親知らずの虫歯について
親知らずが虫歯になってしまった場合、治療を施す場合と、抜歯してしまう場合があります。それぞれの理由と、親知らずを有効活用する方法、また親知らずを虫歯にしないために気をつけるべきことについて詳しくご説明いたします。
親知らずの虫歯を治療して残した方がいいケース
まっすぐ生えていて虫歯が小さい場合
生え方に問題がなく他の歯のようにきれいに生えている場合で、虫歯が小さな場合は特に抜く必要はありません。
きちんと噛み合っている、またはその見込みのある場合
向かいの歯と噛み合って噛む機能を果たしている、また今後その可能性がある場合には虫歯を治療して残す意義があります。
手前の歯が残せない場合
親知らずの手前の歯の虫歯が大きすぎて抜歯になる場合、その歯を抜くと親知らずがその位置に誘導されて出てくることがあります。もし向きがまっすぐにならなかったり、隙間がある場合には矯正治療で引っ張ってくることもできます(自費)。また、親知らずをブリッジの支えの歯、部分入れ歯の支えの歯として使うこともできます(保険可)。
矯正や移植に利用できる場合
矯正治療を行う際の固定源として親知らずが利用できる場合があります。また、どこかの歯が抜歯となった時に、親知らずをその歯を抜いた後に移植することもできます。
妊娠、授乳中
妊娠、授乳中は抜歯は避けたほうがいいため、いずれ抜くことが前提であったとしても虫歯を治療して痛みが出ないようにしておいたほうがよいでしょう。
全身状態に不安がある場合
糖尿病や高血圧、骨粗しょう症などの持病で抜歯ができない状態の時があります。そのような時は痛みを出すのを避けるために虫歯の治療をしておくほうがよいでしょう。
親知らずが虫歯で抜歯した方がいい場合
きちんと生える見込みがない場合
親知らずが横に倒れていたり、斜めになっている場合は虫歯の治療をして残したとしても、その後親知らず自身や隣の歯に虫歯や歯周病を作ってしまいますので抜歯をお勧めします。また、このような親知らずは手前の歯に力をかけて歯並びをずらす原因になるとも言われています。
虫歯が大きすぎる場合
虫歯が神経の治療になるほどの虫歯である場合は抜いたほうがよいでしょう。親知らずの神経の治療は治療をする側、受ける側、双方大変な思いをするばかりか、治療自体をきちんと行うことも非常に難しいため、抜歯を選択する方がよいでしょう。
顎関節症で虫歯の治療が困難な場合
顎関節症で口が大きく開けられない、また長時間あけていられない場合には親知らずの虫歯の治療は非常に困難です。無理をすると顎関節症が悪化することもあります。
親知らずが原因で口内炎を作っている場合
親知らずが頬や向かいの歯茎を傷つけて口内炎を作る場合があります。この場合は抜くしか解決する方法がありません。
親知らずを抜歯せずに後に使用する方法
ブリッジや入れ歯の支台として
親知らずの手前の歯が抜歯になった場合に、親知らずをその後ブリッジや入れ歯を入れる際の支台(支える歯)として利用することができます。
矯正で利用できる
親知らずを他の歯を動かすための固定源として使える場合があります。また、手前の歯を抜いた場合に親知らずをその位置に引っ張って持ってくることもできます。
他の歯がダメになった場合に移植する
他の歯が抜歯になった場合に、親知らずをその位置に移植して使うことができます。保険治療が可能です。
親知らずを虫歯にさせないために
ブラッシングの徹底
親知らずはかなり奥に位置していますので意識をして磨かなければ歯ブラシは届きません。嘔吐反射の強い人は親知らずを磨こうとするだけで吐きそうになるかもしれません。小さめのヘッドの歯ブラシを使って、奥から手前にかきだすようにブラシを当てて磨いてみましょう。
補助清掃器具の使用
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスやタフトブラシ(毛先が小さな細かい部分を磨くための歯ブラシ)も使ってみましょう。デンタルフロスで歯と歯の間からの虫歯を防ぐことができ、タフトブラシは親知らずの奥の面までしっかりと磨くことができます。
フッ素の活用
親知らずは他の歯に比べて、生え揃うまでに何ヶ月もかかったり、歯ブラシが届きにくかったりなど虫歯になるリスクが高い歯です。日頃からフッ素の入った歯磨き粉で歯質を強化しておきましょう。
歯科医院での定期的なメインテナンス
自宅での歯磨きをしっかりと行っていても、磨き残しは出るものです。とくに親知らずは磨き残しが出るところですので定期的にクリーニングを受け、虫歯がないかどうかもチェックしてもらいましょう。歯科医院で高濃度のフッ素を塗ってもらうのもおすすめです。
親知らずの虫歯について まとめ
最後に親知らずの虫歯について重要な点をおさらいしておきましょう。
親知らずの虫歯を治療して残した方がいいケース
- まっすぐ生えていて虫歯が小さい場合
- きちんと噛み合っている、またはその見込みのある場合
- 手前の歯が残せない場合
- 矯正や移植に利用できる場合
- 妊娠、授乳中
- 全身状態に不安がある場合
親知らずが虫歯で抜歯した方がいい場合
- きちんと生える見込みがない場合
- 虫歯が大きすぎる場合
- 顎関節症で虫歯の治療が困難な場合
- 親知らずが原因で口内炎を作っている場合
親知らずを抜歯せずに後に使用する方法
- ブリッジや入れ歯の支台として
- 矯正で利用できる
- 他の歯がダメになった場合に移植する
親知らずを虫歯にさせないために
- ブラッシングの徹底
- 補助清掃器具の使用
- フッ素の活用
- 歯科医院での定期的なメインテナンス
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