科学技術の進化で、宇宙は、以前に比べるとはるかに身近な存在になりました。毛利衛さんや若田光一さんたちの活躍で、いまや宇宙飛行士は、小学生のなりたい職業ランキングでも上位にランクインする人気の職業です。
ご存知のとおり、宇宙飛行士になるためには、健康な体と語学力が必要である上、様々な訓練を積まなくてはなりません。そして、あまり知られてはいませんが、宇宙飛行士にあってはならない「ある条件」があるのです。
虫歯があると、宇宙飛行士になれないの??
結論から言うと、宇宙飛行士に虫歯があったとしても、治療を受けていれば問題ありません。虫歯があるという理由で宇宙飛行士の選考に落ちるということもありません。
宇宙飛行士になり、いざ宇宙に行く際は、打上げの前に必ず歯科医師の検診を受けます。現在虫歯がないか、きちんと治療されているかはもちろん、詰め物が外れそうになっていないか、虫歯が進行しそうな歯がないかまで、丁寧に調べるのです。なぜここまで念入りに歯の状況をチェックする必要があるのでしょうか。
宇宙飛行士が宇宙に行く時に虫歯NGな理由
まず考えなければならないのは、気圧です。ロケットで大気圏に突入する時、宇宙飛行士たちは激しい気圧の変化にさらされます。
また、宇宙船の中は地上と同じ1気圧に保たれているのに対し、船外活動をする際に着用する宇宙服の内部は0.3気圧に減圧されており、気圧差が生じます。この時、虫歯でできた空洞があると、入り込んだ空気が膨張して神経を圧迫し、激しい痛みをもたらすのです。
また、船外活動をしないクルーでも、宇宙においては「歯が痛くなったからちょっと歯医者に行ってくるよ」というわけにはいきません。歯の痛みで仕事に支障をきたすようでは困りますよね。だから、飛び立つ前に歯の状態を完璧にしておくことはプロフェッショナルとして当たり前のことといえそうです。
「虫歯が爆発」という噂の真相は?
宇宙飛行士の虫歯に関しては、「虫歯によるすき間があると、空気が膨張して歯が爆発する」という怖い噂も流布しているようです。
しかし、体内には体を爆発させるだけの圧力がなく、たとえ宇宙服を着ない生身の体で宇宙空間に出ても爆発はしないのだとか。どうやらこの説は、都市伝説のようですね。
宇宙飛行士と虫歯まとめ
実際には、虫歯があってもきちんと治療されていれば、宇宙飛行士としての選考には全く問題ありません。また、万が一虫歯になったり、歯の詰め物が取れた時のために、宇宙船内には応急処置セットも用意されています。
でも、やっぱり虫歯はないのが一番!宇宙飛行士になることを夢見るお子様がいたら、「虫歯があったら宇宙に行けないよ」と言って歯みがきを頑張らせるのも良さそうです。