前回までのあらすじ
なぜ僕が親知らずを抜歯することになったのか?
関連リンク:インターン開始1ヶ月で、抜きたくもない親知らずを抜歯させられた話。
逃げちゃダメだ・・・。
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ。
よし。
逃げよう。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
親知らずの抜歯工程
さて、いよいよ親知らずの抜歯が始まります。小心者の僕が、全国の歯医者恐怖症の方々を代表して手術を受けてきました。決死の医療ドキュメントです。僕の抜歯体験談の他にも、親知らず抜歯を考えているあなたに有益な情報が盛りだくさんです、是非最後までご覧ください!
1、麻酔をかける
まずは口内を消毒し、麻酔をかけるところから始まりました。歯茎や歯の感覚を麻痺させるもの(浸潤麻酔)と、下顎の神経を麻痺させるもの(伝達麻酔)の二本を打ちます。どちらもほとんど痛みは伴いませんでした。じきに左頬や顎、唇や舌までもが痺れて、感覚を失っていきました。
浸潤麻酔(しんじゅんますい)
手術部位の皮肉、皮下に注射します。歯茎を通して骨に薬が滲み込み、その中の神経にまで効果が及びます。最初の一刺しはチクリとしますが、次からは、その効果が現れて感覚が鈍った部位に刺していくので痛みを伴いません。
伝達麻酔(でんたつますい)
脳から下顎に続く神経が、枝分かれする手前に麻酔を流し込みます。唇や舌を含む、下顎の全体に強い効果を及ぼします。比較的麻酔が浸透しにくい下顎の奥歯の治療に用いられます。下顎から耳にかけて痺れるような感覚があり、少し驚いてしまうかもしれませんが、ほとんど痛みは伴わないので安心してください。
2、顔面を消毒する
こちらも、もちろん痛みがありません。細菌が患部に触れて炎症や感染症を起こさないための事前措置です。親知らず抜歯が列記とした手術であることをはっきり感じさせられます。髭を生やしていたり、化粧をしていると、きちんと顔面の殺菌が出来ず、トラブルの元になってしまうので注意が必要です。
細菌の混入を防ぐために。
親知らず抜歯前は、髭を剃り、化粧も控えましょう。
3、感染防止の布をかける
当然ですが、痛くありません。いよいよ本格的に親知らずの抜歯が始まります。感染防止の布を目にかけられているので、僕が最も恐れていた、先の尖った医療器具を見せつけられる事態は回避されるようです。しかし、「いま何をやっているのか分からない」ことが恐怖を助長させてしまうのも事実です。実際に僕も顎から伝わってくる振動や、工事現場のような轟音に狼狽してしまいました。肩や腕の力を抜いて、身体を先生に預けてしまうことが、安心感を得て余計な痛み回避するポイントです。
4、ヘーベルを使い、てこの原理で親知らずを脱臼させる
麻酔が効いているので、痛くありませんでした。親知らずと奥歯の間に「ヘーベル」と呼ばれるマイナスドライバーに似た器具を差込み、てこの原理で脱臼(骨に埋まっている歯を抜く)させます。真っ直ぐ生えている親知らずは、この段階ですんなり抜けてしまうこともありますが、僕の親知らずは斜めに生えていたため、これだけではびくともしませんでした。
少しでも痛いと感じたら、遠慮せずに先生に相談してみましょう。当然ですが麻酔の効き具合には個人差があります。あなたに麻酔が効いているかは、あなたにしか分かりません。麻酔をきちんと効かせれば痛みは伴わないのですから、もしも痛むようであれば気兼ねなく麻酔を追加してもらいましょう。
5、歯茎から斜めに除いている親知らずの表面を切断する
物凄い音と振動でしたが、痛みは全くありませんでした。「タービン」と呼ばれるドリルに似た器具で、歯茎から斜めに覗いている親知らずの表面を砕いて切断します。ドリルの先端が歯を摩擦するため、焦げるような においがあります。3分程度で親知らずは割れ、まずは歯茎から出ている表面の摘出に成功しました。残すは根元の抜歯のみです。
6、歯茎に残った根元を引き抜く
顎の骨が引っ張られる不快感はありますが、あまり痛くありませんでした。ヘーベルを顎の骨に残った親知らずの隙間に差込み脱臼させ、ペンチで引き抜きます。工程を聞くと痛そうに思えますが、麻酔がキチンと効いていたのでほとんど痛みは伴いませんでした。例えるならば、頬を軽くつねられるような弱い痛みです。1分程度ぐりぐりしていたと思います。
抜けました。
7、抜歯してできた穴を縫う。
これが最後の工程ですが、強いて言うならば、これが唯一痛かったです。歯茎に針が刺さる痛みがあります。親知らずが抜けて安心していたところで、気が緩んでいたからかもしれません。痛いと言っても、所詮は歯茎に何かが刺さる程度の痛みです。魚の小骨等、これまでに経験のある痛みなので、さほど脅威ではありませんでした。
これでやっと手術が終わりです。手術後に抜歯道具であるヘーベルを見せていただきました。
8、ガーゼを噛んで止血する
最後に、丸めたガーゼを噛んで止血します。怖くてきちんと噛めない方も多いようですが、ここできちんと止血することが傷の治りを早くするポイントですので、弱すぎず、強すぎず、しっかりと噛んで止血しましょう。
止血のガーゼは恐れずにきちんと噛みましょう。
きちんと血を止めてあげることで、血餅(かさぶた)を作り、傷の治りを早めます。
これにて親知らずの抜歯は終了です。
かかった値段は?
検査、麻酔、手術費等、総額で3,960円でした。親知らず一本を抜歯した値段です。
- 歯茎に埋没しておらず、真っ直ぐ生えている場合の相場:1,500円~2,000円
- 半分ほど歯茎に埋没しており、少し骨を削る必要がある場合の相場:2,500~3,000円
- 完全に歯茎に埋没しており、顎の骨を削る必要がある場合の相場:4,000円~5,000円
親知らずの生え方によって、顎の骨を削ったり、施術内容も変わります。
他にも、大学病院や総合病院の口腔外科で抜いてもらう場合や、全身麻酔で抜く場合等、親知らず抜歯には様々な方法があり、値段もそれぞれです。
かかった時間は?
麻酔をかけ、親知らずを抜歯し、患部を縫う。全て含めて30分程度でした。人によって親知らずの生え方は様々ですから、一概にこれが平均であるとは言えません。しかし、僕のような斜めに生えてしまい半分歯茎に埋まっている親知らず(半埋伏智歯)でさえ30分で抜けるのですから、真っ直ぐ生えている親知らずはもっと時間がかからないはずです。
処方された薬は?
ルリッド錠150
炎症を抑えるための薬です。抜歯前にも処方されましたが、朝夕の食後に引き続き服用します。
ボルタレン錠25mg
痛み止め、炎症を抑える作用があります。痛み止めとしての効果が発揮されるのに15分~30分程度かかり、その効果は約6時間継続します。強い薬ですので、決して飲みすぎず、胃にものが入っている状態で服用します。
痛み止めは、麻酔が切れる前に飲むこと。
麻酔が切れると患部が痛み出しますが、それ以前に痛み止めを服用することで抑えることが出来ます。
ずばり、痛かったか?
ずばり、痛くありませんでした!
全く痛みを伴わなかったと言っても過言でないくらい、スムーズな手術でした。親知らずの抜歯についてインターネット上で検索すると、どれも痛かった、痛かった、痛かった・・・。恐怖心を限界まで煽られた状態で臨みましたが、もう一度言います、親知らず抜歯は、痛くありませんでした!
なぜ倉持の親知らず抜歯は痛くなかったのか
さて、僕の親知らず抜歯がなぜ痛みもなくスムーズに抜歯出来たのか、皆様の参考になるよう先生に伺ってきました。
1、まだ顎の骨が柔らかい、若いうちに抜歯したから
顎の骨はとても密度が高く、歳を重ねるにつれて硬くなり、親知らずを離してくれなくなります。逆に若いうちは弾力に優れるため、親知らずに少し引っ張る力を加えるだけで、縮んでするする抜けてくれるのです。時折、40代、50代の方が親知らずを抜歯しに来られますが苦労してしまうことも多いようです。
また親知らず抜歯手術には麻酔が必要不可欠なため、妊娠中や、別の病気を発症してしまっている際には行うことが出来ません。にも関わらず、ホルモンバランスやストレスの影響で、出産間近や、就職試験の直前といった大切な時期に痛み始めることも多いようです。若いうち、早いうちの抜歯をオススメ致します。
2、炎症や虫歯が酷くなる前に抜いた
親知らず周辺に酷い虫歯や炎症があると麻酔が効きにくくなってしまいます。親知らずは一番奥に生えていますので、歯ブラシが届かずトラブルが起こりやすいです。歯磨きには気を使っていたはずのに、気付かない間に虫歯になっていたなんていうことも・・・。しかし、そうなってからでは遅いのです。親知らずや、その周辺が痛いと感じたら、怖がらず、すぐに歯医者さんに相談しましょう。
3、根元が真っ直ぐだった
親知らずを引き抜くとき、根元が曲がっていると非常に苦労します。僕の親知らずは斜めに生えてきていましたが、根は真っ直ぐだったので、すんなり抜くことが出来たのです。根元がどうなっているかは見ただけでは分りません。斜めに生えてきた方も怖がらず、まずは歯医者さんに行ってレントゲン等を撮ってもらいましょう。簡単に抜けるかもしれませんよ!
4、先生の腕
最終的には、親知らずを抜く先生の力量が重要になってきます。
今回僕の抜歯を担当してくださった東京セントラル歯科の寶田先生は口腔外科に関してトップクラスの先生でしたので、非常に安心感がありました。
関連リンク
「全然痛くなかったぜ、余裕だった」
前回の記事で祈っていた通りの、皆様を後押しできる記事になったのではないでしょうか。親知らずの抜歯は麻酔がきちんと効くかぎり、ほとんど痛みを伴いません!
最後に、頂いた親知らず抜歯後の注意冊子を確認しておきましょう。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
~親知らず抜歯後の注意事項~
・親知らずは抜歯よりも抜歯後の方が注意が必要です。
マジか・・・。
関連リンク:親知らず抜歯後に注意すべき10のこと
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
親知らずは抜歯後のほうがキツい!?
親知らずの抜歯は、抜歯当日よりも、抜歯後のほうに苦難が多いのです。大きく分けて、痛みと、腫れの二種類の悩みが、抜糸までの一週間付きまといます。
ここからは抜歯後に注意しなくてはいけないこと、痛みや腫れ等について、僕の実体験を交えながら詳しく解説いたします。
親知らず抜歯後に気を付けなくてはいけないこと
親知らず抜歯後の日常生活において気をつけなくてはいけないことをまとめました。
1、血が止まりにくくなることはしない
飲酒や激しい運動、長風呂等、血行を良くし過ぎることは極力避けてください。親知らず抜歯後の患部は、穴に溜まった血が固まり血餅(けっぺい)と呼ばれるかさぶたができることで完治に向かいます。血のめぐりを過度に良くしてしまうと、うまく血餅ができず、傷の直りを遅くしてしまいます。
また、飲酒に関しては、薬との飲みあわせで投与以上の副作用が出てしまったり、薬自体の効果を薄れさせてしまうことがあります。薬を飲んでいる間は、痛くなくても、腫れていなくても、飲酒は控えましょう。
2、喫煙をしない
煙草を吸うことで血行が悪くなり、患部の治癒を妨げてしまいます。さらに血流の悪化は、本来なら血が洗い流してくれるはずの細菌を留めてしまい、完成や合併症を誘発してしまいます。
また、吸う行為自体が、口の中に陰圧をかけて、血餅を剥がしてしまいかねません。しばらくの間は喫煙を控えましょう。
3、傷口に触れない、触れさせない
抜歯直後は口の中の違和感からついつい舌で患部に触れてしまいがちですが、傷口を開いてしまう危険性があるのでいけません。硬い食べ物は控え、なるべく反対側の歯で噛むようにしてください。
また同じ理由から、歯磨きの際も、抜歯した歯の直前までを、歯磨き粉を使わずに磨くように心がけましょう。うがいもブクブクと激しく行うと血餅を剥がしてしまうので、うがい薬を口に含む程度にしてください。
傷口を縫った糸に食べかすが引っかかっているように見えても、それが血餅かどうかは素人目には分かりません。歯肉が治っていく過程で自然と食べかすもとれてしまうので、気にせず放っておきましょう。
血煎は白い!
素人目に食べかすと見分けが付きにくいので、食べかすだと思って剥がしてしまわないように注意しましょう。
4、薬を飲み忘れないこと
痛み止めは、その効果が切れる前に新たな痛み止めを服用することで、効果の隙間を作らずに痛みを抑えることが出来ます。僕がもらったボルタレンという薬の効果持続時間は約六時間でしたから、抜歯当日から次の日にかけては一日三錠ほど服用しました。おかげで一度も大きな痛みを感じずに過ごすことが出来ました。
また、抗生物質は腫れに限らず服用してください。腫れを抑える薬ではなく、炎症や化膿を事前に最小限にとどめる効果があります。腫れていなくても、必ずお医者さんの言われたとおりに服用しましょう。
親知らず抜歯後の痛みについて
親知らず抜歯後に痛みは付き物なのでしょうか?僕の経験から述べさせていただくと、やはり多少の痛みは伴ってしまうかもしれませんが、自分の努力しだいで抑えることが出来ました!
1、我慢せずに痛み止めを、正しく飲むこと
直接痛みをなくす方法は、薬を飲む以外にないと言っても過言ではありません。また、痛み止めの効果が切れてしまう前に、その次の痛み止めを服用することで、効果の隙間を作らず、痛い思いをしなくて済みます。
事実、僕は抜歯翌日の夜に一錠服用し忘れましたが、激痛でした・・・。皆さんはお医者さんに言われた飲み方を守りつつ、キチンと薬を飲みましょう。
2、抜歯後24時間以内は間接的に冷やすこと
親知らずの抜歯後、身体は熱を持ちながら壊れた組織を治そうとします。その熱が出過ぎると痛みも増してしまいます。熱を下げることで痛みも和らぎますが以下の行為は禁止です
・口の中に氷を入れて冷やす
・直接頬を当てて冷やす
冷やしすぎは血行を悪くし、傷の治りを妨げてしまいます。僕は冷却シートを頬に張って過ごしました。
冷やしすぎ注意!
直接冷やし過ぎると、血行が悪くなり治癒が遅くなってしまいます。
親知らず抜歯後の腫れについて
残念ながら腫れを大きく抑えることは出来ません。抜歯後の腫れは生態の治癒反応として必ず起こることです。平均ですが、48時間までをピークに腫れてくるケースが多いようです。特に顎の骨を大きく削るような手術をした場合は、大きく腫れてしまうと言われています。
親知らず抜歯当日(向かって右下の親知らず)
親知らず抜歯翌日(向かって右下の親知らず)
親知らず抜歯後3日目(向かって右下の親知らず)
僕はほとんど腫れませんでした。
顎の骨をほとんど削らなくて済む親知らずの生え方でしたので、腫れもかなり少なかったです。他の人の目にはほとんど変わっていないように見えるのではないでしょうか。
親知らず抜歯後は口が開かない。
しかし、それでも内側には少し腫れており、痛みを伴ってしまうので、上の画像程度しか口を開けられなくなってしまいました。やはり腫れを抑えることは難しいようです。
しかし、完璧に抑えることは出来ませんが、熱を持った炎症を冷やしてあげることは、痛みと同様に腫れにも一定の効果があるようです。
親知らず抜歯 まとめ
最後に、親知らずの抜歯と、抜歯後の注意点をおさらいしておきましょう。
親知らず抜歯当日の注意点
- 髭を剃り、化粧は控える
- 前日はきちんと睡眠を取り、健康体で臨む
- 麻酔が効いていなかったり、痛かったら遠慮せずに申し出る
- 身体の力を抜く。大丈夫、痛くない。
- 麻酔が切れる前に痛み止めを服用する
親知らず抜歯後の注意点
- 血が止まりにくくなることはしない
- 喫煙をしない
- 患部に触れない
- 薬は忘れずに飲む
- 抜歯後24時間以内は間接的に冷やす
僕は相当な痛がりで、歯医者さんにも苦手意識を持っていました。そんな僕でさえ、今回の親知らず抜歯にはほとんど苦痛がありませんでした。むしろ、親知らずが斜めに生えていた以前のほうが、食事や歯磨きに際して面倒が多かったような気がします。無理矢理抜かされた親知らずですが、「抜いて本当に良かった」と今は思えます。
親知らず抜歯を恐れることなんてないのです。皆さんも、少しでも現在親知らずに不快感を覚えているのなら、是非抜歯を検討してみてはいかがでしょうか。そのために、まずは是非歯医者さんへ行ってみてください!
親知らず 抜糸へ続く!
抜糸も怖いなぁ・・・。