嘔吐反射とはそもそもなんですか?
嘔吐反射は専門的に「異常絞扼反射(Gagging Reflex:GR)」と言います。
嘔吐反射の一般的な症状としてあげられるのは、
口腔内にものが入れられたときに吐き気を起こす
ということです。この症状がでる状況としては、
- 歯ブラシを口腔内に入れたとき
- 歯科治療で型取りをするためにトレーを口に入れたとき
- レントゲンをとるときにフォルダーを入れたとき
- 口腔内に溜まった唾液や水を取り除くためにバキュームを入れられたとき
などが考えられます。
通常の場合でも、人間はのどの奥に異物を感じると吐き気を伴いますが、嘔吐反射とはその症状が非常に強く、のどの奥以外のごく浅い部分でも口腔内に入ることにより強い吐き気を伴います。
嘔吐反射がおこる原因は?
嘔吐反射が起こる原因としては、主に3つに分けられます。
1、口腔内の刺激により生理的な反射で起こるもの
人間の体は異物を感じたときに本能的に吐き出そうとします。その結果嘔吐反射が起きるのです。
2、過去の歯科治療に対する恐怖心(トラウマ)や不安、極度の緊張などの心理的な要因
一度症状を感じてしまうと次の治療の時にもまた吐き気が襲うのではないかというようなことを無意識に考えてしまうことによって引き起こされることもあります。簡単な言葉で言い換えると、自分の体を守るための拒絶反応を起こしているとも言えます。
3、呼吸方法によるもの
普段から口呼吸の習慣があり、鼻で呼吸をしていない場合歯科治療による嘔吐反射を引き起こしやすくなります。
嘔吐反射が強く歯医者さんに行けないのですが、どうすればいい??
1、口を大きく開けて鼻から呼吸をする練習をする
嘔吐反射は口呼吸の場合に起こりやすくなるため、普段から鼻で呼吸することを習慣にすることが重要です。
2、治療中に口が開いている状態でも顎を少し引いておく
顎を少し引いておくことにより、唾液や水が喉の奥に移行することを軽減できます。
3、背もたれを水平ではなく、なるべく起こした状態での治療をお願いする
こちらも2つ目と同じような効果を得られる方法ですが、こちらはより高い効果を期待できます。座ったままの状態でいることで、より唾液や水が喉の奥に移行しにくくなります。
4、気持ちをリラックスさせ、場合によっては笑気麻酔を依頼する
緊張などの心理的な原因で強く症状を発症させる為、リラックスして、歯科治療以外のことを考えることで症状を抑えることができます。
5、笑気麻酔で難しい場合は、静脈沈静法で治療を依頼する
静脈内鎮静法には精神の緊張状態を緩和させる効果があるため、不安な気持ちを解消し、リラックスすることができます。また、健忘効果もあるので、治療中や治療後も恐怖を感じることがありません。
嘔吐反射が強い場合、歯医者さんにどのようなことを伝えればいいでしょうか?
大抵の歯科医院では、
初診時に嘔吐反射がある旨を伝える
ことで無理のない治療方法で処置していただくことができます。
主に嘔吐反射を感じやすい治療として挙げられるものに
- 歯の型とり
- レントゲンの撮影
- バキューム(水を吸い取る)の方法
- 入れ歯の作成
があります。
歯の型とりの場合
歯の型とりをするときは、通常であれば印象材をややゆるめに練り上げるのですが、嘔吐反射の強い患者さんには通常よりやや硬めに練り上げることにより、印象材がのどに流れ込み嘔吐反射を軽減させることができます。
レントゲン撮影の場合
レントゲンの撮影の場合は、通常はフォルダーというものにフィルムを装着したものを口腔内にいれて撮影しますが、嘔吐反射の強い患者さんには、フォルダーを使わずにフィルムだけを入れることによって口腔内に異物が入った状態をより短時間で済ませることができます。
嘔吐反射に効果的な麻酔や薬があれば教えてください!
内服薬
「半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)」という漢方薬があります。このお薬は、精神状態を安定させて、吐き気を抑える効果があります。また、鎮痛薬や向精神薬を静脈に直接注入し、麻酔状態にする「静脈沈静法」というものがあります。静脈沈静法の場合麻酔としての効果は低いため、局所麻酔を追加しますが、その場合もほとんど痛みを感じることがありません。
麻酔
嘔吐反射の程度によって使い分けられています。
- 表面麻酔スプレー(キシロカインスプレー):口腔内に塗布することによって反射を鈍くすることができます。
- 笑気麻酔:催眠ガスのようなもので、治療前に鼻から吸い込んで麻酔をかけます。意識はなくなりませんが、リラックスできる効果があり、精神状態を安定させられることから嘔吐反射に効果があります。
- 全身麻酔:極めて重度の場合ですが、全身麻酔をかけることによって、意識のない間に治療することができるため嘔吐反射をおこさずに治療ができます。
嘔吐反射について まとめ
最後に嘔吐反射について重要な点をおさらいしておきましょう。
<嘔吐反射の原因>
- 口腔内の刺激による生理反射
- 過去の歯科治療に対する不安やストレス、緊張
- 口呼吸の習慣
<嘔吐反射の対策>
- 口を大きく空けて鼻から呼吸する練習をする
- 治療中に口が開いている状態でも、顎を少し引いておく
- 背もたれを水平ではなく、なるべく起こした状態での治療をお願いする
- 気持ちをリラックスさせ、場合によっては笑気麻酔をお願いする
- 笑気麻酔が難しい場合は、静脈鎮静法での治療をお願いする
<嘔吐反射に効果的な薬や麻酔>
- 半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
- 表面麻酔スプレー
- 笑気麻酔
- 全身麻酔
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