味覚障害の治療方法について
<味覚障害に薬は使う?>
味覚障害の治療に用いられる ”専門的で特殊な” 薬剤は、現在国内では使用されていないと言えます。味覚障害は人間の ”感覚” に異常の生じる病気であるため、骨折などの外傷や特定のウイルスが原因である病気とくらべ、そのメカニズムが100%解明されているとは言い切れないところがあります。したがって、例えば感染症に対する『抗菌薬/抗生物質』といったような ”原因となる物質だけに影響する” といったタイプの薬剤は、味覚障害では存在しないのです。
<最新研究結果>
ただ、100%解明していないというだけで、味覚障害の原因については日々専門的な研究が進められております。現在、味覚障害と『亜鉛』という物質の深い関連性が強く指摘されているため、実際の味覚障害の治療において『亜鉛製剤』という亜鉛物質を多く含む薬剤が用いられています。抗菌薬や抗ウイルス薬、抗がん剤のような、特殊で専門的な薬剤はありませんが、味覚障害に用いられる薬剤としては、上記の『亜鉛製剤』を代表的なものとして挙げることが出来ます。
自宅で出来る治療方法
1、亜鉛を補う
先程ご紹介した『亜鉛』は、何も薬剤だけに含まれる特殊な物質では無いのは皆さんご存知の通りかと思います。亜鉛は、鉄分と同程度に健康に必要な物質と言うことができるのですが、一般的な食生活の中にも亜鉛の存在を確認することができるのです!
亜鉛が多く含まれている食材は以下の通りです。
- ごま
- 肉製品
- 海草類
- 貝類
<亜鉛不足に陥りやすい食品や食生活>
野菜や果物を省いた方よりのある食生活は、亜鉛不足に陥り易いと言えます。また、加工食品の中には、亜鉛の”吸収”の効率を下げてしまう成分が入っているものもありますので、冷凍食品やコンビニの弁当ばかりといった加工食品に偏った食生活では、亜鉛の不足から味覚障害が生じてしまい易いと言えます!
2、食生活の改善
薬を使わない味覚障害への対応/予防として、『食生活の改善』及び『心理的ストレスの軽減』といったものが挙げられます。『食生活の改善』については、先程ご説明した内容と同じく、『亜鉛の不足』に注意したバランスのとれた食事を心がけることがとても重要です。
3、心理的ストレスの軽減
『心理的ストレス』にて味覚障害が発症するケースも少なくありません。過度のストレスやそれに繋がるうつ病などでは、程度の差はあれど、味覚に障害や変化が生じてしまうケースが存在します。心理面でのストレス軽減は、その方法を定めることが非常に難しいですが、『睡眠』についてはどなたでも何か策がうてるのではないでしょうか。良質で十分な量の『睡眠』は、人間の心理面を改善するために非常に効果が高いとされています。
『食生活』とならんで、味覚障害の改善ではとても重要な対策/予防法と言えますので、味覚の異変が気になる方は、是非とも自身の睡眠環境を見直してみましょう!
4、漢方
漢方薬によって味覚障害が改善されるケースも存在するようです。しかし、漢方薬をはじめとする東洋医学は、そのメカニズムがはっきりと解明されていないことも事実です。現在、日本の医療のベースはあくまで東洋医学でありますので、漢方薬のみに頼った治療では根本的な解決を望むことは難しいと言えます。(または、治療の成果の判断が難しい。)
味覚障害の治療で漢方薬を使用する際は、病院などの公的医療機関にての治療の ”プラスα” として捉えることをオススメ致します。漢方薬との相性が良く無い治療も存在しますので、漢方薬を使用する場合は、担当の医療スタッフにしっかりとその情報を伝えるよう心がけましょう。
病院で行われる治療について
一言に『味覚障害』と言っても、その種類は様々存在します。したがって、適切な治療を始める前に、味覚障害では「検査/診断」が非常に重要となります!味覚障害の検査/診断で用いられる方法について代表的な2つをご紹介致します。これらは味覚障害の検査/診断において必ずといってもチョイスされる、非常に有名なものです。これらを元にそれぞれの味覚障害の実像にせまり、タイプに合わせた治療を進めてゆくことになります。
1、ろ紙ディスク法
ろ紙ディスク法とは、甘み/辛み/酸味/苦みなどの異なる味をつけた小さな用紙(ろ紙)を、舌の特定の部位に乗せ、それらの感じ方を記録する味覚の検査法です。この『ろ紙ディスク法』は、大がかりな特殊機材を必要としませんので、多くの医療機関の味覚障害治療に用いられている検査法と言えます。
ろ紙ディスク法を用いると、「異常を感じる味覚は決まっていないか?」「舌特定の部分でだけで障害が生じていないか?」といった点に対する情報を得ることが可能となります。
2、電気味覚検査
『電気味覚検査』と呼ばれる味覚検査は、電流を流した小さな電極を舌の特定部位に当てることで、味を感じる神経の反応を観察するものです。
先程ご紹介したろ紙ディスク法と比べると、特殊な機材を必要とする分やや大掛かりな検査とも言えますが、流す電流の量もごくごく微量ですので患者の負担も非常に少ないため、ろ紙ディスク法と並んで、味覚障害の診断で広く用いられている検査法です。
『電気味覚検査』では、障害が生じている部位を特定出来るほか、電極に流す電流の大きさを調節することで「どのくらい味覚が損なわれているのか?」といった異常の ”程度” を判断するために貴重な情報を得ることが出来ます。
体質改善、食事改善などでも治るのですか?
脳障害に原因を持つ特殊な味覚障害では話は別ですが、軽度の味覚障害は、特殊な治療を無しに体質改善や食事改善などでその症状が改善するケースが存在します。
具体的な改善内容は、ここまでご紹介した通りです。特に、食生活面では『亜鉛』というキーワードに注目し、亜鉛の不足が生じないように毎日の食生活を整えるよう心がけましょう!
味覚障害の対策方法について まとめ
最後に「味覚障害 対策方法」について重要な点をおさらいしておきましょう。
<自宅で行う味覚障害の治療方法>
- 亜鉛を補う
- 食生活の改善
- 心理的ストレスの軽減
- 漢方
<病院で行われる検査方法>
- ろ紙ディスク法
- 電気味覚検査
「味覚障害 対策方法」関連記事: