前歯のクラウン(差し歯、被せ物)は保険のものとセラミックのものでやはり違うものですか?
歯科関係の仕事をしていると、よく知人に聞かれることがある質問です。結論から言うと、「ハッキリ違う」と私は答えています。
「保険でも白くできるし、保険の前歯でも問題ないんじゃない」と思う方もいるかもしれません。確かに前歯であれば保険診療で白くすることが出来ます。しかし、保険診療と自由診療で使われている白い歯は異なる部分がたくさんあります。将来、後悔することのないようそれぞれの特徴を理解してからセットする差し歯を決めることをオススメします。
では実際に保険診療と自由診療のセラミックではどんなところが違うのでしょうか?
保険のレジン・非保険のセラミック、前歯の差し歯でどんな差が出る??
保険診療で使用される、白い歯(レジン)と非保険で使用されるセラミックの白い歯にはどういった差があるのでしょうか。
セラミックとレジンでは「審美」と「機能美」2つの美に大きな差がでる
セラミックとレジン、まず違いとしてあげられるのが見た目の美しさです。美しさには将来的に歯を美しく保てるかという点も含まれます。一見同じように白く見えますが、保険で使用している素材(レジン)はプラスティックです。水分を吸う性質があることから、変色のリスクもあります。さらにプラスティックでは透明度が低いことから隣の本物の歯と比べると色の違いがはっきりわかってしまいます。
不自然な白さになる、レジン。本物に近い白さになる、セラミック。
レジンは保険診療ということもあり、細かな色を合わせることは難しくなってきます。それに比べてセラミッククラウンに使用されている陶材は透明度が高いことから本物の歯に限りなく近い色調を再現できます。一見するとどこが治療した歯か分からないこともあります。歯科医院のホームページなどでは治療前と治療後を比較する写真が掲載されていることもあるので見てみるといいかもしれません。
保険診療で使用するレジンは金属を使用することになってしまう。
レジンとセラミック、もう一つの大きな違いは金属を使用しているかという点です。レジンを前歯に使用する場合では金属のフレームをプラスティックで覆っています。そして、裏側は金属が露出した状態になっています。金属を使用すると金属アレルギーのリスクがあるだけでなく、見た目にも大きな影響が現れます。
金属を使用すると歯茎を黒くする
「ブラックマージン」という言葉は聞きなれないかもしれませんが、金属を使用していることによって口の中で起きる現象です。これにより金属が唾液などと反応しイオンが溶け出して歯ぐきを黒くしてしまうのです。自由診療おいてメタルボンドというセラミック治療は金属を使用しているため歯ぐきの黒ずみ等の現象が起きる可能性がありますが、オールセラミッククラウンを使用することでこのような問題を防ぐことが出来ます。
結論:前歯にはセラミッククラウンをおすすめします。
美しい色を再現できるという点ではセラミッククラウンに勝るものはありません。透明度が高く周りの歯と馴染みやすく、さらには専用のカメラで隣の歯の色を撮影するなど、ひと手間かけて製作をする歯科医院もあります。こうして出来あがったセラミッククラウンは高価ですが、より患者さんが満足する差し歯になるでしょう。