認知症とは
認知症とは、脳の病気で、なんだかの原因による脳細胞の死滅や働きの低下によって引き起こされる病気です。認知症は、はじめは物忘れ程度から始まります。しかし、認知症はただのもの忘れとは違い、物事の全体を忘れてしまいます。
例えば、ただの物忘れは
「通帳をどこにしまったのか忘れてしまった」
「娘との約束を忘れ、すっぽかしてしまった」
など、自分が「忘れてしまったこと」を認識しています。
一方、認知症の物忘れでは、物事の全体を忘れてしまい、同じケースでも
「通帳がなくなった(自分がしまったことを忘れている)」
「娘と約束などしていない」
と本人は認識し、誰かに通帳が盗まれたのではないか?娘が一方的に怒っているなどの被害妄想へと発展していってしまいます。このため認知症になると、怒りっぽくなったり、精神的に不安定になることが多いと言われています。
厚生労働省によると、2025年には、認知症の患者数は700万人を超えると予測しています。
この数値は、高齢者の5人に1人は認知症になるということを表しています。
認知症は身体的な障害が起こるまでに長い期間があるため、闘病期間も長く、精神的にも非常に辛い病気です。特効薬もないため、現在の医学では認知症は進行を遅らせる程度の治療しか行うことはできません。
認知症の種類「アルツハイマー」「脳血管性」「レビー小体型」が3大認知症と呼ばれる
認知症と言われれば多くの方が=アルツハイマーと浮かびますが、認知症発症の原因は数十種類あると言われています。そのなかでも「3大認知症」として認識されるものは
- アルツハイマー型認知症
- 脳血管性認知症
- レビー小体型認知症
の3つです。
アルツハイマー型認知症の主な症状
- 日時がわからなくなる(軽度)
- 暴力や徘徊などの問題行動が起きる(中度)
- 家族や身近な人のことがわからなくなる(重度)
脳血管性認知症の主な症状
- 半身麻痺
- 歩行困難
- 嚥下障害
レビー小体型認知症の主な症状
- 幻覚、幻聴、幻視
- 睡眠障害
- 感情の起伏が激しくなる
などがおこります。
ここまでが、認知症の主な概要と種類になります。日本は超高齢化社会を迎え、今後さらに認知症患者が増加していくことが確実です。そして、こうした認知症を引き起こす原因が今解き明かされているのです。
歯科医は気づいている、口の健康が全身に大きな影響を及ぼしている
日本の高齢者はもれなく入れ歯をしていると言っていいほどに、日本は入れ歯大国であり、高齢者は歯が少ないです。つまり、歯医者さんは高齢者を相手にすることが非常に多いのです。そうした歯医者さんは、経験則として「口の健康と全身の健康がつながっている」ということに気がついているのです。
そして、今回テーマにした「認知症」こそ、歯の健康と大きな繋がりをもっているのです。
認知症の正体は脳の炎症。炎症の原因となる、慢性の小さな炎症。その根本は口の中にある歯周病
認知症を簡単に考えると、脳が炎症反応を起こしていることになります。炎症とは、細菌やウィルスが身体の中に入りこんだ際に、それを排除しようと様々な細胞が働いた結果の反応です。つまり、身体を健康に保つために、外部からの敵を排除する動きが炎症となって現れるわけです。
身体は自分自身を破壊してでも、外敵を排除しようとします。生命の危機をそのようにして守るのです。
こうした生態維持反応として起こる「炎症」の一連の動きの中で、ある物質(生理活性物質)が生まれることが判明しています。
この物質は異常なタンパク質の1つ(アミロイドβタンパク)だったり、活性酸素であったりします。※まだ定かではないです。
これらが、炎症のある部位以外にも作用し、認知症の原因だとされているのです。
まとめると、
- 老化の1つとしての認知症
- 認知症は脳の炎症
- 炎症の正体は外敵からの防御反応
- 防御の際に異常タンパク質がでる
- 異常タンパク質が認知症を起こす
つまり、炎症(炎症の際にでる物質)が認知症と深いかかわりを持っているということになります。
そして、この炎症ですが、骨折をした時に該当箇所が腫れ上がるなどの急性の激しい炎症ではなく、慢性的な小さな炎症と関係が深いとされています。
そして、この小さな炎症の代表例こそ、歯周病なのです。
認知症と関係が深い歯周病とは
歯周病とは、歯周組織(歯肉、顎の骨など)が歯周病菌に感染することによって引き起こされる病気です。歯周病菌は、ほとんどの方のお口の中に常在菌として、常に存在しています。それがなんだかの原因で増殖し、活性化すると、歯周病菌から出される毒素によって、歯周組織の破壊が起こります。
健康な歯肉→歯周病初期(歯茎の炎症)→歯周病重度(歯茎の後退や膿:炎症) 西川歯科
歯周病はギネスブックにも認定されている「世界でもっとも患者数の多き病気」です。
日本も例外ではなく30歳以上の80%は歯肉炎~重度の歯周病まで差はありますが、なんだかの歯周病にかかっていると言われています。
歯周病は別名SilentDisease(静かなる病気)とも呼ばれており、症状がわかりにくく、痛みも少ないため、重症化するまで気がつかないことも多い恐ろしい病気です。
歯周病は、はじめはブラッシング時の歯茎らの出血、歯茎が腫れっぽい、赤っぽい程度の歯肉炎の症状から始まり、進行してくると徐々に、口臭がする、歯茎に違和感がある、歯茎が下がる、歯茎が腫れるなどの症状が出てきます。
このような症状が出てきたときには、すでに歯周組織の破壊は進んでおり、歯が植わっている骨(歯槽骨)が歯周病菌によって溶かされ始めています。
溶けてしまった骨は自然に再生することはなく、元に戻すためには特殊な治療や骨の移植手術などが必要になります。
歯周病が重度に進行し、大幅に歯槽骨が溶かされてしまうと、歯がぐらぐらしてくる、歯茎が腫れて痛い、歯茎から膿がでるなどの症状が現れます。
重度の歯周病は歯がボロボロに。歯周病の怖さを実感できる画像
レントゲンでわかる。重度歯周病患者は歯を支える骨がなくなっている 歯周病の怖さを実感できる画像
こうなったときにはすでに手遅れで、歯を抜かなくてはならない、最悪の場合、自然に抜けてしまうこともあります。
認知症と歯周病の関係
アルツハイマー型認知症と、歯周病との関連性について、名古屋市立大学で研究が行われました。
その研究では人工的にアルツハイマー型認知症に罹患させたマウスを2つのグループに分け、一方のグループのマウスだけを歯周病菌に感染させました。すると、歯周病に感染させたグループのマウスでは記憶能力、認知能力が低下し、歯周病に感染させていないグループのマウスに対して明らかにアルツハイマー型認知症の進行が早いという結果がでました。
実験後にマウスの脳内を調べると、記憶をつかさどる海馬に、歯周病に罹患させたマウスでは、認知症の原因とされているタンパク質の付着が著しく認められ、歯周病に罹患させていないマウスの1.5倍も確認されたそうです。
また、マウスだけでなく、人間においても、アルツハイマー型認知症で死亡した方の脳内からは高確率で歯周病菌が出すLPSと言う毒素が検出されますが、全く認知症を発症していない人の脳内では検出されないというデータもあります。
歯の残存本数と認知症も関与している
認知症の発症と歯の残存本数にも関連性があるいう調査結果が出ています。高齢者で残存歯数が少なく、入れ歯も使用していないという人では、残存歯数が20本以上ある人に比べて、認知症への罹患率が1.9倍も高いというデータがあります。
この調査は、厚生労働省で、愛知県に住む高齢者に対して行われた追跡調査で、噛む力の低下による脳への刺激が減ったことや、歯周病が原因となって脳梗塞が引き起こされ、それが認知症発症の原因になったことなどが理由であると考えられています。成人の歯を失う理由で最も多いものは「歯周病」によるものですので、この残存歯数と認知症の関連性は、歯周病に大きく関わりがあると言えます。
では、この歯周病を防ぐには、どうすればいいのか。どんな治療を行えばいいのか。
ポイントは「歯科定期検診」と「セルフケア」
歯科で定期検診を受けている人はどのくらいいるのでしょう?
予防歯科先進国言われるスウェーデンでは約80%、アメリカでは約70%。そして日本はと言うと…なんと日本で歯科定期検診を受けている人の割合はわずか10%未満と言われています。
これは歯の残存本数と直結しており、80歳での歯の残存歯数は、スウェーデン約20本、アメリカ約17本、日本約8本となっています。
日本人が歯を失う理由の第1位は歯周病ですので、これは日本人が定期検診を怠り、歯周病が進行した結果と言っても良いでしょう。
一方、親知らずを除く全ての歯が28本なので、スウェーデンの20本と言う数字は素晴らしいものです。定期検診をきちんと受ける習慣が、この結果を導いていると言えます。
また、セルフケアも、歯科定期検診と同じくらい大切です。どんなに定期検診を受けていても自宅での歯磨きを行っていては意味がありません。しかし、セルフケアは人によってレベルが異なり、どの程度磨けているのかと言うのは難しいものです。これも歯科定期検診の際にチェック、指導してもらい、きちんとしたセルフケアを出来るようにすることが大切です。
予防歯科の重要性を40年前から説き続けてきた歯科医がいる。
熊谷崇氏(テレビ東京)
山形県酒田市に日吉歯科という歯科があります。人口11万人のうち、1割が日吉歯科に通うという市民にとってなくてはならない歯科医院。日吉歯科の院長である熊谷氏の理念は、患者に徹底して「予防治療」を施すことでした。なぜ、人はむし歯になるのか、歯周病になるのかという仕組みを理解してもらい、痛くなってから通う歯科から、痛くならないように通う歯科への変化を推し進めてきました。
私たちにとって、歯医者さんは痛くなってから行く所です。歯が痛い、歯が腫れた。そうなって始めて歯医者さんを思いつきます。普段から定期的に歯医者さんに行こうと考えている方は非常にまれです。
そうした考えが根底にあると、“予防”という考えは中々受け入れられません。
実際に日吉歯科では35年前の開業時にすぐにむし歯の治療を行わないことで、患者さんからの苦情が相次いだと言います。
中には、「歯磨きなんてどうでも良い」と喧嘩になることもあったと言います。
中々予防という考え方は一般的ではなかった。現代においてもまだ予防歯科は浸透していない。CASES
熊谷先生のように、病を事前に防ぐという主張を、まずは歯科から行っていくべきだと私は考えております。全身の病の原因である、口からの病を防ぐことで今の医療問題は大きく改善することは間違いないのです。
今、医療は変わらなければいけない
今、現代医療は行き詰まりを迎えています。対処療法や薬に頼った治療を変えなくてはなりません。
老化が原因だからと、老化を防ぐ薬を。歯周病を直すために手術を。という考えをまずは断ち切る必要があります。
そもそも、そういったことを防ぐという発想がなければ、いつまでたっても薬や手術から逃れることはできませんし、失った歯は二度と戻りません。
薬に慣れた菌は耐性を持ちさらなる病を引き起こします。また、失った歯は他の病の原因となります。こうした治療ではいつまで経っても根治はしないのです。
根治に主題を置いていない現代医療は変わらなければいけません。しかし、医療側から“薬を減らそう” “治療法を見直そう”という提案はほとんどありません。
大切なことは対処療法に頼りきりにならず、病を全身からみつめ、複合的に捉えて全身を変化させることです。治療ありきではなく、
“なぜ治療を行わなければならないのか”
“その病の根本にある原因は何か”
と考えることが今の医療に求められています。そうしたこと抜きでの対処療法だけでは、患者さんは一時的に病気を凌げても、原因が解明されていないのでまた悪化の一途を辿ります。
今までの常識を打ち破り、カラダのことを今一度考える必要があるのです。
私達患者側は、医療の言いなりになるのではなく、知識が求められます。現代医療に疑問点を持ち、正しい医療を私達も考えなければならない時代です。自分のカラダを守るためにも正しい情報を得なくてはならないのです。
歯の最新の情報を得ることは難しいことではない
現在、フェイス・ブックやTwitterといったSNSのおかげで、熱心な医療従事者の方々は正しい情報を私達に発信しています。私たちはそうした 現場の情報を適切にキャッチしてい くチカラが求められています。まずはフェイス・ブックやTwitterでアナタの気になる方に友達申請やフォローをしてみてはいかがでしょうか?
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歯科・医療業界ほど、皆様の努力が世の中に届いていない業界はないのではないかと私は個人的に考えています。私は元々歯科について無知の人間でし た。しかし、いつのまにかこの世界に浸っており、日々勉強させていただいております。この業界について素人だったからこそ世の中と皆様の架け橋になれると思い、情報を発信しております。
今後とも、何卒よろしくお願い致します。
今回は最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。