口の中にぶつぶつしたものができる原因
1.ヘルペス性口内炎
単純性ヘルペスウイルスの初感染で起こります。ほとんどは感染しても症状を出しませんが、少ないケースで強い症状を起こします。口の中に大量の水ぶくれのぶつぶつができて、いずれは破れて口内炎となります。強い痛みを出し、食べたり話したりすることも困難になります。他にも倦怠感、あごの下のリンパ節の腫れ、発熱、強い口臭などの症状を起こします。
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2.帯状疱疹
水ぼうそうのウイルスが神経の中に残っていて、免疫力が落ちた時に症状を起こすことがあります。神経の走行に沿って皮膚に水ぶくれが現れますが、歯茎などに水ぶくれのぶつぶつが出る場合もあります。通常強い痛みを出し、左半分または右半分のみに現れます。
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3.手足口病
口の中に大量の水ぶくれが現れますが破れて口内炎になり、唾を飲み込むのさえ痛くなります。口だけでなく、手や足にもたくさん水ぶくれが現れます。子供がかかる場合がほとんどですが、大人でもかかる場合があります。
4.ヘルパンギーナ
主にコクサッキーウイルスの感染で起こり、5歳未満の乳幼児に多く見られます。急な発熱(39熱前後)と口の中の奥の上の粘膜に小さな水ぶくれがたくさんできます。痛みで食欲が落ちたり嘔吐することもあります。
5.溶連菌感染症
風邪のような初期症状で現れます。主な症状としては喉の痛み、頭痛、急な発熱(38〜40度)、食欲不振などで、扁桃腺が腫れたり腹痛、体の節々の痛み、首のリンパ節が腫れることもあります。口の中の特徴的な症状としては、舌の表面にぶつぶつの赤みができることが挙げられ、イチゴ舌と呼ばれます。発症後1−2日後に小さな発疹が全身に出てきます。
6.粘液嚢胞
口の中のあちこちに存在する唾液腺の管が刺激などで詰まってしまい、唾液の溜まった袋が水ぶくれのように現れることがあります。痛みはほとんどなく、通常出たり引っ込んだりを繰り返します。
7.尋常性天疱瘡
難病指定されている自己免疫疾患で、口の中や皮膚、性器に様々な大きさの水ぶくれが大量に発生し、それが次々と潰れてただれ、強い痛みを出します。ただれた皮膚はやけどと同じくらい深刻で、早めの治療が必要になります。
それぞれ対処法や治療法オススメの薬をお教え致します。
口の中にぶつぶつができる症状が見られたら、歯科でもよいですが、内科、お子さんの場合は小児科を受診するのが良いでしょう。歯科を受診しても多くが全身の病気の一症状として現れていることが多いため、結局は内科や小児科に紹介される場合が多いようです。
それぞれの対処法、治療法をあげていきます。
1.ヘルペス性口内炎
全身的には抗ウイルス薬、痛み止め、抗生剤の投与などが行われます。また、口の中を清潔に保つためにうがい薬、トローチが処方されることもあります。食事が取れず、脱水症状も起こしている場合には入院をしなければならない場合もあります。
2.帯状疱疹
抗ウイルス薬はヘルペス性口内炎と同じく、抗ウイルス剤が処方され、痛み止めや抗生剤などの投与も行われます。口の中を清潔に保つためにうがい薬、トローチが出されることもあります。こちらも重症の場合には入院が必要になる場合があります。
3.手足口病
ウイルスに対する特効薬がないため、基本的には自然治癒を待ちます。症状がひどい場合には症状を抑える措置として、痛み止めやかゆみ止めが出される場合もあります。
4.ヘルパンギーナ
ウイルスに対する特効薬がないため、自然治癒を待ちます。高熱に対しては解熱剤が出されます。
5.溶連菌感染症(しょうこう熱)
抗生剤を服用します。発熱や痛みに対しては解熱鎮痛剤が出されます。再発や他の合併症を防ぐために医師の指示通りに抗生剤をしっかりと飲み切ることが大事です。
6.粘液嚢胞
2ミリ以下の小さなものは経過を見ても大丈夫ですが、だんだん大きくなったり、噛んでしまいやすい場合には簡単な手術で周囲の唾液腺とともに切除します。
7.尋常性天疱瘡
ステロイド薬の高用量投与、感染防止のために抗生剤投与が行われます。入院が必要になります。
ぶつぶつが潰れて強い痛みを出している場合、飲んだり食べたりしにくくなり、脱水症状をおこしやすくなりますので、水分補給をこまめに行い、食べ物も飲み込みやすいやわらかいものを摂るようにしましょう。
こんなぶつぶつは何か大きな病気の前兆!?
水ぶくれなどのぶつぶつが口の中にたくさんある場合は、いずれの場合でも早めに医療機関を受診する必要があります。とくにお子さんの場合は体力も落ちやすく、脱水症状を起こしやすいためできるだけ早めの対処が肝心です。大人の場合でも、帯状疱疹はできるだけ早めに抗ウイルス剤を飲むことが後遺症を防ぐためにも大事です。尋常性天疱瘡は放っておくと重度のやけどのように命に関わる危険性のある病気です。これも、口の中や体の他の部位に多くの水ぶくれができますので、早めに診てもらいましょう。
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口の中ぶつぶつ まとめ
■口の中にぶつぶつしたものができる原因とその対処・治療法
1.ヘルペス性口内炎
・全身的には;抗ウイルス薬、痛み止め、抗生剤の投与
・局所的には;うがい薬、トローチの投与
・ひどい場合には入院
2.帯状疱疹
・全身的には;抗ウイルス薬、痛み止め、抗生剤の投与
・局所的には;うがい薬、トローチの投与
・ひどい場合には入院
3.手足口病
・自然治癒を待つ
・対症療法として痛み止めやかゆみ止め
4.ヘルパンギーナ
・自然治癒を待つ
・高熱に対して解熱剤など
5.溶連菌感染症
・抗生剤や解熱鎮痛剤の投与
6.粘液嚢胞
・小さいものは経過観察
・噛んでしまったり大きいものは切除
7.尋常性天疱瘡
・ステロイド薬の高用量投与、感染防止のために抗生剤投与
・入院が必要
※ぶつぶつが潰れて痛みが強い時は水分補給をしっかりとし、飲み込みやすいものを食べる
■どこの診療科?
内科または小児科
■こんな症状がある場合はとくに要注意
・水ぶくれなどのぶつぶつが大量に口の中、皮膚などにもできている場合は早めに受診
<理由>
子供の場合
→食事が取れなくなり、場合によっては脱水症状、合併症の危険性があるため早めに
大人の場合
→帯状疱疹はなるべく早めに抗ウイルス剤を飲む必要性、尋常性天疱瘡は命に関わる危険性があるため
口の中にぶつぶつができる、というのは滅多に起こることではありません。異常を感じたら早めに対処することでなるべく症状を軽く食い止めることができます。自然に治るかな、と期待せずに早めに医療機関を受診しましょう。