基本的にインプラントは耐用年数が何年と決まってはいません。しかし何年ぐらいインプラントが使えるのか、インプラントが使えなくなった場合にどうしたら良いかは患者さんの心配するところでしょう。それではインプラントの耐用年数とインプラントが使えなくなった場合について説明していきます。
インプラントの耐用年数を知る前に、インプラントの構造を
一言でインプラントと言ってもインプラントは複数の部品に分かれ作られているため、それぞれにの耐用年数について解説していきます。
フィクスチャーの耐用年数
フィクスチャーとはインプラント体とも呼ばれる、自分の顎の骨の中に入っている部分のことです。これは純チタンやチタン合金で作られています。人の平均寿命を約80年と考えて40歳で歯を失ってしまった場合にインプラント治療を行うと40年間インプラントの耐久年数が必要になります。純チタンを用いたフィクスチャーでもチタン合金を用いたフィクスチャーでも40年以上は問題なく使うことはできます。
フィクスチャーが問題なくとも、自分の骨がなくなることも
フィクスチャーに問題がなくとも、インプラントを支えている自分の骨はインプラント周囲炎や外傷などによって無くなってしまう事が考えられます。フィクスチャーの耐用年数は自分の骨の状態に依存されてしまいます。自分の骨を減らさないようにするには定期的なメインテナンスが必須になります。メインテナンスを行う事で20年、30年と長期にインプラントが使われている報告がされています。
日本のインプラントの歴史はまだ30年程度なので、耐用年数がはっきりとわからないのが現状
残念ながら日本で現在のチタン製のインプラントが使用されて約30年ぐらいしか歴史がありませんのでそれ以上の報告はありません。しかしもっと長くインプラントを使った報告が今後出てくると考えられます。また保証年数と耐用年数は関係がありません。最近ではインプラントの5年保証や10年保証を出している医院もありますが、5年過ぎたからといってインプラントが悪くなる訳ではありませんので今までと同じようにメインテナンスとケアを行って下さい。
フィクスチャーが使えなくなった場合
ごくまれにフィクスチャーが折れてしまう事があります。またフィクスチャー周囲の骨が無くなって使えなくなってしまう場合もあります。このような場合には再度インプラント治療を行うか、入れ歯やブリッジを使うかの選択をします。高齢で手術が困難な場合にはブリッジや入れ歯を使わざる負えない場合もあります。担当医と十分相談して今後の治療方法を決定していきましょう。
かぶせ物(上部構造)の耐用年数
フィクスチャーは長く使うことが出来ますがかぶせ物の部分は耐用年数があります。一概に何年とは言えませんが、通常は2年~10年ぐらいの間に作り直しが必要になる場合があります。しかしフィクスチャーに問題が無ければかぶせ物は作り直すことで対応が出来ます。
ネジやアバットメントの耐用年数
インプラントは土台やかぶせ物をネジやアバットメントで固定しています。フィクスチャーに問題は無くても固定ネジが折れてしまう事があります。耐用年数も人によって違いますが、1年ほどで折れてしまう場合もあれば、10年以上折れない場合もあります。折れてしまった場合はネジを交換することで対応できます。
以上のように、インプラントの耐用年数と言っても一概に言うことが出来ないです。
イメージとして
- 埋め込まれるインプラント体は数十年でももつ。しかし、歳とともにそれを支える骨に異常が起こることも。これは定期的なメインテナンスでカバーできる
- 上部構造と呼ばれる、「歯」に当たるものは2~10年で欠けたり割れたりすることがある。噛み合わせの調整や素材を検討することでカバーできる。
- ネジやアバットメントも割れたり、折れたりすることがある。原因は噛み合わせなど負荷が原因なので、しっかりと精通している歯医者を選ぶことでカバーできる
となります。定期的なメンテナンスと日頃からのケア次第で40年以上インプラントをもたせた方もいますので、安心してくださいね。