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骨が少なくインプラントが出来ないってどういうこと??

2015年02月06日 16時30分
骨が少なくてインプラントが出来ないと言われたアナタにお届けします。骨が少ないってどういうこと?骨が少なくてもインプラントをする方法がないの?などの疑問にお答えいたします。

骨が少なくインプラントが出来ないってどういうこと??

骨の量が少なくてインプラントが出来ないってどういうこと??

インプラントは、簡単に言うと骨にネジを打ち込む手術です。でも、いくらネジが立派でも土台が脆くてはその機能を果たすことはできません。つまりインプラントに重要なのは受け止める顎の骨の状態なのです。

インプラントをするのに必要な骨の条件は2つ

1つめは「量」。これは上下の厚みのことをいいます。埋め込むインプラント本体はある程度の長さがあり、本体が骨のラインまできっちり埋め込まれることが必要です。そのためには骨にインプラント本体以上の厚みが必要になるのです。
ところが、顎の骨はどこまでも続いているわけではありません。

上顎の骨にある上顎洞をインプラントが突き抜ける?

上顎の骨では、ちょうど鼻の横あたりにある上顎洞(副鼻腔)という大きな空洞との距離が問題になります。時々この上顎洞が近くまで迫っていて骨に高さがない人がいます。

もしインプラントがこの上顎洞を突き抜けてしまったら、空洞の中に入りこんだインプラント本体が原因で酷い腫れや痛みが起こります。これを取り除くのはとても大変な手術になります。

下顎の骨は神経や血管がたくさん通っている

下顎の骨では、下顎管とよばれる神経や血管の束までの距離が問題となります。この管は左右それぞれ顎の関節の方から真ん中へ向けて伸びています。万が一インプラントなどで下顎管を傷つけてしまうと大出血や麻痺を起こす可能性があるので要注意です。

抜歯をして長いこと放置している骨はもろくなっている

抜歯をして長いこと放置しているとその部分の骨が段々薄くなってしまいます(吸収といいます)。これは歯周病の人にもいえることで進行すると骨が溶けてなくなるため骨の高さが低くなってしまうのです。
そうするとインプラントをしたくても骨が足りないという事態が起こります。

骨の質もインプラントにおいて重要

次に大切なのは骨の「質」です。骨密度という言葉をよく聞きますが、インプラントをする顎の骨も骨密度が高い、つまり質がよい方が定着率は高いといわれています。

すかすかの骨の人にインプラントをしてもしっかりとくっつかず安定しません。コンクリートと土のそれぞれに打ちこんだ杭を想像するとわかりやすいですね。

骨が少ないと判断された場合の治療法

インプラントに大切なのは、インプラント手術に対応できる体と口の中の衛生環境とやる気、そして根本的になくてはならないのが骨の量や質です。

骨の質については時間をかけて改善できる程度ならそれもいいでしょう。でも、歯周病やそれ以外の原因で骨の量が足りない場合は、何らかの方法でインプラントを埋め込むことができる量を確保しなければいけません。

近年骨が少ない人でもインプラントを受けることが出来るようになった

近年歯科医療の研究と発達で、骨のない人でもインプラントを受けられるさまざまなテクニックや材料が開発され実際に使われています。大きく分けると「骨を作る」「骨を移植する」「骨のあるところに埋める」といったところでしょうか。

以前は骨が足りなければインプラントは不可能といわれてきましたが、視点を変えて足りないなら足せばいい、あるところを使えばいい、という考え方が生まれてきたといえます。

もちろんそれぞれに高い知識とテクニックが必要な手術です。またこれらの方法は、インプラント手術の中でも難易度の高い症例として考えられていますので当然リスクもそれだけ上がるということを忘れてはいけません。どんな治療でも絶対ということはあり得ないのですから。

インプラントで骨が少ない場合の治療方法と相場

骨再生治療

再生医療は今や医療の現場では大きな注目を浴びています。歯科医療でも再生医療を活用した治療法が研究され新しい技術として少しずつ広がり始めています。中でも骨再生治療は最先端の治療で顎の骨に限らず全身の骨で研究が進められています。

新たな骨を作るTE-BONEという方法

顎の骨に関して言うと、東京大学医科学研究所と(株)TESホールディングが共同研究してTE-BONEという方法を開発しました。これは骨髄培養骨移植ともよばれ患者さん自身の骨髄細胞を自身の血液(血清)を使って培養して新しい骨を作ります。

この骨をインプラント予定の部分に移植して骨を再生するというものです。自分の細胞と血液から作り出した骨なので適合もよく拒絶反応もほとんど起こりません。

また、はじめに骨髄液を採取するだけでよいので従来行われている自家骨(自分の骨)をそのまま移植する方法と比較すると格段に痛みや腫れがなく負担が少ない治療法と言えます。

TE-BONEを行なっているのは日本で15医院(2015年2月現在)

ただ、この治療法は日本でもまだ15医院しか行っていないそうです。この治療を行っているのは研修を受けて認定された機関のみだということなので、一般に普及するにはまだまだ時間がかかりそうです。

TE-BONEの費用は50万円ほど

保険は適用されませんので費用は50万円程度が相場のようですが、その範囲や量など詳細な情報はほとんど公開されていません。またインプラント手術については別途費用がかかります。

ソケットリフト

日本語ではソケットリフトのことを上顎洞底挙上術といいます。
上顎の骨の上にある上顎洞(副鼻腔)という空洞までの距離が近くてインプラントが難しいケースで用いられる方法です。

上顎洞は鼻の横にある空洞で、この空洞の周りは薄い膜(シュナイダー膜といいます)でできています。歯茎の方からこのシュナイダー膜まで1㎜残して骨に穴を開け、専用の器具を使ってこの残しておいた骨ごとシュナイダー膜を少しずつ必要な分だけ持ちあげていきます。

そこに移植する骨や骨の代わりになるものを入れ込んで厚みを作りインプラントを埋め込む方法です。

ソケットリフトは骨の量が5mm以上は残っているケースが適応

ソケットリフトは骨の量が比較的多く5㎜以上は残っているケースが適応とされ熟練した技術が必要です。
骨にインプラントサイズの穴を開けてそこから手探りで手術を行うので非常に難しく、誤って上顎洞を突き抜けたり動脈を傷つけてしまい大量出血を起こすこともあります。また、上顎洞の中で炎症が起こって蓄膿症になる可能性もあります。

ソケットリフトは5~7万円ほど

同じような術式にサイナスリフトがありますが、ソケットリフトの方が費用は安くて済む反面、手探りの手術なのでリスクは大きいといえます。一般的な費用の目安は1本あたり5~7万円程度とされています。

サイナスリフト

ソケットリフトと同様に上顎において上顎洞(副鼻腔)までの距離が近いためにインプラントに必要な骨の量を確保できないケースで行われる手術です。ソケットリフトとの違いは、残っている骨の量が少なく5㎜以下の人が適応とされています。

サイナスリフトでは、上顎の骨に横から穴を開け、上顎洞を囲んでいるシュナイダー膜という粘膜をそっと持ち上げることで隙間を作りその部分に移植骨や人工の骨材料を入れ込みます。そうすることで足りない部分にインプラントに必要な厚みを作ります。

この方法は比較的広範囲に骨が足りない人でも可能で、さらに骨に穴を開けて行うので目で確認しながら手術をすることができるというメリットがあります。ただし、とても難しい手術で確実に骨の材料を入れ込むことができなければ隙間から漏れ出たり上顎洞が炎症を起こすことがあります。

また、歯茎を切って手術を行わなければいけないことから、術後の傷の痛みや回復までの時間がかかるのもデメリットといえるでしょう。サイナスリフトでは症例によってインプラントを同時にできる場合と手術した部分がしっかり固定してからあらためてインプラントを行う場合があります。一般的な費用の相場は1本あたり10~50万円とされていますが、回復したい骨の量や広さ、使う材料によって異なります。また、インプラントは別途費用がかかります。

GBR

GBRは骨誘導再生法とよばれ、インプラントをしたい部分の骨の厚みが足りないケースで適応とされる方法です。そもそもインプラントの本体は丸いネジ状のものがほとんどで、最低でも3.5㎜程度の太さがあります。そのため必然的にその太さ以上で噛む力が加わっても耐えられるだけの骨の厚みが必要になるのです。

でも、抜歯から長期間が経過している場合や歯周病などが原因で骨が痩せて細くなってしまったというようなケースでは、インプラントを支えられるだけの骨の幅を人工的に作り出す必要があります。

GBRはインプラントと同時に行われることが多い手術です。インプラントを埋め込んだ時に骨の厚みが足りない部分に移植する骨や人工の骨の材料を入れてその表面を覆います。この時、メンブレンという再生を促進するための人工膜で覆いその上から歯茎を被せます。

ただし、足りない骨の厚みが大きい場合はGBRを先に行って骨ができてからインプラントを行います。骨の再生には半年程度かかりますので、その間経過観察を行います。

GBRはインプラントに限らず進行した虫歯や炎症などで溶けてしまった歯の周りの骨を再生するなど、さまざまなケースに適応できます。費用は、1ヶ所につき3~10万円程度とされていますが、使う材料や量、範囲などによって決定されます。

エムドゲイン

エムドゲインは、歯槽骨再生療法ともよばれます。スウェーデンのビオラ社で開発された特殊なゲルで、若いブタの歯胚組織(歯の元になるもの)から取り出したたんぱく質を精製したものです。

これまでの研究で歯ができるために必要なたんぱく質が解明され、これが骨などの歯周組織の再生を促してくれることがわかりました。つまり、エムドゲインゲルを注入することで子供のころ歯が生えてくるのと同じような状態を人工的に作り出し、骨を再生しようという方法です。

世界中でさまざまな研究がなされ論文も発表されていて、日本でも厚生労働省に認可もされています。骨を作りたい部分を切開し徹底的にきれいにして処理をした後、注射器のようなものでエムドゲインゲルを入れ縫合します。

1年くらいかけてゆっくり骨が再生していきますが、その間は絶対に刺激せず消毒を行い定期的に歯科衛生士が清掃をします。主に歯周病によって骨がなくなってしまった歯の周りに行うことが多いのですが、インプラント予定の隣にある歯の骨がなくなっていてインプラントにも影響しそうなケースなどにも有効です。

ただし、エムドゲインを使えば必ず回復するというものではないことや、歯周病の治療や管理を確実にできていなければ効果は見込めません。エムドゲインの費用の相場は1本あたり5~10万円といわれていますが、使う量や範囲によって異なります。

また、エムドゲイン注入以降の管理は基本的に自費診療になりその費用はクリニックによって異なりますので確認しましょう。この費用にはインプラントの費用は含まれていません。

GTR

GTRは組織再生誘導法とよばれています。歯周病や抜歯して長年経ってしまったために骨が痩せてしまった人が適応とされています。

この方法は年々痩せて減っていく骨にストップをかけて元の状態に近づくよう再生させることを目的としています。治療の方法は、まず歯茎を歯や骨から剥がして露出し、歯周病菌などの細菌によって侵されている部分をきれいに清掃します。

そこにメンブレンという組織の再生を促す効果のある人工膜を被せてその上から歯茎で覆います。歯茎はとても回復能力が高く、少しでも空間があるとそこに入り込むようにしてどんどん再生しますから、骨や歯根膜などの歯の支えになる組織の再生が間に合いません。

そこで人工膜を使って再生したい組織分のスペースを確保しておきじわじわと確実に骨などの組織が再生されるのを待つというわけです。実際に再生されるまでに数ヶ月はかかり、歯周病に限らずインプラントの予定部位に骨が足りない場合でも手術は可能です。

ただメンブレンで組織のスペースを確保して縫い合わせるには高い技術が必要といわれています。中には治るまでの間にメンブレンが露出したり、口の中の管理がきちんとできずに不潔な状態になって感染するなどして失敗に至ることもありますので、術後は慎重に経過を見ていく必要があります。

GTRの一般的な費用は1部位あたり5万円程度といわれています。インプラントの費用は含まれていません。

骨移植

骨移植は、インプラントに限らずさまざまな場面で活用されています。そしてその方法もいくつかあり、患者さんの状態や希望に合わせて決められます。

骨移植は大きく分けて「自家骨移植」「人工骨移植」の2つに分けられます。「自家骨移植」はその名の通り自分の骨を部分的に切り取って移植する方法です。自分の骨なので適合もよく成功率は高いといわれています。

切り取る場所は、下顎のえらの部分や下の前歯の下辺りでちょうど顎の真ん中あたりなどが比較的リスクが少ない場所です。それ以外にも、顎の内側に飛び出している骨などを使うこともあります。また、腸骨という腰骨あたりや足の脛から取り出すこともあります。

ただしこれは入院が必要で1ヶ月~2ヶ月は痛みで歩くのも困難になるなどかなり大掛かりで、入院施設の整った総合病院の口腔外科などで行います。「人工骨移植」は、体との適合性の良いハイドロキシアパタイトやリン酸三カルシウムを主な原料としたβ‐TCPという材料を使います。

これらは人工的に作られた粉上の物質で、骨を作るというよりは骨のない部分に入れて骨の代わりにしたり骨の再生を促すものと考えるといいでしょう。インプラントと同時に行わることもあり、比較的狭い範囲の移植に向いています。

ただ拒絶反応が起こることがあり、せっかく入れた人工骨がうまく定着せずぽろぽろと出てきてしまうこともあります。海外ではこれ以外にも他人から採取して作られた骨や牛の骨が使われることがありますが、安全性の面からも日本ではほとんど行われていません。

骨移植の一般的な費用は5~30万円とされていて使う材料や範囲、術式などで異なります。

ボーングラフト

ボーングラフトは骨移植のひとつです。歯周病や虫歯からくる炎症、長年歯を抜いて放置したことなどが原因で骨がなくなってしまった場所に、骨を塊ごと移植して固定する方法です。

移植するのは他の部分から切り取ったブロック状の自分の骨で、これを増やしたい部位の歯茎を剥がしてチタン製のスクリューで動かないよう元々の骨に固定し、隙間を骨補填剤と呼ばれる粉状の人工骨材料で埋めて再び歯茎を被せ縫い合わせます。

自家骨と呼ばれるこの自分の骨は、顎のえらあたりや下顎の真ん中、腰骨や脛の骨などから採取されますが、顎の骨以外の場所から取る場合は入院施設の整った病院で行うことになります。

またボーングラフトでは、メンブレンと呼ばれる組織の再生を促すための膜で覆ってから歯茎を縫い合わせることもあります。6ヶ月くらいで安定しますのでそれを確認した後にインプラントを行います。

固定に使用したスクリューは移植した骨がしっかりくっついていることを確認したら取り除きます。ボーンクラフトの費用は一般的に1部位あたり5~10万円程度、インプラントは別途費用がかかります。

傾斜埋入

傾斜埋入は、上顎で副鼻腔との距離が近いことや下顎の神経までの距離が近いなどの理由からインプラントをするには骨の量が足りないケースで用いられます。このような部位を避けるようにして可能な部位に斜めにインプラントを埋め込む手術法をいいます。

本来インプラントは真っ直ぐ埋め込むことで噛む力を受け止められるのですが、どうしても骨の量が足りない場合には真っ直ぐに埋めることができません。

そこで、埋め込める骨の量を確保するために斜めに穴を開けインプラントを埋め込みます。このような傾斜埋入専用のインプラントもあります。

骨がない場合骨を補填したり移植する方法もありますが、期間が長くかかることやインプラント以外に手術を受けなければいけないという負担を避けられる方法として行われています。ただ、この傾斜埋入では1本で噛む力を支えられないため2本以上のインプラントが必要になります。

また専用のシステムは2社しか扱っていないためそのどちらかに制限されるというデメリットもあります。オールオンフォーと呼ばれ4本のインプラントを使ったブリッジで短期間にすべての歯の機能を回復できるとされる方法はこの傾斜埋入を採用したものです。

ただし、非常に精密に計算された位置や角度によって行う必要があり難易度が高いテクニックです。もちろん患者さん自身が行う清掃などもきちんと行わなければ当然寿命は短くなります。

費用はインプラントの埋入手術に1本あたり30~50万円程度かかりますが、インプラントの上に最終的に被せるブリッジの費用に数百万円かかるとされていますのでしっかりとした説明を受けて納得してから決めることをおすすめします。

ショートインプラント

インプラントを埋め込むにはそれを支えるだけの骨の量と噛む力に耐えられるだけのインプラントの長さが必要です。通常インプラント本体の長さは10㎜程度の物が多いのはそのためです。

しかし、骨の量が足りなくてどうしてもその長さ以上の骨の厚みを確保できない人もいます。そういった場合に考えられる方法としては手術によって骨の量を増やしてあげるのが一般的ですが、視点を変えたショートインプラントという方法があります。

ショートインプラントは長さ8㎜以下の物をいいます。例えば上顎の骨と上顎洞の感覚が近くて厚みがない症例や下顎の骨の中にある太い神経や血管の束までの距離が近い症例などでも、骨の幅が十分にある部位なら手術は可能です。

ただし、どうしてもインプラントそのものの長さが短いので極力骨にダメージを与えない手術を行う必要があります。骨はとても繊細でわずかなダメージやストレスでも痩せていくので慎重に行うことが大切です。

また、短い分あまり強い力には耐えられないので、基本的には複数本埋め込んで全部を繋ぐ形で被せます。骨の移植や再生を待つよりも短い期間で噛めるようになりますが、骨が少し痩せてしまっただけでも影響が出やすいのでメンテナンスもしっかり行うことが大前提と言えます。

費用は一般的な費用とあまり差はなく1本あたり30万円前後と考えるといいでしょう。複数本の手術が必要な場合にはその本数分の費用がかかります。

サイトダイレーティング

歯周病や長期間歯がないことによって顎の骨は徐々に痩せてしまい高さだけでなく厚みも薄くなってしまいます。こうなってしまうとインプラントを希望しても、インプラント本体の太さが4㎜くらいあるため埋め込む骨の厚みが足りず諦めざるをえません。

このようなケースでは、サイトダイレーティングという方法が適しています。これは歯槽堤拡大術といって今ある骨を少しずつ広げていく方法で骨の幅が3㎜くらいはあるケースが適応とされています。

手順としては、インプラントを予定している部位にドリル状の器具で細い穴を開けます。そこにダイレーダーという棒のような器具を細いものから順に押し込み徐々に太くしていきます。この作業によって骨と骨の隙間を大きくしながら顎の骨を少しずつ横に開いていきます。

インプラントに十分なサイズまで広がったらそこに挟むように埋め込みます。つまり骨そのものを削って穴のサイズを確保するのではなく、骨に人工的に割れ目を作りそれを広げてインプラントが入る空間を確保する方法です。

広がった部分はジャストサイズではありませんのでその隙間を粉状の人工骨などで埋めます。費用は1ヶ所につき8~10万円程度のようです。インプラント手術については別途費用がかかります。

スプリットクレスト

スプリットクレストは歯槽堤分割術といわれ、サイトダイレーティングと同じようにインプラントを埋め込むには骨の幅が足りないケースで行われる手術です。

サイトダイレーティングと違って骨の幅が3㎜に満たない人が適応とされています。特に上の前歯は奥歯に比べて元々の骨に厚みがなく、歯がなくなるとさらに骨が溶けてしまいとても薄くなってしまいインプラントには非常に厳しい状態になります。

スプリットクレストでは、そんな薄くなった骨の一番上の部分にノミのような器具を使って切れ目をいれて2つに分割します。この切れ目の間にインプラントを挟み込むようにして埋め込み、隙間を移植した骨や人工の骨材料などで埋めて歯茎で覆って封鎖します。

インプラントが骨にしっかり固定されるまで6ヶ月程度かかりますので、それを確認してから被せる処置を行います。骨が薄いので割れてしまう可能性もあり、とても高い技術が必要とされていますので受けられるクリニックはそれほど多くはないようです。

費用は1ヶ所あたり20万円くらいが一般的です。インプラントの費用は含まれていません。

ザイゴマインプラント

人の顔はいくつもの骨が組み合わさってできています。その中で歯を支えているのは上顎骨と下顎骨という骨です。歯を失ってインプラントをする場合、この上顎骨や下顎骨という顎の骨に埋め込むのが一般的ですが、重い歯周病などが原因で骨がとても少なくなってしまった人はインプラントはおろか義歯もなかなか安定しないことになります。

そこで、ザイゴマインプラントは上顎の骨からさらに範囲を拡大してその上にある頬骨まで伸ばした長いインプラントを埋め込む方法です。サイナスリフトなどのように人工的に骨の厚みを作り出す方法では6ヶ月程度の期間を置いて安定させてから次の工程に進むためとても時間がかかるのがネックでした。

しかしザイゴマインプラントは上顎の骨より硬くて強い頬骨に埋め込むため強度も強く、その日に歯を入れることも可能になりました。しかし、この手術は非常に難易度が高く限られた医療機関でしか行っていないことや、埋込の位置がやや内側にあるため舌で触ると異物感があるというデメリットもあります。

4本のインプラントですべての歯をカバーするオールオンフォーなどにも使われるインプラントですが、埋込などの手術費用だけで150~250万円程度とかなり高額です。また上に被せるブリッジなどの費用は別途必要になりますのでカウンセリングの際にしっかり説明を受けることをおすすめします。

PRPテクニック

PRPは患者さんから採った血液を遠心分離にかけて濃縮した血小板を取り出した血漿のことをいいます。

血小板は出血を止める働きを持つことは知られていますが、さらに細胞の増殖を促し傷の修復作用にも関係していて傷が治る段階でさまざまな成長因子を出すことがわかってきました。

そこで、インプラントの際にPRPを用いることで、インプラントが早くしっかりと骨と結合するのを促し傷の治りを早めてくれる効果が期待できるのです。また、移植する骨にこのPRPを混ぜると強い骨ができるそうです。

骨の量が少ない人や質が悪い人なども、PRPを併用することで骨の質が強くなりインプラントが可能になりました。このようなことからインプラントの成功率を高めるために活用されています。

自分の血液から作られているため適合もよく安全性も高いことや、手術後の痛みや腫れが少なくて済むというメリットもあります。シワやほうれい線などの若返り治療にも活用できるとあって、美容外科や皮膚科で採用しているところもあるそうです。

ただ、PRPを行うには抽出するための設備が必要なことや適切なステップでPRPを作成できる正確な技術を必要としますのでどこでも受けられるというわけではありません。費用は3~5万円程度が相場のようです。インプラントに限らず他の外科処置でも活用できるテクニックです。

骨がすくない場合のインプラントまとめ

インプラントを受けるために重要な要素は、骨の量と質です。 でもインプラントを希望している方は増えている反面骨が足りないという理由で諦めている方も少なくありません。そういったケースでもインプラントを可能にする方法をまとめてみました。
おおまかにいうと

  • 足りない骨を増やす
  • 骨を移植する
  • 骨のあるところに埋める

ということになり、それに合わせたさまざまな技術が活用されています。
1.    骨再生医療…患者さんの骨髄細胞から培養した安全性の高い骨を移植するTE-BONEという治療法
2.    ソケットリフト…上顎洞という骨の空洞の底を少し持ちあげて人工骨で厚みを作るテクニック
3.    サイナスリフト…歯茎側から穴を開けて上顎洞の境目に移植骨や人工骨を入れて骨の厚みを作るテクニック
4.    GBR…骨のない部分に移植骨や人工骨を入れ人工膜で覆って骨の再生を促す方法
5.    エムドゲイン…幼ブタから採取したたんぱく質から精製されたゲルを注入することで歯周組織の再生を促す
6.    GTR…細菌に侵された部分を取り除いて人工膜で覆い健康な新しい骨や組織の再生を待つ方法
7.    骨移植…自分の骨や人工の骨などを不足している部位に移植して量を増やす方法
8.    ボーングラフト…骨の量が足りない部分にブロック状の自分の骨をスクリュー固定して接着する方法
9.    傾斜埋入…比較的骨の量がある部分に斜めに複数のインプラントを埋め込み歯を支える方法
10.    ショートインプラント…骨を補填せずあえて短いインプラントを埋め込む方法
11.    サイトダイレーティング…骨が薄い場合に割れ目を作って骨ごと拡げてインプラントを挟み込む方法
12.    スプリットクレスト…非常に薄い骨の先端部分に切れ目を入れてインプラントを挟み込む方法
13.    ザイゴマインプラント…長いインプラントを上顎の骨からさらに頬骨まで長く埋め込む方法
14.    PRPテクニック…外科処置後の回復を促進し成功率を高める目的で濃縮した血小板を含んだ自分の血漿を注入するテクニック

特殊なインプラントを行う際の注意点

歯がないことで悩んでいる人はたくさんいらっしゃいます。藁をもつかむ思いでインプラントの相談に足を運ぶ方もいるでしょう。さまざまなメディアなどでインプラントの良い点がたくさん紹介され、誰もがインプラントを受ければ元の歯があった頃に戻れるというような誤解をされがちですが、実際はそうではありません。

インプラントは万能ではなく、またそれを行う歯科医師は神様ではありません。そしてインプラントを受けようとしている患者さんは、2人として同じ人はいないのです。

忘れてはいけないのは「インプラントは手術である」ということです。歯科ということで軽く考えられがちですが、歯肉を切り剥離して骨に穴を開けるという出血を伴う手術であることは絶対に忘れてはいけません。ですから、例えば「血圧が高いけど歯の治療くらい大丈夫!」という安易な考えや「内科でもらっている薬だから歯科には関係ないよ」と自己判断するのは大変恐ろしいことだということを忘れないでください。

また、インプラントに伴って行われるさまざまな手術やテクニックは、非常に高度な技術が必要であり口の中というとても狭くて小さくて見えづらい部分に対して行われます。また「食べる」という人間が生きていくために最も重要な機能を取り戻すための手術ですから、手術の可否はその後の生活に大きく関わってきます。
そのため、相談するにあたってはまず

  • 実績のある歯科医院を選ぶ
  • 手術を行う歯科医師の名前や顔写真などが公開され信頼できること
  • 費用が明確であること
  • 治療に使う器具の滅菌や衛生管理がきちんと行われていること
  • スタッフが十分に訓練されていること
  • 相談に担当の歯科医師が直接対応すること
  • アフターフォローがきちんとしていること
  • 不測の事態でも総合病院などと連携が取れること
  • 可能ならば実際に受けた人の話を聞いてみる

などを確認しましょう。
また

  • 他院より安い
  • どんな人でも受けられます

などの言葉には踊らされないようにしましょう。インプラントには最小限度の設備投資や材料費が必要です。それが特に安いとなるとなにか別の理由があるのかもしれません。また、インプラントは避けなければいけない人もいます。誰でも受けられる治療ではないにもかかわらずこのような表現をしているところは、信用できないといえるでしょう。

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