そもそも歯ぎしりは治療できるの??
歯ぎしりの原因としては様々なものが考えられているとはいうものの、いまだにはっきりとしたことは分かっていません。そのため、治療法も「絶対にこれが効く」というものはありません。
現在治療法として行われているものは、
- 原因と考えられるものを取り除こうとする方法
- あごの筋肉の緊張を和らげるような方法
- 歯ぎしりによって起こるダメージから歯やあごを守る
というような方法が行われています。
歯ぎしりの治療法を教えて
現在歯ぎしりの治療法として行われているものには次のようなものがあります。
1.スプリント療法
スプリントとは顎関節症の治療の目的で使われるプラスチックのマウスピースのことです。スタビライゼーション型スプリントという、かみ合わせが全体的に均等に当たるようなスプリントを使うことにより、歯ぎしりを短期的に制御できるとされていますが、効果が長く持続するわけではないため、単に歯や顎関節の保護、という目的で使用されることもあります。
2.マウスピース療法
ナイトガードと呼ばれる、ゴムのようなビニールの樹脂で作られたマウスピースをはめて、歯をクッション効果で守る、というものです。1のスプリントを「ハードタイプ」のナイトガード、こちらのタイプを「ソフトタイプ」のナイトガードと呼んだりもします。
3.薬物療法
歯ぎしりを薬で抑制しよう、というものです。効果的ではありますが、長期服用は薬物依存、副作用の観点から行われません。現在次のような薬が使用されています。
<筋弛緩薬>
- ジアゼパム(商品名;セルシン、ホリゾン)
- メトカルバモール(商品名;ロバキシン、ドキシン)
<抗てんかん薬+筋弛緩薬>
- クロナゼパム(商品名;ランドセン、リボトリール)
- 降圧剤;クロニジン(商品名;カタプレス)
4.噛み合わせ治療
歯が抜けたままでかみ合わせのバランスが崩れていたり、極端にかみ合わせが高かったり低かったりするような被せ物がある場合には、全体的に均等にかめるように治療、調整を行なっていきます。場合によっては矯正治療が勧められる場合もあります。
5.ストレスマネージメント療法
歯ぎしりの根本的な原因はストレスであると言われていることから、ストレスのコントロールをすることが効果的だと言われています。ストレスを軽減させる治療としては自己暗示療法、精神安定剤を処方する、カウンセリングを受ける、などがありますが、これらは普通の歯科医院で行っているところはあまりありません。そのため、歯ぎしり治療に力を入れている歯科医院などを探すか、心療内科などと連携を取りながら治療を進めることとなります。
6.低周波治療
マイオモニターと呼ばれる低周波治療器で筋肉の緊張を和らげて歯ぎしりを起こりにくくする方法もあります。これも導入している歯科医院は少数派で、歯ぎしり治療に力を入れている歯科医院などで行われていることが多いようです。
7.体質改善療法
漢方薬を使い、体質を改善し、歯ぎしりが起こりにくいようにしていく治療法です。次のようなものが処方されます。
- 柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 抑肝散(よくかんさん)
- 六味地黄丸(ろくみじおうがん)
- 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
8.抗うつ剤の中止または変更
歯ぎしりの原因が抗うつ剤の副作用と疑われる場合には、薬の中止や変更が勧められる場合もあります。
9.ボツリヌス毒素療法
ボツリヌス菌が産生する毒素を筋肉に注射し、筋肉を麻痺させることで歯ぎしりが起こらないようにします。ボトックス注入療法とも呼ばれています。アメリカではよく行われており、一度行うと数ヶ月効果が持続するとされていますが、日本ではまだそれほど行われていません。
治療費の相場は?
マウスピースを使った治療について
歯ぎしりの治療でもっとも一般的に行われるのが、スプリントやマウスピースを使った治療法です。この治療は保険が適用され、3割負担で5000円程度で作ってもらうことができます。
歯科矯正での治療は超高額!?
しかし、他の方法では保険が適用にならないことが多く、治療費は一概には言えませんが、検査だけで数万円かかる場合もあり、歯科矯正治療などでは100万円程度かかることもあります。
歯ぎしりの治療はどこに行けば良い?歯医者?
歯ぎしりの治療は歯科か歯科・口腔外科で行われます。ただし、ストレスが原因になっている可能性が高い、と歯科医師が判断した場合、心療内科や、メンタルクリニックを受診するように勧められる場合もあります。
自宅での歯ぎしり治療は出来る?
自宅でできる歯ぎしりの治療(対策)としては次のようなものが挙げられます。
1.マウスピースをつける
歯医者さんで作ってもらったマウスピースを毎晩忘れずにつけるようにしましょう。それで歯やあごの関節を守ることができます。
2.TCHや嚙みしめのコントロール
日中に上下の歯を合わせる癖(TCH)やかみしめの癖をやめるようにしましょう。特に何かに夢中になっている時、上下の歯をクッと合わせる癖がある人、思わず噛み締めてしまう人というのは夜間に歯ぎしりをしやすくなることが分かっています。
3.リラックスする
ストレスを溜めないことは非常に大事です。寝る前は特にゆったりとリラックスしてストレスを布団に持っていかないようにしましょう。
4.自己暗示をする
寝る前に布団の中で「かみしめない」「歯を合わさない」など自己暗示をすることも、とても効果的です。
5.筋肉のマッサージ
リラックスできるアロマオイルなどを使って顔のマッサージをして筋肉をほぐすのも筋肉の緊張を取るのに効果的です。
6.高い枕は避ける
高いまくらは歯ぎしりを助長します。枕は低めにしましょう。
7.飲酒・喫煙はほどほどに
飲酒・喫煙は歯ぎしりを起こしやすくなるとされています。特に寝る前にはほどほどにしましょう。
8.歯ぎしりに効果的な効果的なツボを押す
歯ぎしりに効果的なツボというのもありますので試してみるのも良いでしょう。
- 四白(しはく);瞳の真下のくぼみから約1センチ下
- 陽白(ようはく);瞳の中心から眉毛を通り、親指一本分上
- 蘭尾(らんび);足の三里(向こうずねの骨の外側を膝から9cm下がったところにある凹んだ場所)からさらに下6cmほどの場所。押すと強く痛む場所。
歯ぎしりを放置しているとどんな不都合がある?
歯ぎしりを放置していると起こりうる不都合には次のようなものがあります
1.歯が異常にすり減る
歯ぎしりは歯をすり減らします。歯がすり減るとエナメル質がなくなって象牙質が露出してしみたり虫歯にかかりやすくなります。また、歯の高さが低くなると顔が老けた印象になります。
2.歯に痛みが出る
歯に強い力がかかり続けると、歯を支えている歯根膜がダメージをうけて痛みや違和感を感じることがあります。
3.歯周病が悪化する
歯周病は強い力がかかり続けると悪化しやすくなります。
4.知覚過敏が出る
歯ぎしりで歯周病が悪化すると歯茎が下がり、知覚過敏が起こりやすくなります。また、歯に強い力がかかり続けると歯の根元がくさびのようにかけてしまい、その部分から知覚過敏を起こします。
5.歯が割れてしまう
過大な力がかかると、歯にヒビが入ったり割れてしまうこともあります。
6.詰め物や差し歯が外れやすくなる
歯ぎしりは強い力が歯にかかり続けるために、詰め物や差し歯が脱落してしまいやすくなります。
7.エラが張って顔が大きくなる
かむ筋肉が緊張を繰り返すため、異常に発達し、エラが張って顔が大きく見えてしまいます。
歯ぎしりの原因は?
歯ぎしりの原因は現在のところ、
ストレスが一番の原因だと考えられています。
となると、ストレスをなくせば歯ぎしりもなくなる可能性が高い、ということが言えますが、ストレスを完全に取り除くのはなかなか難しいものです。そもそもストレスというのは取り除いても取り除いても、延々とまた出てくるものです。
無理に歯ぎしりをやめるのは良くない
むしろ最近では、歯ぎしりはストレスを発散するために必要なもの、つまりストレス解消をしてくれるもの、だとも考えられており、アメリカでは無理に歯ぎしりをやめさせるのではなく、それをいかに体に悪影響を与えずに行わせるか、ということが大事だと考えられています。そのため、歯ぎしりをしている可能性があるならば、マウスピースなどを装着して、コントロール不可能な異常な力から歯や顎の関節を守ってあげるのがベターでしょう。
ただ、ストレス以外に歯ぎしりを悪化させる要因があるならば、もちろんそれをできるかぎり排除することは大事です。また案外、眠る前に「歯ぎしりをしないぞ!」という自己暗示をするのも大きな効果があると言われているので、皆さんも一度試してみてはいかがでしょうか。
歯ぎしりの治療法 まとめ
最後に、歯ぎしりの治療法について重要な点をおさらいしておきましょう。
<歯ぎしりの治療法>
- スプリント
- マウスピース
- 薬物療法
- かみ合わせ治療
- ストレスマネージメント
- 低周波治療
- 体質改善
- 抗鬱剤の中止、変更
- ボツリヌス毒素療法
<治療日の相場>
- 保険内:5000円程度
- 非保険:高額
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