治療当日に詰め物ができると聞いたのですが、どんな治療?
1)まずは『勘違い』にご注意
大抵の歯科治療には、詰め物や被せ物などの歯科補綴物を製作しなければならない期間があります。歯を削ったら歯科補綴物が完成して装着されるまで仮歯を入れることが多いです。仮歯は、削ったその日に簡易的な材料で歯の形を作り、歯がないことによる噛めないなどの問題を解決してくれます。実際、痛みが取れて歯の形のものが患部に装着されているので、そのまま次の診療に来ない人がいます。簡易的な材料はあくまで仮なので長持ちしません。また、場合によっては患部の状態が悪化することもあるので、しっかり歯科医師の指示に従ってください。
2)『すぐできる』はそれなりのものが多い
当日できるものは、単純なものに限られる場合が多いです。当日歯科補綴物ができると言われている物の代表的なものはCAD/CAMという機械を使用したものです。歯の色をした材料のブロックをコンピューター上で設計し、機械で削り出していくというものになります。勿論、簡単に出来る分、色や形がそれなりになってしまうことが多いこともあります。
また、まだ広く認知はされていませんが、既に歯の形になっているプラスチック材料を口の中で圧接して補綴物を製作する方法もありますが、まだ問題点は多く残されているのも現状です。現在、機械や材料の研究が進み、日に日によくなっているとは言え、しっかり職人の手によって時間をかけて作られた歯科補綴物には到底及びません。時間をかけていい物を作るか、時間は短くそれなりのものを作るか、その二択になってくる可能性が高いです。
3)高度なテクニックの『当日できる詰め物』
当日できる詰め物で高度なテクニックではありますが『ダイレクトボンディング法』という方法があります。通常、前歯が欠けたり齲蝕した場合、型取りをしてそれを石膏模型にして歯科技工士が歯科補綴物を製作する方法を取ります。しかしダイレクトボンディング法は、口の中に歯の色をした材料を直接使用して歯科医師が歯の形を作っていく方法です。これは使用する材料の色や詰め物をする歯の形等をきちんと理解し、把握していなければなりません。しかし、適合が素晴らしく、本当に上手な方はつなぎ目もわからないくらい自然な治療結果になります。
4)時間を取るのか結果を取るのか
時間をかけれない分それなりの結果になってしまう、これは紛れもない真実です。ですが、審美的に目立たない臼歯部であればすぐに入れてしまいたいという患者さんの主訴もわかります。しかし、現在日本人の約8割は歯周炎、もしくは歯周病にかかっているというデータもあります。虫歯を治すだけが歯科医師の仕事ではなく、歯茎の健康も見なければなりません。歯周病には軽度から重度まで幅広い症状があり、簡単に治らないこともあります。時間をかけて、しかし確実にしっかり治療を受けることこそ、高度な歯科診療と言えると考えます。