インプラント治療を行う場合に骨の量が少なく骨の移植手術が必要な場合があります。骨の移植手術と聞くとなんだか大がかりな手術で大変そうなイメージがありますが実際にはどのぐらいの侵襲があるのでしょうか。骨の移植手術は小さい移植手術から大きな移植手術まで範囲が様々ですので詳しくご説明していきます。
入院の必要のないインプラントの骨移植手術
インプラントの骨移植手術と一口にいっても、様々な種類があります。まず、入院の必要のないインプラントの骨移植手術をお教えいたします。
移植する骨の量が少なく骨補填剤を用いる場合
骨を移植するといっても必ずしも自分の骨を移植するとは限りません。インプラントの手術で良く行われる方法ですが骨補填剤と呼ばれる骨の代わりになる材料を足りないところに移植していきます。この骨補填剤には様々な種類があり、日本で認可を受けているものと受けていないものがありますので事前に担当医と相談しましょう。骨補填剤を使うメリットは自分の骨をインプラント手術を行う部位とは別の場所から取ってくる必要がないので、手術の侵襲が少なくなります。当然入院も必要はありません。
移植する骨の量が少なく自家骨を用いる場合
移植する骨の量は少ないのですが自家骨と呼ばれる自分の骨を別の部位から取ってこなくてはいけません。通常のインプラント手術ではオトガイと呼ばれる下あご先端の部分や下顎枝と呼ばれる下あごの親知らずの奥の部分などから骨を取ってきます。その他、骨隆起と呼ばれる過剰に形成された口の中の骨を取って使う場合などがあります。骨補填剤を使う手術よりも手術の侵襲は大きくなりますが入院の必要性はありません。
入院の可能性、または入院しないといけないインプラントの骨移植手術
次に、手術が比較的大掛かりになり、入院の必要性が出てくる骨移植手術をお教えいたします。
移植する骨の量が多く骨補填剤を用いる場合
上顎洞挙上術などの多くの骨の移植が必要な場合で骨補填剤を使う場合も入院の必要性はありません。しかし上顎洞挙上術自体が比較的手術侵襲が大きいですので、静脈内鎮静法などで少し眠った状態で手術を行う事があります。この場合は手術後しばらくの安静が必要になりますので、回復室での休憩や入院施設のある病院では1泊の入院を勧められることもあります。
移植する骨の量が多く自家骨を用いる場合
この場合が最も入院の可能性が高くなります。上顎洞挙上術を自家骨だけで行う場合はかなりの量の骨が必要になります。また口腔癌などで顎の骨の一部を切除したところにインプラント治療を行う場合はさらに多くの骨が必要になります。そのような手術の場合は口の中のオトガイや下顎枝の骨だけでは量が足りない場合が多く、腸骨と呼ばれる腰の骨や脛骨や腓骨などの足の骨を移植します。この手術は全身麻酔下で行うことになりますので1週間から2週間の入院を必要とします。
インプラントの骨移植と入院の有無まとめ
骨の移植にも様々な方法があることがお解りいただけたと思います。しかし通常のインプラント手術で入院が必要になる症例はほとんどありません。また骨の移植を回避するためのインプラントの埋入方法もいろいろ考えられています。自分で悩んでいるより不安なことがあれば担当医や歯科衛生士と相談することをお勧めします。