歯茎が腫れて痛い時に考えられる病気と、それぞれの治療法について
歯茎が腫れて痛い時には様々な病気が考えられますが、その中でも多い5つのパターンと、その治療法についてご説明いたします。是非皆さんの症状に当てはめてみてください。
1.歯周病
歯の周囲の歯茎が腫れて痛い時にまず疑われるのは歯周病です。ちょっと歯磨きをさぼったりしただけでも起こることがあります。歯周病が進行すると、大きく腫れて膿を持つこともあります。
治療法
軽度の歯周病である歯肉炎の場合は、その後歯磨きをしっかり行うことで2、3日もすれば腫れは引いてきます。しかし、進行した歯周病の場合は周囲に歯石がついていることが多く、歯磨きだけでは解決しません。歯科医院で歯石とりをする必要があります。また、重度の歯周病で歯茎が膿をもって腫れている場合には、歯茎から膿を出したり、抗生剤による治療が必要になります。抜歯が必要な場合もあります。
2.根尖性歯周炎
歯根の先端部分あたりを中心に腫れて痛い、また、その部分を押すと特に痛い場合には根尖性歯周炎の可能性があります。歯根の先端の周囲に膿をもった状態です。通常、原因の歯で噛むと痛い、という症状がみられます。
治療法
歯根の先端に膿がたまる原因は歯根内部の感染です。歯茎の下に溜まった膿は切開をして膿を出す、抗生剤による治療が必要となります。また、根本的な解決のためには根の治療を行う必要があります。
3.親知らずの炎症
親知らず周囲は歯ブラシが届きにくく不潔になりがちなことから、よく歯茎に炎症をおこします。特に生えきっていない親知らずでは炎症を起こすことがよくあります。
治療法
歯茎の炎症を落ち着かせる処置(消毒や抗生剤による治療)を行い、抜歯が必要なケースであれば、症状が引いた後抜歯をします。
4.歯根破折
歯根が割れると、その部分から感染をおこして歯茎が腫れて痛みを出すようになります。
治療法
歯根が割れてしまった場合には、基本的に抜歯となりますが、場合によっては歯を一度抜いて接着剤でくっつけて戻す治療法が行われることもあります。
5.口内炎
口内炎においては、粘膜が赤く膨らんでその中央部に白くなった潰瘍をつくり、触ると非常に痛みます。
治療法
10日前後で自然治癒しますが、痛みの軽減のために軟膏を処方してもらったり、レーザー治療で症状を軽くすることもできます。
歯茎が腫れて痛いとき、病気以外に考えられること
上で示した病気以外で歯茎が腫れる原因には次のようなものがあります。
被せ物の不適合
詰め物や被せ物が歯にぴったり合っていないと、その部分に細菌が溜まって歯茎に炎症を起こすことがあります。他の部分には問題ないのに、被せ物の周囲の歯茎だけが赤く腫れている、という場合にはその可能性があります。
口呼吸
アレルギーや鼻炎などで口で呼吸をしていると、歯茎が乾燥して炎症を起こしやすくなり、特に上の前歯の歯茎が赤く腫れるということがよく起こります。
骨隆起
下の骨の内側や、上の奥歯の外側、また上あごの真ん中に痛みのない硬い盛り上がりができることがあります。これは骨隆起と呼ばれるもので、骨のコブで病的なものではありません。
薬物による副作用
高血圧の薬の副作用で歯茎が増殖して腫れることがあります。それ自体痛みはありませんが、その状態が続くことで、細菌が溜まりやすくなり、歯周病を悪化させてしまいます。
自宅でできる腫れや痛みに対する応急処置について
辛い歯茎の腫れや痛みを感じたら、症状を和らげるために次のことを試してみてください。
1.口の中を清潔にする
さらなる細菌感染を防ぐために、口の中の汚れはこまめに洗い流しましょう。その際、歯ブラシはやわらかめを使いましょう。こまめにぶくぶくうがいをし、できれば殺菌作用のあるイソジンやコンクールなどを使うと良いでしょう。
2.腫れている部分をいじらない
気になって触ってはいけません。また、食べるときは腫れている反対側で噛むようにしましょう。
3.冷やす
大きく腫れている場合には冷やしたタオルなどで皮膚の上から冷やすだけでも辛い症状が和らぎます。
4.痛み止めを飲む
痛みが辛いときは痛み止めを飲みましょう。
5.安静にして体力回復に努める
疲れていたり体力が落ちていると症状も強くなりがちです。安静にして体力を回復させましょう。
歯茎が腫れて痛いとき、放置するとどんなことになってしまうか
歯茎が腫れて痛い場合は、基本的には何らかの感染が起こっていると考えた方が良いです。放っておくと感染が広がって顔までパンパンに腫れてきたり、それどころか隙という組織の間を感染が進んで心臓の方に進んで命にかかわることもあります。また、細菌が血液に入って菌血症を起こし、感染性心内膜炎で死に至ることもあります。親知らずでたびたび歯茎が腫れる、という人も要注意です。
歯茎の腫れもずっと続いていたり、症状のひどいものはやはり歯科医院で早めに診てもらった方がよいということですね。皆さんも気になる歯茎の腫れがあったら我慢せずに早めに治しましょう。
歯茎が腫れて痛い時について まとめ
最後に歯茎が腫れて痛い時について重要な点をおさらいしておきましょう。
歯茎が腫れて痛いときに考えられる病気と治療法
- 歯周病→丁寧な歯磨き、もしくは歯石除去、膿の除去や抗生剤の使用
- 根尖性歯周炎→膿の除去や抗生剤の使用
- 親知らずの炎症→炎症を落ち着かせ、場合により抜歯
- 歯根破折→抜歯
- 口内炎→自然治癒
歯茎が腫れて痛い時の応急処置
- 口の中を清潔にする
- 腫れている部分をいじらない
- 冷やす
- 痛み止めを飲む
- 安静にして体力回復に努める
いかがでしたか。我々が運営しております”どくらぼ”には、他にも皆様の大切な歯に関する情報が盛りだくさんです!是非他の記事にも目を通していただき、正しい知識を身に付けてくだされば幸いです。今後とも”どくらぼ”を宜しくお願い申し上げます。最後までご覧頂きましてありがとうございました。
「歯茎」関連リンク:
歯茎のできもの要注意!膿の袋、または癌!?怖すぎる歯茎のできもの