日本インプラントセンターがインプラント治療における相場や費用を全国362のインプラント歯科医院を対象に行ないました。その結果、2011年のデータによると全国におけるインプラント費用の平均は約32万5000円。最安値が14万円、最高値が53万5500円という結果となりました。
気になるインプラントの相場は??
インプラントの相場となる、費用として最も多かった回答は30万から35万円。
全体の30%を占める医院が30万円~35万円をインプラントの総額としており、東日本では最安値が15万円、最高値が53万5500円。西日本のデータにおいては最安値が14万円で最高値が52万5500円という結果になりました。
~結論~
インプラントの相場は30万~35万円
では、町のインプラント歯科医院ではなく、東京医科歯科大学のような大学病院でインプラントを行なった場合、料金はどう変わるのでしょうか。見ていきましょう。
東京医科歯科大学でインプラントを行なった場合、いくら??
東京医科歯科大学が発表している、東京医科歯科大学歯学部附属病院諸料金規則
によると、インプラント1本にかかる総額は約48万円となります。
内訳はかなりの明瞭会計となっており、
- 相談料:3,780円
- CT撮影:15,120円
- 手術費:324,000円
などこまかく表記されています。
大学病院では研究に加え、学生や研修医の教育を行う機関である為、データ採集など治療以外でもコストがかかる点から費用が高額になりがちです。
一口にインプラントといっても、全ての箇所に同じ金額が適用されるわけではありません。ここで、治療部位別の治療費の相場をご紹介致します。
“前歯”インプラントの相場や費用はどのくらいかかる??
前歯のインプラントの相場は30万円~45万円と言われています。
費用に幅があるのは、上部構造による素材の違いだとお考えください。
インプラントは大きく分けて下記のように3つのパートから構成されています。
この、一番上の上部構造にどのような素材を使用するかで費用が大きく変動します。
特に前歯は審美的に重要なため、より自然な歯の色にこだわるとその分費用が高額になります。
“奥歯”のインプラントの相場はいくら??
奥歯のインプラント治療における費用の相場は総額約30万円から45万円で、手術代を含んだ内訳に関しても、前歯とほとんど変わらない結果になっています。
しかし、奥歯は骨の厚みや審美性の観点から、前歯と比較すると難易度が低いため、歯科医院によってはこの難易度を考慮して、奥歯のインプラント治療費を、前歯の治療費に比べて安く設定している場合もあります。
インプラントの相場や料金を調べる上で気をつけるべきポイントは“釣り”
インプラントの相場や料金を調べていると、「一本数万円!」など非常に低価格の宣伝を見かけることがあります。しかし、これらはインプラント本体部分のみの値段であることが多い、いわゆる“釣り広告”であることが多々あります。
先ほどと重複してしまいますが、インプラントは下記のように大きく分けて3つから成り立っています。
この一番下の体内に埋め込む部分を「インプラント体」や「フィクスチャー」などと呼びます。この“インプラント体”のみの値段が数万円というカラクリになっていることが多いです。
“歯”の部分である上部構造やその他にかかる検査費用などは別料金になっている可能性が高いです。
インプラントの料金を調べる際は「インプラント〇〇円」に釣られずに「総額」の値段を調べるようにしましょう。
更に言うのならば、その総額に
- CTなどの事前検査の費用は含まれているのか
- 麻酔の費用は含まれているのか
- 万が一のことがあった場合の保証は
など、提示された金額がどこからどこまでの値段であるのかもしっかりと調べることが必須です。
その他、インプラントの相場・費用・料金を左右する要素をまとめてご紹介。
インプラントの相場を左右する条件として、大まかに下記のような要素があります。
- 歯科医院の立地
- 事前検査の内容
- 患者さんのカラダの状態
- インプラントに使用する素材
- 術後の保証
では、1つずつ見ていきましょう。
歯科医院の立地で費用が変わる
インプラントを行う医院が都心か地方かでも金額に差があります。これは賃料や人件費など医院を経営していく要素がそれだけ都心部ではかかってしまうため、その金額をインプラントに上乗せするためです。
極端な話、バンコクやベトナムなどインプラント治療が日本と同等以上の技術を持っている国でインプラントを行えば半額程度の額で行うことも可能です。
事前検査の内容は命に関わる
インプラント治療において、事前検査の内容は医院に任されています。つまり、医院毎に検査の内容が異なります。
しかし、この事前検査、甘く見ては行けません。東京医科歯科大学の矢島安朝教授によると、インプラント治療に訪れた769人の患者の約半数が事前検査で糖尿病や貧血などインプラント治療に支障を起こす可能性のある異常が見つかったと発表しています。
さらには、このうち87%の患者が異常を自覚していなかったといいます。中には内科での治療が必要だったレベルの患者も70人いました。つまり、事前検査を行なっていなかったらインプラントでトラブルが起こり得た患者が非常に多かったということです。
しかし、こうした検査にはインプラントを行う歯科的な知識だけではなく、内科の知識など総合医療の観点から知識も必要となるため、検査を避けている医院も中には存在します。
事前検査の徹底が今後のインプラントでさらなる課題になることは間違いないです。検査を行わなければその分費用は安くなりますが、そうなると今度は治療における安全性についての疑問が生じる事になります。
患者さんのカラダの状態で更に金額がかかることも
事前検査で患者さんのカラダに何らかの異常が見られた場合は、医局を超えた連携や、補助手術などが必要になります。そうなってくると、治療内容が通常の患者さんとは異なり、費用も大きく変わってきます。
補助手術の内容で、一般的に多いのは顎の骨の多さや厚さに問題がある場合で、これらに問題があると手術ができなかったり、インプラントが突き抜ける危険性がある為、それを改善する為の治療が事前に必要になってきて、その分の費用が必要になります。
また、前歯か奥歯かなど、肝心のインプラントを施す箇所によっても費用は異なり、これは前歯と奥歯で治療方法自体が異なってくる事が理由になります。
インプラントに使用する素材は高いがいいものを
インプラントにおいて世界を代表すると言われている四大ブランドは、スウェーデンのブローネマルクとアストラテック、スイスのストローマン(ITI)、アメリカのスイスプラスです。これらは世界を基準にしたシェアの大半を占める程の浸透率になっています。
これら四大ブランドのインプラントを使用する事は、一般のインプラントと比較すると当然費用は高額になってきますが、インプラントの質においてはブランドを誇るだけの信頼性があります。日本でも多くの歯科医院がこの四大ブランドのインプラントを採用している為、ブランドの使用は、術後のアフターケアや交換がスムーズだという利点もあります。
術後の保証は手厚いほど、お金がかかる
現在は多くの歯科医院でインプラントに保証期間を設けています。しかし具体的に保証期間は歯科医院によって異なっており、保証が三年の歯科医院もあれば、保証が十年の歯科医院も存在します。
当然保証期間が過ぎてしまえば、破損時などの費用は高額になる為、そもそもの保証内容によっても費用は大きく異なってくるのです。また、術後のアフターケアでは主に歯周病予防や噛み合わせ調整などを行いますが、これらはいずれも通院し、医師の診察によって行われる事なので、このアフターケアが手厚くなれば、安心できる反面、費用は高額になってくるのです。
インプラント相場の総まとめ
- インプラント全国相場は30万~35万
- 東京医科歯科大学では、約48万
- 前歯は30万~45万
- 奥歯は30万~45万
- インプラントの相場や料金はどこまでの値段かを調べること
- 相場の他に諸条件が加わり、費用は大きく変化する
インプラントでは相場や値段など、目先の短期的な利益に惑わされること無く、しっかりと見合った額を払うことが何よりも大切です。