歯科医なのに、プロフェッショナル仕事の流儀やカンブリア宮殿に出演している変わった歯科医がいます。その人の名は熊谷崇氏。日本の予防歯科の第一人者です。
熊谷崇氏(テレビ東京)
山形県酒田市に熊谷氏の歯科である日吉歯科はあります。人口11万人のうち、1割が日吉歯科に通うという市民にとってなくてはならない歯科医院。熊谷氏の理念は、患者に徹底して「予防治療」を施すことでした。なぜ、人はむし歯になるのか、歯周病になるのかという仕組みを理解してもらい、
痛くなってから通う歯科から、痛くならないように通う歯科への変化を推し進めてきました。
熊谷氏は「歯を削ることは修理にすぎない。虫歯の原因になる虫歯菌を減らさないと再発する」と強く主張します。
今回は“予防”という考えの大切さ、そして予防歯科のこと、最後に予防歯科の費用について熊谷氏の考えを紹介しながらお伝えしていきます。
歯科医に会えない歯科医院
熊谷氏の歯科医院はむし歯の治療を行いません。初診の患者さんも応急処置以外のむし歯治療はしないという徹底ぶりです。私たちにとって、歯医者さんは、歯を削るところ、歯を治療する所という固定観念があります。しかし、日吉歯科は違います。まず、驚くことは初診の患者は歯科医に会うことがないのです。
初日から歯科医に会うことはない。では、誰に会うのか?
歯科医に会わない代わりに・・・
患者さんは、歯科医に合わない代わりに、歯科衛生士さんに処置を行ってもらいます。歯科衛生士さんとは予防のプロフェッショナルであり、歯科治療において大きなカギを握っているキーパーソンである。
患者さんにマンツーマンで初診から終わりまで同じ人が徹底してケアを担当する。現在では歯科衛生士が充実している歯科医院は良い歯医者さんだとされており、歯科衛生士の需要が急激に高まっています。
歯科衛生士が一人ひとりにつく日吉歯科では患者との信頼関係を築き、患者のリピート率も高く、予防の意識が違う。結果として酒田市民の20才以下のむし歯の平均本数は1本以下にまでなっているといいます。
日吉歯科の歯科衛生士の皆さん。彼女達が予防のキーパーソンである。(CASES)
予防歯科を重視していない日本人
私たちにとって、歯医者さんは痛くなってから行く所です。歯が痛い、歯が腫れた。そうなって始めて歯医者さんを思いつきます。普段から定期的に歯医者さんに行こうと考えている方は非常にまれです。
そうした考えが根底にあると、“予防”という考えは中々受け入れられません。
実際に日吉歯科では35年前の開業時にすぐにむし歯の治療を行わないことで、患者さんからの苦情が相次いだと言います。
中には、「歯磨きなんてどうでも良い」と喧嘩になることもあったと言います。
中々予防という考え方は一般的ではなかった。現代においてもまだ予防歯科は浸透していない。CASES
アナタの入れ歯人生は6才からスタートしている
小学校の時、大人の歯が生えて嬉しかった記憶はありませんか。ちょうど6才頃に生えてくる大一臼歯のむし歯から入れ歯人生がスタートすると熊谷氏は主張します。
大一臼歯は前歯から数えて奥へ6番目の歯であり、この歯が10才以下でむし歯になると、早い人で20代で寿命が終わってしまい抜歯→入れ歯になるのです。
肌がシワシワになったり、髪が薄くなるのは老化が原因ですが、歯がなくなるのは病気が原因となります。しかし、私達はこのことを疎かにしているのです。
日常の手入れが不適切であり、むし歯になってしまった際の処置がしっかりとされていないため歯はどんどん病気になり、抜歯→入れ歯の人生を辿ります。
歯の手入れがボロボロで20代で入れ歯人生を歩んでしまった人も。
6歳で生えてくる第一臼歯は一番長い間かみ合わせの軸となる大切な歯です。早い段階でこの歯がむし歯になってしまうと、アナタの歯全体の寿命も限られてくるのです。
第一臼歯がむし歯になると、治療をすればするほど悪化する
大一臼歯がむし歯になり、治療を行い詰め物をします。その時期が早ければ早いほど、大人になる前に再治療を行うことになります。再治療を行い、今度は更に歯を削り被せ物を行います。この治療が精密さに欠いていたり、口の中の衛生状態が悪いと被せ物の中で菌が繁殖したり、歯周病などの原因となります。
詰め物と歯との間に隙間ができ、そこから虫歯になる。詰め物を外すと・・・
中は虫歯だらけになっています。(あるパーク歯科・矯正歯科)
このままでいくと中年になる前に歯の寿命を迎え、ブリッジになります。
失った歯を支えるブリッジ 安倍徹歯科
ブリッジは対象の歯の両サイドの歯にも影響をあたえるので50歳になると一気に両隣の歯がダメになります。ここが入れ歯になっても歯の衛生状態がわるいと、あっという間に総入れ歯になるのです。
ダメになってしまった奥歯 鈴木歯科医院
このように、6才の頃に生えた第一大臼歯のむし歯が入れ歯人生のスタートになるのです。だからこそ、こうしたことを避けるためにむし歯予防が重要なのです。
実際に予防歯科にはどのくらいの費用がかかるのか
ここまで、読むと皆さんは「予防の大切さ」に気がつくと思います。
しかし、実際に予防をするとなると気になるのがお金です。
ここからは、一般的な予防歯科にかかる費用をお伝えいたします。
予防歯科にかかる費用はそれぞれどのくらい?
口腔内検査
近年はカメラを使用して治療台の横のモニターで一緒に確認する歯科医院も増えてきました。吉本歯科
基本的に、どこも悪いところがなくて「検診」だけが目的の場合、自費診療となります。しかし、その結果虫歯や歯周病などが発見されて治療を行う場合には保険適用となります。通常は歯石取りを行うことがほとんどですので、それが「歯周病の治療」とみなされ保険適用になることが多いようです。
レントゲンを撮るかどうかでも変わってきますが、3割負担で1500円〜3000円程度です。(初診料、検査料、指導料、口の中の写真、(レントゲン))
歯磨き指導(TBI)
たかが、歯磨き指導と侮ってはいけません。ファミリー歯科
歯磨き指導は歯科衛生士が15分以上行った場合に料金がかかります。保険適用で三割負担で240円です。
フッ素塗布
お子さんのむし歯予防などでフッ素塗布は有効とされています。もちろん、大人にも有効です。モンキッズデンタル
「予防のためのフッ素塗布」は全て自費診療となり、医院によって価格が違いますが、500円〜3000円くらいです。ただし、保険適応で行える場合もあり、それには適応条件があります。フッ素が保険適応になる条件としては
- 13歳未満であること
- 歯科医院で継続的に定期的な指導をうけていること
- う蝕(虫歯)多発傾向があること
これらの条件を全て満たす必要があります。なお、最後の「う蝕多発傾向」とは、ただ虫歯がたくさんあるだけではダメで、次の条件を満たしていなければなりません。
治療済み乳歯 治療済み永久歯
0~2歳 1歯以上
3~4歳 3歯以上
5~7歳 8歯以上 および 2歯以上
8~10歳 4歯以上
11~12歳 6歯以上
保険が適用になる場合、一回240円となります。なお、各市町村から公布される子ども医療の受給証を見せてタダになるのはこの保険適応の場合のみです。
スケーリング(歯石取り)
このように石化してしまった歯垢は歯ブラシではとれない。福西歯科
歯石は専門の器具で取らなくてはいけない。メディカルノート
スケーリングは保険で行う場合、全て取り除いて3割負担で1000円程度です。ただし保険で行う場合にはその前に歯茎の検査を行う必要があります。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
プロによる徹底したクリーニングがPMTC 美活ラボ
PMTCは自費治療となります。3000円〜5000円くらいが相場です。
シーラント
歯をコーティングするシーラント 島田歯科
シーラントの保険適用は6歳〜12歳までのみとなり、1本あたり400円ほどです。それ以外の年齢で行う場合は保険外となり、500円くらいから2000円程度のようです。
唾液検査(サリバテスト)
唾液テストで効果的な虫歯予防が可能 dentaltribune
自費診療となり、簡易タイプでは3000円〜5000円、より精密に行って細かい指導があるタイプのものでは20000円ほどかかる場合もあるようです。
3DS(Dental Drug Delivery System)
むし歯になりやすい体質の人に注目の予防方法。デンタルQ
自費診療となり、30000円〜50000円くらいが多いようです。
予防プロバイオティクス
タブレット型の予防歯科 ホワイト歯科医院
バイガイヤプロデンティスは30日分で3150円、ライオンオーラルヘルスタブレットは30日分で2000円ほどです。歯科医院で購入するか、通販などでも購入できます。
デュラファット
高濃度のフッ素塗布するデュラファット 福井歯科
非常に高濃度のフッ素(フッ化物)で、通常歯科医院で塗布するフッ素の2倍以上の濃度があります。自費で800円〜1000円くらいのようです。
カリオグラム
予防の指針となるカリオグラム 柳下歯科クリニック
唾液検査やその他の虫歯リスクの要因を入力し、患者さんが現在どんな状態にあるのか、改善するためにはどんなことをする必要があるのか、将来的に虫歯を避けることのできる可能性などを瞬時に円グラフ化して、患者さんにわかりやすくビジュアルで訴えるコンピューターソフトです。唾液検査において同時に行われます。
カリオスタット検査
むし歯を事前に予測することで効果的なむし歯予防が可能 米山おとなこども歯科クリニック
カリオスタット検査とはお口の中にどれだけ虫歯菌がいるか?の検査です。保険適用ではありませんが、子どもの1歳半検診や3歳児検診などで無料で行われることも多いようです。また、歯科医院でも無料で行っているところもあります。料金がかかる場合は500円程度のようです。
予防歯科で考えられるそれぞれの処置費用は以上のようになっています。
予防歯科へのお金は出費ではなく、投資
歯を守るためには“出費”ではなく、アナタのかけがえのない歯という資産への“投資”と考えて頂きたいです。
もし予防歯科を受けないでその後虫歯や歯周病にかかった場合にかかる治療費と、予防歯科を実践し続けてかかる治療費を生涯で比べた場合では、予防歯科を行っている方の方が断然総合的な費用が安いのです。
ある歯科医師会の行った調査によると、定期検診を受け続けた場合、48歳までは医療費が約2万円平均を上回りますが、49歳以降は平均を下回り始めるという結果が見られました。さらに65歳の時点では、定期検診を受けている人の方が受けていない人よりも平均15万円年間医療費が安くすむという結果が出ました。これは、定期的にメインテナンスを行っていないことによって、虫歯治療や歯周病治療にかかる費用、詰め物やかぶせ物などにかかる費用、歯を抜いてインプラントなどにする費用、さらには、お口の中のばい菌が全身の病気を引き起こし、それが医療費を引き上げてしまっていることが関係していると考えられます
お金持ちの方々はこの、事実をしっています。そして、彼らはお金の正しい使い方を知っているのでお金持ちなのです。セレブたちが歯を大切にしているのには、見た目の美しさもさることながら、歯への投資が費用対効果の高い投資だと知っているのです。
予防歯科への意識を持つことであなたの人生が変わる
もう、ここまでくればあなたの意識の中に予防歯科という考えが根付いたはずです。これだけでもアナタの人生は大きく変わります。歯のある人生と、ない人生では人生の質も、人生の生き方も大きく変わるのです。
歯を今以上に悪くしないために、予防歯科という考え方を是非これから身につけて頂きたいです。
以上になります。いつも最後まで長い文章を読んで頂きありがとうございました。どくらぼでは週に一回こうした記事をリリースしていますので、是非フェイス・ブックのいいねをお願い致します。いいねを押して頂くと記事の更新をお届けすることが可能です。
記事の作者である私は元々カラダについて無知の人間でした。しかし、いつのまにかこの世界に浸っており、日々勉強させていただいております。この業界について素人だったからこそ世の中と皆様の架け橋になれると 思い、情報を発信しております。今後とも、何卒よろしくお願い致します。
今回は最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
世の中の多くの方に健康情報が届けばと考えており、健康情報などを発信しておりますので是非お気軽に友だち申請して下さい!内田 雄介フェイスブックページ
また、どくらぼフェイスブックページヘの「いいね」も是非よろしくお願いいたします。
それでは、また来週の投稿をお楽しみにしていてください。
医療従事者の方向けに弊社のPR
また、医療従事者や健康にまつわることを職にしている方々は、そうした情報を世の中の多くの方に発信していただきたいと思っています。今、私達はみなさまプロからの現場の情報を欲しています。しかし、中々そうした情報発信を行っている方はいません。そうしたプロの情報発信が信頼獲得につながり、職の幅を広げると考えています。弊社では、そうした方々へのホームページの作成のコツや他社との効果的な比較方法などのサービスも行っておりますので、是非お気軽にご相談下さい。全国どこへでもお伺いさせていただきます。
ご相談はこちら(弊社HPのお問い合わせページである、歯科ラボに繋がります)
「どくらぼを読んで、相談をしたい」と添えていただければ対応いたします