乳歯の虫歯はどんな症状がある?
乳幼児は虫歯に伴う自覚症状を伝えにくいのもあり、ご両親が気づいたときにはかなり進行してしまっているケースが多々あります。虫歯の痛みの症状は大人と変わりなく、最初は歯のしみる感じから始まりますが、子供がご両親に報告するのは痛くなってからの場合が多いです。しかし、痛みの症状が出ている頃には虫歯の状態としては神経まで虫歯が及んでいるような状態です。虫歯を早期発見し、治療を行うにはご両親がお子さんの虫歯に気づいてあげる必要があります。
初期の乳歯の虫歯は白い!?
乳歯の虫歯は白く、とても進行が早いです。虫歯が発生すると多数歯に及ぶ場合が多いので、虫歯を発見したら、周囲の歯や反対側の歯にも注意を払う必要があります。
どうやって確認すればいい?
まずお家でお子さんの虫歯を発見するには、日頃から仕上げ磨きをして、お口の中をチェックすることです。特に歯と歯の隙間にできた虫歯は気づきにくい部分になりますので、仕上げ磨きの際にデンタルフロスを使用して、糸に引っ掛かりがないかチェックするといいでしょう。(引っ掛かりがある場合は歯の表面が虫歯になっている可能性があります)デンタルフロスもお子様用の小さなホルダー付きデンタルフロスが市販されていますので、ホルダー付き使用するとやりやすいかと思います。また、デンタルミラーも市販で手に入りますので、虫歯好発部位のチェックに使用すると良いでしょう。
どのあたりにできやすい?
虫歯好発部位は乳歯の萌出順序や成熟度とも関連して変化します。
- 1、2歳…上顎前歯部、唇側歯と歯茎の間、歯と歯の間
- 3、4歳…上下奥歯の噛む面
- 5、6歳…奥歯の歯と歯の間
また、下顎前歯部は最も虫歯になりにくい部分です。
乳歯の虫歯の治療法にはどんなものがある?
小さな虫歯であれば、大人の虫歯治療とあまり変わりありません。プラスチックを歯に詰めたり、型取りをして小さな金属を詰めたり、セメントをつめて痛みがでないか様子をみたりします。乳歯特有の治療としては乳歯冠という形がもともとできている金属の被せ物を使用して治療を行うこともあります。
乳歯の虫歯で神経を処置しないといけないと言われました。神経は取っても大丈夫?
神経にまで広がった虫歯は歯根の先端に膿が溜まった状態です。神経を残して、膿を放置していると、乳歯の根の先端にいる後続永久歯(あとから生えてくる永久歯)に悪影響を与えるので神経を残したままの方が結果的にお子さんの為にはなりません。
神経を抜く処置は永久歯と変わりありませんが、最後に詰めるお薬が違います。治療回数も永久歯よりも少なく済みますし、永久歯は神経を抜く処置をおこなった後に、土台を立てたり、被せ物をしたりしますが、乳歯の場合は神経を抜く処置が終わったらお薬を詰め、仮封をして終わりになります。
乳歯の虫歯はどうせいずれ抜けるのだから放置しようと思うが、だめ?
乳歯ムシ歯も重症化すると、発育中の乳幼児の全身や口腔に様々な影響を与えます。虫歯ができてしまったら必ず治療を行いましょう。
全身的影響
- 食欲不振、偏食
- 心理的障害:上顎前歯が虫歯により欠けてしまった場合、大人が想像する以上に乳幼児に心理的障害をもたらします。
- 歯性病巣感染:歯の病巣が直接関係のない遠隔臓器に器質的な疾患(微熱、リウマチ性関節炎、腎炎、心内膜炎等)が現れることもあります。
局所的影響
- 食べる機能の低下
- 後続永久歯の形成、石灰化の異常:ターナー歯と呼ばれるあとから生えてくる永久歯(後続永久歯)の形成不全を起こすことがある。
- 乳歯列形態:乳歯の歯並びが悪くなります。
- 交換現象の錯誤:重症化した乳歯は交換時期が一般に遅くなり、後続永久歯の萌出時期、位置に変異が見られることがあります。
乳歯が虫歯にならない為にできることは?
低年齢児の乳歯は、永久歯と比べて発達環境の影響を受けやすいので、乳歯の虫歯予防に関してはご両親ができることが多くあります。
自宅
- 長期にわたり、就寝時の哺乳瓶の常用をやめる→哺乳瓶虫歯の予防
- 仕上げ磨きをする。その際デンタルフロスを使用する→乳歯虫歯は歯と歯の間にできやすいので、デンタルフロスを使用することで虫歯予防になる
- フッ素ジェルを使用する。→歯質強化を行えば虫歯のリスクが減少します。乳幼児には、フッ素塗布後に口を濯ぐ必要のない、そして大量にフッ素を取らないように見ることができるためフッ素ジェルがオススメです。
- 代用甘味料→キシリトール等の代用甘味料を使ったお菓子やガムを与える
- 間食は時間を決めてやる→ダラダラと時間を決めずに間食してしまうとそれだけ虫歯誘発性が高くなるので、時間を決めて間食をとることがオススメです。
- 感染予防→虫歯は感染から起こります。ご両親の使用したスプーンやお箸を使って子供に食べさせたり、一度両親の口に入ったものを食べさせることで感染が起こりますので感染させないように注意すること。そして、ご両親も虫歯治療をきちんと受けて感染のリスクを減らすことが大切です。
歯科医院
- フッ素塗布…1年に3〜4回程度歯医者さんでクリーニングを兼ねたフッ素塗布を行うと資質強化につながり虫歯予防になります。また、虫歯検診をすれば、乳歯の虫歯は進行が早いので重症化する前に発見、治療できます。
- シーラント処理…歯の溝の部分を埋めることで虫歯リスクを軽減します。薄いプラスチックを塗布する方法です。
- 染め出し・歯磨きチェック…お口の中を赤く染め出しして、歯に残った汚れをチェックする方法です。歯科衛生士による歯磨きの仕方のチェックや指導を一緒に行い、普段の仕上げ磨きの状態も見ていきます。
子供が虫歯で乳歯が痛がっている時、応急処置は?
診療を行っていないような時間や日に歯の痛みを訴えた場合
- 痛みのある歯にものが詰まっていないか確認。綺麗な状態にしてあげる
- 冷やしたタオルで顔全体を覆ってあげる
- 小児用の鎮痛剤を飲ませる
- 体を温めないように注意する
末期の痛みがすぎた後は、痛みがなくなっていきます。お子さんは痛みが引くと治ったと勘違いするかもしれませんが、(歯に穴が空くため)痛みがなくなったからといって治療を怠っていると後続永久歯に影響があるばかりか全身にも影響が出る場合もありますので、きちんと治療を行いましょう。
乳歯の虫歯について まとめ
最後に、乳歯の虫歯について重要な点をおさらいしておきましょう。
- 乳歯の虫歯は進行が早い
- 初期の虫歯は白い
- 小さな虫歯であれば、治療法は大人と同じ
- いずれ抜けるからといって決して放置してはいけない
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