差し歯を入れるときに費用のことなどを考えると、気になるのは「どのくらい寿命がもってくれるのか」ということです。特に前歯など目立つところはなるべくずっとキレイであってほしいものです。
まずは、すぐに解答からお話しましょう。結論として、差し歯の寿命は
- 保険内の差し歯は7〜8年程度
- 保険外の差し歯は20年程度
とされています。
しかし、差し歯の寿命は調べれば調べるほどありとあらゆる数字が出てくることがわかります。しかも、中には1年で差し歯が外れた。すぐに壊れたという方も・・・。
では、こうしたことはなぜ起こるのでしょうか。
今回は、差し歯の寿命や、差し歯を入れる前に絶対に知っておいてもらいたいこと、歯科医が伝えきれない差し歯の裏事情などをお伝えいたします。
差し歯の寿命にばらつきがあるのは、そもそもなぜ?
差し歯を入れることを考えている方にとって、知っておくべきことは保険診療と自由診療です。歯科には、保険で対応できる保険診療と、保険では対応できない自由診療の2つがあり、差し歯も2つの診療の中から選ぶことができるのです。
ただし、一般的に自由診療の方が値段が高額であり、多くの方が保険診療を選びます。
しかし、歯科医から言わせると“保険で差し歯を入れるのは避けた方がいい”という意見が多いのです。では、なぜ保険での差し歯治療は避けるべきなのでしょうか?
差し歯の寿命は材質で大きく変化する
差し歯の寿命を決めるのは、差し歯そのものの材質や差し歯を支える土台が大きく関係してきます。
- 保険の差し歯は金属の土台に、プラスチックの被せ物を行います。その為、歯への負担が多く、脆いとされています。歯そのものをもダメにすることもあります。
- 自由診療の差し歯は内容にもよりますがグラスファイバーの土台に、陶器の被せ物を行います。歯や骨への負担が低く、長持ちで尚且つカラダにも優しいとされています。
マイホームを例にするとわかりやすいかもしれません
- 安く買った土地に、安い杭をうち、プレハブのマイホームを建てることが保険の差し歯です。(もちろんこれは例です)
- 安心な土地に丈夫な杭をうち、安心の木材や鉄筋を使用したマイホームを建てることが自由診療の差し歯です。
当然、使用者の使い方などにも左右されますがどちらの寿命が長いかは明らかです。
こう、考えると自由診療の圧倒的な勝利に見えます。
しかし、自由診療には問題点もあります。高額な値段です。また、高額であるがゆえに歯科医によっては技術もないのに、自由診療の差し歯治療を行い利益を出そうとする方もいます。ですので、アナタはまず信頼のできる歯科医に出会わなくてはいけないのです。
差し歯の寿命を考えるには、信頼のできる歯科医と出逢うことがなによりも大切。そのためには、差し歯の知識をアナタは持たなければなりません。
歯科医は、1日に診療できる人数が物理的に限られています。特に日本の保険診療では、時間をかけてしまうと採算がとれなくなってしまうため、患者さんに細かな説明を行う時間というものがないのです。アナタがいま、現に差し歯の寿命に対して調査を行っているのがその証拠なのです。本来なら、歯科医があなたに説明をすべきなのですが、中々そうもいかないのです。
今回の記事を読むことで、差し歯の寿命への考え、差し歯の費用への考えがハッキリとわかるようになります。その知識を元に歯科医とお話することで、しっかりとした治療を受けることができますよ。
信頼できる歯科医を選ぶために、アナタも歯科の知識を身につけなくてはならない。(HOW TO CHOOSE DENTIST)
では、差し歯の寿命を考える前に、費用についても考えてみましょう。寿命をコストパフォーマンスの観点から考えることで新たな視野が手に入ります。
自由診療の差し歯の値段が高いって、どのくらいなの??
少しずつ、おわかりのように、差し歯は自由診療の方が圧倒的におすすめです。しかし、値段が高いのです。では、実際にどのくらいの値段なのでしょうか。保険適応のものと、保険適応外で比較してみましょう
保険適応の差し歯は3000円〜8000円
保険適応の差し歯は概ね、この程度の費用だとされています。もちろん人によって差はありますが、そこまで大きな差はありません。歯には硬質レジンと呼ばれるプラスチックが使用され、歯の土台には金属の土台メタルコアが使用されます。
歯の残っている部分に金属の土台を使用する。上からプラスチックを被せるのが保険(歯のブログ)
ただし、プラスチックは前歯のみ保険適応となっております。奥歯などの見えない部分は銀歯の被せ物になります。
費用が安い代わりに、金属とプラスチックなので、カラダへの負担は大きいです。例として近年話題になっているのが歯から来る金属アレルギー(歯の金属が溶け出しカラダを蝕む)やプラスチックの劣化による黄ばみなどです。保険適応なので値段は安く、懐には優しいですがカラダには厳しいのです。
また、7年後の寿命がすぎれば最悪の場合歯の根が金属の強さに耐えられず折れてしまい、抜歯をすることになります。また、土台が残っており、新たに差し歯を作るとしても、歯は限りなく死に近づいていきます
保険の差し歯のカラダへの負担について詳細は下記にまとめます
保険適応外の差し歯は数万〜数十万
やはり、保険適応外の差し歯になると高いですね。グラスファイバーを使用した土台に、オールセラミックなどの被せ物を行うのが保険外の差し歯になります。
こうして比較すると、保険の差し歯とそうではない差し歯の違いがわかります。(ホワイトエッセンス)
保険適応外の差し歯は、こうした審美的な側面が目立ちますが、実は重要なところはその他にもあります。
保険で使用する土台は、金属性なのですが、保険適応外で使用する土台はグラスファイバーになっています。この土台が実は馬鹿にならないのです。
差し歯の寿命は土台で大きく異る
差し歯の寿命と聞くと、セラミックなどの被せ物のことに頭が行きがちですが、実は土台も非常に大切です。
白いものがグラスファイバー、銀色が金属の土台(茅ヶ崎審美歯科ガイド|歯の土台について)
差し歯はそもそも、残った歯に土台を埋め込み、その上から被せ物を行う治療です。この埋め込まれた土台が金属のように硬すぎでしまうと、残った歯を破壊することになり、破壊された歯は抜歯へとつながってしまうのです。ですので、歯に埋め込む土台はグラスファイバーのように柔軟性を持つ素材が望ましいのです。
アナタの歯は一度失ってしまうと、二度と戻りません。そして、近年では歯を失ったことで全身の機能が狂っていくことが分かってきています。まず、あなたが考えるべきことはこれ以上歯をボロボロにしては行けないということなのです。
残った歯の土台が完全に破れてしまった歯。一度割れると抜歯を余儀なくされる。(みまつ渡辺歯科医院)
土台が原因でボロボロになり、抜歯を余儀なくされた歯
保険の差し歯で7年間歯の寿命がもったとしても、その後抜歯という運命をたどると考えると目の前の安さは考えものです。差し歯の寿命を考えるのならば、土台が生き残った歯に与える影響まで考えるべきなのです。
差し歯の寿命を考える上で重要な、セラミックと金属の比較
差し歯の寿命や値段を考える時に、セラミックとの比較は必ず出てきます。もちろん、セラミックの方が見た目には優れていることはわかっているのです。しかし、大切なことはそれだけではないのです。
セラミックの方が自然な仕上がりになるのは、当然。しかし、重要なのはそこだけではない。(高木歯科)
金属というものは、劣化しカタチが変化してくるものなのです。カタチが変化することで歯と歯の間に隙間ができます。その隙間を細菌は見逃しません。表面上は問題なくとも、金属の下で虫歯が繁殖しているということはよくある話なのです。
一度治療をしたところは再び虫歯になるリスクが非常に高いといわれています。その理由は被せ物や詰め物と自分の歯との間に隙間や境目ができることにあります。安易に治療方法を選んで何度も治療を繰り返すことで歯は確実に寿命を失います。
詰め物と歯との間に隙間ができ、そこから虫歯になる。詰め物を外すと・・・
中は虫歯だらけになっています。(あるパーク歯科・矯正歯科)
被せ物も歯茎の後退などで、隙間ができ、そこから虫歯になることが多いです。(パール歯科医院)
歯を差し歯にする理由が虫歯である方は金属ですと、再発の可能性が高いです。もちろんセラミックにしたから再発がない!というわけではありませんが、金属の劣化を知識として持つべきです。また、別の理由で差し歯にする方も、金属の劣化から虫歯が発生するということは知っておいて下さい。
ここまで、差し歯の一般的な寿命、差し歯の値段などを見てきました。では、次に一般的な保険の差し歯の寿命が近くなってくるとどのようなことが起こるのか見ていきましょう。
差し歯の寿命が近づくとどんなことが起こるのか
変色する
保険のプラスチックの差し歯を選んだ場合、食事の着色だけではなく、時間の経過で変色は避けることができません。毎日の歯磨きによっても色素沈着は行われます。早いもので3〜4年経てば着色が始まり、差し歯の寿命を縮める原因になるのです。この着色ですが、ホワイトニングで白くなることはなく、保険治療の限界なのです。
たまに、前歯が変に黄色い方にお会いしたことはありませんか?そうした方は着色が始まってしまっている方かもしれません。(youtube)
保険の差し歯はプラスチックなので、変色は避けることができません。その点、保険外のセラミックは着色がないので見た目的には自然だということが出来ます。
歯茎が黒ずむ(メタルタトゥー)
保険で使用する差し歯は金属を使用します。そして、金属は非常に僅かではありますが、溶けるのです。歯に使われる金属は何種類もの金属が合わさった合金ですので、その金属が溶け出して歯茎に入れ墨のような黒ずみを残すのです。
溶け出した金属が歯茎を黒くする。メタルタトゥーとも言います。(立川デンタルクリニック)
メタルタトゥーは一般的に5年程度で起こる現象で差し歯の寿命が迫ってきたサインとして見ることもできます。金属反応が強い方だとこのように金属が体内に入り込むことで皮膚疾患や原因不明のだるさや病などの金属アレルギーを引き起こす方もいます。こうした観点の知識も大切ですね。
差し歯が破損する
歯には想像以上のチカラが日々かかっています。そのため、差し歯は欠けたり、割れたり、折れたりすることがあります。この記事の中で保険外の差し歯を勧めていますが、セラミックは割れるなどのデメリットもありますのでそこも知識としてお持ち下さい。
かみ合わせが悪い、他の歯に負担がかかっているなどで差し歯が破損する原因になります。噛む力が強くなることで、歯の根が折れ、そこから細菌感染するなどの症状も考えられます。被せ物の破損だけだったらまだいいのですが、歯の根っこまで完全に破れてしまうとその歯は終わりということになります。
差し歯が取れた場合は接着剤でつけるなどは絶対にNG。取り返しの付かないことになります。
保険でも、保険外でも差し歯の寿命を少しでも伸ばすには
保険外の差し歯の方が寿命は伸びます。しかし、それ以外にも差し歯の寿命を伸ばす方法があるのです。
プラークコントロールを徹底する
プラークが溜まりやすい状態だと、虫歯や歯周病が引き起こりやすくなります。そうなると差し歯の寿命が短くなるのです。歯周病は歯を支えてる骨が溶けていってしまいますし、虫歯は差し歯の下で繁殖を始めます。ですので、それらの原因となるプラークをしっかりとコントロールすることが大切です。
治療ではなく、事前に歯の病気を防ぐ“予防”の考えが何よりも大切です。差し歯を入れてからも定期的に歯科医院に通う習慣を是非身につけてくださいね!
根の治療がしっかりとなされている
差し歯は残った歯に土台を作り、その上から被せ物を行う治療です。ですので、その残った歯の土台が非常に重要なのです。この土台の治療(根の治療)がしっかりと行われていなければ、根の先に膿が溜まる歯根嚢胞という病気になります。
根の中にある、細菌をしっかりと追い出さなければ行けないのですが、この根の治療(根管治療:こんかんちりょう)が中々大変なのです。根管治療をしっかりと行ってもらわねばいくら高い保険外の治療をやったところで、グラグラの土地に高級な杭を打ち込むようなものですので、注意が必要です。
差し歯に力をかけすぎない
前述しましたが、歯には相当な力がかかっています。ですので、歯のかみ合わせが少しズレただけで大きな負荷がかかり、差し歯の寿命を減らします。また、近年はスマホ、PCなどの影響により、歯を食いしばる方、歯ぎしりが癖となっている方が増えていると言われています。そうした自分の癖なども差し歯の寿命に大きく関わります。ですので、こうした癖についても歯科医とお話することが有効です。
一旦、ここまでの内容をまとめしょう!
差し歯の寿命まとめ
差し歯の寿命は一般的に、保険7年、保険外20年程度
しかし、保険治療はカラダへのリスクが非常に高く、歯の寿命も大いに削られる可能性が高い
差し歯の値段は、保険は1万円以下、保険外は数万〜数十万
保険と保険外で5倍以上の差が出ますね。ただ、長期的な歯の寿命ということを考えると、その5倍の差はそこまで大したものではないかもしれません。保険で数年後に抜歯の可能性の治療を行うのか、少し高いけれど歯の寿命を長くする保険外を選ぶのかという選択になります。
この知識を持っていると持っていないとで、歯科医との話に大きな差がでます。アナタにとってベストな選択肢を歯科医と共にお考えくださいね
保険の差し歯のデメリット
見た目が悪い、金属がカラダに与える影響、金属の変化による再発、土台が歯に与える悪影響、歯の寿命を短くする
保険外の差し歯のデメリット
値段が高い。信頼できる歯科医選びが困難
差し歯の寿命を延ばすには
保険であろうとも、保険外であろうとも差し歯の寿命を延ばすには、
- プラークコントロール
- 根の治療の徹底
- かみ合わせや癖の改善
などが重要となります。
最後の最後に差し歯の寿命に関するまとめと大切なこと
ここまで知識をもてば、あなたの差し歯の治療は大きく変化します。また、まだ差し歯を入れていない方も新たな差し歯の判断基準が身についたことでしょう。こうした知識を持つことでしっかりと信頼できる歯医者さんに出逢える可能性がグッとあがります。
私は、歯科医ではありません。しかし、この歯科業界に携わり、誰よりも歯科の情報発信を行い、知識を身につけてきた自負があります。そうした経験の中から、今差し歯をもし、私が入れることならばやはり、信頼出来る先生のもとで保険外の差し歯を選ぶと思います。
保険外の差し歯をこれほどプッシュしたところで私に利益があるわけではありません。しかし、歯の大切さ、歯を失うことの怖さを誰よりも知っているからこそ歯を失うというリスクを避けるためにその選択肢を選ぶのです。
歯は人体の中で唯一再生の効かない組織です。そして、歯は一度失ってしまうことで柱がなくなった家のように次々と他の歯に影響を与えます。そうした事実を知らねばならないのです。日本の保険治療は素晴らしいものです。しかし、保険治療だけだとどうしても限界があるということを知らなくてはなりません。
日本が世界でも長寿国であるにも関わらず、歯の無い老人ばかりだということは、ここに原因があるのです。海外には歳をとっても歯がたくさんある方が大勢います。彼らと私達が異なるのは、歯への考え方だけなのです。
歯を失うことが一番のリスクです。当然、お金の事情もありますので、リスクというものを知った上で皆さんの一番良い選択肢を選べればと思います。
長々と長文失礼いたしました。アナタの差し歯が良いものになることを願っています。
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