舌が黒い気がします、病気?原因はなに?
舌が黒いのですが、考えられる原因はなに?
舌が黒いのにはいくつか原因が考えられます。代表的なものとして以下のようなものが挙げられます。
黒毛舌(抗生剤の長期服用による菌交代現象)
黒毛舌は抗生剤を長期間服用したことにより口腔内の細菌のバランスが崩れ、舌が黒く着色したものです。見かけは危険そうですが、癌などのように害がある状態ではなく、口腔内の細菌のバランスが戻れば治ります。高齢の方で見られることが多く、舌が黒いといえばほぼこれではないかと思います。
メラニン色素
メラニン色素は舌の裏側や側面にできたシミです。これは副腎癌など副腎に異常が生じたときに見られるものです。(アジソン病で見られる症状です)
血腫(血豆)
血腫とは、その名の通り血豆です。純粋に外傷により内出血が生じたものです。
血小板が少ない患者での咬舌(汎血球減少症など)
血小板が少ない病気の方の場合、血豆がもっと派手にできてしまうことがあります。
悪性黒色腫
頻度は少ないですが、予後の悪いほくろの癌です。皮膚がんが口腔内に転移することが原因と言われているようです。
口の中全体が黒い気がするのですが、考えられる原因はなに?
舌に限局すると概ね記載したものに集約されますが、口の中全体で考えるとほかにも以下のようなものが挙げられます。(日本口腔外科学会HPを参照)
生理的色素沈着
加齢とともに、歯肉、口唇、口蓋、頬粘膜に生理的にメラニンが沈着することがあります。特に処置の必要はありません。
メラニン色素産生細胞の過誤腫的増殖
過誤腫とは、ある組織や細胞の構成する細胞が過剰に増殖してできた腫瘤です。構成が異常である細胞群が特別に増殖し、腫瘤を形成した状態を指します。とくに口腔内のものは、悪性化を考えて摘出するのが望ましいです。
重金属による色素沈着
過去に薬剤として投与された亜鉛、水銀、また職業性に慢性に接触して吸収された鉛、水銀、銀などが歯肉など慢性炎症のある部位にとりこまれ、着色したものです。これ自体は悪いものではありません。保険の歯科材料(銀歯)と歯茎が触れる部分でもよく見られる現象です。
黒色表皮腫
黒褐色の色素斑と乳頭状増殖を特徴とする疾患です。原因は悪性腫瘍(胃がん)、内分泌異常(下垂体腫瘍、アジソン症候群、糖尿病)、肥満、遺伝が関与すると考えられています。原因となる疾患を除去すると、粘膜症状の多くは軽快ないし消失するので特に処置の必要はありません。
舌に黒い点やシミ、できものがあるのですが、これはなに?
舌に黒いシミがある場合
舌に黒いシミができた場合、メラニン色素の可能性が高いです。これ自体では良性か悪性かの判断材料にはならないのですが、メラニン色素の沈着が見られる場合、メラニン色素は下垂体で分泌されるため、副腎が悪くなっている可能性が高いです。
舌や指に黒いシミがある場合
皮膚がんのときにも舌や指に黒いシミが生じることがあります。これらが長期的に消えない場合は、副腎の異常や皮膚がんの可能性が疑われるので、皮膚科や口腔外科を受診してください。
黒い斑点のような"できもの"がある場合
舌に生じることは多くないですが、黒い斑点のようなできものに悪性黒色腫とよばれる悪性腫瘍もあります。これは年齢で言うと50歳以上の中高年齢者、特に硬口蓋や上顎歯肉に発生することが多いです。
さまざまな形や大きさの黒褐色腫瘤として存在し、予後は極めて悪いです。 治療はリンパ節の郭清(かくせい)といって、首のリンパを取るのも含めた外科手術がメインですが、放射線治療や化学療法なども補助的に行われます。
治療法、対処法について
黒毛舌
服用している抗菌薬の服用ストップ(ただし、処方した医師の確認が必要です)
メラニン色素
原病(副腎)の治療と、副腎皮質ホルモン製剤等の投与とともに、栄養の改善を図る
咬舌による血豆
自然治癒を待つ、そして噛まないように気を付ける
血小板が少ない
これは原因が様々で原因ごとに治療も異なり、また内科的な話になるので詳しくは触れませんが、原病の治療が必要です
悪性黒色腫
早期に外科手術
黒毛舌について詳しく教えてください
黒毛舌とは舌の糸状乳頭(ぶつぶつした部分)が角化して増大し、舌に毛が生えたように見える状態を指します。黒色になることが多く、黒くなったものを特に黒毛舌といいます。
原因
原因として最も多いのは、抗生物質や副腎皮質ホルモン剤の長期使用に伴った菌交代現象による口腔内細菌叢の変化が原因と考えられています。特にカビの一種であるカンジダやある種の菌が異常増殖し、このような黒色の色素を産生するものとみなされています。
このほかタバコ、飲食物、有色の薬剤によって舌に着色することもあります。また、胃腸障害、糖尿病、腎障害などが原因になることもあります。症状として口臭や味覚障害を起こすことがありますが癌のような悪いものではありません。
治療法
治療法は服用中の薬剤を飲むのをやめるか、代わりのものを使うことです。また、口腔内を清潔に保ち、イソジンやネオステリングリーンといううがい薬などを使うのも効果的です。(ネオステリングリーンは処方するうがい薬なので、一般購入はできないかもしれません)
舌が黒い以外に、舌の病気のサイン
痛みはないけど、硬い腫瘍がある
あまり痛みはないけど、舌に潰瘍のような硬いできものができている場合は癌の可能性が高いです。癌であれば、早期であるほど切除の範囲が少なくて済みます。またいわゆる放射線療法により切除せずに済むケースもあります。
白く角化している
また、白くて角化していて、こすっても取れないものを白板症といい、これは癌になる可能性が高いので要注意です。また、鮮紅色でツルツルしているものは貧血の場合もありますが、紅板症といって同じく癌化しやすい病変であることがあるのでこちらも注意が必要です。口の中が乾きやすい方や貧血の方でも舌がツルツルに見えることがあるので、見た目だけでの判断は難しいかもしれません。このような場合、血液検査を行ったりすることで、正確な診断ができると考えられます。
表面に汚れが付着している
舌の表面に汚れが付着した様相を伴う症状をカンジダ症といい、舌の表面にカビができた状態です。これは口腔内の不衛生が原因なので、清潔に保ちイソジンやネオステリングリーンなどで清掃すると改善します。あとは、見た目に何も問題ないのに舌がピリピリ痛む場合舌痛症の可能性が考えられます。これは多くの場合、メンタル的なものが理由で生じることが多いと言われています。
舌 黒い まとめ
舌が黒くなる病気や原因
- 黒毛舌
- 咬舌による内出血
- 悪性黒色腫
舌の病気
- 舌癌
- 白板症
- 紅板症
- カンジダ
- 舌痛症
早期に口腔外科を受診すべき病気
- 悪性黒色腫
- 舌癌
- 白板症
- 紅板症
進行すると舌の切除範囲が大きくなるだけでなく、全身転移すれば命の危険にまで及びます。また、悪性黒色腫は舌にできることはあまりないですが、黒い斑点となり現れます。舌癌は痛みを感じない潰瘍のようなしこり、白板症はぬぐっても取れない白いできもの、紅板症は赤くてツルツルしたものです。
これらの特徴に当てはまっているからと言って、絶対癌や白板症とはいえませんが、早めに精査をしたほうがいいと思われます。
舌に黒いシミができている
- メラニン色素の可能性があり
この場合舌そのものは悪くないものの副腎が悪くなっている可能性があるため、まずは口腔外科で受診したほうがよさそうです。(そのうえで必要があれば内科などを紹介することになると考えられます)これらはすべて頻度が高いものではないですが、日ごろからしっかり口腔内を清潔に保ち、異常を見落とさないようチェックすることが非常に重要です。特に舌癌は、入れ歯であったり、口腔内の何かしらか尖ったものが舌を長期にわたって刺激することで発生することもあるので、刺激などに対しては変に我慢せず、こんなことで歯医者は対応してくれるのか?と思うような些細なことでも受診するようにしてください。基本的に何も問題がないようでも、定期的に歯科検診に行きましょう。
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