虫歯ではないのに歯が痛いことはある?原因を教えて!
虫歯ではないのに歯に痛みを起こす原因には次のようなものがあります。
1.歯の破折
特に上の奥歯で見られますが、噛み合わせの力が強くかかって奥歯にヒビが入り、神経に刺激が伝わって痛みが出ます。初期の段階ではレントゲンにも写らず、原因が見逃されがちです。
2.知覚過敏
歯茎が下がって歯根がむき出しになることなどによって、冷たいものの刺激でしみたり、歯ブラシが当たるとツーンと痛みを感じます。
3.噛み合わせの過剰負担
歯に異常な力がかかることによって、歯の周囲の歯根膜にダメージが加わって痛みを出します。
ブラキシズム
歯ぎしりや食いしばりのことを総称してブラキシズムと呼んでいます。夜間のブラキシズムにより歯に強いダメージが加わり、痛みを出すことがあります。
歯列接触癖(TCH)
日中に上下の歯を無意識に合わせてしまう癖です。食いしばったりするような強い力でなく、クッと軽い力が加わるだけでも、それが継続して行われることによって、歯根膜に負担がかかって痛みを生じる場合があります。
噛み合わせが高い
詰め物や被せ物を入れて噛み合わせが高いと、その部分が強く当たってしまい、歯に痛みが出てきます。
4.歯の周囲の組織の炎症
歯周病による歯茎や歯根膜の炎症、根尖性歯周炎(歯根の先端に膿がたまるなど炎症をおこすもの)による歯根周囲の炎症によって歯が痛くなることがあります。
5.歯が生えるとき
親知らずが生えている途中で、手前の歯を押す力が働くと、押された歯に強い痛みを感じることがあります。
6.矯正治療の歯の動かし始め
歯並びを治す矯正治療で歯を動かす際に、歯の周囲の組織に力が加わるため、歯を合わせるだけで痛い、硬いものが食べられない、というような痛みを出します。
7.副鼻腔炎
上の歯の上部にある副鼻腔が風邪などによって炎症を起こして膿を溜めると、上の歯(特に奥歯)にズーンとした痛みを出す場合があります。また、噛むと痛いという症状を出すこともあります。
8.咀嚼筋の痛み
顎関節症(がくかんせつしょう)などによる咀嚼筋(噛む時に使う筋肉)の痛みによって、奥歯を中心に重苦しい痛みが出る場合があります。
9.群発頭痛
群発地震のようにある期間に集中して頭痛が起こるものです。春先や秋口などの季節の境目に始まり、一定の期間毎日(1~2ヶ月)毎日激しい頭痛を起こします。その発作の合間にほとんどのケースで歯の痛みも伴います。その後おさまっても、また半年から2~3年後にまた再発をします。
10.三叉神経痛
三叉神経とは顔や口の中全体の感覚を脳に伝える神経で、三叉神経痛は何かの動作や物理的な刺激によって顔面に鋭い痛みを出します。奥歯にも強い痛みを出すことがあり、歯も磨けなくなるほどです。
11.狭心症・心筋梗塞
狭心症や心筋梗塞の痛みが下あごの痛みや歯の痛みとして感じられることがあります。
12.帯状疱疹
帯状疱疹は、感染した神経の分布域に強い痛みが現れる急性の神経の炎症で、帯状疱疹の水疱が現れる前の段階で上の歯、下の歯に歯髄炎(歯の神経の炎症)のような強い痛みが出ることがあります。
13.心因性疼痛
精神疾患の一症状として歯の痛みを出すことがあります。これは脳の痛みを感じる部分と感情をコントロールする部分が近い位置に位置しているため、感情が痛みの感じ方に影響を与える、と考えられています。
14.ニューロパチー
外傷、手術や炎症などで末梢の神経が傷ついたことが原因で、障害を受けてから数日から数週間後に持続性の焼けるような強い痛みが持続的に現れる、というものです。
まとめ その他、虫歯ではないのに歯が痛い時
最後に、虫歯ではないのに歯が痛い際に知っておくべき情報をまとめておきましょう。
虫歯ではないのに、歯に激痛が走るのは何故?
虫歯ではないのに歯に激痛が走る原因として考えられるのは「歯の破折」「群発頭痛」「三叉神経痛」「帯状疱疹」「ニューロパチー」などがあります。
虫歯ではないのに、歯が痛い、しみるのは何故?
虫歯以外で歯が痛い、しみるという場合、「知覚過敏」が可能性として高いです。その知覚過敏の原因としては「歯茎が下がる」、「噛み合わせが強くかかって歯の根元が欠けてしまう」「歯を削った後に知覚が過敏になる」ということなどが挙げられます。また、「歯の破折」が起こった場合も、亀裂から冷たいものがしみたり、神経が炎症をおこして痛みが出ます。
前歯、奥歯が虫歯ではないのに痛いのは何故?
虫歯以外が原因で前歯が痛い時、次のようなことを疑います。
<以前にぶつけた歯ではないか?>
前歯はぶつけやすい場所です。強い力が加わると、神経が死んでしまうことがあり、それが原因で歯根の先端部に病巣を作り、何年もたってから痛みを出すことがあります。
<噛み合わせの干渉が起こっていないか?>
前歯の歯並びが悪く、ガタガタに重なり合っている場合、噛み合わせの時に、特定の歯に強い力がかかる場合があります。それが長期間続くことにより、歯の周囲の歯根膜という組織が炎症を起こして痛みを出すことがあります。
虫歯以外が原因で奥歯が痛い時、次のようなことを疑います。
<歯に力がかかりすぎてヒビがはいっていないか?>
とくにがっちりした、噛み合わせの力の強そうな男性の場合、奥歯にヒビが入ってしまっている場合を時々見受けます。
<副鼻腔炎ではないか?>
副鼻腔のうちの上顎洞が炎症を起こして膿をためると、そこに近接する歯が痛む場合があります。
<顎関節症に伴う筋肉の痛みはないか?>
顎関節症の症状のうちの一つに、咀嚼筋(噛む筋肉)の痛みがあります。それによって、奥歯が鈍く痛むように感じることがあります。
<親知らずが悪さをしていないか?>
親知らずは歯茎の炎症を起こしやすかったり(智歯周囲炎)、手前の歯を押したりすることで痛みを出す場合があります。
<三叉神経痛ではないか?>
それほど多いケースではありませんが、三叉神経痛では奥歯に鋭い痛みを出したりします。
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