歯周病がアナタの命を縮める??歯周病菌が全身に与える悪影響とは
皆さんは歯周病になりやすい人とはどんな人だと思いますか?
「食後の歯みがきを怠け、プラーク(歯垢)がたまっている人」と考える方もいらっしゃるのではないのでしょうか。しかし実はタバコや肥満の方が重大な原因になっていることも多いのです。
歯周病の要因は大きく分けて①口の中の細菌 ②患者自身 ③生活習慣の3つです。これらが複雑に絡み合い、歯周病になるのです。
まず①についてですが、これは歯みがきで歯垢を除去することと患者本人の免疫力を高めることが大切です。患者さんがご高齢であったり、体力が落ちていたり、持病があったりすると歯周病にかかる可能性が高くなります。
②においては年齢や性別によっても大きな違いが出ます。歯周病菌の中に女性ホルモンを栄養源とするものがあるので、女性は思春期・妊娠中・更年期に症状が悪化しやすくなります。
③は一見歯とは無関係に思える条件ですが、実は最大の要因です。喫煙習慣・ストレス・肥満・食生活や生活リズムの乱れ・運動不足なども歯周病の原因となりうることから、歯周病は非常に身近な病気だと言えます。
しかし、これらはあくまで一般論であり、固有の「歯周病の原因」はそれぞれが信頼できる医師を見つけ、検査してもらう必要があります。
また、近年歯周病が全身に与える悪影響が研究されています。
■歯周病がアナタの命を縮める??歯周病菌が全身に与える悪影響とは
お口は体に食物を運ぶ器官ですので、健康の入り口と呼ばれています。お口の中は体の内部と外部が同時に存在している場所でもありますので、体内へ栄養だけでなく病原菌を送りこむ侵入口にもなってしまいます。ですので、お口の中の清掃状態や歯周病菌など悪玉菌の量が全身の健康状態に深く関わってきます。
それでは、病原菌である歯周病菌の住処と血管への侵入について説明しましょう。
歯周病菌の主な住処は歯周ポケットという、歯と歯茎の境目の溝のところです。歯周ポケットというのはすごくせまい場所で、歯周病菌の嫌いな空気の入りにくい場所であり、歯ブラシもとどかないので、歯周病菌が大好きな住処です。歯周病菌が毒素を出し、歯茎に炎症を起こすと歯肉炎や歯周病になり、歯茎から血が出てきます。血が出た、歯周ポケットの中のやぶれた血管から歯周病菌が体内に侵入し、血液にのって全身に廻りいろんな悪影響を与えます。
では、どういった影響を与えるのでしょう。
①血管がつまったり、動脈硬化などを引き起こす。
歯周病菌が血管内にはいると血管の壁に刺激を与え、動脈硬化をおこす要因のひとつになります。動脈硬化を起こすと、血管が細くなり心臓の周りに血液供給ができにくくなり、狭心症や心筋梗塞につながります。また血管内の血栓の原因になる、プラークとよばれる沈殿物の中にも歯周病菌はみつかっています。血栓が脳にとんだり、動脈硬化によって、脳に血液供給ができにくくなると、脳梗塞につながります。歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になりやすいという報告がありますので、血圧が高めなどほかの要因で脳梗塞のリスクがある人は、より、歯周病の予防や治療が必要となります。
②歯周病と糖尿病
血管内に入った歯周病菌は、動脈硬化を引き起こすだけでなく、歯周病菌の死骸が内毒素をばらまきます。この内毒素はインスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを邪魔しますので、歯周病になると糖尿病は悪化しやすくなります。また、歯周病の治療をおこなうと、糖尿病が改善されることもあります。歯周病と糖尿病はお互いに影響しあっています。
また、歯周病は血糖値を下げにくくする原因となることから、メタボリックシンドロームとの関連性も注目されてきています。
③歯周病と出産
歯周病菌は血液の流れにのって、全身にまわります。妊娠すると、歯周病菌が血中から胎盤に入りこむため、低体重児や早産のリスクがあがると言われています。そのリスクはおよそ7倍でアルコールやタバコ、高齢出産よりもはるかに高い数値になります。
その他、歯周炎の炎症物質が血液の流れによって関節などに入り込み関節炎や腎炎をおこしたり、お口のなか細菌を誤嚥しておこす誤嚥性肺炎を起こしたりと、歯周病は全身に幅広く影響をおよぼしています。
いかかがでしたでしょうか。歯周病菌はお口の中だけに影響をおよぼすのではなく、血液の流れにそって様々なところへ侵入し、影響を及ぼします。歯周病は予防も治療もできる病気ですので、しっかり治療をし、健康的な生活をおくりましょう。
ご自身の歯ブラシは正しい方法で行われているのか、今現在歯は痛くないものの何か以上はあるかなどアナタの歯のお悩みにいつでもお応えいたします。
木下敏 先生
略歴 | 1999年 明海大学 卒業 |
---|---|
所属団体 |
木下歯科医院の木下 敏先生から一言
はじめまして。木下歯科医院の木下敏です。もともとサラリーマンとして勤務していましたが、より人の役に立てる仕事に就きたいと思い、会社を辞めて歯科医師の道を選びました。現在は杉並区天沼で、地域のみなさまを中心に治療にあたっております。
ここでは、歯周病治療の流れをご説明したいと思います。まずは歯の動揺度やレントゲン、歯垢の付着状況、唾液検査などを調べます。そして患者さんが歯肉炎なのか、歯周病なのか、また歯周病ならどの段階なのかを診断します。その後プラークコントロール(歯垢や歯石の除去)や生活習慣の修正など治療を行い、再度、検査→診断→治療という繰り返しです。
歯周病は外側からの歯の状態を見ただけでは歯周病だと分からないことも大奥、痛みなどの自覚症状がないこともありますので、定期健診をおすすめします。ご相談のみのご来院も承っております。ぜひ一度お越しください。
患者さん一人ひとりにしっかり向き合って治療してくれる医院です。歯科治療に不安がある方も院長の丁寧な説明を受けてから治療を始められるので、安心して治療が受けられます。 |
木下歯科医院へのアクセス:東京都杉並区天沼2丁目36-21