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今更聞けない歯周ポケット。歯科医が丁寧にわかりやすく解説します。

2015年12月14日 18時48分
歯周ポケットについて現役歯科医師・現役歯科衛生士・歯科ライター・歯科コラムニストが徹底して解説します。どくらぼはアナタの歯周ポケットの疑問にプロ達がわかりやすくお答えする日本最大級の歯科メディアです。

今更聞けない歯周ポケット。歯科医が丁寧にわかりやすく解説します。

一般的には歯周病になると歯周ポケットができると言われています。ここでは歯周ポケットがどのようなものか、そして歯周ポケットができるとどのようになるのか、そして歯周ポケットはどのように改善させることができるのかについて記載します。

歯周ポケットとは何か。

基本的には歯周ポケットは、歯肉と歯の間にある溝が正常の深さよりも深くなっているために深い溝ができた状態です。歯と歯肉の間の溝は、正常な状態でも2mm以下の深さがあり、歯肉溝(しにくこう)と呼ばれます。歯周ポケットは歯周病や歯肉炎を原因として、その溝が病的に深くなり、溝の深さが3mm以上になった状態になった歯と歯肉の間の溝の事を指します。つまり歯と歯肉の間の深さが3mm以上になった場合、歯周ポケットができて歯肉炎や歯周病であると判断されます。

歯周ポケットは、歯周病や歯肉炎が原因である場合に作られます。例えば歯肉炎を原因とした歯周ポケットは歯肉が腫れたために溝が深くなります。そして歯肉が膨らんだ分だけポケットが深くなります。つまり歯周ポケットの一番深い場所の位置はもともと歯と歯肉が引っ付いていた場所から変化せず、腫れているために見かけ上、歯周ポケットが作られています。このように歯肉炎によってできたポケットを仮性ポケットと呼びます。対して歯周病を原因とした歯周ポケットは、歯肉と歯が剥がれていき、歯と歯肉の溝の一番深い位置が歯の根っこ(歯根;しこん)に向かって歯周ポケットを作っていきます。このようにしてできた歯周ポケットを真正ポケットと呼びます。ここでは歯周病を原因としてできた真正ポケットである歯周ポケットについて記載します。

歯周ポケットが深い場合について

歯周ポケットが深い場合、様々な症状が現れることや歯周病が進行していくという問題が起こります。まず歯周ポケットが深いことについて、細菌に焦点を当てて解説します。口の中には多数の細菌が存在しています。ほとんどの細菌は、一部を除いて口の中で問題を引き起こす原因にはなりません。しかしながら歯周ポケットの中にいる細菌はこれらのような細菌とは異なります。細菌には様々な種類がありますが、特に歯周ポケットの中の細菌には酸素が行き渡らないため、酸素がない場所に住める一部の細菌が住み着きます。これらの中の細菌の内のいくつかは歯周病を引き起こす原因の1つになります。つまり歯周ポケットを放置すると、これらの細菌がポケットの中にいるため、さらに歯周病が進行すると言えます。

また歯肉は腫れていき、歯肉の下では骨が溶けていきます。このため放置すると最悪の場合は歯を抜くしか選択肢がなくなります。もちろん上のような口の中においては特殊な細菌も生息することになるため、口臭などの問題もでてきます。そして歯の根元や歯根は冷たいものや歯ブラシなどの刺激を痛みとして感じやすい部分です。歯周ポケットが深くなることでそういった部分がむき出しになるため、痛みを感じやすくなります。これを知覚過敏症と呼びます。以上のような事が歯周ポケットが深いことで引き起こされます。

歯周ポケットができる原因

歯周ポケットができる代表的な原因はプラークです。プラークとは一般的に歯垢と呼ばれているものです。これが歯肉炎や歯周病を引き起こす最初の原因です。プラークは細菌と細菌が作った様々な物質の塊で、歯に粘着しているためうがいでは取り除けません。まず歯肉炎の原因となる、比較的浅めの場所にプラークは粘着し、その後ポケットの中へとプラークが伸びていきます。そのため歯周ポケットはより深くなっていきます。

上のプラークに続いて歯周ポケットを悪化させていく原因はいくつかあります。まず一つ目に外傷性咬合(がいしょうせいこうごう)と呼ばれる歯やその周囲に悪影響を及ぼすかみ合わせの問題です。このかみ合わせの異常により、歯だけでなく歯肉や骨もダメージを受け、歯周病に関わる部分の状態を悪化させていきます。またクラウン(被せ物)などが合っていない場合、プラークが付きやすい状態になるため、これも歯周病ポケットを深くする原因の一つに数えられます。このようにプラークが最初の原因となり、その他の状態によってポケットが深くなっていく事を促進させます。

歯周ポケットが深いと判断される長さと測定方法

一般的に歯周ポケットは4mm以上が深いとされています。4mm以上から歯周病と診断され、6mm以上の深さのポケットがある状態から重症の歯周病であると診断されます。診断にあたり、歯周ポケットの深さを測定します。これに加えていくつかの検査を行いますが、基本的にポケットの深さの判定はこの検査を行います。歯周ポケットの深さを測定する検査はプロービングと呼ばれます。この検査で分かることは、ポケットの深さやポケットの一番深いところが正常な位置より下がっていないか、そして歯肉に隠れていた歯石が存在しないかということです。

検査ではポケット探針(ぽけっとたんしん;プローブ)という器具を使用します。針金のような器具ですが、歯周ポケットの底にあたってもわずかにチクチクする程度の感覚があるだけで、例えば刺さってしまうほどには先は尖っていません。この器具には目盛りが付いていて、長さを測れるようになっています。これを歯周ポケットの中に入れ、歯周ポケットの底、つまり溝の淵から溝の底までの距離を測ることで歯周ポケットの深さが分かります。

歯周ポケットのケア

歯周病によってできた歯周ポケットを改善するためには、歯科医院での治療と自宅での清掃が重要になります。まず歯科医院での治療の流れについてですが。ここでは4~5mm程度のポケットがある場合について記載します。最初に行う事は、上記の検査にその他の検査を合わせ、歯周病の状態を調べます。そして歯の清掃に移ります。

まず行う事がスケーリング(歯石を取ること)です。これによって歯と歯肉の境目にある歯石を取り除けるため、歯周病の原因を取り除く努力をしたことになります。そしてスケーリングを行って約一週間後には歯肉の腫れが改善されるため、歯肉が下がって見えます。このため最初にスケーリングを行った時には見えなかった部分が見えるようになります。ここで見えるようになった歯石は全て取り除きます。場合によっては歯根をツルツルにする治療であるルートプレーニングを行います。この治療により再度プラークや歯石が付きにくくなります。これで歯周ポケットの深さが改善された場合、定期的な清掃に移ることになります。なお再度プラークが付きにくいようにするために、歯の表面をツルツルに磨く治療も並行されます。

自宅でできる方法としては、まず歯科衛生士のブラッシング指導を受けた上で歯を磨くことが重要です。正しい歯磨きの仕方を覚え、自宅でも染め出しを行い、赤く残った部分を注意して磨くことが必要です。また最近では電動歯ブラシも売り出されています。これについては最新の研究ではブラウン社のオーラルBという機種の最上位モデルが、手で磨く場合や有名なフィリップス社のソニッケアーの最上位機種を使った場合よりも効果的である証明されています。高価と感じる方も多いかと思いますが、歯を失った後の治療費を加味すると、高いものではないと思います。

歯周ポケットが改善するまでの期間

歯周ポケットを改善させるための期間は最初に受診した際の歯肉の状態によって異なります。軽度の方であればスケーリングと歯の表面をツルツルに磨くPMTCという治療を一度行い、一週間から二週間程度で改善します。しかしながら6mm以上の重症な方であれば、歯根の掃除を麻酔をかけて行っていき、治療が終わるまでの期間の目安が一カ月前後です。そこからさらに改善しない方は、歯周外科という歯肉を切り開いて歯を清掃する手術が必要となる可能性があります。その場合より改善するまでの期間が長くなります。

また、治療が終わっても患者様の状態によりますが、一カ月から三カ月に一度、定期的に清掃やブラッシング指導を行います。このように早期に治療をして、正しい歯磨きを保つために通院することで、歯周ポケットは改善されていきます。

 

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