糸ようじをやった後に思わずにおってしまう人、実は多いのではないかと思います。それにしても糸ようじをやった後のニオイって、どうしてあんなに臭いんでしょうか?しかもそのニオイは歯に問題があるほど強くなるようです。今回はそのニオイの原因について探っていきます。
糸ようじが臭い原因その1、歯周病
糸ようじが臭い原因のなかでもとくに強い臭いを放つのが歯周病の場合です。
■そもそも歯周病とは?歯周病はカラダへのどのような悪影響が?
歯周病とは口の中の歯周病菌が歯茎に炎症を起こして、やがては周囲の骨などの組織が破壊されてしまう病気です。かつては歯を失う病気としてのみ知られていましたが、1990年代の終わり頃より、歯周病菌が全身に回ることによって心疾患、糖尿病、脳梗塞、肺炎、消化器系疾患、早産や低体重児出産の原因となることがわかってきました。
■なぜ歯周病だと糸ようじが臭い?
歯周病は進行してくると、歯と歯茎の間の溝(歯周ボケット)が深くなり、その溝の中に生息する細菌が悪臭のガスを発生し、それによって細胞が傷ついて膿が出ます。これらの匂いが悪臭の元となります。
■糸ようじがどんな時にどう臭ったら歯周病の可能性高い?
糸ようじを入れるたびに血が出る、また膿が出る、そしてドブのような悪臭がする場合には歯周病である可能性が高いでしょう。
■歯周病の治療方法は?
歯周病はまずは毎日の歯磨きが一番重要です。そして、歯科医院での定期的な歯石とりなどのクリーニングが必要です。歯周病が進行しているほど歯周ポケットが深くなり、その歯周ポケットのなかで悪さをする細菌の量も多くなりますので、よりこまめな歯科医院でのクリーニングが必要となります。重度の歯周病の場合には歯周外科処置と呼ばれる歯茎の手術を行って歯周ポケットを浅くしたほうがよい場合があります。
糸ようじが臭い原因その2、虫歯
虫歯の状態によっては糸ようじに強いニオイがつくことがあります。
■そもそも虫歯とは?
虫歯とは虫歯菌が糖を餌にして作る酸が歯を溶かしていくことで、表層から深部へ進行して歯を破壊していくものです。
■虫歯だとなぜ糸ようじが臭い?
虫歯だからと言ってすべてのケースで糸ようじが臭くなるわけではありません。虫歯で糸ようじが臭くなるのは歯と歯の間の虫歯が進行して穴があいてしまっている場合です。穴には汚れや細菌が溜まっていますので、そこからニオイを放ちます。
■糸ようじがどんな時にどう臭ったら虫歯の可能性高い?
糸ようじを通している部分に詰め物などがないのに引っかかったり、糸が毛羽立ったり、切れたりする場合は虫歯ができている可能性があります。また、それに加え、他の場所に比べて明らかにニオイが強い場合にはその疑いがさらに強まります。
■虫歯の治療法は?
虫歯の部分を削り取り、プラスチックやセラミックまたは金属の詰め物をします。
糸ようじが臭い原因その3、詰め物が合わない
糸ようじを通すことで詰め物が合っていないことがわかる場合があります。
■そもそも詰め物が合わないとは?
詰め物が合わないとは、歯と詰め物の境目に段差が出来ている場合です。
■詰め物が合わないとなぜ糸ようじが臭い?
詰め物が合わず段差ができていると、その段差の部分に汚れが溜まります。そこからニオイが発生します。
■糸ようじがどんな時にどう臭ったら詰め物が合わない可能性高い?
詰め物が入っている部分に糸ようじを通した時に、毎回詰め物の縁のところで糸がひっかかったり、毛羽立ったり、切れる場合には詰め物が合っていない可能性が高いです。また、詰め物が入っている位置が歯茎に近い場合には、歯茎にも炎症を起こしていることが多く見られ、歯茎から出血をすることがよくあります。このような場合には特にニオイも強くなります。
■詰め物が合わない時の治療法は?
詰め物が合わない場合には作り直すしかありません。ぴったりと合った詰め物を入れ直すことにより、糸ようじを通した時のニオイも改善するでしょう。
糸ようじが臭いのと口臭には関係性ある??
歯と歯の間は非常に汚れの溜まりやすいところです。また、特に上の3つのような異常がなくても、糸ようじを通すと多少はニオイがするものです。数日糸ようじをサボったら、結構なニオイがすることでしょう。しかし、その糸ようじのニオイは歯と歯の間のほんの一部で漂っているかというとそういうわけではなく、呼気に乗って口臭として外に出てきています。口臭予防のためにも、お口の健康のためにも、毎日一回糸ようじを通すことがとても大事なのです。
糸ようじの臭い原因 まとめ
■糸ようじが臭い原因
1.歯周病
- 歯周病は進行すると骨が破壊され歯を失う原因となる
- 心疾患、糖尿病、脳梗塞、肺炎、消化器系疾患、早産や低体重児を引き起こす可能性
- 糸ようじが臭い原因のなかでもとくに強い臭いを放つ
<歯周病で糸ようじが臭くなる原因>
- 歯周ポケットに生息する細菌の出すガスのニオイ
- 歯周ポケットから出る膿のニオイ
<こんな時は歯周病の可能性が>
- 糸ようじを入れるたびに血や膿が出てドブのような悪臭がする場合
<歯周病の治療方法>
- 毎日の徹底した歯磨き
- 歯科医院での定期的なクリーニング
- 重度の歯周病の場合は歯周外科手術
2.虫歯
- 虫歯の状態によっては糸ようじに強いニオイがつくことがある
- 虫歯とは虫歯菌が糖を分解してできた酸が歯を溶かして歯を破壊していく病気
<虫歯で糸ようじが臭くなる原因>
- 歯と歯の間の虫歯が進行して穴があいている場合、穴に溜まった汚れが臭う
<こんな時には虫歯の可能性が>
詰め物がない部分で糸ようじが引っかかる、毛羽立つ、切れてニオイが強い場合
<虫歯の治療法>
虫歯を削り詰め物をする
3.詰め物が合わない
- 歯と詰め物の境目に隙間がある場合、糸ようじを通すことで分かることがある
- 詰め物と歯の間に段差がある場合、そこから虫歯になっていることもよくある
<詰め物が合わずに糸ようじが臭くなる原因>
- 詰め物が合わずに段差があると、汚れがたまりそこから臭う
<こんな時には詰め物が合っていない可能性が>
- 詰め物が入っている部分で糸ようじが引っかかる、毛羽立つ、切れてニオイが強い場合
- 境目が歯茎に接している場合、歯茎の炎症が起こっており出血することも多い
<詰め物が合わない時の治療法>
- 詰め物のやり直し
■糸ようじのニオイと口臭との関係性
- 糸ようじにつくニオイは、その場所限りでなく、呼気に乗って口臭として出てきている
いかがでしたでしょうか?思い当たるものがありましたか?「糸ようじを通すと歯茎から血が出るからしたくない」とか「詰め物が取れるからしたくない」という声を時々耳にしますが、それらのトラブルは歯茎に炎症が起こっていたり、詰め物が合わなくなっているために起こるものです。糸ようじが悪いのではありません。健康な状態ではそのようなことを起こすこともありません。
糸ようじは歯と歯茎の健康のために歯ブラシの補助として是非毎日一回やったほうが良い清掃器具ですが、歯をきれいにしてくれると同時に、歯周病や虫歯、詰め物の不適合などの異変を教えてくれるものとしても非常に役立ちます。皆さんも是非、毎日の糸ようじを習慣づけてみてください。口臭もずっと少なくなってスッキリしますよ。