親知らずの抜歯後には様々な問題が付きまといます。安静にしておくに越したことはないですが、毎日寝過ごすわけにもいきませんよね。そこで今回は、親知らず抜歯後に気をつけなくてはならない注意点をまとめました。これを読んで、抜糸までの一週間を乗り切りましょう!
第一章では親知らず抜歯後の痛みや腫れに関する注意点と、その抑え方を説明いたします。
さらに第二章では、食事や飲酒など、具体的な行動における注意点を説明していきます。
第一章 親知らず抜歯後の痛み、腫れに関して
まずは痛みと腫れを、少しでも和らげるためのコツを伝授いたします!
痛みについて
腫れについて
痛みについて
痛み止めは麻酔が切れる前に飲むべし!
親知らずを抜いた後は我慢しないで痛み止めを飲みましょう。抜歯時は麻酔をしていますので痛みが無い場合もありますが、大体1時間から2時間ほどで麻酔の効き目がなくなってきます。麻酔の効果が切れる前に痛み止めを飲むことで、痛みを軽減することができます!
痛み止めの種類や体重などによって効き目も違いますが、抜歯後24時間以内は痛みのピークになりますので、6時間から8時間間隔で痛み止めを飲んでいればそれほど痛みが強くなることはないでしょう。
24時間以内は間接的に冷やすべし!
24時間以内は軽く冷やしてください。冷やし過ぎは良くないので、氷をタオルで包んで頬へ当てるようにしましょう。口の中に氷を入れたり、直接頬に当てないようにしましょう。24時間後は冷やす必要はありませんし、温める必要もありません。そのまま経過を見てください。
枕を高くして寝るべし!
抜歯当日の夜は、少し枕を高くして寝るようにしてください。頭が下がってしまうと血流が頭部にきますので、出血の原因になることがあります。抜歯後は血が止まっているように見えても、多少の出血が続いていることがあります。朝起きた後に枕に血がにじんでいたということも良くありますので、枕に洗えるようなタオルなどを一枚巻いて寝るといいでしょう。
腫れについて
腫れは抑えることができない!?
残念ながら腫れを大きく抑えることは出来ません。抜歯後の腫れは生体の治癒反応として必ず起こることです。平均ですが、48時間までをピークに腫れてくるケースが多いようです。抜歯後の腫れを弱める方法として、ステロイドの投与がありますが、保険適応外です。
また化膿止めの薬が処方されることが多いですが、これは腫れを引かせるための薬ではありません。化膿止めは抜歯後の感染を予防するための薬ですから、痛みや腫れに関わらず必ず服用してください。
冷やし過ぎは禁物!?
抜歯後の痛みを軽減させる場合と同様に、腫れに対しても少し冷やしてあげることは効果的です。しかし、冷やし過ぎはいけません!抜歯後の治癒を遅くしてしまいますので、氷をタオルに包んで頬に当てる程度にしましょう。冷却シートもおすすめです。
また、抜歯後にアザが出来る場合があります。これは冷やし過ぎによるものではありません。アザは内出血斑ですので、抜歯時の侵襲や術後の出血などによってできたものです。
第二章 親知らず抜歯後の日常生活における注意点
さて、ここからは様々な行動パターンに分けて、親知らず抜歯後の注意点を説明していきます。
食事はどうすればいいの?
抜歯後1時間から2時間は食事を控えること
抜歯後1、2時間では、まだ麻酔が効いていると考えられます。麻酔が効いたまま食事をすると、気が付かない間に口唇や頬を咬んで傷つけたり、火傷をしてしまう場合があります。
やわらかく刺激の少ないものを食べること
固いものは抜歯部位のかさぶた(血餅:けっぺい)をはがしてしまう事があり、再出血に繋がってしまいます。また刺激物は痛みに繋がることがありますので控えてください。ご飯をおかゆにする必要まではありませんが、腫れが喉の方にも出てものが飲み込みにくい場合はお粥やゼリーなどに変えてください。
できるだけ反対側の歯で噛むこと
これも抜歯部位のかさぶた(血餅)がはがれるのを防ぐためです。口の中の血餅はやわらかくすぐはがれてしまいますので、注意しましょう。
お酒は飲んでいいの?
薬を飲んでいる間は控えましょう
特に抜歯をした当日はお酒を飲まないでください。お酒を飲むことで血行が良くなり、過剰な出血に繋がります。さらにお酒は薬の効果にも影響を及ぼします。お酒を飲むことで投与量以上の副作用が出たり、薬自体の効果を薄れさせてしまうことも考えられます。
煙草は吸ってもいい?
糸を取るまでは控えましょう
タバコを吸うことで血行が悪くなり、患部の治癒を妨げてしまいます。さらに血流の悪化は感染や合併症を誘発してしまうので気を付けましょう。
走ったり、運動はしていい?
抜歯当日の運動は控えましょう
痛みと腫れのピークである48時間を過ぎれば、多少の運動は可能です。しかし、場合によっては抜歯部位に響くような痛みが生じるかもしれません。どうしても必要でない限り、抜糸までの一週間は運動をしないようにしましょう。
歯磨きはどうすればいい?
歯磨き粉は使わず、抜歯部位の1本から2本手前までの歯を磨くようにしましょう
歯ブラシで患部の傷を触ってしまうと出血の原因になります。もし不安なようであれば抜歯当日は軽いうがいだけでも大丈夫です。ただしブクブクと強いうがいはしないでください。かさぶた(血餅)がはがれてしまい、治癒を遅らせてしまう危険があります。
抜歯翌日からは歯磨き粉を使って構いません。しかし酷い痛みを感じた場合は無理をせず、歯磨き粉の使用は控えましょう。
これらの注意点を守らないと陥る、最低最悪の状況「ドライソケット」とは
ドライソケットとは、抜歯をした際の穴(抜歯窩)が歯茎や血液で覆われず、口の中で骨が剥き出しになっている状態をいいます。食事の際、呼吸の際、様々な場面で激痛を伴う、最低最悪の状況でしょう。
抜歯をした患部には、かさぶた(血餅)が生じ、それが徐々に歯茎の組織へと変わって治癒します。様々な注意点を挙げましたが、それらは全てこのかさぶた(血餅)を作るためのものです。もしも、かさぶた(血餅)ができなかったら、歯茎がきちんと生成されず、ドライソケットに陥ってしまうかもしれません。
万が一ドライソケットになってしまった場合には、抜歯窩に痛み止めの薬を定期的に入れ、洗浄します。それでもなかなか治癒しない場合には、再度麻酔をして抜歯窩を掻把(そうは)したり、露出している骨の一部を削ったりする必要があります。
大事なのは、かさぶた(血餅)をきちんと作り、はがさないこと!
親知らず抜歯後 まとめ
最後に、親知らず抜歯後に気をつけなくてはならないことをおさらいしておきましょう!
- 抜歯後24時間は、6~8時間間隔で痛み止めを服用する
- 抜歯側の顎を、冷却シート等で間接的に軽く冷やす
- 抜歯当日の夜は少し枕を高くし、汚れても良いタオルを敷く
- 化膿止めは痛みや腫れにかかわらず服用する
- 抜歯後、麻酔がとけるまでの1、2時間は食事を控える
- やわらかく、刺激の少ないものを、なるべく反対側の歯で噛む
- 薬を飲んでいる間は飲酒しない
- 喫煙は、最低でも抜糸するまではしない
- 抜歯後48時間までは運動を控える
- 無理な歯磨きはしない
さて、先述のように、一番大切なのは「かさぶた(血餅)をきちんと作り、はがさない」ことです。それさえ分かっていれば、どんな状況に面しても、臨機応変に対応することができるのではないでしょうか。
あと一週間ほど乗り越えて抜糸を済ませば、完治も目前です。長い長い親知らず治療も、もう少しの辛抱です。私共が運営しております”どくらぼ”では、これからも皆様の大切な歯に関する情報発信に努めてまいります。是非他の記事にも目を通していただき、親知らず治療の知識を深めてくだされば幸いです。本日は最後までご覧いただき、ありがとうございました!皆様の歯の健康と、親知らず抜歯の一日でも早い治癒をお祈り申し上げます。