口が乾く、乾きやすい原因として考えられる原因
口の中が乾いてお困りの皆様に、考えられる原因をご紹介いたします。
1.ドライマウス
ドライマウスとは口腔乾燥症とも呼ばれ、口の中の唾液を作る機能が落ちたり、口の中の唾液が蒸発しやすい状態になっていて乾いてしまう状態のことをいいます。
2.シェーグレン症候群
自己免疫疾患の一つで、唾液の分泌の障害や涙の分泌を障害し、ドライマウス、ドライアイを主症状とする病気です。このように乾燥だけを症状するタイプと、他の自己免疫疾患(リウマチや全身性エリテマトーデスなど)と合併して起こる場合があります。50代前半に多く発症し、そのほとんどが女性です。
3.腎臓病
腎臓の病気で腎臓の機能が悪くなると、尿を濃縮する機能が落ちてしまい、尿の量が増えます。そうすると体内の水分の量が減ってしまい、口の中も乾いてしまいます。
4.糖尿病
糖尿病になると、腎臓が血中の糖を排出するため、水分とともに尿として排泄します。そのため尿の量が増え、体の水分が減って口の中も乾いてきます。
5.ストレス
ストレスを感じると自律神経のうちの交感神経が優位になり(興奮状態になり)、唾液の分泌が落ちてしまうことで口の中が乾いてしまいます。
6.口呼吸
日常的に口で呼吸をしている人は、口の中の水分が蒸発してしまい、口が乾いてしまいます。
7.アルコール摂取
アルコールは利尿作用があるため、尿が多く作られるようになります。そのため、体内の水分量が減ってしまい口が乾きます。
8.加齢
加齢とともに唾液腺の機能が落ち、唾液の量が減ります。また、咬む筋肉の筋力も落ちるため唾液腺が刺激されにくくなります。
9.薬の副作用
処方されているうちの8割の薬は副作用として口の中が乾燥すると言われています。
10.タバコ
タバコを吸うと交感神経が刺激されて唾液の分泌が減ります。
11.噛まない・喋らない
忙しいなどの理由で食事を抜く習慣、またあまり噛まずに食べている場合、咬む筋肉があまり働かずに唾液腺の機能が落ちてしまいます。またあまり喋らないことも同様に顔の筋肉を使わないため、筋肉による唾液腺の刺激が起こらず、唾液の量が減ってしまいます。
ここのところ急増しているドライマウスって??
ドライマウスとはその名の通り「口の乾く」症候群で、近年増加している傾向にあると言われています。現在約800万人もの人がかかっているとも言われていますが、気付いていない人も多く、それを含めると相当な数になると考えられます。また患者さんの9割は女性であると言われています。「ドライマウス」そのものが病気なのではなく、その原因には様々なものが関係しており、これといった治療法は確立していません。口が乾くといってもそう重大な感じがしませんが、じつはそれが原因で生活に支障が出るほど辛い症状を出す場合も少なくありません。
ドライマウスになると何がいけないの?
ドライマウスは次のように様々な症状を引き起こします。
1.口の中が粘つく
唾液が減ると、口の中は粘つきます。例えば、朝起きた時に口が粘つくような感じがしますが、これは睡眠時に唾液の分泌が落ちることによります。
2.ものが飲み込みづらくなる
唾液が減ると、特に乾いたものなどは飲み込みづらくなります。
3.虫歯や歯周病がひどくなる
唾液は口の中を洗浄する役割や殺菌作用を持っています。唾液が減るとこの機能が落ちてしまい、細菌が洗い流されずに虫歯や歯周病を起こしやすく、またひどくなりやすくなります。
4.口が臭くなる
唾液がないと口の中の細菌の量が増え、口臭が強くなります。
5.口の中や舌がヒリヒリ痛む
唾液は口の中の粘膜を保護する役割をしますが、これがないことによりピリピリ、ヒリヒリ焼け付くような症状を出すことがあります(口腔内灼熱症候群や舌痛症など)。また、口の中のカンジダ菌が増えやすくなり、カンジダ症を発症してそれによる痛みも起こりやすくなります。
6.味覚がおかしくなる
唾液は食べ物の味成分を溶かして舌に伝える役割をします。唾液がないとそれが十分に機能しないため、味覚に異常を起こすことがあります。
7.口内炎などのトラブルが起きやすくなる
唾液がないことで、粘膜が傷つきやすくなり、また、口の中の細菌も増えるために口内炎が非常にできやすい環境になります。また、カンジダ症を発症しやすくなることにより、唇の端が切れる口角炎も起こしやすくなります。
ドライマウスの治療方法は?
上のドライマウスの症状に身に覚えのある人はドライマウスを疑ってみたほうが良いでしょう。ドライマウスというものがあることすら知らずに不快な症状を放置していると、ストレスが溜まってさらにドライマウスがひどくなる可能性がありますし、重大な病気を見逃してしまうかもしれません。
どこを受診すればよいか
ドライマウスに対しての治療はどこで行うかというと、まずは口の中の専門家である歯科医院を受診するのが良いでしょう。必要に応じて他の診療科と協力しながら治療を行うことになります。近年ではドライマウス外来や口腔乾燥外来を設置している歯科医院や大学病院なども増えてきていますので、そのようなところを受診するとより詳しい検査などが受けられ、より早い原因解決が望めるでしょう。
歯科で行われる治療について
歯科で行う治療としては対症療法として人工唾液や保湿ジェルを用いる方法、薬物療法として唾液促進剤や唾液腺ホルモン、漢方薬を使う方法、また、唾液の分泌を促すための筋機能療法などが行われます。また、ドライマウスは全身疾患の症状の一つとして現れていることも少なくありません。その場合はその病気の治療に専念することが大事です。
ドライマウスの予防方法は?
ドライマウスは唾液を十分に出すことで防げます。そのためには普段の生活で次のことに気をつけてみましょう。
1.よく噛む
食べやすいやわらかいものばかりでなく、繊維質や硬いものも適度に食事に取り入れ、よく噛む習慣をつけましょう。噛むことで唾液線が刺激されて唾液がたくさん分泌されます。
2.正しい食習慣
ダイエットや忙しさなどの理由で食事を抜くことはやめましょう。食事を摂らないと唾液はますます出なくなってしまいます。
3.リラックスする時間を持つ
リラックスすることで、さらさらした唾液が多く分泌されます。1日のうちに少しでもリラックスする時間を持ちましょう。
4.規則正しい生活
規則正しい生活は自律神経を整え、唾液の分泌をよくします。
5.よくしゃべる
唾液腺は顔の筋肉に裏打ちされています。よくしゃべることで唾液腺が刺激されて唾液がよく分泌されます。最近は携帯のメールなどでコミュケーションをとる人が増え、一日中あまりしゃべらずに過ごし、表情筋を使わない人が増えてきているようです。
6.部屋を乾燥させない
部屋が乾燥していると口も乾きます。エアコンのつけすぎに気をつけ、加湿器なども利用するとよいでしょう。
唾液を増やすストレッチや唾液腺マッサージとは
また、唾液を増やすために効果的なストレッチや唾液腺マッサージというのもあります。
口のストレッチ
口を大きく開けて、「あ」「い」「う」「え」「お」とはっきり発音し、1分ほど続けます。噛む筋肉が鍛えられて唾液が分泌されます。
唾液腺マッサージ
唾液は主に耳の手前の耳下腺、あごの下の顎下腺、舌の下の舌下腺から分泌されます。それぞれの唾液腺をマッサージで刺激してみましょう。3分間ほど、痛くないくらいの力でやります。
- 耳下腺:人差し指を耳たぶの下あたりに当て、後ろから前にぐるぐる円を描くようにマッサージ
- 顎下腺:下あごの骨の内側のやわらかいところを耳の下からあごの中央部まで5か所くらいをそっと押す
- 舌下腺:下あごの真下から舌を上に突き上げるようにグッと押す
口の中が乾くときの原因と、ドライマウスについて まとめ
<口が乾きやすい原因>
- ドライマウス
- シェーグレン症候群
- 腎臓病
- 糖尿病
- ストレス
- 口呼吸
- アルコール摂取
- 加齢
- 薬の副作用
- タバコ
- 噛まない・喋らない
<ドライマウスとは?>
- 様々な原因で口が乾いてしまう症候群
- 圧倒的に女性に多い
- 口が乾くだけでなく、口の中の様々な不快な症状を引き起こす
<ドライマウスによって起こる症状>
- 口の中が粘つく
- ものが飲み込みづらくなる
- 虫歯や歯周病がひどくなる
- 口が臭くなる
- 口の中や舌がヒリヒリ痛む
- 味覚がおかしくなる
- 口内炎などのトラブルが起きやすくなる
<ドライマウスの治療方法>
まずは歯科を受診、必要に応じ他科と連携。ドライマウス外来や口腔乾燥外来を設置している歯科医院や大学病院なども。
- 対症療法;人工唾液、保湿ジェル
- 薬物療法;唾液促進剤、唾液腺ホルモン、漢方薬
- 筋機能療法
- 全身疾患が原因の場合、その疾患の治療
<ドライマウスの予防方法>
- よく噛む
- 正しい食習慣
- リラックスする時間を持つ
- 規則正しい生活
- よくしゃべる
- 部屋を乾燥させない
<唾液を増やすストレッチや唾液腺マッサージ>
口のストレッチ
口を大きく開けて、「あ」「い」「う」「え」「お」とはっきり発音し、1分ほど続ける
唾液腺マッサージ
3分間ほど、痛くないくらいの力で、
耳下腺:人差し指を耳たぶの下あたりに当て、後ろから前にぐるぐる円を描くようにマッサージする。
顎下腺:下あごの骨の内側のやわらかいところを耳の下からあごの中央部まで5か所くらいをそっと押す。
舌下腺:下あごの真下から舌を上に突き上げるようにグッと押す。
<最後に>
ドライマウスが増えてきている背景には、ストレスや食習慣の乱れ、携帯やパソコンなどの普及により、話すことが少なくなり表情筋を使うことが少なくなっていることなども指摘されています。筋肉は使わなければ衰えるものです。よく噛んで、よくしゃべることからまず始めてみてはいかがでしょうか。
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