前回、バレンタインにちなみチョコレートを食べた後にアナタの歯でどのような変化が起こっているのかを解説いたしました。
SNSを中心に大きな反響をいただきました。ありがとうございます!
チョコを食べた後、そのままにすると人間の歯は3日でどう変化する?
前回はチョコを食べた後の口の中の変化と、むし歯の恐怖についてお伝え致しました。今回は、では実際にチョコレートを食べた後にどのようなことを行えば歯を守ることができるのかという実践的な方法についてお伝えいたします。
まずは、前回の復習から。
チョコに含まれる砂糖がきっかけでむし歯が生まれていく
チョコレートには非常に多くの糖分が入っており、そのため糖分が原因でむし歯が生まれます
チョコレートのお菓子にこれだけの砂糖が入っています。
砂糖はむし歯菌の大好物であり、砂糖を餌に菌が繁殖する
歯を溶かすミュータンス菌 giomer
そのまま放置すると菌が増殖し、歯垢(プラーク)となり、さらに増殖を続ける
ミュータンス菌の集合体プラーク Lion
歯垢を放置すると石化(歯石)し、さらに新たな歯垢の住処となる。
石化した歯垢は歯磨きでは決してとれない。また、ここがさらにプラークを生み出す巣となる。歯の知りたい
放置を続けるとむし歯が生まれていく
むし歯と言えば黒いと思っている方も多いですが、初期のむし歯は白いのです。流行情報
黒い点がむし歯の穴。内田デンタル
更に進行してしまったむし歯 ながしまデンタル
放置することでむし歯はどんどん深くなる さくま歯科
以上のようなことが前回のお話でした。
- チョコを食べる
- そのまま放置することで口の中に砂糖が残る
- 砂糖を媒介とし菌が増殖する
- 菌が歯の表面を溶かし始める
- むし歯となり、進行を始める
このようなことがチョコを食べた直後に歯で起こっている現象でした。
では、実際にチョコレートを食べた後に何をすれば歯を守ることができるのでしょうか。
チョコを食べた後、何をすれば歯を守ることが出来る?
チョコを食べた後、歯をむし歯から守るにはどうすればよいのでしょうか?歯磨きをするとしたらどんなタイミングがいいのでしょうか?
通常、糖分を含んでいる食品は、口に入った途端、むし歯菌のエサとなり、むし歯菌の出す酸によって歯が溶かされ始めます。これを脱灰(だっかい)と呼びます
細菌により、歯の成分が溶けだしている。Lion
もちろん溶けると言っても歯がドロドロ溶けてすぐに穴が開くわけではなく、歯の表面からミネラル成分が溶け出している状態で、見た目でわかるわけではありません。
歯の正面が白くなっている部分が脱灰して溶け出している部分。pinterest
ミネラル成分が多く失われすぎるとむし歯になるわけですが、お口にも歯をむし歯から守る防御機構がちゃんと備わっています。それは再石灰化と呼ばれるもので、失われた歯のミネラルを唾液中のミネラルで補って修復する働きです。しかし、この再石灰化は脱灰のようにすぐ起こるのではなく、約30〜40分程度と少々時間がかかります。
脱灰と再石灰化、つまり、破壊と再生が歯で繰り返し行われているのです。
酸による破壊(脱灰)、唾液による再生(再石灰化)が繰り返し行われている。こじま歯科医院
食べた直後に歯をすぐ磨くのはNG?インターネットの噂の真実
唾液にはむし歯から歯を守る作用があるのと、「食べた後は歯の表面が酸で溶かされている」という理由から、「歯を傷めないためにも、食後すぐに歯磨きをせず、歯の石灰化が起こるまで30分以上待ったほうがいい」という説が一時期インターネットでも広まりました。
しかし、実際この説は「酸性食品を摂取した後すぐに歯磨きをすると歯が傷みやすい」という「酸蝕症」に関する実験結果が元になっており、むし歯予防には当てはまらないものだと、日本小児歯科学会が見解を示しています。
酸性の強いものを食べると歯が溶けるという酸蝕症とむし歯はまた別のお話。画像は酸蝕症で溶けた歯
同学会では、むし歯予防のためには、食後なるべく早めに歯磨きをして、歯垢や細菌を取り除き、脱灰を極力防ぐことが大事だとしています。
むし歯予防のためには歯はすぐに磨いたほうがいい
特にチョコの場合、性状的に歯にベタッくっつきますので、食べ終えたとしても歯の表面には溝などは特に、結構残っているものです。残っていれば、脱灰が続くことになります。そのため、チョコを食べた後むし歯になりたくなければ、食べ終わった後、なるべく早めに歯磨きをしてチョコを取り除いてしまうのが最善であるようです。
チョコは歯に残りやすいので、歯磨きでしっかりと取ることが大切。chocolate smile
チョコを食べてから24時間の口の中の変化に対して、何をすればいいのか
むし歯になりたくないなら、チョコを食べた後はなるべく早く歯を磨くのが確かにベストではあります。しかしなかなかすぐに磨けないこともあるでしょう。というよりチョコを食べた後は余韻にも浸りたいですし、すぐに歯磨き、というのは興ざめなので、あまりやりたくない人が多いかもしれません。
でも、次のことに注意すれば、通常チョコを食べて24時間もすれば相当溜まってしまうであろうプラーク(むし歯や歯周病を起こす細菌の集合体)を極力溜まらないようにすることが可能です。
チョコを食べた直後に歯磨き!というのも中々難しい。歯磨きの正しい方法
1.食べる時は短時間で
チョコのなかに含まれる糖分はむし歯菌に餌を与え、増殖させてしまいます。そしてそのむし歯菌は糖を分解して酸を出し、歯を溶かしていきます(脱灰)。ダラダラと食べていると、その状態が続き、その後唾液によって行われるはずの歯の石灰化(溶けた歯を修復する作用)がなかなか行われなくなってしまい、歯は修復されず、だんだんと溶けてしまいます。チョコを食べる時は短時間で、その後唾液により再石灰化がじっくり行われるようにしましょう。
歯は脱灰(歯が溶ける)と再石灰化(溶けた歯が戻る)を繰り返す。ダラダラ食べていると再石灰化が行われず歯が溶けていく giomer
2.食べた後にお茶や水を飲む
チョコは軟らかいので、歯にくっつきます。食べた後はなるべく歯の表面にチョコを残さなよう、口をゆすぐような感じでお茶か水を飲むと良いでしょう。
歯にチョコを残さないことが何よりも大切。口をゆすぐ習慣を。子供歯磨き研究所
3.キシリトールガムを噛む
チョコを食べた後、キシリトールガムを噛むのもオススメです。キシリトールはむし歯菌の活動を弱めて、酸を作りにくくします。また、唾液を分泌させる効果もあり、お口の洗浄効果や、溶けた歯を修復する再石灰化効果もあるので、むし歯予防にとても効果的です。
中には、歯医者さんが作ったというチョコにキシリトールが入っているものも。
4.夜はなるべく避ける
人は眠っている間、唾液の分泌が低下します。夜遅くにチョコを食べてすぐ眠ってしまった場合、むし歯菌によって脱灰された部分が唾液不足により再石灰化されず、むし歯になるリスクが高くなります。
寝ている間、口の中の最近は最も増加する 高橋歯科医院
5.寝る前の歯磨きはじっくり丁寧に行う
睡眠中は唾液が減り、細菌の数が一気に増え、むし歯リスクが高まります。そのため、寝る前にしっかり隅々まで歯磨きを行い、むし歯菌を減らしておきましょう。チョコは溶けて歯の隅々、歯間まで入り込んでしまいますので、デンタルフロスなども併用し、しっかりと行いましょう。
フロスを使って、歯と歯の間のチョコレートもしっかりと取りましょう。船坂歯科医院
チョコを食べた後の口の中の変化と、それに対する予防の総まとめ
①チョコを食べると口の中は酸によって酸性に傾き、歯が溶け始める
②そしてむし歯菌はチョコの糖分を餌にますます増殖を続け、歯の表面にプラークを形成し、そこから常に酸を出し続けて、やがてむし歯を作ってしまいます。
酸による破壊(脱灰)、唾液による再生(再石灰化)が繰り返し行われている。
歯の正面が白くなっている部分が脱灰して溶け出している部分。
③これを防ぐためには
- 「間食は短時間で、むし歯菌に餌を与える時間を少なくすること」
- 「唾液を十分に出し、唾液の自浄作用、再石灰化作用を活用すること」
- 「夜寝る前に食べるのを避けること」
- 「常日頃から丁寧なブラッシングでプラークを残さず、口のなかの細菌を減らしておくこと」などがとても重要です。
寝ている間に細菌は繁殖する
寝る前のフロスが大切。
以上になります。
バレンタインデーの時期は一年の中でチョコを最も食べる時期と言ってもいいでしょう。チョコを食べてむし歯にならないように、ぜひこれらのことを心がけてみてください。
チョコレートはとても美味しく、食べていると幸福感を感じますよね。だからこそ、食べた後のことをしっかりと考え、歯に負担をかけない楽しいバレンタインデーにしてくださいね!
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