうと支えがなくなり、顎の関節はどんどん骨を吸収したり変形して崩壊が始まります。そうした方は大体の場合、上の前歯が下の前歯を全て覆ってしまっている「過蓋咬合(かがいこうごう)」という状態。もしくは、歯周病の方だと上の前歯が外へ開いてしまう「フレアーアウト」という見た目も機能も良くない状態になる。
過蓋咬合(かがいこうごう)(神戸北矯正歯科センター)
フレアーアウト(上の前歯が外側に開く) (山口デンタルクリニック)
また、ひとたび噛み合わせが安定しなくなると顎がガクガク音が鳴ったり顎が外れやすくなり、歯ぎしりが酷くなる。歯ぎしりが他の歯に与える影響は凄まじく歯ぎしりが悪化すると一気に総入れ歯へのシナリオが加速する。
歯を抜いたら必ず治療が必要になる!?
歯を抜いたら絶対に治療する必要があるのだろうか。実は、必ずとは限らない。場合によっては、放置しても問題ない。
親知らずは抜いたまま放置でも問題ない
親知らず(wisdom teeth)は大きく分けてこの4種類あります。 (wisdomteeth)
現代人はアゴが小さくなる傾向にあるので、親知らずがしっかり4本生えて機能している人は稀である。大抵は斜めになって骨の中に埋まっていたり、変なところから生えている。親知らずを抜いた場合は抜きっぱなしで構わない。
一番奥の歯、第二大臼歯を抜いた場合も放置することが多い。
**親知らずの手前の歯が抜けた場合もそのままにしておくことが多い (toothclub)
ただその場合は先ほど述べたとおり、相方の歯が伸びてくる可能性があるので相手の歯の状況も見て正しい判断が必要になる。また、歯並びが悪くて抜いてもスキマがほとんどない場合も無理に治療しなくても問題ないことがある。大切なことは歯を抜くことになった際にその後の予定もしっかり歯科医と打ち合わせしておくことである。
大切なことはまず歯を失わないようにすること。そして、同じ過ちを繰り返さないこと。
歯を失ってしまった方には辛いコトバだが、何よりも大切なことは「歯を失わないようにすること」である。歯を失わないためには定期的に歯医者と仲良くすることが何よりも必要である(三ヶ月から六ヶ月に一度3000円程度の治療費で歯を守ることができる)
彼は歯のケアを一切行わず、20代でこんな歯になってしまった。こうなりたいと望む人間はいないであろう。
そして、既に歯を失ってしまった方は同じ過ちを繰り返してはいけない。今抜いた歯はそのままにして良い歯なのか、それともしっかりと治療を行わなければならない歯なのか正しい判断をしなくてはならない。そして、歯が抜けたことをチャンスとし自分の生活習慣の見直しを行うべきである。歯が残っているとはただ食べ物を噛めるだけではなく、アナタの人生を左右する他の大きな重大な病気と密接に関わってくる。歯のある人生とそうでない人生でこの先の未来が大きくかわる。歯を失ってしまったアナタの先の人生が今日を境に良い方向に変化することを願っています。
生涯のパートナーになる歯科医と出会えることを願っています。
自分自身が生まれ持った歯は髪の毛、爪などと異なり再生が聞きません。骨は折っても元にもどります。怪我だって治ります。しかし、歯は一度削ったり、抜けたりしたら二度と元にもどることはないのです。
そうした、アナタの大切な歯を生涯守っていくために、歯医者さんを敬遠せずに生涯のパートナーとなりうる歯科医との出会いを心から願っています。自分のカラダを守るのは自分です。子供のカラダを守ってあげられるのは親のみです。しかし、アナタを守る手助けをしてくれる方は世の中に多く存在しています。そうした方の手助けを上手につかい、いつまでも健康なカラダでいられることを願っています。
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今後とも、何卒よろしくお願い致します。
今回は最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。